昼過ぎ、JRで長野県松本から茅野駅へ移動。関東方面からはOJとHMが特急あずさで、新潟からはHAがクルマでここに集合する。四人全員がサイクリング部の同期である。HA車でドライブ開始。諏訪大社上社本宮にお参りしてから、ゆるキャン△聖地でもある杖突峠の絶景な喫茶店「風の詩」でコーヒーを飲む。急に冷え込む週末、晴天なれど雪がぱらつく。
伊那市旧高遠(たかとお)町にある、同じく部活同期のHS邸が今日の宿。私は数年前からちょくちょくHSに会っているが、他の三人は二十数年振り。しかもサイクリング部はツーリング班と競技班で別れて交流が少なかったから互いの記憶も殆ど無いとのことだが、心配をよそにすぐに打ち解けた。さらに旧長谷村の民宿へ移動し、こちらで夕食を御馳走になる。囲炉裏で岩魚焼き、松茸のあれこれ、山菜のあれこれ・・・何もかもが旨いし、女将さんの話も濃い。外に出ると蟹座の四つ星がはっきり見えるほど空が綺麗。HS邸に戻ってから少し、高遠周辺の地形図を皆で読み、およその作戦を考えておく。行動範囲は掌ひとつ分くらいかな。
私としては、屋根のある所でオマケに布団が付けば十二分に贅沢なのです。
朝は冷えるが、心配したほどでは無い。南アルプス仙丈ヶ岳を望む高遠湖畔の「ほりでいパーク」が高遠クローバーフォトロゲの主会場で、96チーム249名という賑わい。だいたいガチなランナーは5時間クラスだが、我々「チーム重戦車」はレクリエーション目的なので3時間クラス。ただ3年前の霧ヶ峰3位、2年前の草津温泉1位と入賞を続けているので、また上位に入りたいという欲も出てきている。直接のライバルとなる男子チームは計7つ、3時間クラス計40の中で覇を競う。
全員が参加賞Tシャツを着て競技をするというルール。濃紺の、酒屋の前掛けをイメージしたというデザインがカッコ良い。開始15分前に配布される地図は、5時間クラスと3時間クラスで別のものが作製されているところに運営の強いコダワリを感じる。それぞれ30箇所あるコントロールポイントは共通だったり別だっリするようだ。
記念撮影のあと、午前10時に一斉スタート。勢い先頭を走る我々チーム重戦車。同様に3時間チームの多くが近場のブルーベリー畑フラッグ[34点]に向かうが、運営による設置ミスでどう探しても見つからず場は大混乱に陥る。何らかの運営ミスはロゲあるあるだし、チェックポイント一覧にある写真と同じ構図なら得点証明としてOKだと思われるので、さっさと済ませて離脱する。私は基本、撮影係として素早く構図を決め、仲間をフレームに入れてレリーズするのが役割。戦略はOJを中心とした仲間に任せるが、今回は意識的に強気を鼓舞する。
何となく南回りという戦略で、あまり山奥には行かないが中原翁公徳碑[56点]と急坂を登った導水路トンネル跡[110点]のコンボは外せない。歩きでも息が上がるし、この調子で3時間持つのかな…。美和ダム[36点]では管理人の特別な計らいで御在位三十年記念のレアダムカードをゲットだぜ。
重戦車というチーム名通りスピードが遅く、他チームにばんばん抜かれるほど。しかし昔のサイクリング部員は地形図読みを強制的にやらされていたので、四人とも地図読みは強い。まず道は間違えようがなく、極めてスマートなルート取りができる。美和湖畔の道の駅南アルプス村[120点]と、入り口が分かりにくい検校塚[54点]を難なく通過して北へ戻る。東に外れた2箇所をスルーするのも良いバランス感覚だ。ここで他チームの二人があまりに距離を置いて走っているので「ソロの方ですか?」とカマを掛ける。この大会にソロの部はない。ルール違反のライバルは精神攻撃で潰すのが基本。
高遠の街中エリアを周る中盤戦は東側の山べりから。林道(旧秋葉街道)入口を首尾よく見つけてNTT電柱[48点]、桂泉院[44点]。急な遊歩道を登った先の展望ポイント[130点]からの眺望は素晴らしく、眼下に高遠城址公園、向こうに中央アルプスの山々が並ぶ。桜の季節に絶対再訪したい。マレットゴルフコース[78点]を経て街へ下り、ポレポレ君看板[62点]。この登り下りは脚へのダメージも相当に大きかった。
ふと天頂を見上げると、太陽を貫く不思議な光の輪がある。後で調べたら幻日環という珍しい気象現象とのこと。さらに環水平アークも現れた。今日の空は凄い。
城址公園内のポイントは、案外登り下りがあるうえ安手なのでスルー。三峰川(みぶがわ)に下りてぴょんぴょん石[40点]は心がぴょんぴょんするが、川が増水していて撮影者の自分だけシューズが水浸しになってしまった。まあいいや。満光寺[38点]からまた頑張って坂を登り、喫茶木のすず[42点]。ここも城址公園と仙丈ヶ岳を望む絶好の展望ポイントで、皆にこれを見せたかった。
