長野マラソンタウンのドーモくん

The 14th NAGANO OLYMPIC COMMEMORATIVE 2012 NAGANO MARATHON

第14回 長野オリンピック記念 長野マラソン 参戦記

2012年4月15日

経緯

昨年の長野マラソンはその前月に東日本大震災及び長野県北部地震が発生し、開催の可否について運営で相当な葛藤があったようだ。大勢のボランティアによって支えられる大会でもあり、結局「十分な安全対策を確保できない」ことを理由として中止。全参加料相当額やタオルなどは被災地に送られた。
今年は「再出発の大会」となる。昨年エントリーした人には優先エントリー権が与えられ、あのランネット接続戦争を回避することができた。二次募集枠もあり定員はついに一万人の大台へ。ちなみにエントリーフィーも手数料やチャリティーを含め一万円の大台に乗っている。

一年を通じて一番楽しみなマラソン大会が復活して嬉しい。ここで、完全に「過去の栄光」となっているサブスリーを、もう一度達成したい。しかしトレーニング量は1月から3月まで、辛うじて300km/月を上回る程度。それにスピード持久力を上げるための辛い練習はしなかった。何とか本番の気合でカバーできるだろうか?

日記

4月14日()大会前日 「もえる男の赤いゼリー」

近頃の睡眠不順を気にしつつ、昼に松本から長野へ向かう。一昨年まで使っていた松本バスターミナル発の高速バスが土日廃止になってしまったので、今年は電車だ。信州往復きっぷと信州特急料金回数券の組み合わせで往復2530円と、案外安いながら贅沢気分でL特急しなの号に乗る。この区間で特急は初めてだが、姨捨でスイッチバックを体験出来ない代わりに景色の案内放送が入るのね。今日は生憎の雨空である。

前日受付のビッグハット

長野駅からシャトルバスを横目に靴を濡らしながら歩き、やってきました長野マラソンの受付会場ビッグハット。参加賞の黒いTシャツは比較的ツカエそうだ。出展ブースではある商品を探し回るが、無い。呼吸に不安があるので鼻孔を拡げるアレが欲しい。あの柏原選手もしてるのに流行ってないんだな。諦めて、初めて見る赤パックのアミノバイタルパーフェクトエネルギーだけ買ってみる。明日のレースに組み込む予定。

歩いて駅に戻り、長野電鉄の駅そば「しなの」でチートロ玉うどんを立ち食い。カーボローディングになるかな。さらにコンビニで夜食用のパンを買い込んで東横インにチェックインする。…すぐに食べ尽くした。夕方、テレビでナディアの再放送を観てる途中で眠りについてしまい、24時過ぎに起床。付けっぱなしのエアコン風に体力を奪われ、頭が痛い。あわわわどうしよう。近頃やはり睡眠習慣がおかしい。とにかくシャワーを浴びて寝直そう。

4月15日()大会当日 「痛の字を あつめて遅し 千曲川」

朝起きて頭痛はむしろ悪化している。たくさん食べれば治るよ!とばかりにホテルのおにぎりを6個、おかずも大量に摂るが、これって体を重くしただけのヤケ食いか。一昨年のマウンテンサイクリングin乗鞍でも頭痛に苛まれて思うように走れなかった。スタートまでに痛みよ引いてくれ、と祈るような気持ちだ。

スタート前の荷物預け

参加者が増えたから列車も混む?と予想していたらそうでもない。ランナー用乗車券を使い長野から北長野まで、臨時列車は見送り飯山線方面へのキハ110形2両編成に乗る。これだと北長野駅で跨線橋渋滞を回避できるから。
下車してからランナー達のゾロゾロ歩き。自分は列を外れて人の少ない道を抜け、スタート会場の長野運動公園アクアウイング前に到着。ハイテンションなMCや英語の案内放送があって、ビッグイベントらしい雰囲気に満ち溢れている。ずらり整然と並んだ荷物トラック、給水のあるウォーミングアップゾーン、的確なトイレの案内。一万人規模の大会になっても、長野マラソンは長野マラソンである。

