東の空と雲

むらよしクライム日記

第23回 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 参戦記

2008年8月30日〜8月31日

日記

8/30() お前が走らなきゃ明日は雨

6月のツールド美ヶ原が雨天中止だったので、去年の乗鞍以来一年ぶりとなるヒルクライムレース。年初には、このレースを長野マラソンと並ぶ“今年の本気レース”に位置付けていたのだが、結局トレーニングはちっともはかどらなかった。もう敗北宣言?

レース前日、ランドナー前輪のリムが寿命なのでママチャリ用に換装する。シャフトをクイック用に換えれば良いだけだから簡単だ、と思っていたらハブの長さが合わずに難儀した。ベアリングが雨ざらしで具合悪いけど、今にも溶け割れそうなリムを使い続けるよりはマシだろう。近いうちに時間を見つけてスポークを全部外し、ハブは前のを活かしたい。
決戦に備え頭を短めに刈り、激しい雨のなか松本市内某所のコンビニまでチャリを走らせる。ここで関東方面から来た筑大サイクリング部先輩のK田車(旧姓S浦さん)と落ち合い、自転車ごとクルマに乗せて貰う。今年は自走での現地入りをしないのだ。本来はレースに万全を期すためという理由だったが、こうも練習不足だと単に楽をしてるだけのような。まぁ雨だから大変有り難い。クルマには彼女の旦那さんとT井さんも乗り合い、一路トンネル街道を乗鞍高原へ。

前日受付雨模様

このレースは参加が抽選になるほど人気が高いが、チームのメンバーに昨年の入賞者がいると抽選が免除されることから、昨年クラス5位のnorikura1059さんの誘いで我々筑大OBOG組も『チーム寿』に加えて頂いた。彼らの宿『寿家』にて参加証を受け取り、受け付けを済ます。我々の宿は三年連続で会場至近の『あずみ館』。雨降る乗鞍高原は寒い。白い湯の温泉で冷えた体を暖め、美味しい夕食はご飯4杯、ビールも入る。サイクリング部繋がりの雰囲気ってどうしてこう和やかなんだろう。

そういえば2月の青梅マラソンといい6月のツールド美ヶ原といい、私がトレーニング不足だと大会が悪天候で流れるというジンクスが付きかけている。明日はどうなのか。こんな状態で記録を残したくないという気持ちと、やっぱり走らなきゃ勿体無いという気持ちと。

8/31() 脚のないやつぁ俺んとこへ来い 俺もないけど心配すんな
乗鞍岳と選手集合

見ろよ青い空白い雲。どうせ雨で中止だという予想に反して、これは走れるぞ! 走らなくちゃいけないぞ!
腰痛気味の体調を気にしながら朝食にカロリーメイト2箱を食い、宿から会場が近いメリットを活かして、早々にスターティンググリッドを陣取りに行く。まーたランドナーのくせに前の方だ。フロントバッグをゴール行きの荷物バスに預け、ウォーミングアップとして1kmちょっとのジョギング。暑くなってきたので、余計に重ね着していた分は宿に置きに行く。

7時30分から始まるチャンピオンクラスnorikura1059さんと女子MTBクラスK田さんのスタートを見届け、自分の男子C-2クラスはロードレーサーの部としては最後のスタート順。8時10分ともなれば緊張感などすっかりなしに、気休めにVAAMゼリーとアミノバイタル粉末を飲んでから気持ち穏やかにスタートした。始めは周りに合わせてゆっくり過ぎず速過ぎず。ヘアピンを過ぎて傾斜が出てくると息が苦しくなってくるので、ペース作りに入る。
昨年のレース中に撮影したチャリ載カメラ映像を解析し、ラップタイムをメモにとっておいた。それをカーレースゲームによくあるようなゴーストカーに見立てる。「だまって俺についてこい」と俺のゴーストがささやくのさ。

乗鞍エコーラインマップ
見上げるゴール地点

序盤はそれに必死で食らいつき、第1チェックポイントまでほぼ同タイムとなった。でももう分かっていた。「とてもついて行けない」と。同クラスのライバルにも次々抜かれるようになった。
そんな中、「ホームページ見てますよっ」と声を掛けてくれた人がいて嬉しかった。同時スタートの人だと勘違いして「今年は練習してないから先に言っていいよ」などと返してしまったが、よく考えたら違うスタート順だった。ごめん。
さらに、阪神タイガースの法被が目立つ猛虎参號さんにやっと追いつく。去年よりだいぶ進んだ地点での遭遇だから、それだけ彼の調子が良さそうだ。六甲颪のBGMも性能アップが図られており、ついつられて口ずさむ。

私はと言えばヘアピンをインベタで挑むものの、進むにつれて10秒、 20秒とゴーストより遅れていき、第2チェックポイントでは30秒の遅れ。いよいよ脚が、というより腰が言う事を聞かなくなり、順位もズリズリ下がる。九十九折りを雲霞の如く自転車が登ってくるさまや遠くの景色を観て「こんな高い所を走ってるなんてスゲーよ」などとすっかりサイクリング気分。多分、一昨年よりは良い記録になるだろう。

