フィニッシュ会場の長野マラソンタウン

Unite Japan, Unite the world.

第18回 長野マラソン 参戦記

2016年4月17日

経緯

元旦の熊本城

2016年を迎えた場所は、熊本駅前の東横インだった。駆け足ながら熊本城も見て回り、大勢の市民が初日の出を待っている姿が思い出される。わずか四ヶ月後に容赦無い大地震の連続に見舞われ変わり果てた姿になるとは、夢にも思わなかった。心痛むが、遠く離れた我々が普通に出来ることは少々の義捐と、経済をなるべく回すことだけだ。尤も長野マラソンの開催日があと数日後だったら中止になったかも知れない。今は松本の自衛隊が急遽、祭典を中止にして現地に向かった段階。物資やボランティアの支援体制が整うのはこれからだし、勢いで大会を開催している感はある。

シルバーゼッケンとチャリティーエントリー特典

土曜、自宅で早めに昼食を済ませ松本から鈍行に乗る。E127系2両の運行だが、座れてラッキー。熊本や大分のニュースをこまめにチェックしているうちに長野に到着する。歓迎セレモニーは自粛気味か。足とシューズ(アディゼロ匠練)の調子をみるため、受付会場ビッグハットへの往復は歩きにする。う〜ん…先週末に痛めた左足首に違和感が残る。受付では、十回目(中止回含む)の参加ということで憧れのシルバーゼッケンをゲット。係員に一言貰えるのも嬉しい。但し布製の為かホルダー用の穴がないので自分で開けることになる。ともかくこのゼッケンで走る以上、模範となる走りをしたい。出店ブースでパワーバーセットや三七人参花サンプル付きのアミノバイタルセットを買って、総合案内に熊本地震への義捐金を託す。長野駅の明治亭でヒレカツ丼を食って、スーパーで夜食を買って、東横インにチェックイン。いつの間にポイントが貯まってて今回無料宿泊。

またニュースと天気予報を気にしながら、アミノ粉末を飲んで21時半就寝。

日記

4月19日()大会当日 「雨にも負けず風にも負けず雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち慾丸出しで大量のカーボローディングをし自分の記録に拘り東に被災地あれば行って浪費し西に被災地あればやはり行って浪費し噴火の時は涙を流しテロのニュースにおろおろ走り褒められもせず憎まれっ子世にはばかるそういうものに私はなりたい」
ランナーを待つ長野駅前

目覚め良く、ホテルの朝食も摂り過ぎない程度にしっかり。木々が風に揺れている。これからもっと強くなる予報だ。参加者用の乗車券でしなの鉄道を長野から北長野まで乗る。毎度、臨時電車じゃなく飯山方面行きの気動車に乗れば北長野駅構内の跨線橋渋滞を回避できる。歩いてアクアウイング前の会場に着くと、今回はスタートのバルーンアーチ設置を断念しているっぽい。

確か3年以内の実績2:56'、予想2:58"で参加申込してあってBブロックのゼッケンを頂いた。今回から3:30'以内の実績には記録証コピーの郵送が必要になったので(実績対象が長野マラソンなら不要)、虚偽申請の鈍足野郎がスタート直後にもたもた道を塞ぐことが無くなったのは良い。そしてA〜Cゼッケンはウォーミングアップに陸上競技場が使える。特権意識は良くないかも知れないが、努力の成果なのだ。トラックを軽く2周して、陽が出てきたので慌てて日焼け止めを塗る。あれ、チャリティーエントリー特典のリストバンド、強風でどっかに飛んでってしまった…。

ウォーミングアップ会場の上空

何しろ上空を前線が通過する。ゴール地点は直線距離にして10.5km南西で、風の予報は南西10m/s。つまり大部分が強い逆風となるという絶望。しかし走力は去年より上!という希望も入り混じる。パワーバー粘土と赤アミノバイタルゼリー、三七粉をポカリで流し込んで、荷物預けをして8時過ぎにスタート行列に並ぶ。Bブロック中団、まぁいいや。高橋尚子の掛け声でストレッチなどして、数年前の降雪より難しいコースコンディションをどう攻略するか思案に暮れる。途中の補給は例年通りエイドのスポドリをこまめに飲みつつ、自転車レーシャツの背中ポケットに入れたパワージェル2本とアミノ粉末1袋を適宜飲む。

2分前、熊本地震へ黙祷が捧げられる。うるさい周囲がしんと静まる。

号砲は小坂憲次議員(半年後に病没)で8時30分スタート。わずか15秒というロスでラインを通過できたのは感激。去年までどんだけ酷かったんだ。公式テーマソング担当のザ・カナディアン・クラブに手を振って旅立つ。不安すぎて心の余裕が少なく、沿道が余り目に入らないけれど、こんな荒天でも応援の人が大勢いるのはさすが長野だと思う。なるべく人の流れに乗るようにして、向かい風ながら最初の5kmを平均4'15"/kmというサブスリーペースぴったりで入った。さらにアドバンテージを少しずつ作りつつ、ビッグハットに向かう追い風区間は楽々とペースアップしたいところ。だが今ひとつスピードに乗れない。

