北ア・黒部下ノ廊下〜仙人池〜剣岳
データ
 日程 2003年10月10日(金)〜12日(日)
 参加者  4名
 ガイド  水越 


10/10(金) 晴れ
7:30扇沢発トロリーバス乗車 ― 8:10黒四ダム駅出発 ― 8:30ダム下 ― 9:30内蔵助谷出合 ― 10:30鳴沢小沢出合 ― 11:00新越沢 ― 12:00別山谷出合 ― 12:50白竜峡 ― 13:40十字峡 ― 14:30作廊谷合流点 ― 15:20東谷吊橋 ― 15:50人見寮 ― 16:40阿曽原温泉小屋

 
 今年の下ノ廊下は別山谷付近のスノーブリッジがなかなか崩壊しないために通行止めの日々が続き、やきもきしましたが、阿曽原小屋の佐々木泉さんや警備隊のご尽力により直前になってようやっと通行可能になりました。
 
  
お決まりの黒四ダム下での記念撮影。8時を過ぎ、観光放水が始まっていたため川の水量は多く、水は濁ってました。 対岸にかかる新越の滝。真っ直ぐに落ちるきれいな滝です。
新越沢の合流点を過ぎ、別山谷に近づくといよいよスノーブリッジが現れてきました。下ノ廊下で何が嫌かって、このスノーブリッジの通過が一番危険で緊張します。ちなみに真ん中の写真はその日我々の通過前に一部崩壊した箇所を通過しているところです。いつ崩壊してもおかしくないので、ここは慌てず落ち着いて猛ダッシュで通過することが重要。
そしていよいよ道そのものも険しくなってきました。断崖の途中に桟橋が渡してあって、そこを「おっとっと」って感じで渡っていきます。一応壁には針金が張ってありますが気休め程度。そこから落ちれば間違いなく黒部川スイミングクラブの会員になることができます。そうすると富山湾にとっても早く着けます。
別山谷の出合は雪渓が大きく残っていて、今年はその上を通過しました。 白竜峡の入口付近。道はえぐれてます。エグいです。
途中、まともに沢の水飛沫を浴びてしまう所ではこんな風にシートがかかっています。 十字峡。
右から左に黒部川。向こうから棒小屋沢が合流し、こっちからは剣沢が合流するところ。
S字峡。僕的には「うねうね峡」って感じ。

下ノ廊下も十字峡を過ぎると人造物が多くなり、人間社会から隔絶された秘境というイメージからは遠くなってきます。
東谷の吊橋 黒四の地下発電所から電線が飛び出すところ。 仙人ダム。この先には人見寮という関西電力の人のための立派な寮が現れます。
無事、阿曽原温泉小屋に到着しました。この日は平日だったので部屋の中もゆったり。そしてここの温泉はまた格別。

10/11(土) 晴れ後曇り
6:00朝食 ― 6:40出発 ― 7:45阿曽原峠 ― 11:00仙人湯温泉 ― 14:10仙人池ヒュッテ


朝は弁当をもらって4時出発なんていう忙しいパターンが多かったんですが、この日はゆったり。久しぶりに小屋で朝食を食べて出発。のんびりし過ぎて我々は一番最後の方の出発になってしまいました。

出発してまずは昨日来た道を登り返し、そのまま阿曽原峠をめざします。いきなりの登りなので体が慣れてなくて少々辛い登り。この辺りはまだ紅葉はほとんどしてませんでした。
しかし、峠を越えて仙人谷に入ると上部の方ではきれいに色づいていてちょうど見頃でした。そして後を振り返ると鹿島槍から五竜岳にかけてがよく見えます。
今日もいくたびもの困難が待ち受けてました。ハシゴ場は当り前、崩壊した雪渓の高巻きや薄くなってるスノーブリッジを渡ったりと、仙人谷もなかなか侮れません。
今日はひたすら登るだけなんですが、途中オアシスのような仙人温泉があります。ここには小屋もあり、眺めも良く、まさに秘湯と言えるでしょう。ここで昼休みをとりましたが、ここからまだ仙人池までけっこうな登りがあるし、まさか誰も温泉には入らないだろうと思っていたら、なんとお客さんのOさんが「入りたい。」と一言ボソっと言って周囲の女性の目も気にせずとっととパンツを脱いで入ってしまいました。まず頭をシャンプーしてから湯船に浸かるとはさすがです。我々は面白がって入浴シーンを眺めていましたが、いざ湯船に浸かりながら後立山方面を眺めているOさんを見てたら、やっぱり「いいなあ。」って思ってしまいました。Oさんは実に満足そうでした。
ようやっと仙人池が近づき、紅葉地帯に突入です。だけど、天気がだんだんと悪くなってきました。予報では明日は雨。憂鬱です。
この日の仙人池ヒュッテは大混雑。やはり写真が目的の常連さんが多いです。そしてちょうどテレビ東京の取材が来てました。
風呂に入ってさっぱりし、食堂でストーブにあたりながら飲むビールは格別。夕方には夕焼けの裏剣がきれいに見えました。写真撮ったんですが、ボケボケでお見せできません。でも見せます。

10/12(日) 雨
5:00朝食 ― 6:25出発 ― 8:00二股 ― 9:30真砂沢ロッジ ― 11:30平蔵谷出合 ― 13:30剣沢小屋 ― 14:35別山乗越 ― 16:30室堂

11/9 20:00〜テレビ東京で放映された番組見ましたか?ここに写ってる仙人池のかあちゃんが出てましたね。このかあちゃんは誰にでも気さくに話し掛けてほんとに感じのいい方です。特に我々ガイドには本当に良くしてくれました。常連さんが集まるのもうなづけます。
やはり朝から雨模様の天気。出発時からカッパ着用です。途中から本降りになり、気温はそんなに低くはないけど、なんとなく体が濡れて休憩すると寒くなってしまいます。
紅葉に囲まれた仙人池ヒュッテ。仙人新道より。 三ノ窓雪渓。この時期でもまだこんなに残雪があります。
二股へ下り、剣沢に入って真砂沢ロッジで大休憩。この時点で雨は小降りになっていました。ここで明日も含めて今後の行動について検討。今は小降りだけど明日の天気予報が悪いということ。そして剣岳には2回の降雪があり、北側の斜面にはヤラしくその雪が残っていて、しっかりした装備がないと厳しいという情報があり、明日の剣岳登頂はちょっと無理そうだと判断。だとすれば今日のうちにできるだけ室堂に近づいておく方がいいし、アルペンルートの最終に間に合うようであればそのまま大町へ下山しよう!ということで決定。
軽アイゼンを着けて、固くなった剣沢の雪渓を登り、当初は剣山荘へ行く予定でしたが中止してそのまま剣沢小屋へ。剣沢小屋も明日が小屋閉めだとかで片付け作業に追われていました。
別山乗越に着いた時点で、頑張ればアルペンルート最終に間に合いそうだ、ということで雷鳥坂の下りは皆早い早い。地獄谷からのきつい坂を登り返し、観光客でごった返した室堂に到着。最終には間に合ったものの、その後のアルペンルートは混雑のためすごく時間がかかり、大町に出たのは夜8時頃でした。真っ暗な黒四ダムの上を歩いたのは僕も初めて。

後記

 当初の計画の70%はなんとか実行できましたが、最後はやはり悪天候にたたられてしまいました。紅葉も去年なんかに比べると鮮やかさに欠けていたと思います。でも、やはりこのコースは変化に富んでいて素晴らしいコースだと思いました。

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