台風一過の蟹田駅

自転車キャンプツーリング記

岬めぐり青森と函館

2014年8月9〜15日

日記

8/9() えきね追分
青森県岬めぐりマップ(旅行前)

毎度のことだけど旅の支度が遅れて、寝る時間がほとんど無かった。オンラインゲームとの別れを惜しみつつ自宅を出発して、JR松本駅で自転車を袋詰めする。「北海道&東日本パス」という18きっぷに似た乗車券による鈍行旅が北に向けて始まった。長野〜直江津間は北陸新幹線延伸に伴う三セク化が間近で、使い勝手の悪化が心配。特急型車両を使用した普通「妙高」号、そして快速「くびきの」号の乗り継ぎで快適に新潟まで行けるのもこれが最後かな。

何もできないから、何もしなくていい。廃人的な長距離輪行が庄内、秋田方面へ続く。切符の期限は一週間。日常から離れる旅本来の雰囲気を蘇らせるため、ケータイの類はまた家に置いてきた。ずっとネットに縛られてる奴ザマミロ的な気持ちで、せいぜい地図でも眺めてまだ決めてない旅後半の予定を考えたり。でも台風で足止めの可能性もあるから、ガッチリ決めてもしょうがないな。

天気は今ひとつで、涼しいのは助かる。秋田駅前のはなまるうどんで晩飯にして、もう少し北へ。盲腸線の男鹿線はまだ乗ったことがないので無駄に往復してみた。戻ってきたところの追分で駅寝にする。俺みたいな人間が近付かないように、待合室のベンチは手すり付きになっていて、横にはなれない。始めは座って眠ろうとしたが苦しいので、床に銀マットを敷いて横になる。明日の天気以前に、無事に朝を迎えられるのか不安いっぱい。これが、旅だ。

さいはての駅、男鹿
8/10() ほんまや、三厩
リゾートあすなろの三味線ライブ

夜中はトワイライトエクスプレス、あけぼの、あと貨物列車の通過もあって少しこわかったが、…無事に8月10日が始まった。体調管理が甘くて少し喉が痛いのだけど。始発で新青森へ向かい、ハイブリットトレインの快速リゾートあすなろ龍飛1号に乗り換える。シートピッチが広くて快適だが、こんな日は客数少なく、車内サービスの三味線ライブもちょっと寂しい。左側の車窓には北海道新幹線の高架が伸びている。本当にあれ、開業されるんだろうか。採算は取れるんだろうか。

という訳でやって来ました津軽線さいはての駅、三厩(みんまや)。アニメ映画「雲のむこう、約束の場所」の聖地で、頭の中もすっかりその主題曲が流れている。しかし本降りの雨、どうしたらいいものか。こんな日でも外ヶ浜町民たちは龍飛・義経マラソンという12kmの大会を決行している様子、負けるわけにはいかないな。

こんな日、こんな日…。そう、台風が絶賛接近中で風雨がキツいのだ。今年晴れ男の自分だが、台風には勝てなんだ。とにかく序盤は追い風に乗って北西の果てに向かう。旅を始められた喜びをひしひしと感じつつも、龍飛崎が近づくにつれ突風にあおられる。行き止まりになり、端島に渡ってみると物凄い横殴りで潮をもろに浴びる。

龍飛崎の階段国道339号

それでも国道339号の「階段国道」は登らなくちゃな。スロープがあるので担ぎはあまり必要なく362段、標高差70mを押し上げた。目を閉じれば、ヴェラシーラが津軽海峡を渡ってゆく。他の観光客もまばらにいる。灯台付近はさらにモーレツな風で、最果ての景観はもうたくさん。津軽海峡・冬景色の歌碑は曲も聴けるが、今日は冬より厳しい気候だろう。階段とは別の戻り道では、切り通しの部分はまっすぐ進めず何度も吹っ飛ばされそうになり、乗車は断念。時間は掛かるけど押し歩きで進む。

あじさいロードまで来れば一安心。向い風が強いけど、道の左右にせり出す青や紫のあじさいがキレイで和む。徐々に高度を下げ、三厩駅に戻る。ここからさらに松前街道を東へ進む。下北半島を望む高野崎を過ぎると、海岸沿いは本格的に向い風が強烈になる。「自転車は旧道を」という定石を破って、内陸側の平舘バイパスでしのぐ。これは正解。しかしバイパスが終わればまた酷い風雨で、まさに台風の中を突き進んでいる。こういう困難な旅ほど、後年記憶に残るものだ。らくらく観光旅行の、いかに印象が薄いことか。

