Broadband Edge!

最終形態、発動!。
何故、光ファイバーなのか?。何故ADSLではないのか?。
最終形態、光ファイバーインターネット接続を、ちょっとだけ解説。


光ファイバーって何が良いの?

最近テレビでYahoo!BBのCMと共に、NTTのBフレッツなどの「光ファイバーインターネット接続」のCMも見かける。

光ファイバーはADSLと比べ、高速で通信が出来ると言われているが、それと共に月々の利用料金もADSLと比較して高めである。ADSLではなく光ファイバーがイケてる理由をなんとなく、それっぽくまとめてみました。適当に書いている所があるので、誤りがあったら指摘してやってください。(汗)


「ベストエフォート」とは?

さて、個人や企業がインターネットに接続したり、インターネットを経由して、特定の相手と通信を行う場合、一般家庭や小規模のオフィスで使われるISDNやADSL、比較的大規模なオフィスで使われる専用線と呼ばれるものなど、いくつかの方法がある。これらの通信方式は「通信速度が保証される(常に最大の速度で通信ができる)」接続方法と、「通信速度が保証されない(できるだけ努力はするけど常に最大の速度で通信できるとは限らない)」接続方法に分けられる。

前者の「速度が保証される」方を「ギャランティー型」、後者の「速度が保証されない」方を「ベストエフォート型」と言っているらしい。

ギャランティー型は企業での通信に使われる専用線サービスなどで存在する。何らかの原因で通信速度が極端に遅くなってしまって、それによって仕事に影響が出ると困るからだ。しかし、必ず最高速度で通信を行うようにするために様々な技術を駆使するため、その利用料金は一般人の手が届かないほど高額だ。

それに対してベストエフォート型は一般家庭がインターネットに接続する場合など、「趣味で使う範囲だから、通信速度が落ちてもそれほど致命的な状況になることはない」という場合に適している。自宅と電話局に置かれる通信設備や、それらの間を結ぶ回線の部分でも、速度を保証するよりも価格を抑えるためのものが用いられている。


どちらもベストエフォートだけど・・・

ベストエフォートとは言うものの、実際には「出来るだけ高速に通信を行いたい。Webページもパパッ!と表示されてほしいし、ファイルのダウンロードや動画の再生もスムーズに行われてほしい。」と思うのが人情・・・というか、極めて普通の感覚だろう。

現在「ブロードバンド」と言われている、一般家庭からインターネット(正確には電話局まで)の間までを高速に接続する手段として、「ADSL」や「光ファイバー」などが存在するが、これらはどちらも「ベストエフォート型」の接続サービスである。つまりどちらも通信速度が保証されない。極端に言ってしまえば、仮にISDN並みの遅い速度でしか通信速度でしか通信できなかったとしても、業者に文句は言えないわけだ。また、一般的にADSLと比べて光ファイバーは高速に通信が出来ると言われているが、たとえ光ファイバーでもADSLの速度を下回るという状況が発生する可能性もゼロとは言えないし、実際にそうなったとしても先と同じく文句も言えないのだ。

どちらを使っても、能書き通りの速度が出ない(速度が遅い)事が考えられ、しかも利用料金はADSLの方が安い。こう考えるとなんだか光ファイバーのメリットが少ないように思われる。
しかし、ADSLと光ファイバーでは、「その能書き通りの速度が出ない理由」(速度が低下する理由)が全く違う。


ADSLの速度低下の理由

最近では、26Mbpsのサービスや、30Mbpsを超えるサービスも出現してきたADSL。しかし、ADSLは電話局からの距離が遠くなるにしたがって速度が急激に低下したり、接続すら出来ないという状況が有りうる。以前の1.5Mbps/8Mbps/12Mbpsのサービスでは、電話局からの距離が近い条件の良い所に住んでいれば、それらの最高速度で接続できる「フルリンク」という状態が存在したが、最近の26Mbps超のサービスではそのような状態は殆どあり得ないのではないかと推測される。

