松本空港近くでの休日出勤は、半ドンで上がらせて貰った。腕や手指がクワンクワンのクッタクッタに疲れているが、脚は元気。そのままチャリで山形、波田、島々、そして乗鞍高原を目指す。国道158号では「機材」を積んだクルマが次々抜いていく。天気良好かつ例年より涼しく、一番の心配だったトンネル地帯もほとんど「渋滞の先頭状態」になることなく抜けた。
6年連続でやってきました、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍。会場入りするなり、美ヶ原で声を掛けてくれた方や同宿のnorikura1059さん、サイクリング部後輩のI君に会う。キャンピング班先輩のhoya_tさんは一ノ瀬園地のキャンプ場ですでに酒を飲みテント入りされたとのことで、会うことは出来なかった。売店のソフトクリームだけ食っていく。少し雨が降りだしたが、今日はずっと排ガスを被ってたのでこの辺の空気は貴重だ。深呼吸。
少し坂を下りてチーム寿の面々が泊まる寿家に到着次第、無整備状態のチャリをひっくり返す。やっと弄れる。タイヤがなかなか均等に嵌まらず困っていたが、チームのKさんが直してくれた。さすが、こういう集まりは頼もしい。東方プロジェクトの痛ジャージが居るのも頼もしい。
鮎焼き、そば、馬刺し・・・夕食をいっぱい食った。古き良きサイクリング部ノリの、楽しい時間が流れる。ブログ打ってる時間が勿体ないよ。そういえば去年はちっともソフトバンクモバイルのパケットが回って来なかったのに、今年は改善している。
明日はお祭りが…始まる!
朝の冷え込みを警戒して布団を厚くしすぎ、ちょっと寝苦しかった。ともかく4時半起床、身支度を調える。朝食バクバクごはん3杯、それでも足らず宿の茶菓子までパクつく。ややのんびりと6時に出撃。夜中に雨が降っていたが、未明には星や乗鞍山頂が見えていたとのこと。そんな空はまた曇りだしている。涼しくなるのは良いけど、写真や動画を撮るぶんには晴れたほうが良いなぁ。
会場はもう8割がた埋まってるじゃん。例年わりと前の方に並んでいるが、ちょっと不利になった。数秒のスタート遅れで泣く結果にならなきゃ良いけど。今年の至上目標は1時間20分切りのチャンピオンクラス出場権レベルに復帰すること。1:23台に終わった去年よりトレーニング量は少ない気がするし、謎の呼吸困難症が再発するかもしれないから、慎重に行かないと難しい。序盤抑えるなら、これくらいのスタート位置で丁度良いかも知れない。
さて待ち時間を利用して人探しを開始する。首尾よくブログ仲間のkinottyさんやhoya_tさん、後輩のN君T君に会う。これほど同じ趣味の人と次々と会えるのは『全日本マウンテンサイクリングin乗鞍』だけ!
直前補給として、ちょろまかしてきた宿の茶菓子をまた食い、アミノバイタルスーパースポーツを飲む。サプリ類をあれこれ飲むと腹が痛くなるみたいなので、今回は一種類だけ。動画撮影や音声録音のスタンバイもオーケー。去年までは一般男子Cクラスで出場していたけど、36歳になった今年からはDクラスにアップする。どんどんオッサンになっていくなぁと感じる瞬間だ。チャンピオンクラスがスタートした7時から55分が経ち、すっかり気分が落ち着いたころDクラス第1組340人の号砲が鳴る。
会場に並びきれなかった人達がどこからか後ろに大勢付くので、8割というほど後方ではなく中団からのスタートとなった。ラインを跨ぐのに18秒ほど。最初の左ヘアピンは道路工事の都合で幅が狭い。ここから坂道らしくなってきて、徐々にポジションを上げていく。呼吸困難に陥ることがないよう、ライバルになりそうな選手を探しながらも大事に大事に脚を運ぼう。近年はかつての自己ベストを追って自滅しているが、どう考えても決定的にパワー不足だし、今日はうまい具合にタイムの記憶が頭の中から抜け落ちている。もちろん楽はできない。「ちょっと呼吸キツイかなー、大丈夫かなー」って程度で鈴蘭橋や夜泣峠といったポイントを通過してゆく。時々ある緩斜面でライバルから逃げたり追いつかれたり。ドラフティングで脚休めもするが、動画を撮影している以上、あまり同じ人の後ろに付き続けることはできない。
第1チェックポイントの三本滝レストハウスは22分19秒。給水サービスはスルーし、ヘアピン状のカーブはインベタで頑張る。やがて7分後にスタートしたDクラス第2組の先頭が追い抜いてゆく。毎年この辺りで抜かれてるけど、去年よりは粘れたかなー。自分は自分のポジションなりにライバル達と我慢比べの様相が続くが、少し中だるみを感じるようになった。中間地点を過ぎて坂がキツくなるあたりから、やや負荷を上げてみる。以降はだいたい一人旅で、好調に前を追えてるようだ。旧石畳などキツい坂は28x28Tのインナーローで対応しつつ、自分と同様にランドナーで挑戦している人には「頑張れー」と声を掛ける。
第2チェックポイントの位ヶ原山荘は56分55秒。ここでも給水は受け取らず。ボトルのCCDドリンクさえあまり飲めないほど呼吸が忙しく、また好調に走れてはいるので気分転換の必要もなかった。それより乗鞍最高峰の剣ヶ峰が雲の間から姿を現し、思わず「すっげぇー」と声が出る。
直後に残り5kmの標識。このタイムでどうなんだ? 残り4km地点まで走って頭の中で計算してみると、目標に対し非常に微妙なラインであることが解る。もうスタミナ切れを気にしたり脚休めをする暇はない。体を伸ばして腰痛を楽にするのも程々に、ロングスパートを意識して順位も少しずつ上げてゆく。坂が緩くならないうえ空気が薄いので、呼吸が目茶苦茶苦しくなってくる。ギア比も上げられない。残り3km、2km、1km、300m、ぎりぎりの攻防ラインが続き残り100m。それまで大事にしてきた肺を「もうぶっ壊してもいい」と必死のもがきを入れる。ゴール前の渋滞はそれほどでもなく、残り50m。いける!? でもあれ、この先長くないか!?
