受付会場ビッグハットの寄せ書き

Unite Japan, Unite the world.

第17回 長野マラソン 参戦記

2015年4月19日

経緯

リニューアル長野駅

去年まで「長野オリンピック記念長野マラソン」という名称だった大会が、今年から単に「長野マラソン」となった。その方が上納金の削減になるのだろう。プログラムには「長野オリンピックの理念を継承し云々」と申し訳程度に触れられているし、実際冬季五輪をこなした経験が活きていることは間違いない。

土曜、特急しなのに乗って松本から長野へ。先月のダイヤ改正で東京発の北陸新幹線が富山・金沢へ延伸開業し「長野新幹線の終着駅」という地位を失ったが、数え七年に一度の善光寺御開帳もあり賑わっている。新しくなった駅ビルは大きな垂れ幕など、マラソン歓迎ムードに溢れる。東口広場でホルン六重奏の涙そうそうを聴いてから、受付会場のビッグハットへ。体調は回復しつつあるが、先週末に行った杖突峠越え47kmランの疲労が抜けていない。少しでも脚を休めるため、徒歩ではなくシャトルバスで移動する。会場の出店ブースで例年通りパワーバーセット、そして三七人参花サンプル付きのアミノバイタルセットを買っておく。アミノ粉末はレース前夜にも摂っておくのが良いとのこと。

明治亭ソースかつ丼

長野駅への復路はマツヤスーパーで夜食を買い出しするため歩き。夕食としては長野電鉄の駅そばを食う予定だったが、「SuicaペンギンとICOCAカモノハシのコラボあぶらとり紙」という特典に惹かれて駅ビル明治亭の駒ヶ根風ソースかつ丼にする。キャベツ多めが私の好みだ。

半年前に予約を入れておいた常宿ビジネスホテル、東横インにチェックイン。単にエアコンだけ点けると部屋がカラカラになるので、備え付けの加湿器が命綱。両足の小指にテーピング、というか絆創膏をしておき、22時過ぎ就寝。

日記

4月19日()大会当日 「3x3 RUNS」
長野駅の大庇・列柱(門前回廊)

どうやら疲労は抜け、丁度良い目覚め。毎度の戦闘服に着替え、混雑する朝食バイキングでひじきごはん、パン、そば、サラダ、漬物、ソーセージ、リンゴ酢を頂く。チャリティーエントリー特典の青い丸型タトゥーシールを左スネに貼ってチェックアウト。外は薄く晴れて、暖かくなりそうだ。

長野駅から北長野駅への移動は、北陸新幹線延伸前までJR信越本線だった。今は見捨てられ三セクの「しなの鉄道北しなの線」になっているが、ランナーに専用乗車券が配布されていることに変わりはなく。臨時列車より一本後の定期列車の方が、北長野駅構内の跨線橋渋滞を回避できて良い。いつもの隠れ小道でスタート会場の長野運動公園へ歩く。

昨年10月25日、一万人もの参加枠がある大会だがネットエントリーは開始28分で締め切られたと云う。自分も支払い認証の不具合で15分くらい掛かり、ちょと危なかった。2008年のベストタイム2:53'、そして去年もサブスリー達成の2:56'という実績から予想タイムを2:55'と入力。結果、与えられたゼッケンはC1246。A〜Cブロック選手の特権である陸上競技場ウォーミングアップを今年も享受する。速そうな外国人招待選手いるよー。一年前に買ってレースでは初陣となる戦闘機「アディゼロ匠 練」に履き替え、トラックを数周。あ、スタート地点あたりで警備用のドローンが飛んでら。

警備用ドローン

調子は悪くない。良い方だと思う。サプリ戦略は去年同様、ここで人参花、アミノバイタルパーフェクトエネルギー。パワーバー粘土もポカリで流し込んでおく。日焼け止めを塗って、汗止めヘッドバンドして、荷物を預け、まずまずの位置にスタート整列する。高橋尚子によるストレッチ指南のおかげで全く緊張しない。隣はどんな靴を履く人ぞ。練習量は去年よりガタ落ちしてるし、3時間を切るのは難しいだろう。でもこの調子なら、行ける所まで行ってみたい。序盤に飛ばすのはCブロックランナーの義務だし、あとはゴール地点で待っている連れを待たせたくないという気持ちで粘れるか。

