火口越しの剣ヶ峯

3776 FUJI MOUNTAIN RACE

第63回 富士登山競走 参戦記

山頂コース21km 2010年7月23日

経緯

富士登山競走マップ

標高770mの富士吉田市役所前から3711mの富士山山頂までひたすら登るだけの「日本一くだらないマラソンレース」は、4時間30分という制限内での完走が困難なことでも知られる。にも関わらず人気は年々上昇して定員がすぐに埋まるようになったことから、今年は山頂コースの参加資格として「過去3年以内に五合目を2時間30分以内」という実績が必要になった。結果として山頂コースの定員は埋まらず、五合目コースへの応募が激増したようである。

自分は去年山頂コースに参加したものの、レースは悪天候で五合目打ち切りとなり残念な思いをした。タイムは1:56'53"だったので今年の参加資格を満たし、今年こそ念願の山頂まで登り切ってやるぞと意気が揚がる。トレーニングは例によって乗鞍岳や美ヶ原などを走り込む。退職のショック?で太っていた去年に比べると、体重60.6kg、体脂肪17.4%と比較的落ち着いている。

ただし今年は猛暑がひどい。もう少し暑さに体を慣らしてからレースに臨みたかったが、これは皆同じ条件だから仕方ない。死人が出るんじゃないかと心配になるが、自分がそうならないよう気を付けなくては。食いたいものを食い、睡眠もしっかり貪る。天気はカンカン照りが続き、打ち切りの心配はなさそうだ。

日記

7月22日(木)大会前日 「富士輪行」
北口本宮冨士浅間神社

今夏も青春18きっぷを買ってしまった。という訳でJR松本から大月まで乗り、フジサン特急フリーきっぷも買って富士急行に乗り換え、月江寺で下車。去年は大会前日から歩き過ぎたという反省から、今年はチャリを輪行で持ってきた。重要な登坂エンジンである腰を痛めないよう気をつけながら組み立てる。それにしても暑い。

富士吉田市役所でサクっと受付を済ませ、坂を登って北口本宮冨士浅間神社へお参り。境内に入るなりひぐらしのなき声に包まれ、少しヒンヤリ。明日の安全を祈願する。夕食はすき家でキムチ牛丼大盛り。風呂はふじやま温泉。ことごとく去年と同じパターンである。休憩室で参加賞を漁ると、クリスタルキーホルダーの他に栄養ドリンクのアリナミンRが入っている。なんぼ強がりを言ってても実はすっかり夏バテしている体に、とても有り難かった。

コンビニで甘いものを買い食いし、街中の公園にテントを設営。虫を警戒しつつ中に入り、ケータイでブログをアップする。寝袋は持ってきてないので着替えのシャツを腹にかぶせて22時半就寝。明日はただ夢中になろう。

7月23日(金)大会当日 「お鉢めぐりの バカは走る」
金鳥居と富士山

2時半ごろ寒さで目が覚める。さすが富士吉田市、標高が松本より高い。でも強引にまた寝て4時半起床。すっかり体が冷え冷えだが、風邪をひいてなけりゃいい。鉄分補給にコルディアFeを飲み、オレンジジュースとカロリーメイト2箱で朝食とする。爽やかな朝だが虫の多い公園だし、急いでテントを畳んでずらかる。もう一張りテントがあったが、奴もレース参加者だろうか?
南には富士山がデーンとくっきりそびえる。ホントにあんな果てしない山頂まで4時間30分以内に登れるものなのか、ビビるばかり。今まで登った一番高い山って乗鞍とか立山くらいなんだよなぁ。

