富士急行2000系電車フジサン特急

LAKE KAWAGUCHI NIKKAN SPORTS MARATHON

第33回 河口湖日刊スポーツマラソン 参戦記

2008.11.30

日記

11月29日()大会前日 「フジクリ フジクラ」
フジサン特急路線図

松本から輪行で自転車を連れてくるつもりが、錆びて分解できない状態なので諦めた。登山用ザックに荷物を放り込み、山梨県方面への普通列車に乗る。あ、デジカメ忘れちゃった。ケータイので我慢するか…。大月で降りるといよいよこの旅のメインイベント、富士急行の乗車体験だ。
やって来た列車は追加料金300円のフジサン特急。この、厳格な鉄道会社とは思えぬ、ネジの外れまくった車内外のイラストの数々に憧れてたんだよなぁ。先頭車両の展望席がまだ空いてるので、さらに100円追加で展望チケットをゲット。最前列は後から来た親子に譲ったが、それでも運転士気分の旅は格別。…なんだけど富士『急行』の『特急』のくせにひどくゆっくりで眠くなった。意外なほどの急勾配をフニクリフニクラと登って行く。河口湖って松本より標高あったんだ。

やがて目前には傘雲を被った霊峰が迫る。日本に何も誇るものがなくなっても、最期に富士山だけは残る。そう思い返さずにはいられない。

終点の河口湖駅で下車し、歩いてマラソン会場に着く頃には湖畔の夜景が始まっていた。私の金銭感覚では到底泊まれない、きらびやかなホテルや旅館が立ち並ぶ。会場はさすが大手スポーツ新聞社が主催するだけあって、北京オリンピック金メダリストのサムエル・ワンジル選手やアイドルグループのメロン記念日などがいて賑やかだ。受付で貰った参加賞は小さめのメッセンジャーバッグ。早速使いでがありそうだ。

河口湖夜景

湖畔をしばし歩くと河口湖大橋の南詰、ニューブリッヂキャンプ場に到着。十年前のサイクリング部秋合宿でも泊まったことがあるから、懐かしいし安心だ。持ち込みテントでも一泊1300円はちと高いのだが、対応には好感が持てた。明日は午後まで張りっぱなしで構わないという。
ぼくの秘密基地が建ったところで、あとはどう歩き回ろうと自由だ。参加賞に小荷物を詰め、まずは街の小さな『喜楽食堂』でほうとう鍋を食う。カボチャなど野菜たっぷりで旨かった。次に温泉。なんか寺を意識したような施設に入ったが、ここは悪い意味でネジが外れまくっている。あとはコンビニで朝食を調達して基地に帰ろう。

4月のフルマラソンサブスリー、5月のウルトラマラソンサブテンで心身ともに燃え尽きていた。もう長距離は、いい…。しかし星に手を打たずんば石は伸びまい。そう思って仕切り直しのマラソン大会参加である。仕事が比較的忙しくなったこともあり、9月と10月のジョギングは計40kmずつ、11月は計140km程度と練習量が春までより大幅に落ちている。体脂肪率もついに20%を切れないままの体で、明日はどこまで。

11月30日()大会当日 「富士山麓記録啼く」
朝焼けの富士山と河口湖

朝5時に起きても外は真っ暗だし、寒くて寒くてとても寝袋から動けない。最低気温2℃はこの時期としては若干暖かいようだが、それでも防寒対策が足りなかった。寝袋に入ったまま朝食にパンを食う。本当はおにぎりが良かったのだがコンビニで売り切れていたから仕方ない。
少し明るくなってきてようやくウォーミングアップに出る。見事に雲一つなく、富士山がどーんと構えている。もたもたしているうちに時間がなくなり、慌ててテントに戻り着替えをする。走ってりゃ暖まるだろうし半袖でいいや。靴はアディゼロLT3と、やや弱気。

走って会場に行くが、集合時刻の7時10分を少し過ぎてしまい、後方からの整列になってしまった。今回は細かい記録を気にしないからいいが。挨拶台に立ったアキバ系アイドルという伊藤芽衣のアニメ声たるや、他の大会でお馴染みの千葉ちゃんよりも脱力を誘う。おかげで緊張もなく、7時30分の号砲を迎えた。スタートラインを通過するまで約3分。

この渋滞を抜けるまで、とにかく自分の適性位置までプッシュ、プッシュ。それなりに何とかなる道幅がある。改めて富士山がデカいな。今の実力がどんなもんか分からないので、ペースは多分飛ばし過ぎだけどテキトーである。ベストを尽くそうなんて気負いも無い。でもこれが最後のマラソン出場になるかもという考えが時々頭をよぎるんだよな。
日陰はまだ寒く、もうちょっと厚着にすれば良かったかと。さて8km地点の給水所で前走者が急に止まり、避けるため路肩の砂利に足を踏み入れ、ソールの空気穴に石が挟まってしまった。片足でぴょんぴょん跳ねながら何とか除去する。つーか給水所で止まるなよ!

