高野山大門

自転車旅行記

高野山と大阪湾, 急行きたぐに

2012年1月1〜3日

日記

1/1() 紀見・ア・ブレイク

去る12月28日の早朝に松本を発った。マイナス7度という冷え込みの中での輪行作業だったが、「ハンドルステムが外れない問題」が「ステムをヤスリで削りボルトを外から回す」という強引な方法で解決し、久々にチャリを電車に積めるのが嬉しかった。JR特急と近鉄特急を乗継ぎ大阪府羽曳野市に移動。古市駅前で餅売りの仕事を大晦日までこなした。

29日、30日、31日。

二上山と南河内の山々に昇る初日の出

迎えた元旦。「旦」の下棒が南河内の山々を表し、その上に新年の日が昇る。そんな景色を石川越しに眺めつつ、自転車で東高野街道旧道を南へ走り始める。まもなく長野駅前を通過するが、八十二銀行があるわけじゃない。
さらに高野街道を南下し、千早口&天見の南海線2駅に(なぜか)寄り道。交通量の多いトンネルは避けて不法投棄の多い旧道に入ると、ダイヤモンドトレールのコースを横断して紀見峠に到着する。付近は標高400mの集落になっており、福島大神は腰痛の神様。ええと、ここが初詣になるのかな。これで今年は腰痛に悩むことはないだろう?

上古沢付近

橋本駅に下りて紀の川を渡り、早目のコンビニ昼食を摂る。元日からの営業、頭が下がる。学文路いきまーす。
信州人なら一度は流されたい九度山町は、入ってびっくり。上田市か長野松代に迷い込んだかの如く、至る所に六文銭マークだらけである。善名称院に真田親子を偲び、さらに南へ分け入ってゆく。時おり南海電車の必死に上り下りする軋み音が、深い谷に響き渡る。

不動坂の登り口、極楽橋

こんな奥地にも集落はあるんだな。八坂神社を過ぎるとクルマの往来もない狭い道となり、終点は極楽橋駅。ここは基本的にケーブルカーへの乗換用なので、外側は何もない。何日前に積もったのか、雪が路面に残っている。ここから先の不動坂は大丈夫なのか?

大阪から高野山に向かうサイクリングの様子は猛虎参號さんのブログなどが参考になるが、不動坂を登ったとするブログはちょっと検索した限りでは見つからなかった。ならば自分で確かめてみようと来た訳だが、なんだこの雪道は。石畳風だったりコンクリ舗装だったりする路面の上に土砂落葉や雪が積もり、ほとんど押し歩きになってしまう。餅売りの残りを何kgか積んでいるのもアダになっているし、ああ腰が痛い。不動堂までは行き交う人もなく、さらにアイスバーンで後ろに下がってしまうことも。脳内にThe Koya-Sambaをリフレインさせて肩で息をしながら、何とか峠の女人堂に辿り着いた。標高860m。

高野山境内

さあ山上の宗教都市、高野山だ。しかし初詣で賑わっているかと思ったらそうでもなく、平常運転の様相。なんせ松本市より寒いのだから、この時期に来ようと思う人は少ないのかも知れない。また自分も時間が押してきたため、徳川家康・秀忠霊台や金剛峯寺、大塔などをちょろっと見る程度だった。不動坂の印象が強烈だったため、高野山自体の印象は薄い。奥之院とか行きたかったけど、再訪する機会はあるのかな。大門から西へ、山を下りてゆく。遥か先には海と船が見える。

貴志川の夕日

ここから山中の鄙びた路を梨ノ木峠、黒川峠と越える。基本下り基調なので距離の割には楽に進む。標高が下がる程に柑橘類の畑が増えていくのが和歌山県らしい。時間に余裕が出てきたので和歌山鐵道の貴志駅にも寄る。タマ駅長は休業日だが猫型駅舎が面白い。ここからはライトを点灯し、渋滞の酷い日前宮前を経由、18時前に和歌山駅前の東横インに到着した。やっとゆっくりできる〜。
何か食おうと駅前に出るが、元日から従業員を働かせているのはファストフードやブラック企業系居酒屋くらい。まぁそのロッテリアで何か食えるだけ感謝。

