北ア・槍ヶ岳北鎌尾根
データ
 日程 2004年9月18日(土)〜20日(月)
 参加者  3名
 ガイド  水越 


9/18(土) 曇り後雨
6:30上高地帝国ホテル前集合 ― 7:30新村橋 ― 8:15横尾 ― 9:45槍沢ロッヂ ― 11:00大曲り ― 12:30水俣乗越 ― 14:30北鎌沢出合

 
 今、国内の登山界では「中高年」という言葉をよく耳にします。確かに旅行会社のツアーのお客さんの95%は中高年ですし、行き交う登山者のほとんどが中高年です。たまに20代の若い娘なんか通るとウキウキします。そして遭難事故のほとんども中高年で、何かと槍玉に挙げられます。この「中高年」という言葉、中年と高年が合わさったものと考えられますが、よく考えると40才にほど近い僕も中高年か?気になって辞書で調べました。
 <中年> 青年と老年との間の年齢層
 <青年> 二十歳前後の若者
 <老年> 年をとっていること。年寄り。老人。
と書いてありました。まさに俺は中年じゃん。確かに高校生ぐらいから見たら俺なんかまさに中年のおっさんだよなあ。ということは俺も中高年登山者の一員ですね。いつもガイド中に「中高年の方は特に注意してください。」なんていう言い方してるけど、自分もですね。遭難しないように気をつけなくては。


 僕が中年かどうかなんて話しはどうでもよく、さあ北鎌尾根です。やはり天気が心配。明日の予報が絶望的。
 今年のアプローチも上高地から横尾を経て水俣乗越を越え、天上沢に入るルートです。そして必殺許可車両借り!この味を覚えちゃうと、あの横尾〜上高地間のダラダラ道はもはや歩く気しなくなります。

  
  
横尾を通過。さすがに3連休なので人がちょっと多めです。
今回の参加者3人のうち2人は去年の雪辱組。
一ノ俣谷にかかる橋を通過。
槍沢の大曲りで昼食をとり、紅葉の中を水俣乗越めざして登っていきます。 水俣乗越を越え、天上沢側に入るとまずは草付きの急斜面を急降下。ほどなくガラ場に変わり、あとはひたすら不安定な川原を下降していきます。
去年はこの辺で既に雨が降っていて景色も全然見えなかったですが、今年は北鎌尾根の中間部〜下半部がよく見えました。
 北鎌沢出合に到着。既に一張りテントがありました。我々はいつもの所にテントを設営。さて、焚火でもやるかと焚き木を探しているうちに雨がポツポツと降り始めてしまいました。そして時間と共に本降りに。夜半はかなりの雨。沢が増水してゴーゴー唸り始め、寝ながら「あーあ、また敗退かあ。」と完全にあきらめてました。

9/19(日) 雨後曇り時々晴れ所によりガス
4:30起床 ― 6:05出発 ― 8:45北鎌のコル ― 16:55槍ヶ岳頂上 ― 17:30槍ヶ岳山荘

 4時起床の予定でしたが、寝ながら敗退を決めてたので緊張感がなくなり、ハッと目が覚めると4時半。相変わらず雨は降ってるけど夜中ほど強くはない。どっちにしても行動は起こさないといけないので湯を沸かしてアルファ米に入れて出発準備。カッパを着て外に出るとたいした雨ではなく、この時僕の心は決まりました。「よーし、行くだけ行ってみよう!」
朝一番の北鎌沢右俣の登り。ここで一気に標高差約700mを稼がなくてはなりません。ある意味、この登りが今日の一つの核心とも言えます。途中で朝食をとりながら登っていくうちに、なんと雨が上がりました。奇跡です。
ようやく北鎌のコルに到着。雨も上がり、展望も良く、そしてこの辺から始まっている綺麗な紅葉ですっかり気分も良くなりました。
カッパも脱いですっきり。しかし、ここからはヘルメットやハーネスを着用。
北鎌のコルから天狗の腰掛付近までは木の枝や這松の根っ子をつかみながらの木登り登行。しかし、ここで今夏1件事故が起きているので我々は慎重を期してアンザイレンしてコンティニアスで行きました。
そして目前に迫った独標。
独標を千丈沢側のトラバースルートより巻いて再び稜線上に出ると、いよいよ槍ヶ岳が姿を現します。
進むに連れてぐんぐんと槍ヶ岳が迫ってきて、 北鎌平に到着。もうあとは大槍の最後の登りを残すのみ。 そしてようやっと頂上に到着。残念ながらギャラリーはほとんどいませんでした。
出発が予定より1時間ほど遅くなったことを差し引けば、概ね順調に来れました。しかし、やはりここは体力勝負というのを実感します。僕も疲れました。
一昨年、赤のペイントでたくさんマーキングされましたが、だいぶ風化して薄くなってました。
槍ヶ岳山荘は相変わらず大勢の登山者で賑わっていて、活気があっていいですね。若い人たちもけっこういました。

9/20(月) 曇り時々晴れ
 ※記録とるのサボリ

今日は急ぐ旅でもないので朝はゆっくり。山荘で朝食を食べ、のんびりと出発。
山荘付近ではガスってて風がありましたが、殺生ヒュッテ付近からガスが切れ、西岳の上に太陽も出てきました。
とりあえず新村橋まで頑張ればあとは車に乗れるので気楽です。徳沢〜上高地間を歩かなくて済むっていうのはなんて楽なんでしょう。
こうして2004年の北鎌尾根は無事終わったとさ。おしまい。。

後記

 天気が良くなってあー良かった。あのまま中止して引き返してたらきっと僕はお客さんに殺され、梓林太郎の「北鎌尾根殺人事件」という推理小説になってたかもしれません。

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