富岩運河環水公園とビル群

山・海・まち〜美しい富山湾を走ろう〜

富山マラソン2015 参戦記

2015.10.31[]-11.2[月]

日記

10月31日()大会前日「さあ始まるざますよ いくでがんす 富岩」
北陸新幹線はくたか、長野駅入線

土曜の昼、松本駅から特急しなのに乗る。長野駅ビルで知人と昼食にしてからいざ、富山マラソンへ向かう。“遠征”つまり長野県外のレースは今年唯一だ。北陸新幹線の延伸開業記念で初開催となる大会だし、新幹線を使うのが正しかろう。長野では晴れてても上越妙高じゃ雨とか、僅かの時間に気候が変わるのはさすが「はくたか」の移動力。車内でJR東日本と西日本、両社分の冊子を読んでいるうちにあっという間の59分、歓迎ムードの富山駅に到着。

富山ライトレールの痛ポートラム

痛路面電車を横目に北へ、ムクドリ対策のスピーカー音がけたたましい通りを少し歩けば受付会場の総合体育館。フルの部だけで参加1万2千人、一般募集は2日余りで定員に達したという人気っぷりだし、身分証明証の提示を求められるのも何か本格的。しかし富山マラソンEXPO(出店ブース)は長野や大阪のそれに比べてだいぶショボい。まともに始まるのか? サプリ類は駅前のマツキヨをあたろう…。参加賞はTシャツのみだが、ナンバーカード抽選で4等のご当地レトルト「城端ふるさとポークカレー」を当てたのはラッキー。隣接する富岩(ふがん)運河環水公園は夕暮れのライトアップが始まり、とても幻想的で綺麗。「世界一美しいスタバ」は忙しそう。

富山マラソンEXPO 富岩運河環水公園ライトアップ 富山地方鉄道電鉄富山駅
電鉄黒部駅前、藤の湯のシャアザク

野宿の予定もあったが、雨や荷物が煩わしいので3000円の安宿をとった。ただし場所は遥か東、片道1時間かかる黒部市。うわあい、初めての富山地方鉄道だ! 車窓は真っ暗だけど仕方ない。大会パンフに目を通すと、参加者は新潟県民より長野県民の方が多い。新幹線による交流圏の変化、明暗が表れている。電鉄黒部駅前に降り立つと、これは予想以上の寂れよう。ビジネスホテルヒカリは営業してるようには見えない真っ暗な外観だが、昔はテナントいっぱい栄えていたんだろう。弁当屋で夕食を調達してからチェックイン。なにげにWi-Fiは使える。ボイラーが壊れっぱなしで、風呂は近くの銭湯「藤の湯」を使う。充分充分。

11月1日()大会当日「高岡富山マンプクルート」
あいの風とやま鉄道黒部駅

北アルプスが映える快晴の早朝。まず1km歩き、コンビニでおにぎり等を食べてから地鉄じゃない方の黒部駅へ。新幹線開業に伴う三セク化で「あいの里」だか「あいの風」だか「あいの土山」だか分からないナントカとやま鉄道だが、ICOCAが使えるのは便利だ。521系(新快速っぽいやつ)4両編成の電車は進む毎に超満員になり、一般客がかわいそうなレベル。ギリギリ席を確保できて自分は楽をしたが、次回から早い時間の臨時列車を運行すべきと思う。富山駅からなら土日運休のスジにマラソン臨413系6両が存在するが、時間が遅くて乗る人は少なかったようだ。

古城公園朝陽橋(ちょうようばし)

富山を4駅過ぎた高岡駅で下車し、痛バスを横目にスタート地点の高岡市役所前まで歩く。せっかくだから「ゆるゆり」の聖地、古城公園も寄っていこう。会場に着くと案の定、トイレに絶望的な長蛇の列。さっき古城公園で済ませたからいいや。荷物預け時間がタイトなのも改善して欲しいところ。第2朝食を詰め込んで、ウォーミングアップエリアは濡れた砂地だが軽く走っておく。

高岡工芸高校グラウンド

やや冷えるけど青空が締まる絶好日和。午前9時に第1回富山マラソンの号砲が鳴る。有森裕子ゲストに見送られ、スタートダッシュは先頭集団Aブロックランナーの義務。沿道は小学生の元気過ぎる声援がスゴイ。最後のランナーまで喉が持つのかしら。高岡大仏に手を合わせ、路面電車までもウヤにして確保された街中コースを駆け抜ける。南下したあと、北東へ。声援が一旦小さくなったと思ったらまた大きくなる。近くに下品な白鳥コスプレが走っているせいだ。これはちょっと離しておきたい。3:15'ペースランナーも抜き去る。抜き返されませんように。8.1kmエイドで昆布を貰い、三女子(さんよし)交差点から庄川の土手道へ。凧揚げによる応援は珍しいがさすがに観衆は途絶え、ランナーの足音だけの世界へ。これも良い。

