鉢盛山山頂

つわものだけが登ることを許される標高二四四七メートルの頂

第2回 日本三百名山 鉢盛山2447登山マラソン大会 参戦記

2019.8.3[]-8.4[]

日記

8月3日()大会前日「あさひのとき」

暑い暑いと言っても、液体の水が存在しうるうちはまだまだハビタブルゾーン。

あさひプライムキャンプ場

土曜の午後、フル装備のチャリで松本市内の自宅を出撃。うだる暑さだが、松本平東側の鉢伏山にすっごい雨雲が掛かっている。あれは避けたい。西側の鉢盛山は微妙なところだが、そっちの山形村ルートを選んで走る。「お夏の碑」から朝日村に入り、中心部を通りすぎて御馬越(おんまご)集落の突き当り、標高950mにあるのが野俣沢林間キャンプ場(あさひプライムキャンプ場)。ちょっと水場とトイレを借りるだけの自転車キャンパーにとって激安ビジホ並みの利用料(2,700円)は高く感じるが、スポーツイベントなんてその土地に金を落とすのが存在意義だから、まぁいいか。実際せせらぎのフリーサイトはすごく気持ちが良い。じっとしていると寒い程だ。

お夏まつり

ガソリンストーブで米を炊き、レトルトカレーとビタミンちくわを夕食とする。スティックコーヒーで一息。どうやら雨は降ってこないので、チャリで村中心部に下りる。「お夏まつり」…ネットにほとんど情報が無い謎イベントだが村民総出で盛り上がっており、特に子供にとっては松本ぼんぼんよりこっちがよっぽど楽しみだったんだなぁと。私は踊りをちょっと観て出店のパンを買い食いする程度で、キャンプ場に登り帰る。200円で2分のシャワーが、一秒たりとも無駄にできないスリルを味わえる。21時過ぎに就寝。

8月4日()大会当日「夢が鉢盛」
鉢盛山登山マラソン2019マップ 距離38km標高差1,641m
開会式

日曜未明に目を覚まし、残りのご飯とパックの味噌汁等を朝食とする。少し明るくなってきた頃テントを撤収し、これにて本業(趣味)は終了。標高806mの朝日村役場に下りて、第2回日本三百名山鉢盛山2447登山マラソンの受付を済ませる。最高気温36℃の酷暑に見舞われた去年の第1回は、完走率54.5%という伝説的なサバイバルレースだった。自分の記録は5:18'余で、いくら標高差が積算1,700mあるとはいえ長野マラソンの最終ランナーよりちんたらなペースで走ってたのはどうなの?と反省している。今年は予報33℃程度なのと、スタート時刻が30分早まっているから少し楽になるだろう。目標としては5時間を切って、さらに順位20以内が夢か。トレーニングは7月200kmと、夏季は原則としてジョギングしない私にしては頑張った。須坂駅⇔毛無峠や、近所の城山遊歩道、Gトレイル等でそこそこ高低差にも慣らしてある。

それにしても参加者の雰囲気が一般的なマラソン大会と違う。みな脚がマッチョで太い。大会キャッチコピー「つわものだけが登ることを許される」の通り、本当に強者だけが定員いっぱい集ってしまい、気後れする。直前サプリは初めてベスパプロを試す。山頂コース参加者全員による記念撮影をして6時30分、村長による号砲でだらだらとスタート。誰も行かないから、最初だけ私が先頭になってしまった。以降ずりずり下げつつ順位を数えるが、頭がアホだから分からなくなってきた。朝の曇り空は、御馬越あたりからもうかんかん照りに。さあ登るぞ。

未舗装林道区間

上位陣はばらけているが、多分10位グループの最後方で林道ゲートエイドを通過。ここからは未舗装路なので、ロード用シューズだと痛いだろう。今日履いているのはトレイル用のサロモンセンスプロ2、だがもうぼろぼろだ。路面を良く見て走らないと足首をぐぎゃる。大会攻略法のページにはしつこく「前半は温存して」と書いてあるが、登りの脚は登りのうちに使い切っちまう作戦。というかロゲイニング強豪のBさんにあまり離されたくなくて、つい追ってしまう。手持ちのスポーツヨーカンを食い、林道中間エイドを経て六曲りに入るといよいよ呼吸が苦しくなる。観念してペースを落とす。風は涼しいのに。

登山口エイドでバナナと塩飴を頂き、今回のテーマは「エイドでゆっくりしないこと!」なのでさっさとリスタート。Bさんと同時だったがもう完全に実力差がはっきりし、すぐ突き放される。膝を手で押しながらひいこら登り、村界尾根からは楽になる・・・が一度冷えた脚がつりそうで、やっぱり走れない。折り返してきたトップ選手らとすれ違いつつ、なだらかな所だけ少し走る感じ。ここはゆっくりハイキングしたいわ。

鉢盛山から乗鞍岳

2:32'程で標高2447m鉢盛山山頂、の少し奥にある反射板に到達し登頂証の木札を貰う。そうそうこれが欲しかったんだ。穂高岳や常念岳は隠れ気味だが、今年は乗鞍岳が見える。お茶を沸かして1時間はまったりしていたいが、レース中なので1分も居られない。給水もないし、写真だけ撮ってさっさと引き返す。想定よりかなり早いので、後半に大崩れしなければ5時間は切れそうだ。それにしてもトレイル下山はやっぱり苦手で、後ろから迫ってきた選手にほいほい道を譲る有り様。一応練習したんだけどなぁ。一人だけ私より苦手そうな方を抜けたのが成果か。村界尾根からの急坂はいよいよ脚の踏ん張りが効かなくなり、下る人優先なので登る選手を待たせてしまうのが申し訳ない。