雨は止んでもサブトラックの砂地がまだ濡れているのが難。ともかく軽く2周してみる。さらに上着を脱いで本番態勢になり3周。…頭痛が引かねー。この体調だと規約上は棄権するか慎重に走るかしないといけないが、まだ自分の力を信じている。悲願達成の暁には新しいiPadを買おうと思っているんだ。荷物を預け、陸連登録者以外では最前となるCブロックに並ぶ。頭に巻いている汗止めのバンドが孫悟空の輪っかみたいに締め付け痛く感じるので、少しでも和らげようと外して手首に巻いておく。調子が出ないとき特有の、トイレ近い感があるなぁ。スタート時刻が近づく。ゲストの高橋尚子がマイクで「今日は直射日光がなく絶好のランナー日和で」と言った途端晴れてくる。

体調管理には失敗したけど、それなりに練習量は積んだんだ。こらからたったの3時間で42.195kmを片付けちゃおう! 8時30分に号砲、58秒でスタートラインを通過する。

やはり始めの1kmは陸連登録のバックマーカーが邪魔だ。奴らも後ろからガンガン抜かれるのを覚悟の上でのんびり走ってるんだろうから、多少無理して体ぶつけてもいいよね? でも4'48"かかる。ここからはバラけて自由に走れるので、サブスリーペースに向けてロスを取り戻そう。4'04"/kmで2km、3kmと進む。ちょっと前のめりすぎ、もうペースを緩めましょう。したらビハインドが増す展開。善光寺前の下り坂、いつもの男声合唱による「信濃の国」は中間のメロディが変わる辺りだった。ここからもう一度スタートロスの縮小にかかる。5秒ずつ、5秒ずつ…。天気予報とは逆に西風気味で、このへんはそれに助けられている。それでも無理に引っ張ってる感がある。

14〜15kmが4'28"に落ちて「あれ!?」と思ったら次の1kmが3'58"だったので多分表示ミスだろう。でも、明らかに力に余裕がなくなってる。Mウェーブの折り返しで1個目のパワージェル。さらにエイドで塩熱飴を口にする。それでも勝てる気がしない。ペースが4'20"以上に落ちて、ビハインドばかり大きくなる。五輪大橋のちょっとした上り坂もキツく、誰にも付いていけないし、腹の調子も怪しくなってきた。目がトイレ表示を追うようになる。

長野マラソン10マップ

中間地点で1:30'46"。まだだ、まだわからんよ? 一万人ハイタッチすると宣言していた高橋尚子に遠慮無く手のひらをパチンとさせ、何とか逆襲に転じよう。

でも腹痛が…。折り返しですれ違った3時間ペースランナーを見て「あれに追いつかなきゃ」と思うも、力が入らない。やはり棄権するのが正解じゃないか。どうするんだ。
少なくとも無理にゴールまでこんな惨めな気分で走るよりは、いっそトイレに駆け込むのも経験のうちだろう。24km地点手前、4分余のロスと引き換えにずいぶん走り易くなった。さあ絶望からの再出発だ!

さすがにこれだけ後退すると、ガンガン抜けて気持ち良い。いっときはサブスリーペースを作り直す勢いで、昨日買ったアミノバイタルパーフェクトエネルギーを飲む。まぁ開き直って、沿道の応援を楽しみながらのランだ。知り合いに名前で応援されてるランナーが羨ましいなぁ、などと考えていたらホワイトリング前で「むらよしさん!」の声がかかる。jagen radのTさん、よく私が分かったなぁ。ありがとうございます。とにかくこのレース、ずーっと頑張れ頑張れの声援が聞こえるから(途切れるのは五輪大橋の上くらい)、頑張らぬ訳にはいかない。

今年の長野県は、このまま咲かずに春が終わるんじゃないかってほど桜の開花が遅い。梅や菜の花はキレイ。遠くには志賀や北信五岳、北アルプスが雪を冠っている。更埴橋での「ふるさと」オカリナ演奏が、千曲川の光景に似合いすぎていて少し涙が浮かんだ。ペースはまた緩やかに落ちてきているが、精一杯頑張っているつもり。桜つつみ公園では消防団ラッパ隊の演奏、最高にカッコいい。よく晴れてるけど、暑すぎるほどじゃない。岩野橋で2つ目のパワージェル補給。

