ゴールでハイタッチの高橋尚子

The 12th NAGANO OLYMPIC COMMEMORATIVE 2010 NAGANO MARATHON

第12回 長野オリンピック記念 長野マラソン 参戦記

2010年4月18日

経緯

先々月の2月は日数が少ないのに計450kmとキチガイのようにジョギングした。その無理がたたって膝を故障し、3月以降練習量が激減する代わりに体重は増えるばかり。体脂肪率も20%をオーバー。自己ベストは望めない状況となったが、せめて二度目のサブスリーは何とかならないか? そろそろあれはフロックじゃなかったと証明したいんだ。

東横インより長野駅前

テンションだけは上がるレース前日。朝の雪は融け、昼の高速バスで松本から長野へ向かう。去年は予想外の人気過多により参加できなかった長野マラソン。二年前との違いがいくつかあるみたいで、終盤の勝負所であった松代大橋がコースから除外されたり、スタート時刻が5分早まったりしている。その5分がクセモノで、松本始発の列車じゃ当日朝の荷物預けに間に合わなくなった。仕方ない、受付を済ませた後は松本に戻らず普通に宿をとる。

そのための東横インを、昨秋のマラソン参加申込日より先におさえておいた。チェックインを済ませ、夕食は長野電鉄地下改札近くの立ち食いそば“しなの”にて。出汁が意外と甘くて、おいしい。あとはホテルでだらだら過ごして就寝。朝の冷え込みだけが心配だ。

日記

4月18日()大会当日 「ジ沿道オブ長野マラソン」

志賀高原に昇る朝日が部屋の壁を照らす。体調はどうだろう。寝坊せずにホッとしつつジュースを買いにロビーへ降りると、何時間も前から現地に居ないと気が済まないランナー達はもう次々とチェックアウトしている。残ったのんびり派はもう少し待って、ホテルの朝食サービスを頂く。特に自分はおにぎりに塩を振りながら、周囲の人の倍は食っている。

スタート前の荷物預け

ランナー用乗車券でJR長野駅から北長野駅まで乗り、歩いて長野運動公園に到着。時間は十分にあるから、サブトラックでウォーミングアップをしよう。足首が痛くてちゃんと走れないけど、こういう痛みはマラソン中に消えるから大丈夫。朝の冷え込みは心配していたほどではなく、荷物を予備ウェアごとゴール地点行きのトラックに預け、スタート整列へ。
元々3時間切りを狙っていた大会だが予定体重より2kgオーバーなので、1kgあたり3分とすると予想タイムは6分落ちの3:05'。しかし参加申込時は故障前だったので、ベストを更新するつもりの強気な数字で申請していた。よってスタート整列は一般参加者としては最前ブロックとなっている。今の実力に見合わないが、どのみち序盤は陸連登録者のバックマーカーを処理していく展開だし、後ろにゃ迷惑かけねぇよ…。

絶好の青空のもと高橋尚子による激励スピーチが行われ、間もなく8時30分、小坂憲次により号砲が鳴らされた。一切無駄な体力を使いたくないので、テレビカメラへのアピールとかせずに黙々とスタートゲートをくぐる。45秒ほどで通過。
とにかく今の体力だと無駄な追い抜きは厳禁。1km地点でネット4'45"。陸連登録者の群れに強気で突っ込んでいく同ブロックの連中には置いて行かれた。あらかたバラけたし、ここからサブスリーペースを作りに行こう。沿道の少年たちとのハイタッチやカメラマンへのポージングはこらえる。なるべく人の後ろに付いて走る。自分は登りに強いんだというプライドも捨てる。とにかく狡い走りに徹するのだ。

長野マラソン10マップ

駅前から跨線橋を渡り、ビッグハット過ぎには3時間ペースランナーと愉快な仲間たちを追い抜いた。12km地点でスタートのロスも吸収し、サブスリーペースに対し貯金を作り始めようという展開。いけるぞ? いくんだ。エムウェーブを折り返し、18km過ぎに1個目のパワージェルを補給。

しかし五輪大橋の登りでペースが緩むと、後ろから「ドッドッドッドッ…!」という唯ならぬ音圧が。さっきのペースランナーと愉快な仲間たちだ。沿道の人が「わぁー凄い!」なんて喜んでるが、こっちはたまったもんじゃない。少しブーストして逃げないと。中間地点1:29'21"、目標へのアドバンテージは40秒となったが、微妙だ。風は東風で概ね有利だが、向い風区間もあるし。
無駄に逃げて消耗するより、ちょっと気にくわないけど一度飲み込まれてしまったほうが楽では? そう思いペースを緩めてしまう。

