土曜、松本からリッチに特急を使って移動。長野駅に降り立つと、アトリウムでウエルカムイベントをしている。長野ホルン倶楽部の演奏が始まり、金管のどこか懐かしく優しいハーモニーに足が止まる。途中で抜けるのも悪い気がするし、急いでる訳じゃないので最後まで聴く。
これまたリッチに、シャトルバスを使ってビッグハットへ移動。前日受付の無いマラソン大会も多いが、やっぱりあるとテンションが上がる。ナンバーカードBの753。参加10回以上を示すシルバーゼッケンにも馴染んてきた。出店ブースで次期戦闘機アディゼロ匠練3(今使用しているのと同じだけど)とアミノバイタルセットを買い、とぼとぼと若里公園を散歩しつつ駅に戻る。少し暑い。おやつに明治亭のソースかつ丼を食べ終わる頃、今度はスパークリングジョイという女声ゴスペルが演奏を始める。これも美しくノリノリで最後まで聴いた。
近くの西友が改装中?なのでTOMATO食品館まで足を伸ばして夜食を調達し、アイスを頬張りつつ東横インへ。21時半ごろ就寝。
長野マラソンでは、去年の第20回記念大会を含む3年連続でネットタイム3時間を切ると「3年連続サブスリー表彰」の表彰楯が贈呈される。それは単に速いランナーでなく、強いランナーの証なのだ。私は第18回の暴風雨で撃沈したものの、第19・20回で何とか夢を繋ぎ、今回に全てが掛かる。たとえ暴風雨でも3時間を切れるようにと、秋頃から練習を積み重ねてきた(例年は年明けから始動している)。絶対に失敗は許されない。・・・許されないのだけど、調子が良ければ果敢に自己ベスト(2008年長野2:53')を狙いたいという欲もある。
ホテルの朝食に15分前から並ぶのもこれが最後かな。バイキングを食べ過ぎない程度に済ませ、チャリティーエントリー特典のタトゥーシールをふくらはぎに貼ってチェックアウト。涼しく無風な曇り空は、想定以上の好条件である。ランナー用切符で北長野駅まで気動車に乗り(臨時列車は駅の跨線橋が混むのであまりおすすめしない)、毎度の近道を歩けばアクアウイング前、大賑わいのスタート会場。A〜Cブロック選手用のウォーミングアップエリアである陸上競技場トラックを、都合4周小走りする。少し脚が張っている気もするけど、身体は軽い。パワーバー粘土をポカリで胃に流し込み、荷物を預けてBブロックやや前方へ整列。Qちゃん体操に疲れない程度に付き合う。
過去最大級の練習量に加えて、今日の好条件とピーキングばっちりの体調。これなら自己ベストを狙わぬ手はないと、ターゲットペースを4'05"/kmに設定。参加するのは最後かも知れない長野マラソン。ランナーの風、沿道の声援、全てを感じよう。もう戻ることはない片道切符の旅に出よう。8時30分、萩原清議員による号砲。
ザ・カナディアン・クラブの演奏に手を振りつつ、スタートラインを跨ぐまで過去最早の9秒。流れに乗って、ハイピッチと呼気を強く意識して、序盤から調子よく刻んでいく。善光寺さんに手を合わせ、沿道の応援が凄く多い中央通りの下り坂も無理ないペースで駆け下りる。まだ涼しいけど、2つ目の給水所からぼちぼちスポーツドリンクを頂くことにする。9〜10kmラップ最速3'57"を刻みビッグハット前を通過。
あれっ、3時間ペースランナーとゆかいな仲間たちがまだ前に居た。これをパスしつつ、単独走にならないよう小さな集団に付けながら進む。道中2つ摂るエネルギージェルはマグオンのカフェイン入り。そのため5日間ほどカフェイン断ちをしておいた。大声援のエムウェーブを回り、心配だった五輪大橋も風の影響は少なく、中間点1:26'44"。ほぼ設定通りで、オールスポーツのカメラマンにポージングをする余裕もまだある。とにかく後半、しっかり勝負!
