両津みなと公園、おんでこ像

自転車キャンプツーリング記

じっくり佐渡

2016年4月28日〜5月2日

日記

4/28(木) ゴールデンウィークにゴールデンアイランドへ

木曜の仕事から帰宅し、すぐ旅支度に掛かる。フェリー料金を決済してあるから延期する訳には行かない。ばたばたとJR篠ノ井線松本駅で輪行し、ぎりぎり間に合わせた。長野駅からはしなの鉄道北しなの線、妙高高原駅からはえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインで真夜中の直江津駅に到着する。

深夜24時の直江津駅

チャリを組み、小雨のなか少し走ればフェリーターミナル。佐渡汽船は自転車の航送料金が異様に高いので(※人の運賃も含むので勘違いだった)、手回り品切符で済ますべくまた分解して輪行袋に詰める。まるでテグザーのように激しい形態変化…ってネタ古いか。早朝便の乗船まで待合室で過ごそうというハラだったが、夜間閉鎖。仕方ない、軒下の風が弱そうな所で銀マットとシュラフを広げ野宿するか…。

4/29(金・昭和の日) 両津チャリ吉
高速双胴船あかね

襲われたりせず、無事朝を迎える。高速カーフェリー「あかね」出航。期待に胸が高まったのも束の間、低気圧の影響で海は時化、双胴船の欠点も相まって揺れが凄く大きい。これは吐きそう…。船内Wi-FiがあるけどiPadとか見てる場合じゃない。逃げ場なんて無いし、祈るような気持ちでこらえ続ける。リクライニング席でぐったり、寝不足が幸いして意識を落としている間にどうにか小木に入港、佐渡島に初上陸を果たす。助かった…。ゴールデンウィークに入ったがまだ観光客の姿は少なく、たらい舟は暇そうだ。自分は、しばらく舟はカンベンかな。チャリを組んで直江津で買っておいたおにぎりを食べ、時折の小雨を気にしつつサイクリング開始。

宿根木

まずは島の南西部、小木半島の周回から。矢島・経島を散歩したり、宿根木(しゅくねぎ)集落の狭い路地に迷い込んだりと、細かく観光をこなす。沢崎灯台をまわり、北側の鄙びた海岸は波が高く洗われそう。火山の名残という岩が多いのが意外。それにしても寝不足と船酔いで体調が良いわけなく、ちっとも脚に力が入らない。まぁ一日で一周できなくもない島を三日かけて周るのだから、時間の余裕はある。内陸に入り、にわかに雨宿りしたところでカロリーメイト昼食。

度津神社

佐渡国一ノ宮たる度津神社(わたつじんじゃ)をお参りし、心機一転。羽茂(はもち)から島の南岸に出て、海の向こうにうっすら越後の山々を見ながら北東へ急ぐ。赤泊の展望台くらいは寄っていく。ここから本州寺泊への船便もあるようだ。この島は集落ごとに村社が異なるのが面白い。白山、熊野、松前、小田原、諏訪、八幡、住吉、etc...。

キング両津店

サイクリストはやはり右回りが多いのだろうか。時々すれ違う。自分はまだふらふらながら追い風に助けられて姫崎をまわり夕刻、両津の街に行き着いた。新潟行きの船が出ているが、まだ帰らないよ。にしてもこの街、食品スーパーが見つからなくて困る。やたらうろうろしてようやく、看板もなく凄く分かりにくい店(キング)を発見。明日の朝食などを調達しておく。更科という定食屋でトンカツを食い、フェリーターミナルでもうちょっと時間を潰してから、みなと公園にゲリラキャンプする。

小木半島沢崎付近 羽茂〜赤泊間の謎オブジェ群 赤泊、城の山公園展望台
4/30() 白雲台ブルー
佐渡マップ 早朝に舞う朱鷺

両津湾に日が昇り、早朝便のフェリーが出港してゆく。私も出撃しよう。新潟県最大の湖である加茂湖はカキの養殖が盛んで、向こうには大佐渡山地の稜線が雲に見え隠れ。トキの森公園は開園時間前だが、近くを走ってみるとまさに朱鷺見橋を渡った所で「アオ!アオ!」の鳴き声とともに数羽のトキが飛来する。見られる可能性は低いと思ってたから、ラッキー。まぁ輸入モノだし、昔は本州でも当たり前の光景だったんだろう。

