標高が上がると涼しくなるよ!

朝日村開村130周年記念 集えつわものたちよ

第1回日本三百名山鉢盛山2447登山マラソン大会 参戦記

2018.8.4[]-8.5[]

日記

8月4日()大会前日「あさひプライムひるクライム」
あさひプライムキャンプ場

市内に松本ぼんぼんの参加者や見物客が続々と集まってくるが、それに背を向けるようにフル装備のチャリで出撃。クソ暑いとしか言い様がない日差しに耐えつつ、夕方前に朝日村の奥地にあるあさひプライム野俣沢林間キャンプ場まで登り着く。一応予約は入れておいた。オートキャンプサイトは大盛況だが、せせらぎのフリーサイトは穴場がある。凄く良いロケーション!そんなに虫も出ないし。テントを設営し、ご飯を炊いてレトルトカレーを食う。このままうだうだしていたいが、ご飯が足りないから仕方ない。チャリで村の中心部へ下りる。

朝日村新庁舎

村役場の新庁舎を覗くと、大会裏方のMさんKさんらに遭遇。すなわち松本ロゲイニングのスタッフさんである。さらに建物内で、羽多野渉さんのサイン色紙を発見! アニメでメイン級キャラを数多く務める声優で、村が産んだ二大スターの一人と言えよう(もう一人は上條恒彦さん)。近くの運動広場では「お夏まつり」が開催中。村にこんなたくさん子供が住んでいるのかと驚いてしまうほど盛況、と言ったらスゴイシツレイだろうか。謎歌で楽しそうに踊っている。「信濃の国ハッピー&パピー・バージョン」は私がニコニコ動画にハマった元凶なので、なんだか懐かしい。たこ焼きなどを食いつつ見物。たこたこ^〜。

お夏まつりと鉢盛山

カメラマンのHさんにも遭遇。初代チャンピオンを狙っているの?などと聞かれるが、そんなタマじゃないし夏場は特にトレーニングしていない(7月は150km足らず、これでも頑張った方)。時間内完走さえ出来れば良い。何時間制限か忘れたけど。ところで夏まつりじゃなくてお夏まつりなのは、お夏の伝説に由来しているようだが、詳細は不明。イベントはまだまだ続き最後には花火の打ち上げもあるようだが、明日は早い。キャンプ場までヒルクライムで戻り、シャワーを浴びて就寝。

8月5日()大会当日「はちもりはいつも晴れ」
鉢盛山登山マラソン2018マップ
用意された水浴び

日曜の朝、寝袋なしだったもんで身体がキンキンに冷えてやがる。全身アイシングばっちり、標高950mを甘く見ていた。朝食とパッキングを済ませ朝日村役場の大会会場まで下りるが、まだダウンジャケットを着込んで寒さにぶるぶる震えている。参加賞のTシャツは山雅グリーン?でなかなか良いが、ウェアはサイクリング用半袖ジャージを用意してきた。他にシェード付きキャップ、サイクリング用グローブ、ランニングバギーパンツ、五本指トレイル用ソックス、サロモンセンスプロ2シューズ、ランパックに500mlフラスク塩水x2、熊鈴、ゼリードリンク等が装備品。ゼッケンはランパック前面に付けとく。

『第1回鉢盛山登山マラソン』。不思議な不思議な松本平、東に鉢伏、西鉢盛。筑摩野人なら一度は制したい山だが、個人で登る場合は役場から林道の通行許可が必要だったりで面倒。そこでこのチャンスにと軽い気持ちでエントリーしたのだが、ロード・林道・トレイル合わせて距離38.3km、比高1,624mというボリュームはなかなか想像がつかない。予想気温36℃もやばい。早々定員に達したという200名(+ショートコース100名ほか)で和やかに記念撮影が行われたあと、7時に号砲が鳴る。

鉢盛山へ向けスタート

スロウスタートを心掛ける…つもりが、やっぱり押せ押せになっちゃうんだ。それでも先頭はもうはるか前方へ。緑のコロシアムエイドで給水し、最深部の御馬越(おんまご)集落を過ぎると林道エリアの砂利ダートになる。「標高が上がると涼しくなるよ!」なんて気の利いた標識を立ててあるが、逆に言うと「標高が下がると暑くなるよ!」とも言え、復路が恐ろしい。とにかく集中集中、じわじわと前を追い、後ろを離し。