そろそろフィニッシュに向かいながらまとめる終盤戦。西側は金鳥ホーロー看板[64点]までにして引き返し、虹橋(水路橋)にある高得点ポイントへ。しかし説明をよく読むと、橋の下から撮影しなければならない。だいぶ遠回りかつ高低差もあり、みな弱気となった。ロゲイニングはあまりナアナアではつまらない、意見の相違があってこそだと思うので私は相変わらず強気な主張をするが、結局は諭されて諦める。これでいい。
先週フルマラソンをこなしたばかりの私でさえ、高低差とストップアンドゴーの繰り返しで脚がぱんぱんになってきている。普段ジョギングもままならない忙しさの皆はもっとずっとキツいのだ。兜庵[52点]を経て、とびだしぼうや[70点]はぼうやと同じポーズを取るルール。まだそんなことをする余裕はある。二宮尊徳像[60点]では撮影の順番待ちをしていたが、前のチームが何度も撮り直しているので「またかい!」と声を荒らげてしまった。こういう無駄に印象を悪くする行為は反省せねばなるまい。
最後に相生町升形跡[50点]を撮って、あとはトンネルを抜けるだけ。ペースメーカーとして引っ張ってくれたHAはもう歩くのもしんどそうなのに、何とか走れるだけ走ってくれた。制限時間を丁度2分余してフィニッシュ、結果的に完璧なクロージングとなった。走行距離20.4km、積算標高差550m。得点計算をすると2000点満点中1188点で他チームとクロスチェック、これは良い交流となる。用紙を提出して、ファンタと豚汁を頂きつつ表彰式を待つ。
表彰式は男子チームから。3位が900点台と発表された時点で我々の入賞が確定。さらに2位も若干下で、何と我々チーム重戦車が優勝。一昨年の草津に続き二連勝となった。もちろん本気チームが5時間クラスに行っちゃってるおかげだが。インタビューはHMが答えてくれた。米、小麦粉、ビール、アームウェア、使い捨てグリル・・・賞品を山分けだー!
さらに男女混合チームのトップも見た目はアスリートだが得点は我々より僅かに下で、3時間クラス全カテゴリで最高得点という栄誉も得た。再登壇して戦略説明をする運びとなる。ええっ俺がか? あとでブログに書くとかならともかく、急に人前で説明できるかいな。あわわわわ、たどたどしく何とか終わらせた感じ。もっと地図読みの強みを強調できれば良かったなぁ。他チームの説明を聞いていると話すのは上手だが、「ここでこうしていれば」などとタラレバが沢山つきまとう。それがロゲイニング。ちなみに3時間クラスで同点チームは存在せず、つまり全チームで戦略が異なるという奇跡のようなプランニングとなっていた。
さくらの湯へクルマで移動し、アルカリの強いぬるぬるの温泉にゆっくり浸かる。軽食を摂ってから会場に戻ると、5時間クラスも競技を終えて表彰式が始まるところ。こちらもフラッグ設置ミスがあったうえ、同点チームが多くなってしまい、その場合タイムで順位が決定されるのだけど、プランナーさんは悔やんでいた。お楽しみ抽選会(じゃんけん大会)でもちょっとした景品を貰い、大会は終了。お疲れ様でした。
また街へ繰り出して、みすゞ食堂で夕食とする。地元民に愛される店という感じで、ソースかつ丼が旨い。夕闇の高遠城址公園へ散歩に向かうと西の空に太陽柱が立つ。今日三つ目のレア気象現象だ。HS邸に戻り、もう一泊させて頂く。
夜はもう祝勝会状態で、HS一家を巻き込んで上機嫌に盛り上がっていたようだ。私は極端に下戸ですぐ潰れてしまうが。とにかく、ここに集まってロゲに参加しようと一年以上前から企画構想していて、無事に成功して、本当に良かった。
静かな朝を迎え、宿酔い覚ましにこっそりと、高遠湖をジョギングで一周しておく。何も予定を決めていなかったが、HSの勧めで鹿嶺(かれい)高原ドライブへ。自転車だったら心折れそうな坂を山頂まで登ると人気のキャンプ場があり、少し歩いて展望台。甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳が間近にドーン! あいにく今日は曇り。晴れた日に絶対再訪したい。長谷村に下りて熱田神社の彫刻も見ていく。
「いつも中村がブログに書いているピラータとはどういう所なのか」と言われ、その流れで松本へ移動。必ず一人で行く店だったから、初めて友人を連れて行って驚かれたかも知れない。ここで昼食を頂き、松本駅で解散。あとは皆の無事帰宅を祈るのみ。無味な日常が帰ってくるが、連綿と繋いできたものがあるんじゃないかな。そうそう、ゴールデンウィークはまだ始まったばっかりだ。
合計得点 | 1188/2000 | (最多点1188, 最少点134) |
コントロール数 | 19/30 | (チェックポイントと表記ゆれあり) |
フィニッシュタイム | 2時間58分00秒 | |
男子の部 順位 | 1位 | (/出場7組/申込7組中) |
総合順位 (女子・混合・ファミリー含) |
1位 | (/出場39組/申込40組117名中) |