@カーズさんからの質問
Q.
ボウリングをはじめて、約3ヶ月になりました。最近ではスコアもかなりアップして10月のアベレージは
170にまでなったのですが、レーンが遅い時、どうしてもスコアが伸びません。左に平行移動するだけではいけないのでしょうか??悩んでいるうちに4ゲーム終わってしまいます。遅いレーンの対処法を教えていただけますか?
A.
「レーンは生き物」と表現する人がいるくらいにレーンコンディションは刻々と変化していきます。曲がりが小さい人はレーンが早いときに苦労するし、曲がりが大きい人はレーンが遅いときに苦労します。
安定したスコアを出すためには、投球動作・ボールの回転角・ボールのスピード・ボールの回転数等を常に一定にしつつ、ライン取りを微調整して行くのが本筋なのですが、極端にレーンコンディションが違う場合は、いつもの考え方では対処できない場合があります。
そこで今回は、遅いレーンだけについて論ぜずに2つの視点でライン取りを考えてみたいと思います。
1.失投を味方に付ける
手元が狂って狙いと違うところにボールを投げてしまったけど、運良くストライクになった事ってありますよね。ボウリングは、前方にあるピンをめがけて投げるわけですから、右投げの人の場合に狙ったスパットに対して
●右側にボールを出してしまう「外に出しすぎた場合」
●左側にボールを出してしまう「引っ張った場合」
の2種類の失投が考えられるわけです。
人間はロボットではありませんので、どんなにフォームやタイミングに気を使ってスパットを狙っても微妙な狂いはでてきてしまいます。でも、その狂いすらカバーできてしまうライン取りが取れるとすればこんなにおいしい話しはありませんよね。
実は、そんなおいしいライン取りが存在することが多いのです。但し、いかに早くそのおいしいラインを見つけられるかは個人の経験量によって違いますが、失投によって見つけることもできます。下の図を見てみましょう

図1 失投によるライン取りの判断
青いラインは、板目10枚目のスパットを狙ったはずが出しすぎて板目9枚目のスパットにボールを落としてしまったがポケットに入った失投。大きく曲がりました。
赤いラインは、板目10枚目のスパットを狙ったはずが引っ張りすぎて板目12枚目にボールを落としてしまったがポケットに入った失投。よく走ってピン手前で小さくフックしました。
上記2つの失投によって、一番下の図のオレンジ色のエリアの様にオイルがあると想像することが出来ます。そして緑色のエリアにボールを出すことが出来ればポケットに集まりそうだと判断することが出来ますね。つまり、板目9〜12枚目のスパットが使えると言うことになり、これが俗に言う「幅のあるライン取り」なのです。
もちろん、板目10枚目のスパットを狙ったら10枚目のスパットを通せるだけの正確さを身につけることが重要なのですが、このようなライン取りを見つけることが出来れば10枚のスパット近辺に投げればよいので精神的にも楽ですし、投球の狂いをカバー出来るまさに失投を味方に付けたおいしいラインを使うことが出来ます。
2.ボールの回転角度によるボールの走り
レーンコンディションやボールの種類によって回転角度を変化させることはかなり高度な技術ですし、ただでさえフック回転を付けることに苦労しているのに・・・と思われるかも知れませんが、そんな方法もあるんだという感じで見て下さい。
自動車を運転される方も多いと思いますので、走行中のハンドルの切り角による挙動を考えてみましょう。下の図を見て下さい。

図2 ハンドルの切り角が小さい場合

図3 ハンドルの切り角が大きい場合
例えば自動車を時速100km/hで走らせていたとします。赤い線に差し掛かった時に小さい切り角でハンドルを切ったとすれば、タイヤはきちんと路面とグリップして図2のように曲がります。
しかし、図3のように赤い線に差し掛かった時に大きい切り角でハンドルを切ったとすれば、タイヤの摩擦力よりも進行方向の慣性力が高いために思ったよりも曲がりません(アンダーステアと言いますね)。
次にこの自動車の例をボウリングに当てはめてみましょう。レーン手前のオイルの上でボールを走らせている状況は、時速100km/hで直進していることと同じです。そのオイルが無くなってフッキングポイントに差し掛かった状況は、赤い線に差し掛かった時と同じですね。そしてボールの回転角度は、ハンドルの切り角と同じで、ボールの走りや曲がりの挙動は、その後の車の挙動と同じです。
ボールの曲がりの大きさやボールの走りは、実際はレーンコンディション・ボールのスピード・ボールの質や回転の質などの要素が複雑に絡み合って決められる物なので一概には言えませんが、「回転角度を大きくすればそれだけボールが大きく曲がる訳ではない」ことは理解していただけると思います。つまり、ボールの回転角度を大きくすることでボールを走らせることも出来ると考えられるわけです。
●早いレーンの場合
曲がりの小さい人は、特に早いレーンの場合にフックせずに苦労します。しかし図2のように自動車のハンドルの切り角が小さければタイヤが路面とグリップするように、ボールの回転角度を小さく(俗に「縦目の回転」と言います)すれば、早いレーンでもフッキングポイントでレーンとボールがグリップするためにフックさせることが出来ます。大外(板目5枚目付近のスパット)から徐々に曲げていってポケットに集めるパターンや、中(板目15枚目付近のスパット)を通して直進させてピン手前で小さくフックさせるパターンが考えられます。
●遅いレーンの場合
曲がりの大きい人は、特に遅いレーンの場合に曲がりすぎて苦労します。しかし図3のように自動車のハンドルの切り角が大きければタイヤと路面がグリップしづらいように、ボールの回転角度を大きく(俗に「横目の回転」と言います)すれば、遅いレーンでもわずかに残っているオイルの上をなかなかグリップしない状況を利用して走らせることが出来ます。但し、残っているオイルを上手に使わないとフッキングポイントで極端に大きくフックしてしまいますので注意が必要です。板目15枚目付近のスパットを通して思い切り外に投げ出すパターンや、板目20枚目付近のスパットを通してピン手前までボールを運ぶパターンが考えられます。
ひとくちにライン取りと言っても、みんなが同じラインを使えるというわけではありません。今回のようにボウリングの王道からはずれた発想の転換によって高得点を叩き出す方法もあると言えると思います。
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