それも長くは続かず、そういえばスタート直前に飲むつもりだったスーパーヴァームゼリーを今更取り出して飲んでるうちに2つ順位を落とす。すぐに林道エイドで給水。集中力が切れたかのごとくスピードが上がらず、さらに2つくらい落とす。

登山口エイド

登山口エイドに到達した所で17番目と言われる。もうレースって気分じゃなくなり、のんびりバナナやきゅうりを頂いてからいよいよトレイルに取り掛かる。村界尾根まで距離900mで500mアップと云う急登がエグい。もう脚も肺も心臓も言うことを聞かないし、休み休みになる。とうとう女性トップ選手が真後ろに付け、何とか村界尾根まで逃げたがここでカロメゼリーを摂っているうちに先へ行かれてしまう。

ここから楽な尾根道…だが脚がつりそうで、しばらく歩いて回復を待つ。折り返してきたトップランナーが凄い勢いですれ違っていく。そう、急登ですれ違いになるのは面倒だがら、前半ここまで無理押ししたんだ。「富士登山競走は馬返しまで無理押ししろ」ってのと似た理屈で、甲斐あってギリギリ間に合ったのだ。ぼちぼち走行を再開するが、まだ登りはあるし持たないや。もう20位をオーバーしてそう。

鉢盛山から北アルプス

権現の庭や避難小屋を見て、標高2447mの山頂に到達。そのすぐ先に折り返し地点の反射板があり、9時43分、スタッフさんから登頂証の木札を受け取る。これがないと完走扱いにならないルールらしい。

すっかり観光登山気分で、緊急連絡用に所持が義務付けられているスマホで写真を撮ったり、スタッフさんに撮ってもらったり。景色は穂高・槍〜常念が分かりやすく、下界に比べりゃ少しは涼しい。名残惜しく山頂を去り、苦手な下りへ。一応走っているのに、また次々順位を落とす。お前らまだレースやってんのか。下り優先ルールだから、対向者がみんな避けてくれるのはモーゼ気分。もちろんケースバイケースでこちらが退避することもある。

トレイルからの眺望

ふらふらになって登ってきた若者が「この先エイドはありますか?」。「ないです」…ある訳ないだろ、地図は把握しておけ。大丈夫かな、心配。私も人の心配をしている場合ではなく、村界尾根からの急下りは本当に苦手。どうして皆、羽のように丘を下れるのかしら。自分は慎重に転ばないように、恐る恐る一歩一歩。登る人を待たせちゃうが、きっと向こうは脚休めの良い機会と考えてるずら。

実は肋骨にヒビが入っており影響を懸念していたが、腕力が必要なシーンはなく助かった。最後尾とのすれ違いも済み、登山口エイドに戻る。「トレイルエリアで最低1リットルは持て」という指示は伊達じゃなく、フラスク水が底を尽きかけている。だがここの給水ももう不足気味で、ごくごく飲めない。代わりにきゅうりを無心でがっついてしまう。ごめんなさい、だって世界一美味しかったんだもん。またバナナと、フラスクに控えめ七分目ほど水を貰う。ここまでずいぶんゆっくりしてしまったから、30位近くまで落ちたんじゃないか。林道下りに入ると、エイドへの補充水を積んでいると思われるスタッフカーとすれ違う。林道脇の水場から汲んだな?

諦めずに走っていればじわりじわりと前走者が見えてくる。つーか歩いてやがる。林道エイドはアクエリアスが残っててラッキー。ここからも気を緩めず、一つ一つ順位を回復させてゆく。ロードに入った所で靴の中の小石を取りたかったが、少しでも前を追うという気持ちの方が強く、そのまま走り続ける。レースの気持ちに戻ったのだ。するともう、わらわらと現れる歩行者たち。ショートコースのランナーがまだコース上にいるのかとゼッケン色を確認するが、確かに山頂コースだ。ヒャッハー、こりゃ楽だぜ。しかし各々、この猛暑ではそうするのがベストと判断してのことだろう。正午の太陽が照り付け、常識的には運動が禁止されるべき気温。予報通り36℃近くに上がっているものと思われる。自分の身体もギリギリのレベルで闘っている。はたらけ俺の細胞。

ラストの酷暑坂

これだけ暑いと、途中トイレに寄ることはない。緑のコロシアムエイドで最後の給水(アクエリ、水、塩飴)を摂ってからは、フラスクの残り水と相談しながら進む。もっとこまめにエイドが欲しいところだ。復路は針尾集落の中を通るルートで、住民が暖かい声や冷たい水を掛けてくれる。極めつけは消防ホース! 思わずバンザイ突撃して、無事ずぶ濡れ。

