小江戸川越のシンボル、時の鐘

自転車キャンプツーリング記

国道254号ほぼ走破 松本〜東京

2013年11月22〜23日

経緯

国道254号松本〜東京マップ

松本から東京に向かう一般道といえば、国道19号を塩尻まで南下してから国道20号すなわち甲州街道を考えるのが一般的だ。それは十年前に走破している。実はもう一つ、国道254号という道もある。普段全く意識することはないが、松本と東京を一本で結ぶ唯一の国道で、それを自転車で走破してみることは積年の宿題だった。自分にとってはまた二つの故郷を繋ぐ旅となる。道中、特に「小江戸」川越は訪れたことがないので楽しみ。日曜は別用があるので金曜を有休とし、二日がかりで行ってみよう。

日記

11/22(金) 二五四ネゴシエーション
国道254号終点、平瀬口交差点

国道254号の終点は、かつては自宅そばの美須々にあった。松本トンネルが1994年に開通してからはちょっと西の犀川沿い、標高570mの平瀬口に移ったので、そっちまで回ってから東行きのサイクリングを開始しよう。道中は現国道に拘らず、あるなら旧道を走るつもりだけど。厳しい冬の様相を見せ始める常念山脈を背に、初めて利用してみる「松トン」に料金30円を払って入ると少し暖かい。2447mとけっこー長いトンネルを抜けると、向かいの筑摩山地に朝日が昇る。

中山道望月宿西の旧旧道、瓜生坂(うりゅうざか)

ここからさらに、標高1100mまでぐんぐん登らなきゃならない。トンネル内は緩い下り坂だけど、けっこうクルマに抜かれる。抜けた所の料金所では毎度、自転車だと驚かれる。はい50円。体が温まってるうちに鹿教湯温泉街へ下りて、国道152号と重複するあたりでコンビニ休憩。名無しの峠を越えると芦田宿で国道142号と重複、しばらく中山道となる。旧道は狭いが走り易く、茂田井間の宿、望月宿と歴史ある街道筋が続く。「手持ちの地図は一切見るな」という妙な縛りを課していて記憶とカンが頼りなので、ちょっと迷ったりするけれど。

長野・群馬県境の内山峠

軽井沢へ続く中山道より南に分かれて、またコンビニ休憩してから佐久市中込を通過。富岡街道はコスモス街道とも言う。残念ながら花の時期は終わっているようで、紅葉も最終盤。内山峠は国道254号最大の山場だが、やはり長野県側の坂は大したこと無い。やっぱトンネルはやめて、旧道を登ろう。狭く人気無く、でも明るい道。標高1066mの峠は荒船山の登山口で、駐車車両が多い。ここから群馬県に入る。近年鬼門化しているから気をつけろ。

荒船山の絶壁

峠からの眺望はないが、少し下りたところから、荒船山の威容が拝めるポイントが度々ある。あの崖からクレヨンしんちゃんの漫画家が滑落したんだな…。群馬県って奇岩が多い。一旦新道に合流して、また旧道で渓谷沿いを下ってゆく。国道254号である事を主張する標識がボロボロで、マニア受けしそう。昔通った時、とても新緑が綺麗だった記憶がある。今日は紅葉が少し残る、まぁいい道。

下仁田の街角

信州街道と名を変えた道は姫街道とも合流し、下仁田の街へ。こんにゃく観光センターでこんにゃくコロッケ、ネギ味噌コロッケを頂く。お茶も飲めるので、下りで冷えた体が温まるわ。市街地をぐるっと見て回り、更に東へ。珍駅名として有名な南蛇井駅にも寄っていく。なんじゃい。

今回の旅はデジタルデトックスどころかiPad持参で、コンビニを見つけては買い食いしてネットに接続している有り様。その代わり腕時計を忘れたので、ほとんど時間を気にしないタイムデトックス(?)を試みている。

富岡製糸場の壁

世界遺産登録への機運が高まっている富岡製糸場は、何時間も掛けてじっくり見学したいところ。今回は時間を気にしない旅とは言えそこまでの余裕なさそうなので、外壁だけ見て回る。代わりに土産屋で、グンマのソウルフードの一つ(?)カリントまんじゅうを4個購入。一つ食べてみると、甘くて油っこいカリント皮の中に、これまた甘い餡が入っている。うへえ、これあと3つ食うの?…しかし数キロ走ってまたお腹が空いたので、全部平らげてしまった。これでグンマ入国審査は大丈夫だ。