長野マラソン16マップ

そう、先週末に痛めた足首を庇って真っ直ぐ走れず、膝から下がブレブレで相当な負担が掛かっているのだ。ペースダウンしろと脚が言うけど、何が何でもサブスリーしたい。呼吸は落ち着いているが、YMCAポイントで手を振り上げたり、オールスポーツのカメラマンにもポーズを返す余裕がない。

遮るものがなく、一番強烈な逆風となる五輪大橋の上。前走者が大幅にペースダウンしてしまい、私に付いてくる様子もない。ここで痛恨の単独走になり、相当パワーを消耗してしまった。直後の中間地点で1:28'55"はまずまずだが、単独走を終わらせ前の集団に追い付くためにまた力を使う。いろいろ無理して順位を上げているけど、こうでもしないと希望が絶たれる。

恐怖の千曲川堤防道路へ。うゎ風ひでえ。風除けになる人も減ってゆく。降り出した雨で脚が冷やされるのもポジティブには考えられず、力が入らなくなっていく。30km地点でとうとう「3時間ペースランナーとゆかいな仲間たち」に追い付かれる。とても付いていけないと思ったが、風を考えると無理にでも加わったほうが楽だ。「マラソンは自分でペースを組み立てるもの」というプライドを捨て、不本意ながら食らい付く。ここにザ・カナディアン・クラブがまたライブをやっていて、手を振る。高橋尚子もいてコース上でハイタッチ。

ほんの3km程で精神力が持たなくなり、一気に集団に離されていく。終戦か? 岩野橋を渡って追い風となり、最後の望みで切り替えを図るも持続しない。ジョギングペースが精一杯、順位も下がっていく。却ってカメラマンにポージングする余裕は出てくる。沿道の絶えない声援とゴールで待つ人のため、これ以上の大崩れは防ごう。

最終盤は再び順位上昇に転じ、長野オリンピックスタジアムに入ってラストスパート。前2人を抜きかけるが100m前で力尽きた。こうもスタミナを使い果たしていたとは。3時間02分47秒でフィニッシュ。悔しさに満ちた顔でガッツポーズもなし。申し訳ないような気持ちで観客席を一望する。そしておしぼり、タオル、メダル、おにぎり、ドリンク等のサービスを受け取りつつ更衣室へ。

長野オリンピックスタジアム最終ランナーと高橋尚子

再来年が第20回記念大会となるため、今年から3回連続でサブスリー(ネットタイム可)すると表彰楯が貰えるという企画がある。その挑戦権を初年から得られなかった、喪失感が大きい。故障の遠因は2月の練習量が少なすぎたせいだろう。今年は3月の春ラン信州スカイパーク、塩尻ワインロゲイニングに続いて、またも悔しい結果に終わった。それでもこの嵐のような状況下で滞りなく運営したスタッフや、沿道の大勢の応援には本当に感謝する。長野びんずる祭りの日にも嵐が訪れる予定というから、市民は大変だ(コンサート日程がバッティングしていた)。

連れと合流し、長野マラソンタウンでクレープなどを食べ歩き。強風は相変わらずで、飛ばされそうなテントをスタッフが必死で押さえている。暴風警報が発令されたのがスタート後とのことで、もし前だったら大会は中止だったかも知れない。ランナーや運営を忖度して発令を遅らせたか? 以前に比べずいぶんスムーズになったシャトルバスで篠ノ井駅に移動し、帰宅。余談だが、完走メダルに刻まれたNAGANO MARATHONの綴りがMARTHONと脱字っていた。俺はどっちでもいいけど。

桜と強風

大抵は敗戦からも得られることは大きいが、今回は失ったものも大きい。ちょっと、次のレース云々というモチベーションは考えられない。むらよしは、倒れたままなのか?
・・・しかし順位が去年よりはアップしているのが救い。一週間もすると「同じ条件でもう一度闘いたい」と考えるようになるから、ランナー脳って不思議なものである。

結果

後日郵送された記録証
公式リザルト
記録 3時間02分47秒 (最速者2:15'31", 最終完走者5:14'41")
ネットタイム 3時間02分33秒 ※スタートラインからの計測参考記録
男子順位 297位 (/完走6844名/出走8013名/受付8707名/申込9248名中)
総合順位 307位 (/完走8052名/出走9530名/受付10337名/申込11020名中)
※人数は翌日発行の信濃毎日新聞や大会報告ページのデータから、順位に関係しない
ゲスト及びペースランナー(完走?名/出走?名/受付17名/申込17名)を含む[前年までと変更]。
総合には女子及び視覚障害者を含む。
8:30気象: 天候曇,気温17.5℃,湿度41%,風向南西,風速7.9m/s

リンク

オールスポーツによる写真
長野マラソン公式ページ
大会概要やコース紹介、公式記録、テーマソングなど。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。(右のサンプル写真)

return むらよしギムナシオンに戻る