羽曳野〜高野山〜大阪湾〜明石マップ
1/2() 澪標づくし
加太より淡路島など

ホテルの朝食バイキングをがっつり摂って、元気に出発。和歌山城を遠目に見つつ和歌山市駅前に寄って、お天気雨のもと南海加太線沿いに西へ向かう。昨日も今日も南海電鉄と一緒にサイクリングしてるな。いざ行け、無敵の若鷹軍団〜♪

加太港からは友ヶ島や淡路島、四国まで望む。北に向かうと旧道は自転車・歩行者しか通れなくなっており、少し登って寂しい大川峠に到達。これで峠は最後だ。付近からは遥か遠くに明石海峡大橋が浮かぶのが見える。あそこまで行くのか…。海沿いの道まで下りると波しぶきが襲い掛かってくる。チャリめっちゃ錆びそう。

マリンブリッジ付近

大阪府に再び入る。以前は深日港から淡路島まで船で行けたが今は廃止され、大阪湾岸を北東に進むしかない。ああ鼻水が止まらない。高低差があるマリンブリッジ&スカイブリッジを渡るとりんくうタウンに入る。関西空港まで輪行して高速艇で神戸に渡るのも面白そうだが、この強風じゃ運休かな? スカイゲートブリッジや飛行機の往来を眺めているとアラレが降ってきたので、ショッピングセンターに逃げ込みフードコートで昼食にする。

ひとつ内陸側の府道204号を行く。道幅的には走り易いが、信号毎に引っかかるので予定に遅れが生じ始める。岸和田城の周りは朝ドラ「カーネーション」の舞台であることを宣伝するピンク色の幟がいっぱい立っている。そういえばそうだった。諏訪の御柱並に危険な祭りと云われる岸和田だんじり、一度は見てみたいな。相変わらずストップ&ゴーでなかなか距離が進まないが、堺駅前を経由して西成区へ。

千本松渡船

木津川を渡る千本松大橋はループ橋で相当な高さがあるため、市営の無料渡船が残されている。よっ、大阪市政太っ腹! 市章の澪標(みおつくし)マークは渡船にこそよく似合う。数名の市民とともに乗り込み、大正区に上陸する。
港区へ渡るなみはや大橋は有料道路だが、歩道を押して歩く建前の自転車は無料。細いくせに高さがあるので、大都市の見晴らしがとても良い。りんくう付近の橋と同様にジョガーが多い印象。頑張って上り下りし、天保山の登山へ向かう。と言っても日本一低い山、一段低くなってる所が山頂三角点らしい。安治川を渡るにも市営無料渡船を利用させていただく。大満足で此花区に上陸。

甲子園球場

ユニバーサルスタジオジャパンからの絶叫をあとに、国道43号で淀川の西へ渡る。兵庫県に入って間もなく、甲子園球場に到着。もっと蔦がいっぱい絡まったようなのを想像してたが、外装は新しくしたのか。歴代優勝校を刻んだプレートがあって、松本商の名も見つかった。
そんなこんなで予定よりもう2時間は遅れ、ライトを付けてのナイトランに突入する。こうして他に何もしないで日が暮れるまで走ってられるって、幸せなんだろうな。
しかし車道を走るか歩道を走るかの判断に迷う道が続く。信号ストップも多いが脚は元気に回っている。神戸市内に入ると国道2号と合流。観光をする余裕はなく、三ノ宮駅前を過ぎた。心臓よもう少し頑張ってくれ。