夕暮れを慎重に走行しつつ、小串交差点から前照灯オン。小串って群馬県によくある地名なのかな。旧道で藤岡市街に入り、今日の日はさようなら。ショッピングセンターで買い食いしつつiPadで時間を潰し、あとはどこでゲリラキャンプしようかしら。

11/23() 野越え山越え川越街道
藤武橋で迎える日の出

中央公園の片隅で迎えた朝。さすが関東平野、ダウンの重ね着をしておけば恐れていたほどは寒くない。トマトをかじってさっさと撤収、暁の出撃。榛名山など上州の山々を背に藤武橋(とうぶはし)で神流川を渡ると、群馬を脱出して埼玉県に入る。松本のような盆地に住んでいるとまず見ることがない、地平線の太陽が眩しい。

コンビニ朝食を摂って、今日も国道254号の旅。埼玉県は小さな市や町が多く、それぞれすぐに通り過ぎる。上里町、神川町、本庄市。児玉にある赤城乳業の工場にはガリガリ君の像が立つ。美里町、寄居町、深谷市、また寄居町ときて荒川を渡る。地図を封印しているのでまた少々迷いつつ、男衾(おぶすま)駅に寄り道。

鬼畜の聖地、男衾駅

かつて東京と新潟県長岡市を結ぶ計画だった鉄道は上州の渋川までに縮小され、東武東上線と名付けられた。それも埼玉県寄居までしか開通せず、運転系統は小川町で分断されている。ここら辺は仕方なく単線で普通電車だけ通しているという風情だ。男衾という駅名はインパクトもさることながら、何と言っても日本映画の最高峰、緒形拳主演「鬼畜」の聖地で、一度訪れてみたかった。想像以上にこじんまりとした駅舎。もしも発車のベルが鬼畜のオルゴールだったら、知ってる乗客はみな列車を飛び降りるだろうな。東京タワーに連れて行かれたら大変だ。

小川町の旧道に入るとマラソンの告知が多い。嵐山町、東松山市、滑川町、また東松山市…渺々右に富士山を眺める。片側二車線ある道は側帯が狭く、車道と歩道どっちを走るべきか悩ましい。川島町を過ぎて、入間川を渡る落合橋からはもう遥かに東京スカイツリーが見えてきた。さあ川越市、まずスーパーで昼食。

川越メーンストリート

道中最大の目玉、「小江戸」川越。いざ蔵造りの町並みへ突入する。独特の心地よさがあった朝ドラ「つばさ」の聖地で、歩行者天国じゃないのが不思議なくらい賑わっている。これでは自転車さえ邪魔なので外れに駐輪しておき、徒歩での観光にする。これがアマタマ堂か。案内所には「神様はじめました」というアニメの巡礼マップがある。観たことないけど、面白そう。菓子屋横丁で長さ80cmはある麩菓子を買って、すぐに食い尽くす。自転車に復帰して西武線の本川越駅前に寄ると、なんでこんな所に長野ローカルの八十二銀行の支店が?

クレアモールも押し歩きとなり、この街でちょっとのんびりし過ぎた。街路樹のある川越街道をふじみ野市、富士見市、またふじみ野市、三芳町、新座市、朝霞市、和光市、成増市…あれ、んなもんあるか。いつの間にか東京都に入っている。シグナルストップの頻度も増しつつ板橋区、練馬区、また板橋区、そして豊島区池袋の街に入る。自転車が通れない山手線の跨線橋が最大の難所で、歩道を使って何とか抜けると春日通りで大塚。

国道254号起点、本郷三丁目交差点

文京区に入って後楽園のコースターが右手に見えてくる。もうひとつ谷を下り上りし、本郷三丁目が国道254号の起点。とうとう到達! だからどうした。え、いや、この交差点を見て誰も松本に繋がってるなんて思わないだろうなぁ、と。そうであることを示す標識もない。

言問橋からスカイツリー夜景

これで旅の目的は達したが、全ての道は日本橋に通ず。国道17号をもう少し進んで秋葉原をかすめ国道4号、日本橋の道路元標まで到達。「どこから来たんですか?」と聞いてくれる人がいて嬉しい。もう暗くなった。ライトをつけて国道6号へ。隅田川を渡る言問橋からは、スカイツリーのライトアップが美しい。東京だから星はあまり見えない。葛飾区の実家まで走ってサイクリングは終了。二日間、思う存分走れて良かったよ。 明日はつくばマラソンの応援だけして、嶺上開花(電車で帰ろう)。


リンク

国道254号サイクリング -Poin-
PoinというiOS用の写真日記アプリで作ったアルバム

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