大佐渡スカイラインの激坂から加茂湖(右)

両津広域農道を経由して島の中央、大佐渡スカイライン入口信号。薄着になっていよいよ北へ、登坂開始。これがキツい! 16%のコンクリ坂が延々と続き、心が折れた。ほぼ登りきった所の白雲台に交流センターがある。ブルーヒーターにあたりながらコーヒーとビスコッティを頂き、しばらく悩む。佐渡最高峰の金北山(きんぽくさん)に登山するため、そこに通じる防衛省管理道路の通行申請FAXを予め送ってあったが、山は濃霧に包まれているし…断念。ここからだって国仲平野を見下ろせば左に両津湾、右に真野湾、それと加茂湖と水を張ったばかりの田が水面を繋げている絶景が拝める。店員の話によれば、昨日5歳児が親と自転車で登って来たんだって。

大佐渡スカイラインから佐渡金山・道遊の割戸

着込んで再スタート。少し進んだ標高942m地点がピークで、残雪も見掛ける。スカイラインだが眺望は南側に多く、北側はあまりない。浮島がある乙和池に寄り道しつつ、西へ降りて行く。二見半島の俯瞰が凄い。眼下には佐渡金山の象徴、道遊の割戸が大きく開いている。白雲台以西はアスファルトながらやはり急斜面で、万人に勧められるサイクリングルートじゃないな。楽しかったけど。

佐渡金山宗太夫坑

という訳でいざ島観光の中枢、佐渡金山跡へ。黄金週間だけあって客入りもゴールデン。登山を諦めたぶん時間はあるし、明治以降の道遊抗と江戸時代の宗太夫坑の両方を巡る。過酷な労働に幸せはあったのか。けれど鉱山は男のロマン。少し金箔をまぶしたソフトアイス(店頭ではソフトクリームと誤表記)を食い、更に里へ降りるとシックナーや超巨大選鉱場の跡に圧倒される。こういう廃墟だいすき。

回転寿司弁慶

相川のスーパーで遅い昼食を買い食い。ワイドブルー温泉に入り、南の二見半島周回へ。春日崎からの眺望も良し。七浦海岸に奇岩が続くが、だいぶ飽きてきた。地元サイクリストと少し会話できたのがアクセント。里は雨気味なのに、金北山の霧はもう晴れてらー。火力発電所を過ぎ沢根、そして大手資本の店舗が揃う佐和田の街に入る。両津より栄えてるっぽい。弁慶という回転寿司の人気店で地物を中心に頂き、モスで時間を潰してから、また海岸の東屋にゲリラキャンプ。津波が来たらひとたまりもないし、明日の天気も心配だ。波の音を聴きながら入眠。

加茂湖から金北山 乙和池の浮島 佐渡金山選鉱所跡
5/1() 佐渡はええよ 二ツ亀
佐和田の佐渡ロングライドスタート/フィニッシュ地点

夜中は突風でテントごと吹っ飛ばされそうになるし、早朝は雷雨。さっさと撤収するのがゲリラキャンプの流儀だが、出撃は7時と遅くなった。佐渡ロングライド210kmのスタート地点から、それと同様に北へ向かう。ただし昨日周った二見半島はカットし、中山トンネルルートへ。田舎道風景が良い。再び相川の街に入る。昨日スルーした古い鐘とか疎水とかを周る。

金銀積み出しの大間港跡

鉱石を運搬したという大間港跡にも廃趣味にはたまらない遺構が残り、かつての大繁栄が思い起こされる。写真を撮り回ってつい時間を忘れてしまうわ。また千畳敷の歩道には謎の海上橋が架かっていて、RPGのダンジョンみたいに、行き止まりに宝箱とかありそうな雰囲気。