河口湖大橋は2回渡る

キャンプ場にある自分の赤いテントを左手に見つつ、河口湖大橋を渡る。ギャラリーが多くて嬉しいところだ。しかしさっき砂利を踏んだ時に、靴の中にも小石が入っていたようだ。それが気になるようになり、とうとう15km地点で靴紐を解いての排出を余儀なくする。フルマラソン中に立ち止まってしまうのは初めてだが、放っておくと激痛を残すから仕方ない。ペースを合わせていたライバル達を見失ってしまったのが精神的に痛い。

コースは奥河口湖方面へ。景色は風光明媚の一言。およそ4分30秒/km少々の好ペースで河口湖一周を終える頃、『ファンランの部』に出走しているさっきのアイドルがチーム芽衣を引き連れてうろうろしているのを発見。11kmとは言えメイド服で走ろうとは大したものだな?

河口湖マラソンマップ

『フルの部』は25km地点を過ぎ、もう一回河口湖大橋にかかる。しかし渡り終えた所でガクンとペースが落ちてしまった。これ以上の距離を練習してなかったツケだ。それでも試供品のザバスパワージェルを飲んで間もなく、ある程度は持ち直しに成功。二周目ともなると『27kmの部』を含めた周回遅れが大勢いるので、順位が上がってるのか下がってるのか良く分からない。ただ遅い人ほど横に広がる習性があるので、正直追い抜きには苦労する。

朝食をパンにしたのはやはりマイナスで、消化がうまくいっておらずエイド食が喉を通らない。35kmを過ぎ、グロス3時間20分なら何とかなるのではとペースアップを図るが、補給不足で両腕が痺れまくってるし、漸減するペースはどうにもならず、疲れるに任せたペースに落ち着く。まぁ体はいっぱいいっぱいなんだけど、時間的にはあっという間に終盤になってしまった感じ。ウルトラマラソンのように延々と死の行進をしなくて良いから、気分だけは楽かも。
オールスポーツカメラマンの前では元気にポージング。下手に手を挙げると痺れがひどくなるが。

富士山を背にラスト1km

5分/kmを僅かにオーバーするペースになったが、河口湖大橋の手前を右折すると周回遅れが消え、ゲートへの湖畔路となる。ラスト100mだけ捨て身のスパートを行い、これがマラソン人生のゴールとばかりに大きくガッツポーズをしてフィニッシュ。ああ、下らねーことやっちまったな。でも精一杯って気持ち良い。
チップを外し、完走賞のTシャツを受け取り、防寒シートもくれる。これが無いと風邪を引きそうだ。そして記録証は3時間22分余り。前回長野より30分近くも遅れて、お前どーしちゃったのと自分に吐き捨てたくもあり、今の体で良くここまで引っ張れたものだと労いたくもあり。

ゴールの船津浜

ゴール後の豚汁&バナナが旨い。河口湖マラソン、グレイトだぜ。足を引きずるようにキャンプ場へ戻り、もう自由には動かぬ体で我が移動式住居を撤収する。下手にチャリを持ってこなくて良かったかも。ザックを背負って会場に戻りつつ、写真を撮ったり。まだ豚汁とバナナがたっぷりあるぞ。ぶっちゃけ昼食替わりに充分だ。
やがて去る時が来た。さようなら。今後マラソン趣味をどうしていくかは良く考えたい。ただ今日について言えるのは「楽しかった」ってこと。

帰りの富士急行は各駅停車のトーマスランド号。これまた愉快な列車である。途中駅で登山客を拾いつつ大月着。改札窓口で土産にフジサン特急飴を買い、中央本線に乗り換えたらあとは楽々松本へ…。

勝沼ぶどうの丘より甲府盆地

ちょっと待った。勝沼ぶどう郷駅で途中下車するぞ。いっぺんここの“ぶどうの丘”に寄ってみたかったんだ。駅から丘を20分歩き登頂すると、甲府盆地の眺望が素晴らしい。ここの温泉は塩素がキツいけど、露天から眺める夕日は絶品だった。山の端に沈んでもなお、南アルプスが燃えるようである。売店では土産菓子と自分用のワインを買い、駅に戻る。あとは今度こそ松本直行。
松本駅からウチまでまた30分歩く。良く走り良く歩いた昨日今日だった。ちょっと膝を故障したかな…。さ、ワイン飲もう。

結果

フルマラソン公式リザルト
グロスタイム(公式記録) 3時間22分11秒 (最速者2:23:20, 最終完走者5:58:44)
ネットタイム(参考実質記録) 3時間19分13秒 ※スタートラインからのタイム
一般男子18〜34歳 種目順位 156位 (/完走1978名/出走2206名/登録2353名中)
総合順位(35歳以上,陸連登録者,女子含) 482位 (/完走6187名/出走6778名/登録7391名中)
天候:晴 気温:2.7℃ 湿度:66% 風向:西の風1.0m (午前7時00分現在)

この大会への参加は、翌年夏にかけての『富士山をテーマにした一年間』の序章となった。


リンク

オールスポーツによる写真
河口湖日刊スポーツマラソン公式ページ
大会要項や各種データ、写真など。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

記録証

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