蟹田町内のマエダストアで買い出しして、近くの公園に逃げ込む。何とか風を半分くらいしのげる場所を見付け、そこで炊事、設営を敢行。ガタガタ震えながら、レトルトカレーを食べる。こんな悲惨なキャンプ今まであったっけ? あ、群馬遭難の時に比べればマシか。一応人里にいる以上、サバイバル感を楽しむ余裕はあるんだ。しかし一体いま台風はどこらへんを進んでいるのか、情報源がまったくない。

三厩駅 龍飛崎の海上自衛隊レーダー 高野崎
8/11(月) 陸奥湾アトム
蟹田の設営地、台風一過

ごうごうとした風に飛ばされそうなテントを体で支える、寝苦しい夜だった。朝…風が和らぎ、太陽も顔を出す。もう大丈夫だ。がびがびのチェーンに注油してさぁ出撃。蟹田駅前の街路樹は昨夜の台風で根本から倒れていた。俺は耐えたぞ。

陸奥湾沿いに、まずは青森市へ南下。向い風が残るけどしょうがない。対岸には下北半島や夏泊半島が見える。青函連絡船の時代に思いを馳せつつ青森ベイブリッジを渡ると、針路は北東へ。浅虫温泉のゆ〜さ浅虫に入り、展望風呂からは対岸に津軽半島の山々を望む。昼食もここで、Bグルメの牛バラ焼定食を頂く。スキヤキだー。

夏泊崎

本日のメインは陸奥湾の真ん中に突き出た夏泊半島。大動脈の国道4号を離れ、田舎の漁村をつないで行く。こんな道を走っている今が嬉しい。夏泊崎の土産街を抜けると大島へ細い橋が架かっていて、西寄りに変わった強風に気を付けながら歩いて渡る。さらに草むらの路を進めば丘の灯台に出るらしいが、風と時間を気にして引き返してしまった。100円のホタテ串を2本おいしく食べて、半島の東側へ。対岸の下北半島には夥しい風力発電所群が霞んで見える。さすが電源半島の趣。

野辺地から北は昔走った道なので、今回はJR大湊線を利用する。快速のキハ100形2両編成は混んでいて、ランドナーの輪行袋は比較的コンパクトとは言え、ちょっと申し訳ない気分。最果ての大湊駅で降り、またマエダストアで買い出しして設営地探し。高台の公園に着いたところで俄か雨が降ってきたので、東屋に逃げ込む。ここでいいや。雨が止むと、若者が夜景を見に来る。普通に挨拶と小話。

米を炊く時ガソリンコンロのポンピング棒がすっぽ抜けてピンチに陥る。だから陸奥で火遊びしちゃいけないんだ? 落ち着いて分解したら直ったけど。あとは、未だに定まらない体調が旅の課題。もやし入り麻婆豆腐を食べたから、きっと大丈夫。

夏泊半島の道 夏泊崎のホタテ 大湊線さいはての駅、大湊
8/12(火) オー!大間イキー

久々にまともな睡眠を得た。羅針盤を北東に、大湊警備府を出撃する。むつ市は普通に都会だ。東通村に入るとだだっ広い田園風景があり「ここまで来れば青森県」って感じがする。風力発電所群もほど近く、近未来的というか幻想的というか。ダンプが多いなーと思いつつ北岸沿いに進むと、突如として現れる露天掘り。三菱マテリアル・日鉄鉱業の巨大工場。工場萌えの人にはたまらない景観だろう。

尻屋崎への道

ゲートを過ぎてからの景観は素晴らしいの一言。こんな道を走っている今が幸せ。やって来ました、本州最涯地の尻屋崎。この先には何もないという尖った地形の草原に、白亜の灯台が立つ。海岸の昆布は勝手に一本取っちゃ…いけないんだろうな。寒立馬(かんだちめ)の放牧はほとんど見られなかったけど、一番訪れてみたかった岬の感動は十分だ。後ろ髪引かれながら、尻屋港経由で戻る。

クマ目撃情報のスピーカー放送が流れてるのを気にしつつ来た道を引き返し、途中から大間方面への短絡路へ。むつ市に入ったところに現れるのが、真新しいリサイクル燃料貯蔵施設。まるで映画に出てくる軍事施設のような、鼠一匹通さないセンサー囲いが印象的。ルパン三世なら侵入できるかも知れないが、中にはこれと言ってお宝は無さそう。