友人に「予想3:03'くらいだけど条件次第で3時間切れる。信濃毎日新聞に結果載るよ〜」と大見得切ったことを少し後悔しつつあと6km。「このぶんだと3:15'切れるくらいかな」と考えていたら3:15'ペースランナーが結構な勢いで抜いていった。誰も付いてってなかったけど、ちょっと戦意喪失。しかも肺が痛くなってきた。近年自分を悩ましている呼吸困難症の前兆だ。もう呼吸量に制限が掛かり、無理はできない。これ、満身創痍って言葉で表現してもいい状態じゃね? 足のダメージは左小指に軽くマメができてる程度だが。とにかく丁寧に、5'00"/kmペースを大きく外さないようにコントロールして残りの距離を減らしていく。

40km地点通過。先月の松本空港10km走でラスト2km失速の反省から、ここからしっかり走る。長い長いストレートを終え、左折して南長野運動公園の園路。ここの鈴なりの応援は本当に凄い。これを聞くため、受けるために42km走って来たんだ! オリンピックスタジアムに入るとオレの味方、人工芝。一気にあと数人抜きにかかる。

やはり完走は嬉しいものだ。笑みのこぼれるフィニッシュ、3時間14分27秒。そりゃあ、当初の目標より大幅に遅い、あの練習の日々は何だったのか、私にとってマラソンとはこんなものなのか、もうサブスリーなんて俺の体や精神力では無理なのか、一番楽しみなレースで体調を崩すなんて愚か過ぎやしないか、…いろいろ考えるべきことはあるけれど。泣くのは帰って風呂に入ってからでいいよ。
ゴールすると、まずおしぼりを渡される。これは便利! 顔や腕の塩を拭けるのが良い。さらにフィニッシャータオル掛けてもらい、ゼッケン裏の計測チップ外しも上手にやってもらう。記念撮影コーナーは…気分じゃないな。若干のストレッチをして出口ゲートに行き、アミノバイタルプロ粉末、アミノバイタルドリンクPET、長野県産コシヒカリおにぎり(味噌野沢菜)を受け取る。さっそく全部食う。

長野オリンピックスタジアム

さっさと預けていた荷物を受け取り、着替えを済ます。あとはお楽しみの長野マラソンタウンへ。大きな祭りの雰囲気を楽しむように佐世保バーガー食ったりジェラート食ったり写真を撮り回ったり。スタジアムでは百人余りのダンサーがずらり並んでランナーを迎えている。凄い光景だ。自分の時はまだ居なかったんだけど。
やがて制限時間の5時間を経過。しかし39.9km関門を突破した人は全て計測されるから、全員のフィニッシュはまだあとのようだ。もう会場を離れよう。シャトルバスは最初の信号までなかなか進まずやきもきしたがその後ぶっ飛ばし、篠ノ井駅に間に合わせた。昨日の昼以降断っているコーヒーを缶ながら解禁し、特急しなのの自由席に乗り込む。空いてて良かった。こうして善光寺平をあとにする。また走りに来ることはあるのかな…。

松本駅に着き、頭痛をこらえながら歩いて帰宅する。ツイッター仲間にも何人か長野マラソン参加者がいるので、それぞれの闘いをチェックしたり、激励を貰ったり。夕食は恒例の万両で麻婆ラーメンを頂く。明日は有給休暇を取ってある。自分としては異例の三ヶ月連続ランニングイベント参加を終え、青梅好走、松本凡走、長野悪走となった。悔しさがバネになるなら私はバネだらけの人になるが、ともかくこれからの自転車ヒルクライムシーズンを頑張っていこう。

結果

記録証
公式リザルト
記録 3時間14分27秒 (最速者2:09:05, 最終完走者5:19:27)
ネットタイム 3時間13分31秒 ※スタートラインからの計測参考記録
男子順位 697位 (/完走6560名/出走7417名/受付7788名/申込8508名中)
総合順位 733位 (/完走7652名/出走8756名/受付9212名/申込10033名中)
※人数は大会データページから、順位に関係しないゲスト及びペースランナーを減算。総合には女子及び視覚障害者を含む
8:30天候曇り,気温7.7℃,湿度78%,風向南西,風速2.4m/s

リンク

オールスポーツによる写真
長野マラソン公式ページ
大会概要やコース紹介、公式記録など。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

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