当日受付もあって賑やかな市役所。裏手に場所を見つけてチャリを駐め、体に日焼け止めを塗る。脚は公園で見事に刺されまくり、血があちこち吹き出しているのが難だ。スーパーヴァームパウダーとアミノバイタルゼリーを摂り、ウェアや持ち物を最終チェック。
靴は履き潰しのアディゼロテンポ。ウェアは適当な靴下、ランニングバギーパンツ、自転車用レーシャツ、ランニングキャップ。
シャツのポケットには下山防寒用にコンビニガッパ、給水を貯めるための潰しペットボトル。
ウエストバッグには塩熱飴x3、パワーバージェルx2、パワーバー粘土、アミノバイタルプロ粉末、キズ手当て用のバンダナ、ちり紙、下山時ホコリ避けのマスク、大会配布の簡易ポンチョ、岩掴み用の軍手、現金・カード袋、日焼け止め、そしてデジカメ。
あと腕にマラソン用ウォッチと、鼻には長野マラソン試供品のブリーズライトという鼻孔を拡げるシールを装着。山頂コース初体験であれもこれもと弱気になり、持ち物が多くなってしまった。だいたい途中の山小屋群には物資が豊富にあるので、お金さえあれば何とでもなるらしい。まぁここは貧乏性なので…。残りの荷物は市役所置きと五合目送りとに分けて預ける。

スタート行列

開会式はスルー。軽くウォーミングアップして水を飲み、二度目のトイレから戻る頃にはもう山頂コースの参加者が並び始めていた。実績に応じてスタートブロックが前から順にA,B,Cと別れており、自分はBブロック。そこも既に100人ぐらい並んでいるが、さらに前方に立ちはだかるAブロックの500名をも追う展開になる。
それにしても良い天気だ。いつの間にか、すぐに喉が乾くような暑さとなった。赤地に白抜きの『富士登山競走』横断幕といい、威勢のよい宣誓といい、どこかレトロチックな印象。巣鴨中学・高校の『大菩薩峠越え強歩大会』の男子校ノリを思い出す。どちらも堀内って苗字の人が吠えている。あまり緊張させないでくれよ。

富士吉田市役所前スタート(午前7時00分)

いよいよ号砲が鳴る。去年同様デジカメで動画を撮りながら前へ動き、走りだす。街中を500mほど進み国道へ左折すると、あとはもう登り坂しかない。何せ「馬返しまでにおよその順位が決まる」から、押せ押せで上げて行かなくちゃ。浅間神社横を通り、もう喉は渇き始めているけど最初の給水所はスルー。自分と同じBブロックのナンバー、あるいは女子ランナーには特に負けてたまるものか。後方から勢い良く抜いていくランナーは追えないけど。ある人が私を抜いてすぐに減速したので「危ねーなー」とつい声に出し、気も立ったので抜き返してしばらく掛かり気味になってしまう。ちょっとマズイなとペースを戻すと再び抜かれ、挑発気味に何度か振り向いてきたが、もう追い付けなかった。悔しい。

馬返し手前付近

なかなかデジカメを取り出す余裕はないが、時々は写真を撮っておかないとな。中ノ茶屋で給水を取り、坂は少しずつ斜度を増してゆく。呼吸は四拍子じゃ間に合わず、三拍子くずしとなる。キツくて時々弱気になってしまうが、ともかく馬返しまでは頑張らないと後悔するぞと。狭い舗装路はゴツゴツだ。

馬返し通過 1:00'09"

一合目付近

「やったー、1時間で着いたー」と喜びの声が聞こえる。給水している間に計測ポイント通過は数秒過ぎてしまったけど、自分も去年より5分近く早いので「お?イイ感じ?」かな。コースはいよいよ登山道に入る。中央の土砂溜りをよけて、左右の狭い踏み跡を進む箇所が多くなる。去年はここの渋滞に苦労させられた。今年は出走者が少ないし、五合目打切じゃないからみんな無理に突っ込んでないし、何より自分の通過タイムが早い。人数が少なくて渋滞はほぼ無く、快適に前を追える。