大畑線さいはての駅、大畑

旧大畑町には、今は廃線となった下北交通大畑線終着駅の建物が残る。イカの町ということで、駅前の美奈美食堂でいかすみらぁめんを注文。店の奥でイカスミを吐かされてる娘がいるのかなと妄想する。黒い麺が特徴だが、イカスミの味というのは私にはよく分からない。まぁ普通に旨い海鮮ラーメンだ。食堂らしくテーブルに新聞が置いてあるけど、なるべく日常から切り放たれた旅にしたいし、手には取らず。どんな天気になろうともラン初日の台風よりはマシなので、天気予報さえ気にならない。どうせ私の向かう先々は晴れるんだ。

ネットの情報に溢れた日常というのは、脳内で高速処理しているつもりでも、いつの間にかそれに追われ支配され、真実真理からは遠ざかってゆく。わたしは土を越え水を渡り、追い風も向い風も味方につけ、火で米を炊く。それだけの日々が欲しかった。ようやく、本来の自分を少しだけ取り戻してきている。旅は木野部峠(100m)を越えてさらに北西に進み、風間浦村の下風呂温泉には「幻の大間鉄道」のアーチ橋を整備した遊歩道がある。良さげな温泉街だけど、今日はもうちょっと走る距離があるんだ。津軽海峡の向こうには、うっすらと北海道亀田半島の山々が浮かぶ。

大間崎で記念撮影

たまに自転車乗りとすれ違いつつ大間町に入ると、町道がカーブしたところに「本州最北端」大間崎と土産物屋街がある。18年前に岬のキャンプ場で会ったエリカ少女とユウヤ少年はとっくに大人になって、もうこの町を出てしまっただろうか? ともかく既訪だし、ちゃっちゃと写真を撮って怪しいマグロ串を食って、大間港に向かう。観た中では一番好きな朝ドラ「私の青空」のロケ地であり、函館との間をフェリーが行き来する。ちくしょー、北海道に行きたかったな。乗船準備しているライダー達が羨ましいな。帰りの北斗星チケットが取れなかったので諦めてしまったんだ。

おおま温泉海峡保養センターは昔のままで、ブラウン管メインのゲームコーナーがいい味出してる。買い出しは3日連続となってしまったマエダストア。かつて走った海沿いの道は原発建設のため潰され、迂回する新道を南へ進む。ホントに町のど真ん中に建ててるんだな。もう政党のポスターさえ見られない町。マグロだけではやっていけない葛藤と疲弊が垣間見える気がした。こういう旅を期に、今一度原発問題について調べ考えてみるのも良いだろう。所々に立つ交通監視小屋のおばちゃんらが暇そうだ。

佐井村の公園でテント設営、レトルトカレー夕食。予定していたランはここで終了し、明日から自由行動だ。もともと自由だけど…。とりあえず高速船で仏ヶ浦を見ながら青森市に戻ろう。それから八甲田山へ向かう? もう膝が痛くなってきたので輪行でいっそ北三陸へ飛び、ミーハーなあまちゃんロケ地巡りでもする?

リサイクル燃料備蓄センター前 大畑、美奈美食堂のいかすみらぁめん 佐井村アルサス前の公園でキャンピング
8/13(水) ハコダテヤマノボレ0813

下北半島の佐井村で迎えた朝。いざ高速船シィラインで青森市へ渡るべくアルサス港の定期船窓口に行くと、「本日欠航」の文字が私を絶望の淵に叩き落とす。そんなに風つよいかな…。どーすんだよ、膝が痛いから陸路で仏ヶ浦〜脇野沢なんて嫌だぞ。いっそ大間に戻って、この程度の風なら大丈夫そうなフェリーで函館に渡るか。諦めていた北海道が一気に現実的になってくる。そうだそうしよう。着いたらフランチェスカちゃんグッズを買い漁って、特急列車で青森にとんぼ返りすればいい。

朝の便は行ってしまったので、昼前まで大間町をぷらぷらする。土産屋で銀マットに貼る用のステッカーを買っておこう。青い空、青い海。昨日よりハッキリ北海道が見える。やがて大函丸に乗船、出航。無上の旅情に包まれるひとときだ。朝ドラのように、伊東四朗が突堤から見送ってる気がする。さよなら本州私は行っちゃいます、ああ津軽海峡夏景色。