腕もじんじんに痺れ一旦休んで補給すべき所だが、もうひと粘りして無事に登山口エイドに戻る。またバナナと、漬物等もしっかり頂きつつ早いリスタート。ここを折り返し点とする林道コースの選手たちと混ざる。重力任せのペースで走っていると、山頂コースの選手が一人、猛スピードで追い抜いていく・・・が、つってしまったようで先の方で止まっていた。以降、孤独なランが続く。いつになったらこの山奥から脱出できるのか。苦しい時は「マッチョアネーム?」を口ずさむと、ちょっとポジティブになれる。

消防ホースぶっかけ

沢の水を引いて頭にかぶれるようにしてある所が3つあったが、足を止めたくないのでスルー。今回ゲイターを装備しているので、靴の中に小石が入ってこないのは快適。だがウェア擦れが痛いのは想定外。汗のかき過ぎが原因だろう。スポーツヨーカンは走りながらだと食いづらいことが判明したので、予備のカーボショッツを服用しつつ林道ゲートエイドに到着。フラスク2本に入れていた塩水がもうからからなので、水を分けてもらう。

いよいよ熱風地獄のロード。去年ほどじゃないが、暑いものは暑い!…。針尾の集落に入ると住民が水シャワー装置などでもてなしてくれる。極めつけの「消防ホースぶっかけ」にはもちろんバンザイ突撃、生き返る〜。脚はもう終わっていて、また順位を2つ下げてしまうのだけど。20位以内は厳しいかな。残り1kmにある旧役場の新設エイドで給水し、最後に「焼き土下座の坂」を登らなくてはならない。なんとか走ってクリア。キャベツコーナーを抜けて、無駄に猛スパートして場を沸かせつつフィニーッシュ!

ゴールと鉢盛山

渡されたスポーツドリンクPETをすぐに飲み干し、もてなし給食へ。ああスイカが旨い、解凍トマトが旨い、キュウリが旨い、スープが旨い、サラダが全部旨い。おにぎりはちょっと喉を通りづらいけど…旨い。そういえばタイムは4時間38分位で、予想外の大幅PB更新となった。去年が遅過ぎたせいなんだけど。正確なタイムや順位は不明。今回はリストバンドによる電子計測がコース内の各関門にあるのだが、山奥で通信が確立できないため、機器を持ち帰ってからの解析になるそうだ。あと、山岳耐久レースチャンピオンという先頭ランナーが林道下りで軽快すぎて、元MTBチャンピオンのMTBによる先導が負けてしまったらしい。

全身傷だらけでゴールした選手は、トレイルで落ちたか。ファミマで買ったコーラを呷っているうちに、林道コースの表彰式が始まる(もっと短いゲートコースはとっくに終わったようだ)。去年は屋外で行われたが今回はクーラーの効いた庁舎の中なので、多少ギャラリーが居る。やがて山頂コースの表彰式も始まる。アスリートの女性はなんと美しいことか。庁舎内に飾ってある声優・羽多野渉さんのサイン色紙は、誰か気がついただろうか? まだ続々とフィニッシュする選手も居るが、参加賞のキャベツとスイートコーンを受け取って、そろそろリーブしよう。フル装備のチャリでのんびり、松本市街地はさらに暑い。帰宅して洗濯したりテントを干したり。すぐ乾くから捗る。

おもてなしサラダ

完走率は山頂コース90.5%とのことで救急車沙汰も無し、と思ったら帰宅後にぶっ壊れて病院送りがいたとの情報あり。私も帰宅後、水やスポドリをいくら飲んでも飲んでも足りない調子だったし油断ならない。Web公開及び後日郵送の記録によればタイム4時間38分05秒、総合順位19位/出走189名中で、何とかトップ20を確保できて嬉しい。山頂折り返し地点の計測機器不調とのことでデータが不十分だが、区間順位は15→14→欠測→25→31→37(林道ゲート往路→登山口往路→山頂→登山口復路→林道復路→ゴール)と推移していた。後半あまりにだらしなかったので、次回出るなら今度こそ真面目に前半を抑えるべきだろう。という訳でこのコース、終始しんどいけど終始楽しい。だから参加したのさ。

登山口エイド到着 鉢盛山権現の庭 村界尾根付近より霧訪山方面

結果

第2回日本三百名山鉢盛山2447登山マラソン大会 山頂コース38.3km 公式リザルト
記録 4時間38分05.69秒 (最速者3:26'47", 最終完走者6:59'33")
男子順位 19位 (/完走151名/出走167名/申込195名中)完走率90.4%
総合順位(女子含む) 19位 (/完走171名/出走189名/申込221名中)完走率90.5%
※他に林道コース32km申込85名、ゲートコース12km申込59名あり

リンク

公式Facebook写真より、登山道でにっこにっこにー
日本三百名山鉢盛山2447登山マラソン
公式サイト。大会概要、最新情報など。FacebookやTwitter発信もあり。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。

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