さてジョギング練習量は9月に50km、10月も風邪で出遅れ120km。しかも体脂肪率21.4%にまでぷよぷよ膨れ上がった身体を、どうやって42.195km先のゴールへ運ぶかが難しい。去年、同様に練習不足で3:17'だった大阪マラソンよりマシなら御の字。欲を言えば「ボリュームゾーン」扱い基準の3:10'よりは早くフィニッシュしたいので、1kmあたり4'30"ペースを意識する。序盤ここまで流れに乗り過ぎてオーバーペースになる場面もあるが、ライバルの背中を見送る判断も時々できるのは大阪の反省が活きている。そして記録はともかく「これは、記憶に残るマラソンになる。」って思うんだ。

新湊大橋空撮(パンフレット表紙)

ゴールドウインの私設エイドでタブレットを頂く。効くかな。14.0kmエイドで梅干食べてスッパマン。東へ渡る新庄川橋からはいよいよ日本海が見えてくる。射水市新湊の17.9km地点が一つ目の大給食エイド。これがあるからパワージェルなどつまらない物は持たない作戦なのだ。白えび天むす、新湊かまぼこ、プチトマトを美味しく頂く。

普段はクルマしか通れない左回りのループを、苦しくない程度のハイピッチで登っていく。そこに現れる新湊大橋は圧巻中の圧巻。左手に万国旗の美しい海王丸や富山湾、右手に港湾の町並み、正面には美しい斜張橋を前景に劔・立山連峰がそびえ立つ。そして北アルプスが海へ落ちる親不知…これまで参加したマラソンで一番の景色! アップダウンでペースは鈍るけど、下りるのが勿体無いほど。しまなみ海道の多々羅大橋みたいに鳴き龍現象が起こらないかと主塔部の真下で手を叩いてみたら、少し返ってきた。荒天時は通行止になるためサブコースも設定されているが、今日は穏やかな天気で本当に良かった。

ここから先は富山駅までジョギングしたことがあるので、気持ちは楽。いや、まだまだ半分。22.1kmエイドでチョコを貰い、富山平野を南東へ向かう。ちょっと風が気になるので人の後ろにつけるが、つい前に出てしまう、の繰り返し。流鏑馬を見て28.0km地点が二つ目の大給食エイド。何と言ってもますずし。うん、魚っぽい味。あとオレンジも頂く。続く29.0kmエイドでは塩熱飴を頂く。エイドに集中しているうちに○○km地点の標識を過ぎて、ラップを欠測することが多い。これが長野だったらエイドをずらして配置している筈で、贅沢を言えば改善して欲しい。まあいいか。32.2kmエイドでは杢目羊羹を頂く。

富山マラソン2015マップ

それにしても意外とペースは落ちず4'30"/kmを刻んで33km地点まで来ているし、フィニッシュ3:10'切りが現実味を帯び始めた。八町南にある各都道府県ランナーを応援するノボリ群が壮観。しかしここからの呉羽丘陵越えは甘くなかった。数字上は大した標高差じゃない筈だが、跨線橋を過ぎてもまだまだ登らされる感じ。峠茶屋を左折して少しして、やっと最高地点を越えたところで余力を使い果たしていた。下り坂になっても脚がまるで回らず、失速ランナーの仲間入りを余儀なくする。2人前のランナーが倒れた。1人前のランナーが駆け寄り沿道に助けを求める。私はただ通り過ぎる…。

37.2km地点が最後の大給食エイド。創作和菓子パイと甘酒まんじゅうを口の中でもさもさする。こんなに常時お腹いっぱいで走れるマラソンも珍しい。ああ、どこかでしろえびせんべいは食いそびれた。沿道には「足の痛みなんて気のせいです」看板。お、おう…。エネルギーは余り余ってるのに力が出ない。まぁ、練習量にしてはここまで頑張り過ぎたんだ。つらいけど路面電車と並走するのは楽しい、富山市街の広い道。戦争でフルボッコにされた影響だろうな。

フィニッシュゲート

順位は下げまいと5'/km前後のペースで粘り、もう駄目になりそうなラスト1km。商業高校応援団の気迫に背中を押されるように富岩運河環水公園のゴールへ一目散。腕をジンジンに痺れさせながら、ライバルたちと壮絶な叩き合いだ。最後に超スパートで場を沸かせた人に抜かれつつフィニッシュ。スポーツドリンクを貰い、すぐに完走証が発行される。3時間11分40秒、ネットタイムはそれより16秒引き。いずれにせよ目標タイムには至らず、ちょっぴり悔しい。5km毎の通過タイムも記載されるが、順位はフィニッシュ時のみで男子279位、総合290位。Aブロック千名の中で面目は保った。つーかみんな申請時に鯖読み過ぎだ。来年から規制入るぞ。ともかくタオル、メダル、バナナを貰い、預け荷物を受け取る。女子高生が係員をやっているのに、更衣室まで行かずここで着替え始めるオッサンどもが少なからず居る。まぁ人が多いイベントだと見たくないものもあるわな。