二合目くらいから、自分も周りに合わせての歩きが多くなってくる。馬返しまで頑張ったのだし、レース後半に向けて体力を温存しておかなきゃという気持ちも働く。なにしろ周りに合わせるってのは楽だ。夢中になってはいるが、気がつくと膝がツリそうになっている。いっぺん止まって屈伸をしておく。腰痛も少々悩ましいが、手指でツボを押しながら進めるのが自転車ヒルクライムと違って助かるところ。シャツの汗を絞って軽量化を図りつつ、ぐんぐん高度を上げてゆく。

五合目佐藤小屋通過 1:51'22"

五合目から後半へ

2:20の関門制限に対して30分の余裕もないのだから、他のマラソン大会に比べて圧倒的にシビアだと感じる。それに馬返しからの区間タイムが去年とあまり変わらず、ちょっと予想より遅い。もっとも今年はここからが本番だから、無理をしなくて正解だったろう。距離的には15km地点で残り6kmだけど、獲得標高はまだ半分。コースタイム的にもちょうど中間地点となる。後半伸びるのかバテるのかは人によりけりだ。
とにかくここから先へ行ける。去年の憂き目があるぶん嬉しい。エイドのパンをつまみつつ、念願の六合目への道に入る。見上げれば山頂は雲に隠れてしまった。もしかしてあれを突き抜けて「頭を雲の〜上に出し〜♪」ってなるのかな。そうなったら凄いレースだ。呼吸はもう三拍子でも間に合わず二拍子続き。

砂礫路

六合目で、スバルライン五合目からの一般登山者ルートと合流する。競技者が暴走族の如しで、すまんね今日ばかりは。大会が土日ではなく平日開催になっている所以であろう。登山道は大袈裟に言えば「一歩進んで半歩下がる」ような砂礫も多く、歩きづらい。無理に前走者を抜いて行くのはやめ、再び流れに乗ろう。周りはすでにAブロックナンバーの上級坂馬鹿ばかりだし、けっこう上位まで来ているのかも知れない。順位目標は考えていなかったけど、もしかして200番とか行けるんじゃないか。よく分からないけど。そんな妄想をしつつ、失速ランナーを着実に処理していく。仕方なくまとめて抜く時は、膝を手で押してターボモードに入る。前かがみになって腰が痛むから持続はしない。いよいよ薄い空気ですぐにバテてしまうし。膝の関節も相変わらずヤバめで、暖かさに何とか救われている。

たぶん七合目付近

岩掴みの急坂もあるが、軍手をはめるヒマはない。各給水所の重要性は増し、できればスポーツドリンクを2杯ずつ飲んでいく。でも手持ちボトルに入れてもらう程じゃない。手が塞がると困るし。塩熱飴やパワージェルでのエネルギー補給も欠かさない。塩をつまめるエイドもあってありがたい。「流れに乗るって甘ったれてるかなー」と思いつつ、無理のない範囲では呼吸必死に一生懸命のつもりで七合目、八合目と歩き進んでいく。もう、登山としては乗鞍岳の標高を超えて人生最高地点に来ているようだ。しかし八合目を名乗る山小屋があまりに広範囲にあるため、目安としてはよく分からなくなる。山小屋前の平地はみんな小走りで、レース後半では貴重な「走った気になれる」ポイントだ。

本八合目通過 3:13'38"

九合目付近

最後の関門地点を、4:00制限に対して問題なく通過。いつしか本当に雲の層を突き抜け、雲海を見下ろす所まで来ている。あとどれくらい登るのか、山頂が見えていても見当がつかない。まだ無理はしないでおこう。八合五勺がラストの給水所。九合目で時計を見るとまだ3:30ほど。標識には山頂まで30分と書いてあるので、もう一般登山者ペースで歩いても4時間以内で十分完走じゃん。安心。でも「合目標示なんてアテにならないしゴールはもっともっと上なのだろう」と、間近に見えている筈のゴールに気づかず、しばらくボケッと前の人に付いて行く。未体験の空気の薄さに、頭が働かなかったのかも知れない。