ADSLの速度低下の原因は、信号の減衰が主な原因とされている。ADSLは一般の電話線を使って、普通の電話での会話に使う周波数の範囲よりも高い周波数の信号を電話線に流して通信を行う。電話線で使われている銅線は、長くなるほど高い周波数の信号が減衰して到達しにくくなる。これが、近距離なら高速で通信できるが遠距離だと通信速度が遅くなるどころか通信できなくなってしまう可能性がある理由だ。

普通の電話線を使うという点で、新たな設備投資が最小限で済むことから、サービスを提供する側は利用者に安価にサービスを提供することができ、利用者も通信料金を抑える事が出来る、非常にウレシイADSL。しかし、電話局から自宅までの距離次第で泣いたり笑ったりしなければならないのもやっぱりADSL。下品な言い方をすればADSLはバクチ的要素がかなり強いとも言える。


光ファイバーの速度低下の理由

光ファイバーはガラス繊維で作った糸のような細い線の中に、光を通して通信を行う。光といっても非常に波長の長い光(1400〜1500ナノメートル程度)を利用しているので、目で見る事はできない。
光ファイバーを利用した通信では基本的にADSLのような信号の減衰はない。実際には減衰はあるが、無視できるレベルといった方が正しいかもしれない。

「減衰が無いのなら、通信速度は保障することができるギャランティー型のサービスではないの?。」と思われるかもしれないが、一般家庭向けの光ファイバー接続サービスの場合、その構造上、減衰以外の要素で速度が低下する場合がある。ここでは全国展開されていて、一般家庭向けの比較的安価にサービスが提供されている、NTT東日本の「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」と、NTT西日本の「Bフレッツ・ファミリー100」を例に挙げて説明してみたりする。

上記の2つのタイプでは「光ファイバーで電話局と家庭を結ぶ」と言っても、電話局と家庭が1本の光ファイバーで直接結ばれるワケではない。何故かというと、電話局側の光ファイバーを接続する装置がまだまだ大型のため、光ファイバーでインターネットで接続している家1軒に対して、電話局側の装置を1つ用意していては、電話局側の装置を置くスペースが無くなってしまうからだ。それに1家庭に1本のファイバーを、わざわざ電話局から引いていたら工事も大変だ。

そこで考えられたのが「電話局からはまず1本の線で伝送して、実際に光ファイバーでインターネットに接続したい家の近くの電柱まで行ったら1本のファイバーの光を4本のファイバーに分けて、それぞれの家庭に接続する。」という方法。光を分けるなんて、一体どうやってやっているのか非常にフシギなのだが、これは「光スプリッタ」という装置を使って行われている。
実際には電柱の上で4つに分けられる前に、電話局の中でも1つの装置から8つに分けて外へ出て行っているため、8×4=32軒の家庭への接続が、1つの電話局側の装置でまかなわれている事になる。

しかしこれは、32人が同時に使うと最高速度の32分の1しか速度が出ないという事を意味する。

詳しくは知られていないが、この電話局側の装置は、NTT西日本の「ファミリー100」の場合で最大で622Mbps、NTT東日本の「ニューファミリータイプ」の場合で最大1Gbpsの通信速度を持っていると言われている。したがって単純に計算すると、ファミリー100の場合だと、622Mbps÷32軒=約20Mbps、ニューファミリーの場合だと1Gbps÷32軒=約32Mbpsとなる。これは光ファイバーインターネットサービスの最高速度である100Mbpsに及ばない。これが減衰の無い光ファイバー接続でも常に最高速度で通信できない(ギャランティーでない)理由の1つである。(実際には他の要因もあります。っていうか他の要因の方が大きいかも。)

・・・とはいうものの、実際に1本の光ファイバーにぶら下がった32人が同時にファイルのダウンロードをしたり、動画を見たりする事は考えられない。通常は上に書いた20Mbpsや32Mbpsよりも早く通信が出来るものと考えられる。ADSLでこれらの速度よりも早い速度で通信を行うには電話局から相当近い所に住んでいなければならないため、ADSLの利用に適していない遠距離でもこれだけの速度が出る光ファイバーはやっぱりイケてる。

そう、光ファイバーは「ブロードバンドアクセスライン最終形態」なのである。
いや、別にADSLの速度で十分満足している人は、それでも十分なんだけどね・・・。(^^;


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