北ア・槍ヶ岳北鎌尾根(途中棄権)
データ
 日程 2003年9月20日(土)〜21日(日)
 参加者  4名
 ガイド  水越 


9/20(土) 曇り後雨
6:30上高地帝国ホテル前集合 ― 7:40新村橋 ― 8:30横尾 ― 10:15槍沢ロッヂ ― 11:30大曲り ― 13:15水俣乗越 ― 15:05北鎌沢出合

 
 台風女登場。8/8〜10某旅行会社のツアーのガイドで黒部五郎〜薬師岳に行ったのですが、この時にお客さんとして参加していたAさん(女性)が今回僕のツアーに初参加。しかし、このAさんは台風を連れてきてしまったようです。8月のツアーの時も2日目に台風が来て双六小屋で停滞しました。そして今回も・・・。

 当初は正攻法である高瀬ダム〜湯俣〜千天出合〜天上沢〜北鎌沢出合のアプローチルートの計画でしたが、雨模様の天気が多かった今年は水俣川及び天上沢の水量が多くて渡渉が困難であると判断し、上高地から水俣乗越を越えて天上沢に入るルートに変更。このルートなら渡渉の心配はありません。

 アプローチルートの変更により上高地起点で再び上高地に戻ることになり、これは車で行く場合には有利。そこで今回は極秘に手を廻して上高地より先の新村橋までの許可車両を借りることに成功。おかげでだいぶ楽できました。
 
  
家を出る前から絶望的な天気予報で、上高地に行くまでの車の中で密かに中止しようと決めかかっていたのですが、以外にも上高地に着いたら雨は降ってません。帝国ホテル前では既にお客様全員が揃っていてヤル気満々の様子。雨が降ってないのでとりあえず決行。そのまま上高地園内を通過し、明神を通過し、新村橋で車を停めて歩き始めました。この時点でもまだ雨は降ってません。 槍沢のババ平のキャンプ場を通過。
まだ雨は降ってません。
槍沢の大曲りで昼食をとり、今日一番の登りをこなして水俣乗越に到着。だーれもいません。ここに着く少し前からいよいよ雨が降り出してカッパ着用。 水俣乗越から先は一般ルートから外れるため、いきなり不安定で、出だしはけっこうな急斜面。雨は次第に本降りになってきました。
岩の墓場みたいなところを下っていきます。全体的に岩は浮いていて、大きな岩ごとグラっと動くこともあります。
 水俣乗越からは最初の出だしこそ急斜面でしたが、しばらく行くと傾斜は落ちてあとは河原歩き。とは言っても慣れていなくてルートファインディングが悪いと疲労の度合いが大きく違ってくるところ。その辺は沢登りを経験していると違うかもしれません。

 懐かしの北鎌沢出合に到着。去年まであった「たばこ」の幟は撤去されていました。雨降る中、急いでテントを張って、さて水の確保。いつもの年だと北鎌沢出合付近では伏流になってるので、もっと下流まで水を汲みに行くのですが、今日は目の前を川が流れています。がしかし、流れてる水は茶色に濁っていてとても飲料用としては使えそうにありません。仕方なく、北鎌沢を上流に向かって登っていき、二股から右俣に入ってしばらく行くとやっと澄んだ水が出てきました。やれやれ。ここ北鎌沢出合には我々以外には誰もいません。(当然か?)
 
 夜半に雨は激しくなり、テントのフライシートを叩く音も、川の音も大きくなってきたように思いました。夢心地の中で、「明日はほぼ中止決定になるだろうけど、今度は帰れるだろうか。まさか孤立・・・」という漠然とした不安が頭の中をよぎります。今日下ってきた不安定な河原が増水によってさらに不安定になって渡渉できなくなったり、急斜面のところで土砂崩れが起きる夢を何度か見ました。こんな天気になるだろうと予想はしていたんですが・・・。

9/21(日) 雨
5:30起床 ― 6:45出発 ― 9:30水俣乗越   ※以降記録とるのサボった

 一応、朝4時頃起きてみるけど相変わらず「バシャバシャ」とフライを叩く雨の音。即座に北鎌尾根へ前進するのは中止して撤退と決定。もう少し寝る。

 テントの中で朝食を済ませ、昨日の雨でグッチョリのカッパを着て外に出て、テントを畳んで出発。昨日来た道を再び登り返していきます。途中2箇所ほどどっちの沢に入っていくのか迷うところがあるのですが、昨日下ってくる時に意識して覚えたり、途中でケルンを積んでいったりしたのでそれほど苦労しないで水俣乗越へ詰めることができました。先月、ここを間違えて詰めていってしまったパーティが遭難しています。
 
 水俣乗越に着く手前で2人連れのパーティとすれ違い、少し立話をしましたが、このパーティは今日は北鎌沢から尾根上に上がって途中でテントを張るとのことでした。こんな天気の中でよく行くなあと感心しました。

 水俣乗越ではやはり貧乏沢から北鎌尾根を狙っていた単独の男性と行き会い、その人の話だと、夕べ大天井ヒュッテには3パーティほど北鎌に行こうとしていたパーティがいたが、いずれも今日の行動は中止したとのことでした。

 水俣乗越から槍沢に下り、槍沢ロッヂで昼食を食べて横尾へ。ここで2人のお客様は「せっかく休暇を取ってあるし、それに明日は晴れる。」という信念のもと、涸沢へ登っていきました。残る2人のお客様と僕は新村橋へ行き、再び車で上高地へ。やれやれお疲れ様でした。

 ちなみにこの日の写真はありません。


後記

 『クッソォー!ムカつくー!!』の一言。狙いすましたように台風がやって来て、我々を山からひきずりおろしました。しかし、考えようによっては神様が「行くな!」と言っていたのかもしれません。ここは謙虚に受け止めたいと思います。

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