明石海峡大橋夜景

明石海峡大橋の威容が目前に迫る。ついにここまで来れた。淡路島便のフェリー乗り場まで走れば、かつてここから下関まで走った道と接続。あの頃は橋が完成前だったから賑わっていたけど、今は寂しい雰囲気だ。
さてここで「らーめん むらよし」という店を探す。むらよしでグーグル検索をかけるとトップヒットするから、勝手にライバル視しつつも一度食べてみたかったんだ。しかし正月休みなのか看板すら見付けることができなかった。仕方ない、また来よう…。明石焼きの店「ギャラリーであい」が開いているだけラッキー、そのタコ焼き型タコ入り卵焼きを出汁に浸けて食う。まぁうまい。列車に乗る前にサッパリしたいから、ちょっと自転車で戻って龍の湯という温泉に入っておく。混雑しているうえ時間もなく、体を温めるのは諦めてサッと入るだけ。

大阪駅の急行きたぐに

明石駅で輪行し、初めて山陽電鉄に乗り込む。直通する神戸高速鉄道、阪神電鉄も初めての乗車体験となる。でも夜だし、車窓を見るよりはケータイでブログ打ち込みに集中しているうちに、梅田駅に到着した。
少し歩けばJR大阪駅で、まもなく夜行急行きたぐにが入線する。うっわっ写真撮影してる人が大勢だ、って俺もか。一応客だけど。再来月に定期運転が廃止となるため注目度が高まり、全グリーン席・全寝台とも売り切れたとか。今回お得な「パン下中段」をゲット出来なかったのでじゃあ人生初のグリーン車を、ということにしたのだが、どうせなら寝台にしときゃ良かったかな。

23時27分出発。鉄道唱歌のオルゴール音を聞きつつ、梅田の街を離れてゆく。新大阪を過ぎるとさすが元特急用車両だけあってかなりスピードを出す。くたくたの体は、検札が来る前に眠りにつく。

1/3(火) 大糸線はシャッターチャンスも多いと

グリーン車だけあってシートピッチはたっぷりだが、リクライニングでかえって脚腰に負担が掛かる部分があるし、隣りに人が座ってるしでグッスリとは眠れなかった。ケータイの振動で目を覚まし、やがて車掌さんも起こしに来てくれる。雪のなか遅れもせず、未明の北陸本線糸魚川駅で下車する。さよなら、昭和の香りを残して走り続けた583系。

大糸線車窓、木崎湖付近

大糸線はJR西日本量産の気動車キハ120形。新幹線開業に伴う存廃問題があるためか、乗客ひとりひとりが聞き込み調査を受ける。今の時期はスキー客がメインのようだな。やがて明るくなると、外は雪景色が凄い。南小谷からはJR東日本の電車となり、なお車窓は素晴らしく、青木湖や木崎湖がハイライトとなる。
信濃大町で乗り継ぎ松本が近づくにつれ、初売セールにでも行くのであろう人々で混雑してくる。松本まで乗るより運賃が若干安くなる島内駅で下車し、チャリを組み立てて少し走れば無事帰宅。旅は終わった。ここ一週間は古いケータイでニュースやツイッターを一部かじっていた程度なので、久々にインターネットに帰ってきた気分だ。ああ、堕ちてゆく。

筋肉痛と寝不足でだるいが、明日はどうせもっとだるくなる。松本の寒さにびびりつつ、春の長野マラソンへ向けて近所の田溝池〜浅間温泉の12.5kmをゆっくりジョギングした。


まとめ

高野山不動坂、千本松渡船、天保山渡船、急行きたぐにではデジカメで動画も撮影していたので、前後の写真と合わせて編集し、この旅行記に先駆けて公開しておいた。目的がバラバラで取り留めのないスライドショー動画だが、小旅行の雰囲気をより味わいたい方は見て欲しい。(補足としてきたぐに車窓の単品動画もアップ。)

ニコニコ動画:高野山&大阪湾サイクリング ミニ動画旅行記
YouTube:大阪発急行きたぐに 右側車窓

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