ゴールエリアの富岩運河環水公園

着替えと補給を済ませ、ゴールエリアの撮影タイム。出店のクレープも食べちゃおう。天門橋の階段や応援団ポイントなど、なるべく歩き回ってアクティブレストする。これだけ人がわんさか居るのに、運河クルーズ船は商売上がったりな様子。「どうですか」と声を掛けられて、是非乗ってみたいが、抵抗力が落ちている状態であまり風に当たりたくないんだ、すまない。藤原新と野尻あずさが優勝したと云う号外新聞を貰って、会場をリーブする。

風景も走りも、そして給食も全力で味わえた、楽しいマラソンだった。このぶんだと来年もし開催するならすぐに定員が埋まるんじゃないか。同じく初回開催となる金沢マラソンに与えるプレッシャーも相当なものだろう。北陸地方は甲信越より輪をかけて車社会、マイカー信仰が激しい土地柄というイメージがある。「クルマの邪魔する奴は悪」くらいに思われてそうだが、今日ここでそんな実感は無かった。ノーマイカーデーに対する反発はネット上で散見するが、少しずつ理解されたらなお良い。

大喜(たいき)の富山ブラックラーメン

実は有休を使ってもう一泊する。東横インにアーリーチェックインしてシャワーを浴び、歩いて街へ繰り出す。あれだけ食ったのに、さすがフルマラソン後は足が軽い。富山城址公園や総曲輪(そうがわ)アーケードを周り、土産を買って駅前に戻る。行列がはけた大喜(たいき)で富山ブラックラーメンを頂こう。あれだけ走って汗をかいたのに、醤油味が塩っぱいぞ。駅前スタバで甘いものを飲んでからホテルに戻り、iPadで遊びつつ就寝。

11月2日(月)大会後日「富山松本ノリテツルート」
地鉄特急と北日本新聞

私と同じ後泊組でロビー朝食は混雑。外は雨だが風の心配はなさそうなので、富山と松本方面を最短距離で結ぶ立山黒部アルペンルートでの帰松を決行する。時間と金は掛かるが、11月はお客様感謝月間チラシで2割引にできる。特に電鉄富山〜室堂間は未体験なので楽しみ。扇沢まで通しのきっぷはカードで買えるが特急料金は現金のみってところに、地方鉄道の苦しさを感じる。

雪の室堂

駅売店で全完走者データ掲載の北日本新聞を買い、ショボイ特急に乗り、峡谷を分け入って立山駅へ。クーポン割引のソフトクリームを食って、ケーブルカーは急勾配を美女平駅に結ぶ。こんな日でも中国人観光客が賑やかで、臨時便も多い。高原バスが行くブナの森から弥陀ヶ原、天狗平の「未開の台地」感は広大で素晴らしい。標高が上がるにつれ雨は雪へと変わり、室堂駅に着く頃には一面の雪景色となった。昨日見た立山連峰はどっちだ。ランニングシューズじゃ遠くまで歩き回る気になれず、資料館を観たり土産を試食したり。

立山ロープウェイ

ここからは先の区間は乗ったことがある。トロリーバスで大観峰、ロープウェイは視界不良のまま黒部平。地中ケーブルカーでは居合わせた人に「中国人ですか?」と聞かれついでに少し話しつつ黒部湖。黒部ダム徒歩区間は雨でも壮観、トロリーバスで富山県から長野県に入ると一安心。扇沢からは別会計の路線バスで信濃大町駅へ。駅前のパン屋が旨い。あとは大糸線を松本まで乗れば、ぐるり一周、非常にバラエティ豊かな乗り物の旅だった。

これで今年のレースは終了。だがマラソンのシーズンはまだ始まったばっかりだ。ちょっと食事量を考えないとね。そして来年の秋は富山マラソンのライバル、金沢マラソンに興味がある。

結果

即時発行の完走証
富山マラソン2015 公式リザルト
記録 3時間11分40秒 (最速者2:17'05", 最終完走者6:59'54")
ネットタイム 3時間11分24秒 ※スタートラインからの計測参考記録
男子順位 279位 (/完走8311名/申込9494名中)
総合順位 290位 (/完走10479名/出走10797名/申込12073名中)
※他に車いす,5〜2km併設レース完走1437名/出走1501名/申込1796名で全体13869名規模の大会だった。
※人数はパンフや新聞、ランネットリザルトからの推測を含む。

リンク

オールスポーツ写真のサンプル
富山マラソン
公式サイト。大会概要、最新情報など。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。
オールスポーツコミュニティ
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