県境フィニッシュライン

諦め気分でラストヘアピンを過ぎ、大雪渓でもスパートは掛からない。つい楽をしたがる気持ちが優先されたまま、いつの間にかゴール前に来てしまった。前が空いているのであわててスパートを掛けるも、不完全燃焼に終わった。

タイムは昨年より1分41秒遅れの1時間18分ジャスト。昨年だって「練習不足でどうしよどうしよ」状態でとても神聖化できるようなタイムじゃなかったが、今年は体力面にも増して精神力で負けた気がする。チャリ載カメラという最恐の監視役を積まなかったのも良くなかったのか。とにかく疲れ、腰が焼き切れるように痛い。絶好のコンディションに助けられ、辛うじてチャンピオンクラス出場権(1:20以内)は確保できたが、死ぬまで精神力は成長しなくちゃいけないんだよう。

ごった返す畳平

それでも無事完走したのは理屈抜きで達成感がある。ごった返す畳平で荷物バスからフロントバッグを受け取り、チョコ菓子をパクつく。チーム寿のハッスルHKさんにもお会い出来た。今年は私の惨敗となりました。
少々雨がパラつくもすぐ止む。MTB男子クラスで後方からスタートしていたT井さんのゴールシーンをカメラに収め、やがて下山。撮影には今一つの天気だが、はるか東方の美ヶ原や浅間山にかかる雲海が印象的で、ずっと眺めていたかった。ここの下りはやっぱり楽しいな、すごく。

位ヶ原を見下ろす 乗鞍剣ヶ峰とマイチャリ つづら折りを下山
表彰式(女子MTB)

下山したらサイクルスポーツ誌の取材を受けた。ランドナーだからちょっと珍しいらしい。「ゆっくり走ろう乗鞍を」のオリジナルステッカーを写真に撮ったりしていた。小市民だしレースの記録に消沈していたので気の効いた返答は出来なかったけど、載ればラッキー。車体重量も計測。フロントバッグを付けっぱなしだったので、15.8kgというかなり重い値を出してしまった。レース中はあと2〜3kgは軽かったはずだ。

宿の温泉で冷えた体を温め、会場に戻るとタダノブさんにもお会いできた。話の流れでトライアスロンを勧められる。そのうちなんとかなるだろう…。
ソフトクリームを食べながら、見事入賞したK田さんの表彰式を見届ける。その後の悪名高きジャンケン大会はなくなった。そうえいばメディアランナーという大型ディスプレイ車もいなくなってる。その方が良い。

ここからの帰路もクルマに乗せてもらった。あのトンネル街道を走るにはもうすっかり神経が衰弱してたから、とても助かった。クロマニヨンズを聴きながら下界まで降りれば、まだまだ夏の暑さ。過程や結果はどうあれ、やっぱり乗鞍は最高の一日。

結果

Web発表による公式リザルト
時間
(全長20.5km 標高差1,260m)
1時間18分00秒 (最速者0:57:13, 最終完走者3:47:59)
一般男子Cクラス 順位
(ロードレーサー31〜35歳)
70位 (/完走 429名/登録494名中)
総合順位
(61歳以上,女子,MTB含)
479位 (/完走3,401名/登録3,978名中)
※ジュニア・ビギナー登録62名除く
サイクルスポーツ誌の記事

後日、見事にサイクルスポーツ誌10月号に自分が写っていた。乗鞍特集記事の『そこまでやるか!全日本軽量バイク王位戦in乗鞍』で5kg、6kg台のバイクが並ぶ中、番外編として『見せろ男気!! 重量バイク選手権』なるコーナーがあり、そこにしっかりコメント付きで載っているのだ。前述の通り重量には若干の不正があるが、左下掲載のママチャリ囚人服さん18.5kgのおかげで疑惑のチャンピオンにはならずに済んだ?
まぁともかく、自転車が趣味とは言い切れない私でもそういう人達の一員になれたような気がする。しかし雑誌記事のニューモデルバイクに目移りしてしまうが、「見せろ男気!!」とまで書かれてしまっては来年もランドナーでの参戦が確定ではないか。
という訳で十年振りに自転車雑誌を買ってみたむらよしだった。


リンク

オールスポーツによる写真
JCA(日本サイクリング協会)
ツール・ド・美ヶ原やマウンテンサイクリングin乗鞍などの主催団体。
MSPO(エムスポ)
主にトライアスロン情報のページだが、自転車ヒルクライムのリザルトも掲載。
オールスポーツコミュニティ
スポーツ写真サイト。運が良いと撮ってくれる(右のサンプル写真)。
TAK'S HEAVEN/『2008乗鞍』参戦記
norikura1059さん繋がりで2008年は同じチーム所属となったTAK(猛虎参號)さんによる参戦記。

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