ネット上の写真で見覚えのある鳥居が迫る。あれ、もう最後じゃん!うわ予習不足だったなぁ。ちっともスパートかけてない。あわててデジカメを取り出して動画撮影開始。もう一人だけ追い抜きつつ鳥居をくぐり、最後の階段を必死になって登る。大勢の観客が声援を送っている。私がデジカメを頭上に掲げている姿に「おいおい余裕だな〜」みたいな笑いが入るが、これでも急げるだけ急いでいるつもりだ。

山頂久須志神社ゴール 3:41'06"

富士山吉田口の山頂フィニッシュ!完走困難と云われるレースで記録を残せたことに、喜びのガッツポーズ。初完走だっ。妄想レベルでは3:30とかいう目標がなかったっけ?まぁいいや。いちおう前半より後半の方がタイムが短いから、ペース配分は良かったと思う。

吉田口山頂

フィニッシュするなり前走者は「ビール、ビール」と右の売店へ買いに走る。すげーな、酒に弱い私には無理だ。左には流行りのメイド服姿もいて、完走の喜びに満ちたゴールエリアは賑やかだ。給水所で水と角砂糖を貰いフラフラと火口側に歩くと、山小屋の人が他の選手に対して「今年はまだ残雪区間があって、お鉢巡りはアイゼンがないと通行できないかも」と話している。私からも聞いてみたが、どうも「絶対」というニュアンスじゃない。オーケー。3:45を切れたらお鉢巡りをやる予定だったから、タイムは合格。「一度も登らぬバカ、二度登るバカ」と云われる富士山。一生に一度かも知れないこの機会に最高地点の剣ヶ峯まで行っておきたいではないか。

剣ヶ峯で記念撮影

そうと決まれば右手に火口を見て時計回りに、半駆け足でお鉢巡りを開始。もう登り勾配の区間ではすぐに息切れがして走れないけれど。富士宮口山頂や奥宮前を経て、最後に馬の背と呼ばれる砂礫の急斜面が立ちはだかる。一気に攻略しようとしたが、勢いを失ったところで見事に大きくずり下がってしまった。他のランナー「すべりますね(笑)」。ともかく日本の最高所、剣ヶ峯の三角点3775.6mに到達。よっ、日本一! 記念撮影渋滞はなく、さっきのランナーに写真を撮ってもらう。狭いハシゴで建物の裏に行くと展望台がある。下界は白い雲に隠れ、河口湖の辺りが覗き見える程度。しかし空は水青く澄み、泳いで行きたくなるスカイ・クロラ。火口側だけでも雄大な景観で、3700m以上での空中散歩が楽しくてしょうがない。気温はスタート地点より21度低いはずなのにポンチョとか要らないほど穏やかで、風が天国のように心地良い。ただしちょっと頭が痛いのは、レース疲れと軽い高山病だろうか。100m程続く残雪区間は傾斜が緩いし危険は無い。だいぶ融けているのでシューズが中まで濡れるけど、むしろ気持ち良いくらい。そういえばここまで全然靴擦れが起こっていないのは嬉しい誤算。

ラスト10分模様

30分くらいで一周を終えると、ゴール地点は4:30制限の10分前となっている。日焼け止めを塗ったくってるうちに間もなく、レース最大のドラマの刻を迎える。4:29'59"ギリギリでも駆け込めば、完走者みんな一体だ。それを一秒でも越えるとハイ地獄。昔は記録さえ取ってもらえなかった扱いである。皆それが解っているから「走れ!ハシレ!」の大声援が飛ぶ。一般登山者にとってはナンノコッチャだ。またデジカメでビデオを回すが、自分も声援に夢中になってあまりモニターできなかった。最後の一番つらい所で走るなんて、本当に苦しいものである。ラスト10秒のカウントダウンで駆け込めた数人が、このレースで一番精神的に勝った人達と言えよう。「ゼロ!あぁ〜…」。

