息をすい 静かにはいている
あなたの瞳孔が開かれる
心音が聞こえる
あなたは時間を気にしている
人間を信じている
あなたの思念がさまよっている
身体がただよっている
あなたは見ている
距離を見ている
足許のしばふを見ている そのうえを這う蟻を見ている 蟻はあるいて横をとおるアスファルトの車道に出ると 二人乗りの500ccのバイクがそれを潰してゆき大きな樹の下でバイクを降りた男と女がキスをしているその上で 小さな鳥が空高く飛んでゆくそのはるか上の雲の連なりから雨の粒が地上へむかって風の影響をうけながら落下しはじめて 高層ビルの屋上に黒いしみをつくりはじめ広がったしみで黒くおおわれた屋上の隅に開いている扉から階段がらせん状に下へと続いてゆくその途中で 横の扉に入ると廊下がのびており間隔をおいて取りつけられてあるドアのひとつにさらに入ると 明るい室内の絨毯の上にはソファーがならんで置いてありどっしりとした机の上の電話機から伸びたビニール線は あらゆる壁を這いまわり空中をわたり繋がれた電柱のその根元はアスファルトをもぐり突き刺された土は層をなし 微生物が動きまわり養分を吸い上げる根毛はしだいに太くたばねられてゆき一つになると地面を抜け出して 大きな幹のうえに緑の葉を茂らせた大きな樹の立っているその根元には
あなたの死体が転がっている
足許のしばふを見ている そのうえを這う蟻を見ている 蟻はあるいて横をとおるアスファルトの車道に出ると 二人乗りの500ccのバイクがそれを潰してゆき大きな樹の下でバイクを降りた男と女がキスをしているその上で 小さな鳥が空高く飛んでゆくそのはるか上の雲の連なりから雨の粒が地上へむかって風の影響をうけながら落下しはじめて 高層ビルの屋上に黒いしみをつくりはじめ広がったしみで黒くおおわれた屋上の隅に開いている扉から階段がらせん状に下へと続いてゆくその途中で 横の扉に入ると廊下がのびており間隔をおいて取りつけられてあるドアのひとつにさらに入ると 明るい室内の絨毯の上にはソファーがならんで置いてありどっしりとした机の上の電話機から伸びたビニール線は あらゆる壁を這いまわり空中をわたり繋がれた電柱のその根元はアスファルトをもぐり突き刺された土は層をなし 微生物が動きまわり養分を吸い上げる根毛はしだいに太くたばねられてゆき一つになると地面を抜け出して 大きな幹のうえに緑の葉を茂らせた大きな樹の立っているその根元には
あなたの死体が転がっている