-----どうでもいいお話・その一-----
(車好きの方なら、楽しんでいただけるかと……。趣味爆発)




「……そういえば、室井さんって、免許持ってんですよね。運転しないんですか?」
「いや、よくする」
「そうですか? でも、室井さん、車持ってませんよね」
「持っていない」
「……どうしてるんです?」
「人に借りるか、レンタカーだ。一台の車に乗り続けても、面白くないだろう」
「……そうすかね」
「その点、レンタカーはいい。大概の車種は揃っているし、整備もされている。気分に合わせて車を選べるからな」
「へえ……。車、好きなんですね」
「ああ」
「運転、うまいんですか?」
「C級ライセンスなら、取ろうと思ったことがある」
「C級?! すごいっすね、そんなの取れるんですか?!」
「ジムカーナができればいいんだ。他は、レースに出なければ駄目だが」
「室井さん、その、ライセンス。見せて下さいよ」
「――取ろうと思っただけだ。実際に取るのは止めにした」
「……どうしてです?」
「主催が、JAFだったからだ」
「――――へ?」
「知ってるか、青島。日本で、国内・国外に関わらず、モーターレースに参加するには、すべからくJAFの認証が必要なんだ。ライセンスは全て、JAFが発行している。許せないと思わないか」
「――あ、あの……JAFって、あの、JAFですか? 鍵の閉じ込みとかで呼ぶ?」
「そうだ! 分かるか。中嶋悟も鈴木亜久里も片山右京も、中野信治や高木虎之介、土屋圭市に到るまで、皆がJAFに加盟しなければ、レースをできなかったんだぞ」
「JAF……嫌いなんですか?」
「嫌いだ。あの犬のロゴマークが気にくわん」
「はあ……」
「青木三兄弟も、伊藤真一もだ。服部尚貴も、バイクからフォーミュラまで、全てのライセンスをJAFが握っている。許されない暴挙だ」
「……レース、好きなんですね、室井さん」
「好きだ。君も好きだろう。何を見てる」
「えっ、あ、いやー……。F1、かな……?」
「F1! そうだ、カーレースの中ではあれがやはり最高だな。最高時速が実際には上だからと、最高のフォーミュラとしてCARTなんかを挙げる奴もいるが、笑止千万」
「そ、そうですね」
「あの、面白くもないローリング・スタートのどこが最高だ。馬じゃああるまいし、陸上のトラックみたいなオーバルコースをぐるぐる回るだけのどこがいい。そうだろう、青島」
「あっ。いや、その」
「レースの醍醐味は、やはりスタートから1コーナーまでにある。鼻先を誰が制するか、その為にわざわざ予選なんかしているんだろう。そして、中盤からはピット作戦と、シケインやコーナーでのブレーキの我慢比べだ。スリップ・ストリームからの、あの緊迫感……。CARTなんか、目じゃない」
「……そうなんですか……」
「君は、ドライバーでは誰が好きだ」
「はっ。えーと、うーんと、……セ、セナ!」
「セナか。彼は神を見た男だ。が、5年前に逝ってしまった。現役では」
「げ、現役……?! ――あー、えー……。あ、あの、ジャン・アレジ!」
「君はなかなか渋いな。アレジはいい。情熱で走る、最後のドライバーだ。彼の初優勝には胸を打たれたな」
「は、はい……。む、室井さんは、誰が」
「私か。私は、今はシューマッハだ。あの、鉄壁の走り。どんな不利な状況も、彼ならば何とか覆すのではないかという期待を抱かせる。そういうところは、君と同じだな」
「え? な、何言ってんですか、もう……」
「今は、大怪我をしてしまって療養中だが」
「……」
「そのうち、休みを取って、二人で鈴鹿を見に行こう。レースの三日間、第一コーナーの真ん前の、一番良い席を取ろう」
「あ、旅行……? 二人で? ……行きます!!」
「今は鈴鹿しかないから遠いが、今度都知事になった石原氏。彼が、東京の湾岸線を使ってF1を誘致すると言っていたの、知っているか」
「え……? そうなんですか?」
「レインボー・ブリッジ近辺を中心としたプランだ。湾岸署の管轄に、大部分入って来るぞ」
「へー……。あー、……大変すかね?」
「安心しろ。その時が来たら、この私自身が、全ての警備の指揮を執ると決めてある」
「き、決まってるんですか? 凄いっすね、総監直々に?」
「いや、決めたのは私だ」
「……それって、単なる希望なんじゃあ……」
「表彰台で、ドライバーには無理としても、コンストラクターにトロフィを渡すぐらい、任されてもいいはずだ」
「……あのー、室井さん?」
「それに、マクラーレンの2シーター・F1。周辺警備の参考に、あれでコースを一周させて貰わなくてはな」
「室井さんってば」
「安心しろ、青島。バーニー・エレクストンに、君も乗せて貰えるよう、頼んでやるから」
「……。とほほ」




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<古田さんのコメント♪>

……とほほで終わるなっちゅーねん!!
……すみません。ちょっと寝ようとしたら頭の中で彼らの会話が始まってしまったので……。
趣味大爆発。分かって下さるかた、一緒にF1を熱く語りませんか(笑)。
F1東京グランプリは、実際にあった話です。今もほんとに継続しているのかは不明。
騒音問題とかで、難ありだったようですが、
実現していれば、もろに湾岸署にかかってくるんだなー……と思って、できてしまいました。
他、ちょっとうろ覚えの所あり。まあ、そこはまあまあ。因みに、私は別にJAFは嫌いじゃないです(笑)。
おまけおまけのお目汚しです。捧げます、笠原さん(笑)。



いや、「とほほ」のオチは素晴らしいと思われます、私もよく使うし(爆)
それにしてもずいぶんお詳しいんですねぇ。私はからっきしなのですが、
実は昔のジャンルの時の相方がすごく好きだったんですよ。<F1
話合うかもな……ワタシが話合えばもっと楽しかったのに。残念。

ところで室井さんがこんな人だったとわ……でもハマッたら凄そうな人だよね、
室井さんて。確かメルにも書きましたが、車系って青島くんの方がイメージ
あるのに、あえて室井さんてとこがナイス! いい意味で裏切られたカンジ!
シューマッハのオチも最高っすよ〜、大怪我リンクだし。(ちょっと違う)
旅行と言われてうきうきの青島くんにも気づかないほど話に夢中な
室井さんも新鮮だし(ニヤ)←いつもはどんな室井さんだと思ってるんだ

会話だけの文章は楽だとおっしゃってましたが、そのキモチ分かります♪
私もよくメールとかで湾岸署の面子入り乱れの会話だけギャグを
書いてたり。オチは必ずスリアミなんすけど。あの辺のキャラは、
設定がしっかりしてるんで誰が誰だかワカルから可笑しいっすね♪

一応「その一」とあるので、「その二」をとっても期待してます。←正直者(爆)




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