興奮から醒めると、ゾロゾロと下山口へ向かう。名残り惜しくもう少し雲の写真を撮ってから、さよなら3700m。登りとは別ルートとなる下山路は砂走りなので、ケガ防止の軍手に加えてホコリ避けのマスクを装着。しかしマスクのゴムがヤワですぐ伸びきってしまった。周りを見るとバンダナを強盗のように巻いてる人がいる。ソレダ! ケガ手当用に持ってきておいて良かった。砂走りと言うからには気持ち良く駆け降りる。ずっとやってるとくたびれてくるが、これもトレーニングだし体力を使い切らないと勿体無いとばかりに頑張っちゃう。おい、これはレースじゃないぞ。調子に乗って転ぶ人も時々見かけるし、それでケガをしたのかあるいは高山病が悪化したのか、道脇で身動きが取れなくなってる人も。ああなると馬を呼ぶしかないのだろうか。

吉田口・須走口の分岐

砂とはいえ石も多い。八合目の、稀に間違える人がいるらしい須走への分岐は、意識がしっかりしていればどうってことはない。この際お金を使いたくないし、有料となるトイレは我慢しつつ七合目、六合目と降りてゆく。山頂から五合目まで自力で下山しなくてはならないのが、富士登山競走が過酷と云われる所以の一つ。そのための体力を責任を持って残す必要があるから、無理にラストスパートとかしなくて良かったかも。お鉢巡りから砂走りへとトータルで楽しめたし、恥じることじゃない・・・。
下山路は最後になぜか登り返しとなる。キッツいなぁ。

山頂から一時間でおにぎり弁当受け渡し場所に到着。自衛隊による給水サービスもありがたい。結局ここまで合羽や潰しボトル、パワーバー粘土、粉末サプリは使わなかった。やっぱり無駄な荷物が多かったか。五合目預けの荷物を受け取り、ウエットティッシュで脚や顔の砂くらいは拭いておく。ケータイでツイッターに「無事下山」とつぶやいておこう。もう少し歩き、スバルライン五合目でやっとトイレ。シャトルバスの待ち時間が判らないし、今年は五合目コースの参加者が多いから市役所のサービスうどんが無くなっちゃうかもと、あまりゆっくりはせず。今年のバス乗り場はさらに800m先まで歩かされる。遠いよ〜。
バスはすぐに乗れて、スバルラインをくだりだす。車窓にはさっき極めた富士山頂が垣間見える。すっかりお腹が空いたので、おにぎり弁当と持参のウイダーインゼリープロテインを失礼。食べ終わるとメチャクチャ眠い。

サービスの吉田うどん

いつしか富士吉田市街まで降り、市役所到着。ここに預けた荷物も受け取って、とりあえず吉田うどんサービスを受ける。上界から来ると信じられないほど蒸し暑くて、うどんは不人気っぽい。トータルの参加者が増えたぶんいっぱい用意してくれたのだろうに。遠慮なく3杯頂こう。あ、壁に成績が貼り出されていて人だかりが出来ている。えーと、

男子203位 中村良大

ありゃー、もしかしてと思った順位に近かったんだ。惜しい、もう少し頑張れたのかな。勿体ないけどまぁいいや。ちなみに女子で自分より上位は3人。いずれも10分以上早く、失礼ながらバケモノと思うが、むろん高度な精神力と体力を持ち合わせた偉人たちである。例年40%程度の出走完走率は、この厳しい暑さながら50%を越えたようだ。これは参加資格制になったおかげだろう。軽くにわか雨が降る中、表彰式が始まる。大本営発表によれば大ケガをした人はいなかったとのことで、良かった良かった。死人もなく。おっと、完走賞を貰うのを忘れるところだった。水色の特製Tシャツを受け取る。これを着て皇居とか走れば注目される、訳ないか。

