@やすさん、KAGIさんからの質問
Q.
ボーリング入門なんかを読むとリリースの時に右足を滑らせるって書いてあって、足を痛めない為にもボールに威力を付ける為にもその必要性は十分分ってるつもりなんですが、これが滑らないんです。私の右足君はつっぱって、おかげで身体は前につんのめるし膝は痛いしで悩んでいます。インステップと関係あるんでしょうか?インステップ自体良く分らないんですが(^^;) つま先から足を下ろしてもやっぱり滑らないしいいアドバイスあれば教えいてだけませんか?
A.
6〜7kgもある重いボールを持って板の上を助走して、急に止まろうとしたらどんなに体重の重い人でも必ず滑ってしまいます。結局スライドとは、この滑ってしまうことなんですね。
入門書などでは「スライドするべきだ」と書かれていることが多いのですが、ボールに威力を付けるために必ずしもスライドに重点を置く必要はないと思います。例えば、野球のピッチャーを考えて下さい。右投げのピッチャーの場合、踏ん張る左足がスライドしているでしょうか? 投球モーションから一気に身体全体を前方に体重移動して、左足で確実にその体重移動を止めることで、前方に移動させた運動エネルギーがボールに伝わり140km/hもの剛速球を投げることが出来ているわけです。
だったらボウリングだってスライドする必要はないんじゃないかと思われるかもしれませんが、ボウリングの場合は理屈と合っている面と理屈に合っていない面とがあるのです。
野球のピッチャーを例に挙げたのは極端すぎますが、ボウリングの場合は、まず重いボールを振り回すと言うことがピッチャーとは違います。右投げの人の場合、スライド足である左足に全体重がのしかかってくるのはピッチャーと同じです。しかしスイングの大きさや速さによって個人差はありますが、スイングの最下点では遠心力によってボール自体の3〜4倍の加重もスライド足にかかってくるのです。単純計算で行けば体重60kgの人が15ポンドのボールを投げる場合、スライド足には最大で80〜90kgの加重がかかることになります。これだけの加重をスライド足一本で受け止めて急激に止まろうとすれば、膝にかなりの負担がかかることは言うまでもなく想像できます。スライドというのは、これらの大きな加重を一瞬にして一本の足にかけるのではなく、徐々に減衰させていって負担を減らすことが役目の一つなのです。
せっかく助走して勢いを付けたのに、その勢いをスライドによって徐々に減衰させてしまったら意味がない!と思われると思います。もし、助走による勢いを左足一本で急激に止めた場合、やすさんの悩みのように身体は前につんのめるし膝は痛くなってしまいます。でもスライドすることでつんのめってしまう勢いを逃がしてあげることが出来、投球フォームを安定させられることも役目の一つであるのです。またその勢いは徐々にボールに伝わっているのです。
勢いのあるボールを投げるためには、まずスライドをすることで投球フォームを安定させ、投げる準備が整ったところでスイングしている腕をしっかりと振り抜くことが必要であると思います。体重バランスもボールの勢いに関わってきます。リリース時に身体が左右に倒れそうになってしまうことは、助走の勢いをボールの進行方向ではなく身体が倒れてしまう方向に逃がしてしまう結果になるのでその分だけボールの勢いが落ちます。しっかりと脇を閉め、スイングの軌道を身体の中心に極力近くすることでボールも含めた体重バランスをきちんと取ることが出来るので、助走やスイングのエネルギーを無駄なくボールに伝えてあげることが出来ます。
またKAGIさんがゲストブックの中で「リリースの直前に左足(右投げ)を伸ばす意識を持つと、スライドが止まって、なおかつボールの重みにも耐えやすくて、結果として力のあるボール(スピード、リフティング)になるのじゃないかと思います。どうなんでしょう。どこにも書かれてないようですが・・・」と言っていますが、これも一利あると思います。私が考えるに左足を伸ばす意識を持つと言うことは、実際には蹴り足(右投げの場合は右足)でスライド時にしっかりと蹴っていなければ出来ないことであり、しっかりと蹴ることでボールの勢いがさらにつきます。
そう考えると、「スライドさせる=ボールの勢いがつく」という公式は必ずしも成立しないわけですが、それでも身体にかかる負担を軽減させるためにもスライドというものは必要になってきます。では、やすさんはどうしてスライドしないのでしょうか?
恐らくボウリングシューズが滑らないのだと思います(^_^;)
やすさんがどんなシューズを使用しているのか分かりませんが、スライド足の踵のラバーの摩擦が大きすぎて滑りたくても滑らないものと思われます。また、アプローチ自体が重い(滑りにくい)のかもしれません。インステップとは直接関係はないと思いますよ。ボウリング場の人と靴が滑らないことが原因なのか、アプローチが重いのが原因なのか相談してみて下さい。
ボウリングシューズには様々な種類と値段のものがあります。靴の裏がパーツ化されていて、アプローチの状態によって自分好みのスライドの長さに調節できるようになっているものはお勧めです。何種類もパーツを用意しておけば、色々試すことが出来ます。私も国産スポーツメーカーのシューズを使用していて、靴底のパーツは全部で9種類・27パターンに設定できるように用意しています。また、ボウリング場によってはおいてあるところもありますが、直径2cmほどのプラスチックを両面テープで靴の裏に貼り付けてスライドをコントロールするためのものが売られていますので、そう言ったものを滑りにくいところに張り付けてみるのも良いかもしれません。
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