尖閣湾

海岸美の中心、尖閣湾は遊歩道から見下ろす。柱状節理って言うんだっけ? 晴天なら有料展望台やボートに乗るのも楽しかろうが、合羽を着るか迷う程度の雨が断続的にぱらつく空模様。そういえば今日から五月。五月雨というにはまだ早いか。平根崎・波食甌穴群の廃墟も良い。景色はやや残念だが強力な追い風には恵まれて、外海府をガンガンズンズングイグイ北上。10km毎の佐渡LR標識を次々クリアしていく。後にして思えば高千のAコープが最後の食料品店だった。岩谷口の売店がお休みで、昨日から取っておいた大福でしのぐことになる。

外海府・Z坂

目の前に現れるのが、自転車乗りの語り草となる跳坂、通称「Z坂」である。海岸沿いなのにこんなに登るのかというインパクトはあるが、昨日の白雲台に比べればゆるゆる。ここから先は北海道っぽい、最果ての雰囲気に包まれたアップダウンが続く。

大野亀

大野亀は草原の遊歩道が気持ち良いが、頂上へ続く道は残念ながら通行止。チャリで少し進み、八重桜の坂を願(ねがい)集落へ下りてさらに海岸を800mほど歩くと賽の河原。まさに最果ての霊場、誰もいない。おびただしいミニ地蔵が並び、ちょっとけっこうかなり怖くて、おどおどと手を合わせる。車道に戻り、二ツ亀は絶景の海水浴場。カロリーメイトを昼食とし、最北端の弾崎(はじきざき)灯台まで見て外海府海岸は終了。

内海府トンネルを避ける旧道は通行止

内海府は向かい風になるが、午前に比べればだいぶ和らいだので楽。長いトンネルを避けて海岸沿いの旧道を行ったら、だいぶ進んだ所で行き止まりになってしまい、戻る羽目に。見どころは特に無く、自転車親子を追い抜いて夕方早く両津に帰還した。Aコープを見つけておやつ補給。フェリーターミナルの土産街もまだ余裕で開いている時間、いろいろ買っておく。

スタミナ道場みなと

夕食はスタミナ道場みなとで、新鮮な刺身を頂く。煙草臭いのは田舎の食堂あるあるだから仕方ないのかな。風呂は椎崎温泉「朱鷺の舞湯」にて。先程の親子もいて、やはり一昨日白雲台に登ったんだそうな。どこから来たのかは聞きそびれたが、日本語が流暢な外国人だった。セーブオン(電子マネー非対応)で夜食を調達して両津港に戻る。これで3日間のサイクリング終了、自転車を輪行袋に詰める。天候に悩まされつつも、自分なりに出来るだけ深く佐渡を味わったつもりだが、私はこの旅で強くなれたのだろうか。一周と言うには真野あたりが抜けているし、金北山に登らなかったのも残念。また来たい。一昨日と同じ場所でゲリラキャンプ。

東屋でゲリラキャンプ 賽の河原 二ツ亀
5/2(月) 佐渡再来OKさ
ときわ丸デッキ

まだ暗いうちにテントを撤収し、フェリーターミナルへ。改札に行列が出来始めるが、自分は並ばずまったり。旅の一点豪華的に、奮発して1等窓側の指定を取ってあったのだ。フルリクライニングできる凄い席だよ。やがて佐渡汽船フェリー「ときわ丸」出航。さよなら佐渡ヶ島、さよならおけさ灯台、さよなら姫崎灯台。今日はそんなに揺れないし、つい船内を探検して回るので、せっかくの1等も着席時間は半分になってしまう。朝食はスナックコーナーで「ながもうどん」を頂く。

信濃川河口、新潟港

信濃川に入り、新潟港で下船。立派なフェリーターミナルは、80万都市新潟あっての佐渡航路と思わせる。後日諏訪の御柱祭を観に行きたいので、茅野までの乗車券が若干安くなるJR信越本線亀田駅まで走ってから輪行する。長岡駅で昼食をとり、上越線、飯山線と乗り継ぐ。飯山駅付近を散策してから北陸新幹線に1駅区間だけ乗り、長野で会食。篠ノ井線の特急で松本に“途中下車”し、無事帰宅。そういえば佐渡島内は水色のホンダアクティがやたら多かったな、なんてことを思い出しつつ。


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