白馬岳〜鑓温泉
データ
 日程 2003年5月17日(土)〜18日(日)
 参加者 8名(ほんとは9名のはずだった)
 ガイド  永田、高橋、水越 


5/17(土) 晴れ
7:00白馬駅集合 ― 7:30猿倉 ― 8:00出発 ― 9:40白馬尻 ― 12:20葱平 ― 15:20村営頂上宿舎 ― 16:20白馬山荘

  
    白馬岳の名前の由来になっている「代掻き馬」の雪形です。わかりますか?

 今シーズンの春山スキー&ボードツアーの最後を締めくくるこのツアーは幸先良くトラブルで始まりました。朝6時半頃「さあ、今日も仕事だ、ブイっといこう!」と思いながら(全然思ってません。ボーっとしてました。)駅に向かおうとしたらケータイが鳴りました。お客様のKさんからです。「今、猿倉に着きましたので。」とのこと。その5分後に再びKさんから、今度はさっきとはガラっと違う、いかにもしょんぼりした声で「あのぅ、どうやら家にザックを丸ごと忘れてきてしまったみたいなんです・・・。スキーとブーツはあるんですが・・・。」僕はどう答えたらいいものか、どう言葉をかけたらいいものか、非常に悩みました。今までの僕の登山経験の中でいろんな人のいろんな忘れ物を見てきましたが、装備一式が入ったザックそのものを忘れるというのは初めてです。10秒間絶句した後「わかりました。」と言うのが精一杯でした。この場合、途中棄権になるのか、それとも究極のドタキャンと言うべきか。Kさん、誠に遺憾の極みでございます。リベンジに燃えて下さい。

 Kさんには大変申し訳ないんですが、いい天気になっちゃいました。

猿倉まで車で移動し、体操をしてから出発。さあ、長い長い登りの始まりです。残雪があるのでいきなりシールを着けて登り出し、まずは白馬尻をめざします。途中の木々はすっかり新緑に覆われ、とっても清々しい。

白馬尻の手前から大雪渓に入っていきます。いよいよここからが登りの本番。そして廻りからの落石とブロック雪崩に神経を使います。ここはあんまりお客さんを連れて行きたくない所なんですけどね。実は危険なコース。毎年落石事故が発生してます。

お昼頃、ようやっと葱平に到着。ここから小雪渓にかけては斜度が増し、雪もやや固く、スリップすると下まで滑落してしまう危険があるので、全員スキーを担いでアイゼンを履き、ロープでお互いアンザイレンして登りました。

小雪渓を越えると斜度は落ち、そこからまたシール登行に切り替え、通称「お花畑」を登ってようやく村営宿舎に到着。ここまで来ればあと少しで山荘です。しかし、この頃は皆ヘトヘト。
背後の杓子岳が同じ高さになってきました。
山荘に到着後、すかさず宴会に突入。しかし、標高3000m近い場所である上疲れているので、普段より酔いやすく危険でもあります。飲み過ぎには注意です。
ここではまだまだストーブが手放せない寒さです。


5/18(日) 晴れ時々曇り
6:00朝食 ― 6:50出発 ― 7:15白馬岳頂上 ― 7:45白馬山荘前から滑走 ― 8:10村営宿舎の上から夏道に出る ― 9:50杓子沢のコル ― 11:20白馬鑓ケ岳 ― 12:35〜13:15鑓温泉 ― 13:30杓子沢出合付近 ― 14:30小日向ノコル ― 15:45猿倉

きれいな雲海の向こうに、焼山、火打山、妙高山、地蔵山、乙妻山、高妻山(左から)が浮かんで見えました。

白馬岳山頂を往復後、山荘前から村営宿舎に向けてちょっとだけ滑りました。朝の気温はちょうど0℃。辺りは霜柱が立ち、雪もカチカチで滑りにくかったです。

村営宿舎から白馬鑓ケ岳を越えるところまではスキーを担いで夏道を歩きます。ところどころ雪も出てきましたが、ほとんど夏道は露出していました。そして途中、繁殖期を迎えている雷鳥のつがいをよく見かけました。


このツアーのコースは全体的に歩きが長いんですが、ようやっと滑りの時がやってきました。ここ大出原は小蓮華岳の大斜面に負けない広大さです。滑りだしはけっこう急斜面で、1名がターンに失敗して転倒、そのまま滑落。腕を擦りむきましたが大事には至らなかったのでホッとしました。

この写真にはあまり人が写っていませんが、我々が鑓温泉に到着した時には大勢の人が温泉に浸かってました。別グループの若い女の子も入ってたりして鼻血もんでした。いやあしかしここはいいとこだなあ。ガイド3人で相談して、来年は鑓温泉極楽宴会ツアーを企画することに決定!これは「滑り」は二の次で、「飲み」と「温泉」を第一目的としたツアーです。

どうですか、広々としてるでしょう。鑓温泉からさらに下の斜面です。右側の鑓ヶ岳東面の岩壁が威圧的です。

上の写真の少し先、杓子沢と鑓沢の合流付近からシールを着けて小日向ノコルに向けて登り返しです。
そしてコルから再び長走沢に向かって滑りこみ、ほぼ夏の登山道沿いに滑って林道に出て猿倉に到着。無事終了。お疲れ様でした。



後記

終わり良ければ全て良し。今年の春山ツアーも大きな事故などなく、無事に終えることができました。そして前半は悪天候に祟られたものの、振り返ってみれば全般的にまあまあ天気に恵まれたんではないでしょうか。これもひとえに皆様方の日頃の行いの良さの賜物です。参加していただいた方、本当にありがとうございました。
12月に初滑りして、今は5月。あらら、半年もスキーしてたのね。もうスキーはいいやって感じ。石を踏んだり枝の上滑ったり、ひどい時はコンクリートの上を歩いたりしてガチャガチャになったスキー板をチューンナップに出し、臭くなったブーツを干して全てが終わります。今度の冬までさようなら〜。


                                  ツアーの案内最初へ