「合流したか?」「しなかった…」

この集団蒸し暑すぎだろと苦笑したのも束の間、付いて行けなくなる。あれおかしいな、まぁいいや自分のペースで。しかしホワイトリング以降みるみる貯金を失ってゆく。練習不足だと決まって訪れる、27km(信州スカイパーク3周分)の壁である。どうせサブスリーペースは中間地点までだろうという予想もあった。更埴橋を渡り、「ここまで引っ張れただけでも今日は頑張ったよ」とエイドのまんじゅうをつまんで諦めの意思表示。塩分不足ならと塩熱飴もゲットしておく。去年から変更になっているこのコース、山本勘助の墓なんてのがあるんだね。

一旦諦めると、もう楽をしようと大幅にペースダウンしてしまう。眠くてうとうと走る。単に寝不足か? ビッグハットやエムウェーブあたりで白黒つけたはずのライバル達にまで追い越された時、急に目が覚めた。ペースアップして抜き返し、勢いに乗る。行けそうだ、まだ諦めるな。2個目のパワージェルを補給し、もう一度夢を追うんだ。32km地点にいる高橋尚子とハイタッチし「頑張ります!」と再出発。

追い風をもってしてもさすがにサブスリーペースにまでは戻らなかったが、順位は上げに転じている。遥か西には後立山連峰が見える。今年は桜も見頃の時期だが、土手道部分が短いコースになっているので景色はグレードダウン。川中島のあたり走りたかったなー。ああ、体が重い。

岩野橋を渡ると向い風区間。もうシビアにタイムは追ってないし、単独走でも風が気持良く感じる。ちょっと寒いかもだが、久々に気持ち良いマラソンだなと。ずーっと続く沿道の声援も、凄いことだよ。ある選手と抜きつ抜かれつになって刺激を受けつつ、松代大橋の駆け引きが無くなっちゃったのは残念だが、最後の追い風ストレートへ。
40km地点のタイムが2:55'22"。どうやら真面目にスパートを掛けないと次の大台である3:05'切りが難しいことに気付き、大慌てになる。3時間その時が来ると「チクチョー」と声に出てしまうが、前方を快走する315番を追え。他の選手は抜くばかりだ。

長野オリンピックスタジアムへの園路

ホントに遠い、南長野運動公園の左折路。そしてそこからスタジアムへの園路が一番苦しいところ。その分、一番声援が濃いところでもある。スタジアムに入れば、なんちゃって人工芝モードで一目散。315番にこそ差は縮まらなかったが、抜けるだけ抜き、何とかギリギリ、3:04'台に間に合った〜! タイム悪いのに、自然と完走の喜びが沸き上がってくる。思わず観客席に礼をする。

途中の失速こそ悔やまれるが、トータルではとても楽しいマラソンだった。これが「沿道声援のナガノ」だ。完走タオルを掛けてもらい、よろよろとストレッチをしてから出口へ。ドリンクやおにぎり、アミノバイタル粉末、クッキーを受け取り、計測チップを外してもらう。終わった。そこの芝地で早速飲み食い。あ、アミノ粉末の封は開けてあったんだ。
気温が暖かくて、すぐに体が冷えないのが良い。預けてあった荷物を受け取り、更衣のため体育館へ。この玄関とかでも「おめでとうございます」とスタッフから声が掛かる長野マラソン。

長野マラソンタウン

着替えと洗顔を済ませればあとはお楽しみ、歌と踊りの長野マラソンタウンへ。マラソン後はにくにくした物が食いたくなるし、ギリシャ風ハンバーガーのスブラキとやらを並んでゲット。味はまあまあ。あとジェラートも食ったりしながらスタジアムへ観戦に行くと、高橋尚子がまたハイタッチしまくっている。手の感覚がなくなるだろうな。
そしてお別れ。シャトルバスで篠ノ井駅に移動し、電車で松本へ帰る。席あいてなくて立ちっぱなしだけどまぁいいや。靴擦れが痛いだけで、元気はまだあるんだ。

あんまり自分にご褒美をって記録じゃないけど、昨年後半から続いていた心身の低迷から、ようやく脱出しつつある。少しずつ自信を取り戻して、これから反攻だ。そう祈願して、近所のラーメン屋で牛乳ラーメンを食う。

結果

記録証
公式リザルト
記録 3時間04分55秒 (最速者2:10:24, 最終完走者5:18:47)
ネットタイム 3時間04分09秒 ※スタートラインからの計測参考記録
男子順位 387位 (/完走5790名/出走6496名/申込7203名中)
総合順位 411位 (/完走6895名/出走7823名/申込8708名中)
※人数は大会データページからゲスト及びペースランナー(出走8名/申込9名)を減算。総合には女子及び視覚障害者を含む
8:30天候晴,気温6.5℃,湿度65%,風向東南東,風速1.1m/s

リンク

オールスポーツによる写真
長野マラソン公式ページ
大会概要やコース紹介、公式記録など。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

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