8時30分の号砲から過去最速の39秒でスタートラインを跨ぐ。the Canadian Clubによる公式テーマソング「LOAD」の演奏を受けて始まる42.195km。この曲、テンポがランニングのピッチと同じなので、ずっと頭の中でリフレインするわ。ハローサンキュー、あの場所へ行こう〜♪

1km地点ラップ4'38"。ここから渋滞なくほぼ思い通りに走れるが、身体が重いという感覚が抜けるまでしばらく掛かる。特に線路をくぐる地形はずっしり。何とかサブスリーペースの4'15"/km前後を作りつつ5km地点過ぎ、走りながらで悪いけどちょっと振り向いて善光寺に手を合わせる。さあ沿道の応援が最も多い中央通りの下り坂。ここで落ち着かないと後半撃沈すると云われるが、そろそろ勢いを付けないと。マークする選手を代えながら、4'10"/kmを切るペースで「3時間ペースランナーとゆかいな仲間たち」を追う。

長野マラソン15マップ

10km過ぎ、ビッグハットのエイドで初給水。脚が硬くなるような感覚はまだ来ないし、もう少し押せ押せ。犀川の土手区間を過ぎ、対面走行区間で女子トップとすれ違う。15km地点でようやくスタートロスを回収し、YMCA応援に合わせてYMCAする。エムウェーブも吹奏楽などがある応援拠点。ユーフォニアムはどれだ。

ペースランナーに追い付けないまま五輪大橋を渡る。今年は去年まで無かった21km地点標識が設置されてるが、中間地点(21.0975km)との間隔が12秒って短すぎじゃね? ともかく中間1:29'00"。後半ダレることを考えれば最小限のアドバンテージしかない。やっぱ3時間を切るのは無理なんじゃないかと心に負け惜しみの準備をしつつ、もう少し押して参る。ようやく3時間ペースランナーとゆかいな仲間たちに追い付き、こいつらと一緒になりたくないというプライドで一気に抜き去る。ペースは自分で組み立てるもの! しかししばらくは背後から大勢の足音が迫る、というプレッシャーと闘うことになる。吸収されるとエイド給水も混乱するんだ。沿道の少年達とハイタッチする余裕もない、ギリギリ勝負。

パワージェルを摂って、25kmのホワイトリングを通過。脚がまた重くなるのを感じながら千曲川に出て、個人的な難関「27kmの壁」は突破。いったいどこでブレーキが掛かるのか、という恐怖との闘いになる。一旦土手を下りて30km地点通過。マークしてる選手に付いていけなくなったが、まだ何とかなってる。ふたこぶらくだと云われるアップダウンも味方だと思い込むようにしてクリア。土手に再び上る前に、トップ選手がゴールしたことを告げる祝砲が上がる。それだけ去年より自分が遅いってことだ。

空は曇り、ぽつぽつ雨が降ってくる。これくらいなら涼しくてとても楽だ。風も少ない。the Canadian Clubがまた土手道にワープして、声を枯らしながら演奏している。最終ランナーまで演れるのか心配になるが、とりあえず笑顔になれた。高橋尚子も「3時間ペースっすよー!」と絶叫しながらハイタッチしている。「ありがとう!」と今回はハッキリ返せた。パワージェルとアミノ粉末を摂りレース終盤へ。

だが、迫り来る大勢の足音。35km手前の岩野橋でとうとう3時間ペースランナーとゆかいな仲間たちに捕まり、しばらく付いてみるものの離されてしまう。ちょっと速すぎるんじゃないか? いや、私のペースが4'15"/kmより落ちているのだ。しかし残り距離が少なくなれば、どれくらいペースダウンしても3時間に間に合うのか、計算しながら走れる。それに応えて脚が意外に粘れているのは、先週無理をしてでも杖突峠を越え、スタミナ補強をしたおかげだろう。始め硬く感じたシューズもいつの間にか柔らかくフィットし、故障の原因にはなりそうにない。油断はするな。気の持ちようでペースは大きく変わる最終盤。もう思い通りに動かない脚で下手にスパートは掛けず、限界を見極めがなら走れ。