表彰式・閉会式

五合目打切りで早々と下山した去年と比べると、時間の余裕が無い。知人の捜索は諦め、そろそろゼッケンを外してずらかろう。ここでも名残り惜しい気分で、チャリで市役所を離れる。雨が上がるとやっぱり蒸し暑い。ふじやま温泉でサッと汗を、と言うより体の砂を流し、靴も換えてリフレッシュ。河口湖駅まで走ってチャリを分解。フジサン特急で帰りの輪行旅に入る。車窓の富士山にさよならを。シートが快適でまた眠くなる。大月からは18きっぷを使い、甲府で夕食を済ませて松本へ。またチャリを組み立て、コンビニに寄ってから帰宅。ここまで虫刺され以外のケガもなく、怖いくらい全てが無事に終わった。下山時の砂走りがずーっと脳内に再生されつつ、布団での眠りにつく。

結果

山頂コース21km 公式リザルト
ゴールタイム 3時間41分06秒 (最速者2:53:00, 時間内最終完走者4:29:59)
男子順位 203位 (/時間内完走1198/出走2216/申込2498名中)
八合目通過 3:13'38", 226位 (/時間内通過1338名中)
五合目通過 1:51'22", 307位 (/時間内通過1790名中)
馬返し通過 1:00'09", 353位 (/通過2212名中)※以上男子数
総合順位(女子含) 206位 (/時間内完走1246/出走2339/申込2635名中)
※データは後日郵送された大会記録集による。
時間内完走率は男子54.1%,女子39.0%,総計53.3%
他に五合目コース時間内完走2289/出走2347/申込2828名
富士山山頂午前7時天候:気温7.5℃,湿度21%,快晴
記録証・完走証

疲れのあまり、あまり寝付けないまま翌朝を迎えた。下山時に身に付けていたものは砂で赤くなっているので、よく手で水洗いしてから洗濯機に放り込む。シューズはどう洗っても白くはならないが、もう使えないって程じゃない。富士山は空気が薄くて頭ばかりつらかったぶん、脚への負担は少なかったのかな。フルマラソンに比べるとさほど筋肉痛は残ってないようだ。ダルいことには変りないけど。それに翌日以降も記録的な猛暑が続き、バテバテ。レース当日に限ってよく体が動いたのが不思議でたまらない。そうそう、富士登山競走の時間内完走を果たしたことで、二年越しにはなるがフルマラソンサブスリー・ウルトラマラソンサブテンと合わせて市民マラソンのグランドスラムを達成した。

「終盤スパートをせず全力を出しきれなかったのでは」としばらく心に引っ掛かっていたが、レース結果データベースによれば八合目からゴールまでの区間タイム順位が132位と、結構なチャージをしていたことになる。ボーッとしていて判らなかったのだろう。そしてレース以降、ランニングでもサイクリングでも呼吸器系が思い通りに働かなくなり、激しいスランプに陥ることになった。何だかんだで自分の限界を超えた走りをしていたのかも知れない。他のイベントにはない楽しさを実感しただけに「富士山に二度登るバカになろうか」と今年の経験を活かして来年も参加してみたいが、すごく怖かったりもする。どうしよう。

昨年同様にレースの様子をデジカメで撮影していたので、適当にまとめて動画サイトにアップロードした。意識朦朧としてて撮影が下手だったし、BGMはアップル製iLife付属サウンドの使い回しだけど、それくらいユルく作った方がかえって観やすいのかも知れない。今度こそスタートから五合目を越えて山頂まで、全てを紹介することが出来て良かった。

ニコニコ動画:/ ̄\第63回富士登山競走・山頂コース
zoome:/ ̄\第63回富士登山競走・山頂コース※高負荷版

リンク

オールスポーツによる写真
富士登山競走公式サイト
大会概要やコース紹介、アルバムなど。
RUNNET
参加申込はここから。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

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