真島ファイターズ(少年野球団)の応援が相変わらず元気だ。20〜25kmのラップが5km毎としては最速の20'24"。ホワイトリング前のエイドでアミノバイタル赤ゼリーを頂き、さあこれから・・・という時にガクンとペースが落ちる。あれれおかしいな、まだそんなに暑くないよ? 順位が下がり始め、協調する人もいない。例年33km地点あたりに居る高橋尚子さんが、今年は27kmあたりの更埴橋に居てハイタッチ! これで一旦は持ち直すが…。
松代藩「真田の赤備え」ボランティアが映える30km付近から問題が表面化した。息がすごく苦しい! そういえば呼吸を追い込むようなトレーニングはほとんどしてなかった。また気胸(病)が再発したらジ・エンド…。楽になる水準までペースを落とさざるを得なくなった。3時間ペースランナーとゆかいな仲間たちに抜き返される。
こうなったらプランB、つまり安全に3時間を切れれば良い。頭の中で再計算すると、残りの距離を4'30"/kmペースで行ければ大丈夫っぽい。だが、問題はそれを数秒ずつオーバーしているという現実…。ザ・カナディアン・クラブの演奏や相変わらず途切れない沿道の声援を受け、必死でこれ以上のペースダウンを食い止めている。千曲川沿いの土手道が果てしなく長く感じる。マリアナの七面鳥状態で他のランナーに撃墜されまくり、2組目の3時間ペースランナーとゆかいな仲間たちにも抜かれる。とにかく秒単位でやばい。例年失速する39〜40kmラップだけは気張って4'23"/kmまで持ち直すが、じりじり減速する傾向には抗えない。全てが、台無しになっちゃうの!?
信仰は持たないつもりが、正直、神に何度も祈った。
最後の最後まで判らない、気が抜けない。これが私のドラマなんだなと、ちょっと顔がニヤける。遠くから徐々に近づいていたオリンピックスタジアムがやっと左横に来て、少し過ぎて園路に左折。41〜42kmラップが最遅の4'42"/km、そしてスタジアムの人工芝に入る。スパートなんて掛けられない。ゴール前のオフィシャル時計を睨むと、まだ2:59'台を表示している・・・大丈夫だ! 両手バンザイをしてフィニッシュラインを駆け抜ける。振り返る間もなく、3時間の刻が過ぎる。終盤に並走していた人に握手を求められ、互いの健闘を讃え合う。ネクストバッターズサークルで素振りの素振りをして、軽くストレッチをしつつ手すりにつかまってしゃがみ込む。
喉から手が出るほど欲しかった3年連続サブスリー賞を頂ける運びになったこと、PB更新がまるで無理だったこと、ボロボロになりながら最後まで戦い抜いたこと。様々な思いが入り混じって泣きそうになるが、さあ泣けと思うとむしろ涙は溢れてこなかった。笑顔に戻ろう。若いボランティア達からサービスを受け取ってスタジアムを退出、預け荷物も受け取って体育館へ。スマホで結果を確認し、ツイート。グロスタイム2時間59分42秒(ネットは−9秒)。声援、ボランティア、周りのランナー全てに感謝するしかない。
お楽しみの長野マラソンタウン。キャンドルボーイなる食い物と、クレープ。カフェイン断ちでチョコも我慢してたから、チョコクレープにする! そしてホットコーヒー! お腹いっぱい。呼吸器トラブルでの失速だったので、脚はもう全然元気。スタジアム観客席やら外周路やら、カメラ片手にやたら歩き回る。今年は桜の花がまだ残っているのね。
大変名残惜しいが、別れの時が来る。乗り込んだシャトルバスが発車し、ラストランナーフィニッシュのアナウンスが聞こえてくる、夢見心地のような会場が離れていく。自棄コーラを呷り、篠ノ井駅からまた特急しなの号。車窓は善光寺平を見おろす。ありがとう、そしてさようなら長野マラソン。これまで13回(中止回含む)参加したが、気持ちとしては一旦区切りとしたい。しれっとまた申し込むかも知れないが、選択肢の一つになるということだ。
今日書くブログのタイトルは「僕らの走ってきた長野は…」でいいかな(ラブライブサンシャイン「僕らの走ってきた道は…」のパロディで)。そうだ、目標達成したんだしアレを買わないと。松本に到着するなり、自転車店「タオ」に寄ってランドナー用の輪行袋とフロントバッグ(取り寄せ)を新調。次のツーリングはワクワクもんだぁ。無事帰宅してバタンキュー。市議会議員選挙の期日前投票は済ませてある。
新しいシューズを買ったからには、ランニング趣味はあとちょっとだけ続くんじゃ。とりあえず来週の高遠クローバーフォトロゲな。
6月の末、3年連続サブスリー賞表彰楯が手元に届く。私のような小者にとって、生涯唯一の自慢できる物になるかも知れない。一所懸命な時代があった証だから。そして、一番見せたかったのは入退院を繰り返す父。こんなものしかなくて、ごめん。
記録 | 2時間59分42秒 | (最速者2:10'39", 最終完走者5:18'25") |
ネットタイム | 2時間59分33秒 | ※スタートラインからの計測参考記録 |
男子(一般)順位 | 347位 | (/完走6967名/出走8077名/受付8551名/申込9342名中) |
総合順位 | 361位 | (/完走8100名/出走9476名/受付10022名/申込11000名中) |