旧役場あたりでも数人ぶち抜き、20位以内に返り咲いたか? ラストにかんかん照りな南斜面の登り返しがあり、ここで倒れたら焼き土下座になる。これが長くまた脚がつりそうで、何とか走っている状態を維持するのが精一杯。登り切ってキャベツコーナーをクリアすればゴールゲート。12時18分過ぎ、スパートを決めつつフィニッシュのテープを切った。成し遂げた! 振り返って一礼し、ふらふらと座る。ゴール後の動線が分かりづらいがまずミウスポーツと、雪のような物を受け取る。これがアイシングに凄く有り難い。飲み物もやっとゴクゴク飲める。

ふるまいのサラダ等

さらにふるまいのサラダ、冷製ミネストローネ、おにぎりに辿り着く。生き返る〜。さすがに食欲はなく、おにぎりはちょっと喉を通りにくかったが。水浴びをして、完走証を受け取る。タイムは手書きで5時間18分40秒と記載され、順位不明。トレイルエリア以外は我ながら良く走ったなと思う。また喉が乾いてファミマでコーラを呷る。新庁舎の中はWi-Fiあるしエアコンが効いているが、寒くて体調を崩しそう。外は凄く暑いし困ったもんだ。

日向で誘導やアナウンス等しているスタッフさん達は、炎天下によく耐えられるなと思う。選手として走ってたほうが楽ちゃうか。男子表彰式も照り返しの強い駐車場では、関係者以外に私しか見ていない状況。式に駆り出される村長さんも大変だが頑張っている。レースはサバイバルの様相で、完走率とかどんなもんだったんだろう。ちなみに優勝者は消防士だそうで、さすが熱に強い職業柄。

女子表彰式

14時にタイムオーバーとなる。つまり7時間制限だった。女子表彰式が始まるって所で救急車がやってきてグダグダになるが、この暑さでは仕方ないか(呼んだ人は何とか回復し救急車には乗らなかった)。改めて表彰式再開。女性トップに結局追いつけなかったなー。

帰り際にフル装備のチャリを曳いていたら、ボランティアスタッフのお姉さんらが野菜をくれた。異常気象?で野菜高騰のおり、有難い。旅に出るまでの6日間で食べきろう。帰路はお夏の碑を見ていく山形村ルート。帰宅するなりシャワーを浴びて、数年ぶりに扇風機を稼働させる。室温が外気温以下には下がらないけど。県知事選の不在者投票は済ませてあるし、バタンキュー。

公式サイトで完走率57.3%と発表されたが、山頂に到達せず途中で引き返した人にも完走証を発行してしまったためか正確ではなく、後日54.5%に訂正された(男子57.6%、女子37.0%)。まるで富士登山競走、おっそろしいなあ。聞いた話によれば、トップ争いをしていた選手がゴール寸前で倒れて救急搬送されたとか。まさにサバイバル、伝説のレースになった。自分の順位は23位。終盤に抜きまくっていたのは途中で引き返した人々で、ヒャッハーはぬか喜びだった。上位進出は甘くないね。

振り返ればまず「過酷」の二文字が思い浮かぶし、水分を1リットルは持つ必要があるなど自己責任も大きい。でも他にはない良い経験が出来たし、チャレンジし甲斐たっぷりで、お前もやってみろよと人に勧めたくもなる大会だ。自分はトレイルエリアでの弱さが際立った。これを克服できれば、来年はもっと上を目指せるかも。ともかく記念すべき第1回大会で無事生還できたことは、誇りに思おう。

結果

第1回日本三百名山鉢盛山2447登山マラソン大会 鉢盛山コース38.3km 公式リザルト
記録(手計測による) 5時間18分40秒 (最速者3:50'40", 最終完走者6:55'22")
男子高校生以上クラス順位 12位 (/完走43名/出走59名/申込71名中)完走率72.9%
男子順位(45歳以上含む) 22位 (/完走87名/出走151名/申込176名中)完走率57.6%
総合順位(女子含む) 23位 (/完走97名/出走178名/申込203名中)完走率54.5%
※他にあさひプライムコース8.6km申込103名、ファミリーコース2.3km申込12名あり

リンク

公式Facebook写真より、途方に暮れてるシーン
日本三百名山鉢盛山2447登山マラソン
公式サイト。大会概要、最新情報など。FacebookやTwitter発信もあり。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。

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