佐久穂町の黒澤酒造にて

自転車キャンプツーリング記

クリスタルラインと甲府&佐久プラネタリウム

2018年5月3日〜5日

日記

5/3(木・祝) なんとなく、クリスタルライン
川上村から信州峠へ

「GWは山梨県の大弛峠に行こう!」と決め計画を立て、出発前夜遅くに周辺スポットを調べるつもりで検索を掛けたら、まだ冬季閉鎖中と判明。ええええ! 混乱と土砂降りのなか松本駅から輪行し、小淵沢で小海線に乗り換える。東京方面からのあずさ1号がやってくる前なので、まだ空いていて良い。標高1345mのJR最高地点駅、野辺山で下車しチャリを組み立ててる間に雨は止み、青空も覗く。とにかくサイクリングは始まった。初日はなんとなく予定通り進もう。

少し東の川上村から南下し、緩い坂を登って行く。周囲はレタス畑か、あとタンポポが妙にデカい。間もなく長野県と山梨県を隔てる信州峠を越えるが、展望は特にない。一気に山深い雰囲気になり、少し下りると古い峠町の黒森集落。クロモリな自転車なので心が反応してしまうが、黒森鉱泉は休業中の模様。

ここから南東へ、いくつかの林道を繋ぐ「クリスタルライン」に入る。舗装されているが、狭く急でゆっくりゆっくり。瑞牆という漢字をソラで書けるようにしようとか気を紛らわつつ、瑞牆山荘の鞍部を越える。補給食を摂ってまた登り。大弛をルートから外すなら、ここが今回の旅のハイライトになる。坂は一部ゆるい箇所もあり、新緑を楽しむ余裕も出てくる。

木賊峠至近の袴腰

標識のローマ字表記を見るまで読み方さえ知らなかった木賊峠に到着。トクサだと。富士山を望む東屋があるけど、まあこんなものか。と、よく見たら展望台へ通じるらしい遊歩道があるので、当然行ってみる。これが後悔するほどけっこう登るんだけど(比高85m)、袴腰1755mと記された板が落ちている山頂からは、疲れが吹っ飛ぶほどのパノラマ大展望。特に八ヶ岳が雄大で、雲が掛かってない時にまた来たい。

チャリに戻りサイクリング再開、木賊平越しの瑞牆山〜金峰山も素晴らしい。いったん黒平に下りて、4つ目の登りが始まる。標高差340m、370m、420mと来てここは580m。こりゃ、明日に脚が残らないかも。どうにか乙女高原まで登り切り山梨市入り。焼山峠には増殖し続ける不思議な子授け地蔵がある。ここでクリスタルラインと別れ南へ下りる。道質は良いが14%の激坂、登る側だったら大変だろう。旧牧丘町の谷に、三分割屋根の中央がせり上がった民家を多く見掛ける。(後で調べたら突き上げ屋根とか言うらしい、養蚕農家の名残り。)

ほったらかし温泉

塩山までの予定だったがもう一つ思い付いて、東山フルーツラインのアップダウンを南下。笛吹川フルーツ公園からのエグい坂を登れば、ほったらかし温泉に到着する。また「ゆるキャン△」の聖地に来てしまった。とりあえず温玉あげを2つ食ってタンパク質と塩分を補給し、あっちの湯へ。混雑しているが順番待ちって程でなければ良い。今日2000m登った脚に癒やしを与える。こっちの湯はまた今度ね。

盆地に下り設営地探し。万力公園の一部がキャンプ場仕様になっていてラッキー。例年GWは自炊しない軽キャンプだが、今年はストーブ(コンロ)を新調したばかりだし米やコッヘルも持つフルキャンプ装備で来た。次週末のグランフォンドkomoroに備えて重さに慣れておきたい(そういうイベントじゃないぞ)。炊事と言ってもおかずはレトルトパックを温めるばかりだけど。

沢山のけたたましいサイレンを聞きながら、眠りに入る。(後で知ったが、近くの踏切で電動車いすが立ち往生し…とのことだった。)

黒森への道 木賊平から金峰山 焼山峠の子授け地蔵
5/4(金・祝) ムーンナイト伝説
万力公園

山梨市の公園で迎えた朝。このままチャリで大弛峠に挑戦すべきか、ぎりぎりまで情報収集して考える。私は冬季通行止を頑なに守るような善人じゃない筈だが、ゲートでがっちり閉鎖されているレベルだと、無理に突破すれば様々な不都合が生じることも想像できる。何より昨日で登り疲れた。うん、やめよう。

という訳でここから富士五湖か神奈川か東京か、どこに向かうのも自由だー。けれどやっぱり明日は佐久に行きたいし、南の甲府を回っていこう。時間調整のためいったん逆方面に走り、塩山市の恵林寺をお参りする。小学生の頃2度は来ている筈だが、記憶に無い。塩山駅前でスポルティーフな人と雑談してから山梨市に戻り、甲府市方面へ。