大間港で大函丸に乗り込む さよなら本州 北海道・函館山を右手に、駒ヶ岳も遠望
緑の島から赤レンガ倉庫群

という訳でやってきましたほっかいどー! とんぼ返り? するわけないじゃん。サイクリング旅だとスルーしがちな函館の街を、今日はらくらく観光だ。まずはラッキーピエロのチャイニーズバーガーで昼飯にし、緑の島から対岸の赤レンガ倉庫群を望むなど。立待岬には石川啄木一族の墓がある。エロメガネとか言わない。函館山が海に落ちる絶壁の他、さっきまでいた下北半島も遠望する。街へ戻る高台の道からは、東西を海に挟まれた独特な地形の街を見下ろす。

函館公園に自転車を置き、今度は市電1日乗車券による乗り潰しの旅。谷地頭〜湯の川、湯の川〜函館駅前、函館駅前〜函館どつく前と乗って元を取った。五稜郭は既訪なので寄らず。そういうの長野県にもあるし…。元町エリアの坂道をぷらぷらしてソフトクリームを食って、公園に戻る頃にはだいぶ暗くなってしまった。設営と炊事を急ぐ。夕食はいつものようにあくまで質素に、もやし入り麻婆豆腐のせご飯。

夜8時、函館山に登り始める。車道はけしからん事に自転車禁止なので、登山道を歩くのだ。メインルートと思われる旧登山道コースを行くが、街灯もなけりゃ行き交う人もない、真っ暗闇のスロープが続く。ヘッドライトだけが頼りで、所々慰霊碑のようなものが映るが気にするな。今日は脚休めのつもりだったのに、どうしてこうなった。そう思いながら七合目まで来ると山頂の照明が見えてきて、テンションアップ。ここから街灯だけはある。

函館山からの夜景

標高334mの山頂からは、ハッと息を飲む百万ドルの大夜景! こりゃ想像以上の美しさだ。自分の脚で登ってきたゆえの感動もちょっとプラスされてるかも知れない。ただしここからだとロープウェイが少し視界に入るので、タクシー駐車場を経て駅舎屋上の展望台に回ってみる。……物凄い人だかりに笑ってしまった。これじゃ夜景を見に来たのか人を見に来たのか分からない。押すな押すな、早くどけよという惨状だ。下りのロープウェイも大行列に並んで50分待ちだって。歩いたほうが早いんじゃね?

さっきの空いてる好展望所は建物の裏手を回るため、ほとんどの人は行き方が分からない様子だった。海の向こうには本州下北半島の灯りも横に並んで見えている。後ろ髪を引かれる思いで下山へ。迷ったらシャレにならないので確実に旧登山道コースを選択し、下のロープウェイ駅まで降りたらキリンガラナが自分へのご褒美。あとはテントに帰って寝るだけ。

それにしても本当に北海道に来ちゃったんだなぁと、今更ながら旅の意外性にびっくりしている。

立待岬 函館市電 これはひどい
8/14(木) 大鰐パニック
青森ベイブリッジと八甲田丸

函館の街を名残惜しく写真に収めながら駅で輪行。ちょうど上野発の北斗星が入線してきて人だかりが出来ていた。あれのチケットを取れなかった悔しさはあるが、結果として無理のない良旅になっているかも知れない。自分は始発の特急スーパー白鳥に乗って、本州へ帰る。JR北海道&東日本パスは函館〜青森間において、特急券を別に買えば乗車券として機能する。18きっぷだと木古内〜蟹田間しか特急に乗れないから、その違いを活かしてみたかったんだ。そういえばフランチェスカちゃんグッズなんて無かった(函館アニメイトに行けばあったらしい)。

青森駅で輪行を解いていると、派手なオッサンが「俺も昔は自転車で日本一周をした」などとマシンガンのように話してくる。それは良いが、何度「長野から来たんですが」と言っても岐阜扱いされるくらい、こちらの話を全く聞いてない。こうはなりたくない…。気を取り直し、八甲田丸の周りをぷらぷらしてからスタート。信号停止したところに浅草焼の店があって、つい寄ってく。上田市のじまん焼きより小ぶりだが65円は安いわ。2個食って今度こそスタート。長野マラソンのTシャツを着てジョギングしている人を見かけ、ちょっと嬉しくなる。