フィニッシュ! 手元の時計をうまく止めることが出来なかったが、わずかにオーバーしていたような…? まぁそれはチップ計測の結果待ちとしよう。それより今持てる力を存分に使い切った、レース展開で言えば後半型のベストに近い走りだった。日本の一般車道最高地点で、最高の気分だ。駐車場に向かう緩い下りは、みんなのウイニングロード。
チーム寿の面々を探しつつ、マイクロバスに預けた下山用荷物を受け取る。一人が見つかればあとは芋づる式に合流し、完走を労う。私にとっては、心の中に生まれて育つ黒いものを吹っ飛ばすのがレースになってきていると感じる。90分間は自分が自分の世界の主人公になれるし。人との比較を考え過ぎなければね。ふと見上げると魔王岳への登山道が見えて、あそこから景色を眺めたいと思ったので登りに行く。富士見岳や大黒岳より近くて手軽だ。山頂付近からのゴール風景や乗鞍ピーク群のパノラマは壮観。まだ霧っぽくて剣ヶ峰は時折姿を見せる程度。同輩Hが登山しているという槍穂高の様子は雲の向こうでうかがい知れない。
戻るのが遅くなったがチームはまだまったりしている。痛ジャージはけいおん!になっていた。下山はほぼ最終組でのスタート。動画もまた撮影開始してみる。しかし大雪渓の前で、ある人が路上中央で停止した挙句右に傾き、自分と接触して転倒した。危険を察知してもう少し間を空けておけば良かった。大事には至らなかったとは言え、さらに状況が悪ければ乗鞍山頂で三河島事故を起こしかねないインシデントだった。反省。お互い、みんな疲れてるんだよね…。下り分の動画は公開できないな。
気を取り直してまた下り始める。乗鞍名物、猛虎参號さんの流す六甲おろしを聴きながら走ると、離れても脳内リピートがかかり口ずさんでしまう。今年は途中2ヶ所で「みんなで休憩しましょうポイント」があるが、こうも遅い組だとあまり関係ない。所々で勝手に休憩し景色を眺めつつ、スタート会場まで戻ったらスイカのサービスがある。おいしい。
タイム速報の貼り出しに人だかりができている。恐る恐るもドキドキしながら自分のを探してみると、「1:20'00"」…。うわあ、目標オーバーだ。マラソンで3:00'00"がサブスリー扱いされないのと同様に、これでは1時間20分を切ったとは言えない。まさか1秒に泣くことになるとは。一体何が足りなかったのだ? 悔しいけど、練習量そのものが足りなかったということだろう。今月はツーリングの他は一回軽めのタイムアタックをしただけだったからなぁ。また来年!
宿に戻って温泉と昼食。そば粉おやき(?)が好物だ。集合写真を撮ってお別れの時間がやってくる。ここから自走で下界に降りるのが最終難関。慎重にトンネル地帯を抜け、波田支所からの大渋滞はいわゆる波田高速で回避しつつ、無事帰宅できた。こんな日の夕食は万両の肉味噌ラーメンで、疲労回復を急ごう。今日は思いっきりぶっ飛ばしたよ。
時間 (全長20.5km 標高差1,260m) |
1時間20分00秒 | (最速者0:55:16, 最終完走者4:02:03) |
一般男子Dクラス 順位 (ロードレーサー36〜40歳) |
139位 | (/完走603名/出走612名/登録688名中) |
男子順位 (チャンピオン,61歳以上,MTB含) |
819位 | (/完走3,476名/出走3,535名/登録3,939名中) |
総合順位 (女子含) |
828位 | (/完走3,660名/出走3,728名/登録4,151名中) 他にショート完走59名/出走62名/登録65名 |
後日、例によってレース中のチャリ載動画を動画サイトに公開した。1時間20分切りに1秒届かなかったという格好のネタもあることだし、ニコニコ動画の5倍速編はこれまでの「第三者的にコースを紹介する」というスタンスを変えて、とうとう「我」を出した内容になっている。なるべく退屈しないように、親しみやすくと思って字幕にいわゆる「ゆっくりボイス」を付けてみたが、ちょっと多すぎてうるさいかも知れない。しかもiMovieの処理限界を越えてしまい、前後編に分けて作成したものを繋ぎ合わせたぶん画質は劣化している。
YouTubeには音声解説・BGMなし、字幕最小限で等倍速編と5倍速編を用意。次の機会があれば、やはり撮影技術をもっと上げたいと思う。