ゴールの長野オリンピックスタジアム

南長野運動公園内に新しいサッカー場が出来てて、あれがゴールのように見えるが実際は少し先の野球場。うう。41km地点で4'32"/kmまでペースダウンするが、よく粘ったものだ。大声援を受けながらオリンピックスタジアムに入り人工芝。もうダッシュは出来ない。両手ガッツを決めてから2時間59分01秒でフィニッシュ! 直後、ウォッチを気にして前の人にぶつかっちゃった。ともかく、やったー! ゴールは嬉しいものだよ。ウェイティングサークルで素振りは基本。すぐに3時間その時が来る。ギリの人、間に合ったかな…?

少しストレッチして、バスタオル、オシボリ、メダル、アミノPET、アミノ粉末ゴールド、おにぎりと次々に貰って、最後に計測チップを回収してもらって退出。ちょっと雨が強くなってきたか。預け荷物を受け取り体育館で着替えて、スタジアムで待っててくれた連れと落ち合う。最小限の結果を見せることが出来て良かった。レモンのはちみつ漬けを頂いて疲労回復。出店のケバブなども食って回る。早々とゴールしてしまえば体力が余るので、心だけでなく体もぴょんぴょん元気なものだ。長野マラソン最後の欠点、シャトルバス渋滞は少しスムーズになったか。

長野マラソンタウンのケバブ屋

篠ノ井駅からの帰路も特急しなの。混雑してて座れなかったが、先頭でかぶりつき疲労体の気を紛らわせる。後で知ったが信州特急回数券だと長野〜松本間は指定席でも空いてれば座れるんだった。ともかく無事帰宅し、ブログなどを淡々とこなす。

かつて月に300km走っても400km走っても、なかなか切れず涙をのんだマラソン3時間の壁。今年はなぜ、最大で三月の250km(+自転車通勤)というイージーモードでクリア出来たのか。ゴールに待ってる人が居たり、友人のシーズンベストを抜きたいなど「心」な要因もある。勝手知ったる長野のコースに合わせた作戦や新しいシューズは「技」。すると「体」は?

今年は美鈴湖のサイクルカフェピラータ通いなど、標高差のある練習が多かった。特に長い下り坂は太ももの前側にダメージを与え、「この程度で筋肉痛を起こすなんて走力が落ちたなぁ」と呑気に考えていた。これが、スピード持久力を司る大腿四頭筋を予想外に強化していたのでは。つまりマラソンで記録を目指すなら、距離なんかは脚を作る程度で良いから「長い下り坂」を重視すべし。そんな気がする。

3回サブスリーを達成したら、こんな不健康なマラソン趣味なんてやめるんだ。という考えもあったけど、もうちょっとだけ続くんじゃ。

結果

後日郵送された記録証
公式リザルト
記録 2時間59分01秒 (最速者2:11'39", 最終完走者5:12'26")
ネットタイム 2時間58分23秒 ※スタートラインからの計測参考記録
男子順位 346位 (/完走7128名/出走8067名/受付8465名/申込9181名中)
総合順位 355位 (/完走8357名/出走9541名/受付10041名/申込10888名中)
※人数は翌日発行の信濃毎日新聞や大会報告ページのデータから、順位に関係しない
ゲスト及びペースランナー(完走15名/出走17名/受付17名/申込17名)を減算。
総合には女子及び視覚障害者を含む。
8:30気象: 天候うす曇,気温9.6℃,湿度51%,風向東南東,風速0.6m/s

リンク

オールスポーツによる写真
長野マラソン公式ページ
大会概要やコース紹介、公式記録、テーマソングなど。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

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