三内丸山遺跡

陸上自衛隊を過ぎて少し登ると、念願の三内丸山遺跡に初訪問。物々しい入口の建物だが、入場は無料だ。園内は、確かにあのデカい矢倉?は凄いが、あとはプチ吉野ケ里ってとこ。なぜこのムラは衰退したのか、それを考えるのも古代ロマン。併設のミュージアムはなかなか良く出来てる。「縄文人もびっくり!」というキャッチに負けてソフト栗夢を食べ、古代米おにぎりも追加して昼食とする。

田舎館村の田んぼアートと岩木山

三内霊園を抜け新青森駅前を経て、羽州街道で大釈迦峠(102m)を越えると津軽平野。右手に岩木山が見えてくる。渋滞している国道7号より、なるべく快適な旧道を走る。左手には南八甲田と北八甲田の山々。黒石駅の広告にある「ぴょんぴょんTICKET」が気になる。「こみせ通り」を通り過ぎると、伊那市・ひたちなか市と並んで「日本三大田舎っぽい市町村名」と思われる田舎館村に入る。往路の列車旅で田んぼアートの駅広告をちょくちょく見掛けていたので、気になってたんだ。まず道の駅併設の第2会場から。200円を払って展望台に登ると、結構な人だかり。昨夜の函館山ほどじゃないけど、またずいぶんミーハーな所に来てしまったようだ。一枚の写真には収まらないほど横いっぱいに、サザエさん一家が色々な品種の稲で描かれている。

次に田舎館村役場の第1会場へ。展望台に5時から登れる整理券を配布している。え?15時の間違いじゃないのか。さすがに2時間も待てず下から見るにとどめたが、何の絵かさっぱり分からなかった。さぁラストランは気をつけて。立ちくらみするくらいに旅の疲れが溜まっている。昨日今日は大した距離を走らず、JR弘前駅でサイクリング終了。

大鰐温泉茶臼山から岩木山

もう自転車はいい。弘前観光も以前やったのでスルー。風呂の支度をしてJR線に乗り、大鰐温泉へ。新しい入浴施設じゃ旅情が無さそうなので旧温泉街を歩くと、ひどく寂れている。だがそれがいい。予定外のプチ登山、最後のひと頑張りで茶臼山に登り降りして展望を楽しんだあとは、共同浴場の零湯大湯でゆっくりする。古いが三階建ての建物は立派。休憩室のソファーに3分と言わず、ずっとうだーってしていたい。でも戻らなきゃ。街はお盆の迎え火を所々でやっている。

復路は弘南鉄道大鰐線に乗ってみる。客は少なく揺れは多いローカル電車、いつ廃線になるのか…。終点の中央弘前駅まで乗り、牛丼を食ってJR弘前駅に戻る。東口公園で津軽三味線のやかましい発車メロディーを聴きながら、テント泊。

青森ケイリンの痛バス 浪岡付近より北八甲田山、南八甲田山 弘南鉄道大鰐線大鰐駅
8/15(金) Seven days 右往左往
青森県岬めぐりマップ(旅行後)

やっと結婚してくれそうな人が現れる、そんな夢から覚めた最終日の朝。結局6泊とも無銭宿泊だったが、どこでも町の人達は旅人に優しく声を掛けてくれた。そんな世の中が続きますように。朝焼けは束の間、撤収を終えたとたんに雨が降ってきた。晴れ男の魔法もここまで。あとはずっと、しとしと模様の日本海沿い輪行旅が続く。流れる車窓をぼーっと眺めながら、気の遠くなるような乗車時間、一年分はあるかという考え事をする。休むに似たり。

もっとずっと、ケータイやパソコンから解放された旅を続けたい気持ちもある。七日間のネット断ちで新たに得たものは何もないが、取り戻したものなら色々ある。世の中に背を向けたダメダメな感じが良い。そこには「自分の時」が流れるのだ。まもなく、仕事の前後に血眼になってニュースサイトや株価、動画チャンネル、ゲームログインをチェックする日々が帰ってくる。時代ゆえの仕方無さはあるが、またこうやってプチ失踪を楽しみたい。さよなら、本来の俺。

夜遅くに松本駅に降り立つと、雨は一時的に上がっている。その隙にさっさと組み立てて、24時前ギリギリに帰宅できた。おつかれーーー…。

帰松

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