前日に来てキャンプ泊をしたかったが、所用により断念、当日に早起きしてクルマを使うことにした。自宅から三才山トンネル有料道路をぶっ飛ばし45分、上田市南方の山間部、長和町の道の駅「マルメロの駅ながと」に到着。松本市に隣接していながら聞き慣れない町名だが、かつてあった長窪古町・長久保新町・大門村が合併し長門町となり、さらに和田村と合併して長和町になったようだ(あれ、「門」の字はどこへ消えた?)。石器時代に流通した黒曜石の産地であり、中山道が貫く国のメーンストリートでもあった。ともかく自転車で何度か通過したことはあると思うが、土地カンは無い。
受付は検温から。36.0℃…体温計を持ってないから知らなかったけど、そんなもんなんだ。年明けからの疫病騒ぎであらゆるイベントが中止となるなか、松本エリアロゲイニングシリーズの運営さんが「新しい生活様式に則した分散型スポーツ」としてアピールし、おそらくあったであろう有形無形の圧力をはね除けて開催に漕ぎ着けた「信州長和ロゲイニング2020」。大混乱の世情で一番最初に参加申し込みをしたのは私だったとのことだが、最終的に137名のエントリーを集め、県外者が6割を占めるとか。知多ロゲでお会いした愛知県の方々と挨拶しつつ、午前9時のスタートを迎える。競技時間は4時間、何気にこれは初めてかも。ロゲは基本チーム戦だが、オマケのソロ部門での参加となる。天候は晴れ。
入賞しなくちゃ!とかより、まずは精一杯楽しもうよ。
だが極力“上”を狙う。直近のジョギング量は4月170km、5月125km、6月270kmで明らかに夏場の走力が劣る自分が勝つためには、奇策を講じざるを得ない。そこで近場のコントロールをすっ飛ばし、最南端へ一目散! 和田村と大門村から回って引き返す緒戦。幸い同作戦の強豪は見当たらないが、最初のコントロールまで19分を要する。依田川や大門川は近頃の大雨でゴウゴウと流れている。ここらへんは大きな災害には至っていないようだ。
長久保宿から東の笠取峠へ向かう途中、作戦ではカットするつもりだった山へトレイルを登ってみる。上位がパーフェクト者同士のタイム勝負になる可能性が見えてきたためだが、道が川になってたりで酷い道だ。行き着いた62番コントロール「山座同定」は位置説明の紙によれば絶景とのことだが、夏場は草木が茂って何も見えぬ。
中山道の旧旧道をつたって笠取峠を越え、立科町の松並木へ。入れ替わるように松本シリーズ3強(と勝手に目している)のBGTのうちB府さんT山さんがやって来る。急いで逃げなきゃ。しかし無名峠にある87番コントロール「お地蔵さん」はトレイルをどこまで進めばいいのか見当が付きづらく、疑心暗鬼のスローペースに陥る。ロゲは指定された特徴物を写真に撮ることにより得点となるが、北東エリアはオリエンテーリングめいたフラグをコントロールとしている(面白いが、単に特徴物が無かったとのこと)。ここまで順調に来たものの、上田市に一部入るあたりで文字通り暗雲が立ち込める。
本降りの雨だ!…梅雨時の不安定な天候を甘く見ていた。防水でないデジカメを保護するのが最優先事項。とりあえずハンカチで包み先を急ぐが、こんな時にトレイルの入口がなかなか見つけられず、ばたばた。結局デジカメはポリ袋に入れるが、すると剥き出しで持っていた地図・位置説明を入れる袋がなくなり、さらに濡れるに任せる状態。まごまごまごまご…メンタルも相当弱ってしまい、ミスを頻発するようになる。カフェイン入りのエネルギーゼリーは効いているか?
レースペースの走り込みなんか一年以上していない、というのも仇となり脚が攣り始める。大幅にペースダウンしつつ何とか104番コントロール「長窪城址」に登るが、泣く泣く地図中央部の2ヶ所をカットすることに。優勝どころか入賞すら無理となった。雨は上がりラスト1時間、最北端の最高点を取って一矢報いたい。もがくように丘を再度登っていく。
だが、途中のコントロールへ向かうトレイルの入口位置が、ぼろぼろになった地図の折り目にあたり剥がれて読めない。こんなこともあろうかとスタート前に地図を撮影してあるのだが、モニター画面じゃやっぱりよく分からない。焦りつつカン任せで突っ込むが、やがてあり得ない藪の中で立ち往生。最悪のミス「ロスト」をやらかした。「天は我を見放したっ!」と全てを諦める。これが今日の結末か。大幅に遅刻しますと大会本部に連絡しなきゃ、でもここ電波通じるのかなぁ?…半泣きになりつつ下の方に降りてみると、幸運にも地図にあるT字路に出る。奇跡のリロケート! こうして戦国時代の大戦争を今に伝える45番コントロール「千人塚」までは辿り着く。あとは急いで帰るだけ。
最高点(151)をカットしたのは痛恨の極み。さらに残るコントロールのうち2つをカットして、獲得したのは25/30ヶ所、総得点1688/2000。制限時間を4分残してフィニッシュした。あの絶望からよく遅刻せず帰ってこれたとは思う。4時間まるまるじたばたできて、久々のレースを存分に楽しめたのは確かだ。競技結果は男子ソロで自己ワーストの8位に沈み、男女混合チーム5つと女子ソロ1位にすら負けて総合14位。ここまで大敗するとむしろ清々しいし、振る舞いの長門牧場アイスクリームが旨い。前述のBGTのうち入賞したのは3位のG後さんだけだし、レースに飢えた強豪が県外から集まったってのもある。奇策が通用する相手ではなかった。これで参加ロゲイニング通算13戦で6勝7負となり負け越し転落。QUEEN "WE ARE THE CHAMPIONS" の和訳を女王様ことパッパラー河合が歌っていた「我ら横綱っす、負け越し野郎に用はない」という歌詞を思い出す。
「あまり疲れた状態でクルマの運転をしてはならない」と教習所で教わったから、クルマでの会場入りは避けたかったところ。道の駅のマルシェ黒曜で昼食を摂り、参加者無料の長門温泉やすらぎの湯で汗と涙と雨と泥を落とす。…整った。1週間程のカフェイン断ちとツイッター断ちを解禁しつつ、クルマで無事帰宅。WEB公開されたリザルトを見ると、全コントロールを回り切ったソロ1位の方のルートが解る。34kmとの伝聞情報があるが、解析すると38kmは走っている。私は34.4km走行で、その差がいかに大きいか分かるつもりだ。しかし埋められない差ではないはず。むらよしは倒れたままなのか?
総合点 | 1688/2000 | (最多点2000, 最少点-779) |
コントロール数 | 25/30 | (最多30, 最少8) |
男子ソロの部 順位 | 8位 | (/完走24名/出場24名/申込27名中) |
総合順位 (各種チーム,女子含) |
14位 | (/完走80組/出場81組/申込86組中) (人数は完走130名/出場133名/申込139名) |