南ア・北岳バットレス第4尾根
データ
 日程 2004年9月24日(金)〜25日(土)
 参加者  2名
 ガイド  水越 


9/24(金) 曇り夜雨
8:30甲府駅前集合 ― 9:15芦安市営駐車場 ― 12:05広河原 ― 15:25白根御池小屋

 
 「最近俺も歳とったなあ。」と思うことの一つに酒が弱くなったことがあげられます。よくアルコールに対する強さ弱さは遺伝だと言われますが、僕の場合、両親ともに酒は好きで強い方だったために父親似だろうと母親似だろうと、どっちにしても酒好きの遺伝は受け継がれたようで、その証拠に早くからアルコールを嗜んでいたようです。高校2年生の時に山岳部の一つ上の先輩と奥秩父・東沢釜ノ沢の沢登りに行った時の山行記録には
 『新宿駅アルプス広場の23:55発普通電車長野行きの待合の所へ行くとすでに長い列ができていた。予想以上の混みようで、春山合宿のときよりも混んでいるような気がする。一番前のほうには女子高生パーティがいる。45分ぐらいしてようやく列が動き出し電車に乗り込んだ。すぐに座席が80%ぐらいに埋まった。それからビールを飲みながら約1時間待って、発射時刻の23:55には通勤帰りの人達でいっぱいになった。僕等の前には酔った人が立っていて酒臭い。
と自分のことを棚上げして「酒臭い。」なんて言ってます。あまり記憶にないけど、どうやら高校2年生の時にはすでにビールを飲む習慣があったようです。ちなみにタバコは中学3年生の時に止めました。
そして大学では体育会のスキー部に入り、先輩から「おまえ全然飲んでねぇーだろー。さあ、いけ。」その時はすでに相当に飲まされて吐きそうになってたんですけど、元々飲んでも顔に全然出ないもんだから飲んでないとよく間違われました。それでもどうにか頑張って飲み、グラスを差し出すと「おい、まだ残ってるじゃん。」と一滴も残さず飲み干してようやく先輩に注がれます。そこでホッとしてグラスを置こうもんなら「あららら、俺の注いだ酒は飲めねぇわけか。」なんて言われてまたイッキ。そんな感じで死ぬ寸前まで飲まされたりしながら順調に酒が強くなり、社会人になった20代の頃が絶好調だったように思います。しかし30代に入るとその勢いは衰え、最近では下降線の一途をたどるばかりです。何より、次の日に残るようになりました。飲んでる時は全然平気なんだけど、一晩寝て起きてからが大変です。これはきっとアルコールを分解するスピードが遅くなったんでしょうね。それとその日の体調にすごく左右されるということです。
 
 酒が弱くなったなんて話しはどうでもよく、さあバットレスです。今回もやはり天気が心配。そしてやっぱり明日の予報が絶望的。先週の北鎌尾根と同じパターンです。
 昨年は南アルプス林道がずーっと通行止だったため入山できませんでしたが、今年は規制があるものの広河原まで入れるようになりました。

  
   甲府駅から芦安市営駐車場までは僕の車で行き、そこからバスに乗り換えて広河原に入ろうと駐車場で準備してたら、すーっとタクシーが近寄ってきて「おたくら広河原まで?」と聞かれ、「はい。」と言うや否やそのまま拉致され広河原へ。

バットレスの壁の様子を見がてら大樺沢コースから白根御池へ。しかし、ガスってて壁の様子は全く見えず。

白根御池小屋の兄ちゃん達は相変わらず無愛想でムカつく。できることならここには泊まりたくないですねえ。

9/25(土) 晴れ
4:40出発 ― 5:10二俣 ― 6:45bガリー大滝取付 ― 8:20第4尾根取付テラス ― 11:50北岳頂上 ― 14:30白根御池 ― 16:20広河原 ― 芦安市営駐車場 ― 19:00甲府駅解散

 夜中は雨が降ってたようですが、気がついたら風が強く吹いてたので「これはもしかしたら。」とちょっと期待しながら起きると案の定星空。「おお!ラッキー。」期待に胸膨らませながらヘッドランプをつけて出発。
二俣付近でヘッドランプは必要なくなり、大樺沢をしばらく登って振り返ると鳳凰三山方面がきれいに見えました。そして行く手を見上げるとけっこう綺麗な紅葉。
大樺沢の途中から右の踏跡に入り、しばらく急な斜面を登っていくと下部岩壁のbガリー大滝が見えてきました。まさか誰もいないだろうと思ったら早くも先行パーティが取り付いており、我々も基部で登攀準備。そしていよいよスタート。
bガリー大滝は2ピッチの快適なクライミング。登るにつれ天気もどんどん晴れてきて気分も上々。しかし、2ピッチ目を登り終えてお客さんが後続してくるのをビレーしていたら突然上から落石が雨あられのように降ってきました。先行パーティのやつらが落としてきたんです。しばらくして上から「ラーク!」という声が聞こえてきましたが、「遅いっちゅーの!」落石は僕の腕をかすめ、ちょっと焦りました。
bガリー大滝を登り終えると一旦緩傾斜帯に入り、ここはコンティニアスで移動。第二尾根の末端付近を乗越してcガリーに下り、ガレ場をちょっと登ったところで「4」という数字がペンキで書かれてました。このマーキングは一昨年、あの北鎌尾根にいっぱいマーキングしたやつと同じ犯人のようです。
このマーキング箇所から左上に1ピッチで第4尾根取付に到着。
第4尾根に取り付いてしまえばあとは快適。岩も安定してるし、適度な高度感を楽しみながら快調に登っていきます。お客様の技術も全く問題なく、核心部のXの垂壁もなんなくこなしマッチ箱へ。
そして第4尾根のアクセントともなっている約10メートルの懸垂下降。
懸垂下降を終えて2ピッチ登り、「枯れ木テラス」でビレー。ちょっとガスってきました。
枯れ木テラスから最終ピッチを登って登攀終了。ここでロープを外し、草付の中の踏跡を辿って約20分で北岳頂上に到着。バンザーイ!
意外と早く抜けられました。だいぶ昔に来た時にはルートが混雑していて時間がかかり、下山中に日が暮れてしまったことがあったので警戒してたのですが、この日の第4尾根は我々以外に2パーティぐらいしかいなくて順番待ちは全くなしでした。
その後、草すべりコースから白根御池へ下山。全員が「またここの小屋に泊まるの嫌だなあ。」と思ってたし、時間を計算したら何とか最終のバスまでに広河原へ下山できそうなので、予定変更で小屋にデポしてあった荷物をまとめてそのまま下山。最後は吊橋をダッシュしてぎりぎりでバスに間に合いました。そして芦安で風呂に入り、僕の車に乗り換えて甲府駅で解散。お疲れ様でした。

後記

 何とか天気に恵まれました。前回の北鎌もそうですが、かなり奇跡的と言えましょう。いつも天気にはハラハラさせられます。それにしてもやっぱり岩登りは楽しいなあ。

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