山梨県立科学館プラネタリウム

山の手通りから愛宕スカイラインのエグいつづら折りを登ると山梨県立科学館。県で唯一のプラネタリウム常設館と思われるが、それだけにプレアデスシステムという先進的なシステムが奢られている。午前はキッズ向けで、小さいお友達にはプリキュアで言うところのミラクルライトみたいなのが貸与される。猛烈に場違いだけど午後の回を待ってられないし、なるべく気配を消して入るしかない。しかし前半の生解説だけでも意外としっかりやってくれて勉強になり、大満足。後半は当科学館のオリジナル番組「ムーンナイトモンスター」。ドラちゃんの恋物語を通じて月の満ち欠けを学ぶもので、声優陣も三石琴乃、櫻井孝宏をはじめスター揃いなのはさすがプラネタリウム。下田麻美の名もあったような(曖昧)。

午前は暑かったのに、午後は急変して北風が冷たい。それに逆らうように韮崎、須玉と国道141号「清里ライン」を登って行く。道の駅南きよさとの鯉のぼり群も横目に、反対車線は凄惨な渋滞が発生している。人々はなぜこぞって、おのれの20倍も重量・体積がある鉄の塊を動かそうとするのだろう。大渋滞の一員になって楽しいか?

清里名物ク・ソフト

清里と言えばかつてはファンシーグッズの店が立ち並びまるで原宿のような賑わいだったが、今は廃墟マニア垂涎の寂れた街になった。世界で唯一の、あのソフトクリームを販売する店も潰れてしまったが、カフェレストラン「睦」が引き継ぎ復活したようだ。という訳で、わざわざ排ガスまみれの国道を登ってきたのだ。その名も「ク・ソフト」。和式便器形の容器に盛られたチョコソフトが、想像以上にどっちゃりしている。ハエ絵のスプーンも付いて、まさに究極のインスタ蝿。なめらかで美味しいのに、我慢して食べてるという新感覚がたまらない。食べ終わった姿はさらに汚い。下品だけれど高尚なユーモアセンス、嫌いじゃない。

すっかり冷え冷えになって長野県の野辺山に戻ってきた。今日も累積標高差1,500m近く登ったことになる。駅前の銀河公園は夜になり観光列車「HGH RAIL 星空」の観察会がやってくると、街灯が消されて満天の星空・・・半分くらい雲で隠れ気味か。うしかい座とおとめ座の形は分かるぞ、今日プラネタリウムで勉強したからな。

銀河公園は野営禁止。カタギにゃ迷惑かけないし、騒がない限り通報されることもないと思うが、そう明記されている以上は別の場所でゲリラキャンプとなる。

甲斐武田氏の菩提寺、恵林寺 山梨県立科学館から富士山 道の駅南きよさとの鯉のぼり
5/5(土・祝) 馬越にも衣装
クリスタルライン&佐久マップ

野辺山で迎えた朝、時間調整のためルートを少し戻りJR最高地点1375m。さらに少し登った平沢峠からは、びっくりするほど雄大な八ヶ岳の山塊が目前に拡がる。しし岩から左手には南アルプスの北岳・甲斐駒ケ岳、右手には宇宙電波観測所のパラボラアンテナ。ついでの時間調整のつもりが、一番のハイライトになった。何で今までこの峠を知らなかったのか。次は飯盛山ハイキングに来よう。

一昨日と同じように川上村に入るが、今日は信州峠ではなく北の馬越峠へ。読みは「まごえ」又は「まごい」らしい。野辺山ウルトラマラソンでは終盤の壁で「どうしてこんなキツい峠を走らされるんだ」とコースプランナーを恨めしく思いながら十年前に越えたものだ。今日もウルトラの練習らしいランナー達が走っている。チャリは楽ちんだよ。今日の登り終了。

峠で一休みし、南相木村に入ると眺望に優れた岩場も発見。坂を豪快に下り「滝見の湯」に寄っていく。地元民やライダーさんに人気で、オープン時刻からそこそこの賑わい。長野県の温泉は料金的にぼったくらない所が良い。名前の通り滝を眺める露天風呂でゆっくりさっぱりして服も替え、小海駅のスーパーで昼食。

あとは慣れた道、まっすぐ佐久に向かおう。と思ったら佐久穂町に黒澤酒造を発見。ラブライバーとしては無視できぬ名前? サイクリング中に酒の試飲はぶっぶーですわ。純米大吟醸「黒澤」を買うだけにしておく。

旅の目的地、佐久市子ども未来館に到着。プラネタリウム数がやたら多い長野県内にあって最高級のシステムだったものが、今年3月さらにリニューアルされたので早く観たかったのだ。なるほど最新投影機オルフェウスのメリハリある星空は素晴らしい。しかし春の夜空は天の川が目立たず、日周運動軸を殆ど動かしてくれないまま、生解説を15分でさっさと切り上げてしまうのが勿体無い。

後半は配信番組「ドラえもん 宇宙ふしぎ大探検3」。やたらとふしぎ道具を乱発する脚本が投げやりというか、このシュールさが藤子不二雄の味な気もしつつ。内容はドラちゃんが地球環境の大切さを説くものだが、これを観て感動している子供も、大半は「必要以上に」環境を汚す側の大人になるんだ。諸行無常。

あの県道139号を経由し、しなの鉄道小諸駅でチャリを分解する。ティーサロン寿徳の絶品な小倉クリームトーストとコーヒーで一休みし、あとは列車で松本に帰る。大弛峠には行かれなかったけど、大好きなキャンプツーリングとプラネタリウム巡りが出来て、至福の旅だった。GWの残り1日はテント干しなど後片付けに充てよう。

白沢峠から八ヶ岳 南相木村犬ころの滝 なつまち聖地、あの県道139号

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