楽しい石炭の歴史村

自転車キャンプツーリング記

道央火山、消えゆく鉄道と廃鉱巡り

2015年8月8〜14日

日記

8/8() はまなす旅 have a nice trip

金曜の仕事が終わり、それからほぼ完徹で旅支度を間に合わせた。早朝の松本駅で自転車を輪行し、まずは高尾行き。七日間有効の「北海道&東日本パス」による普通列車の旅が始まる。今年から長野以遠の信越本線が三セク化してしまい新潟回りの接続が悪くなったので、新宿回りのルートを選択した。湘南新宿ラインで直に宇都宮まで行けるのはありがたい。うとうとしながら黒磯、郡山、福島と乗り継いでいく。こうも眠いと、寝過ごしたまま往復してるんじゃないかと時々ハッと焦る。ああ、首が痛い。

仙台七夕まつり

例によって無線封止、つまりケータイ・スマホの類は家に置いてきた。やはり年に一度は、そうやって自分の時の流れをリセットしたい。ただ考え事をするだけの贅沢が延々と続く。仙台で一旦駅を出ると、街は七夕まつりの千秋楽。こんな都会も良い。暑くて水分・塩分が不足してるので、ラーメン苦手な私にしては珍しくラーメン屋に入る。焼き飯の旨い末廣。

普通列車だけじゃ間に合わないし、東北新幹線でまだ未体験の盛岡以遠も乗ってみたい。かつ、あまりタイトな乗り継ぎは嫌だ…その条件だと仙台から新幹線「はやぶさ」を使うしかない。盛岡まで320km/hで超ぶっ飛ばし、そこからは整備新幹線を定める法律により260km/hが最高時速となる。八戸を過ぎると車内はだいぶがらんとして、八甲田山の下を抜けて行く。雪中行軍遭難事件の現場を避けて通るような線形が気になる。

急行はまなす寝台車

自転車と家財道具一式を運んでいると、在来線による新青森〜青森の乗り継ぎが余計に面倒くさい。ともかく挙動不審なマニアたちで賑わう青森駅に到着し、やがて夜行急行「はまなす」も入線する。この昭和のブルートレインめいた客車列車は、便利で人気が高いが、青函トンネルの新幹線対応工事でいよいよ廃止間近と噂される。指定席券は一ヶ月前の午前10時台で完売だったはず。自由席からあぶれた客がデッキを占領しに来る前に、自転車の積み込みに成功。そのためのはやぶさ利用だった。

一部の車両は外装からしてもうぼろぼろである。ドリームカーやカーペットカーなど多彩な車両が連結されるが、今回はB寝台下段を選択。お金は掛かるけど、もう寝台車に乗るなんて最後かも知れないし。せっかくだから備え付けの浴衣を着て、横になる。22時18分に出発すると、車内チャイム「ハイケンスのセレナーデ」が鳴る。

これで始まる旅が、楽しくない訳がない! いざ青函トンネルを抜け、北海道へ・・・

道央火山と廃鉱巡りマップ(旅行前)
8/9() 火山巡りのチャリは走る

車掌さんに起こしてもらい車窓を眺めると、わずかに明るく海や工場群が流れる。4時15分、東室蘭駅で下車。さよなら急行はまなす。さすがに北の朝は寒いと感じる霧雨模様だが、自転車が組み上がれば一安心。コンビニでパンを調達しつつ、サイクリングの旅を始める。

倶多楽湖

最初の目的地であるオロフレ峠へは登別駅からが近いけど列車が停車しないため、国道36号20km手前からの走行となった。せっかくだからイタンキ浜に寄っていく。鳴り砂は霧雨に濡れて鳴らなかったが、断崖絶壁の風景が北海道らしい。登別駅前から内陸へ入っていき、右折して倶多楽湖(くったらこ)に寄り道。交通量は無く、鹿など動物だけが出没する。熊は…近くにクマ牧場があるから大丈夫だろう(?)。

活火山の日和山

倶多楽湖は原生林に囲まれたまん丸のカルデラ湖で、一箇所だけ岸に下りられる。全くひと気がなく、静か……。外輪山を脱出し登別温泉に下りる途中、日和山がシューシューと噴気を上げている。生きている火山が間近!

霧のオロフレ峠

登別温泉は以前入ったのでスルー。カルルス温泉も、残念ながら受付時間外なのでスルー。オロフレトンネルを抜けると、さっきまでの霧雨が嘘のように晴れている。日焼け止めを塗らなきゃ。ここからダメ元で少し戻るように標高930mの旧道峠まで登ってみるも、海から湿った空気が押し寄せていてまた霧の中。北海道では美幌峠の次くらいにネームバリューがある絶景峠だが、景色を見渡せるのは西側へだいぶ下りた所からとなった。

洞爺湖北岸

壮瞥町のセイコーマートで昼食とし、洞爺湖流出口の壮瞥滝を散策してから再出発。林間、雲に見え隠れする昭和新山や有珠山を横目に、洞爺湖岸を北に離れて外輪山を越える。さらにアップダウンを繰り返す地形の国道230号。たまらず道の駅230ルスツでソフトクリームを買い食いする。これから毎日、ソフトを食おうぜ。さらにきゅうりの浅漬けを頂きカリウム補給もばっちり。

尻別川と羊蹄山

ルスツリゾートの賑わうジェットコースターをまた横目に喜茂別町から国道276号に入ると、正面に羊蹄山がはっきり見えるようになる。おお! 道は尻別川に沿って下っていくので楽々と京極町へ。京極温泉で汗を流し、ふきだし湧水で給水を済ます。ニセコアンヌプリを正面に、今日は倶知安町まで。食品スーパーがいくつもあるデカい町だ。旭ヶ丘公園の無料キャンプ場でテントを設営し、米を炊いて、もやし入りマーボドーフを作る。

火山めぐりの様相だったラン初日は、早朝から夕方遅くまで走り距離155km、獲得標高差1750m。キャンプツーリングにしては脚を使いすぎた感がある。明日は休足日にしよう。

8/10(月) 毛無から増毛へ
倶知安町、国道393号沿いの朝

暑い夏なのでシュラフは持参せず、ダウンジャケットを掛けて寝た。4時半起床。昨夜炊いたご飯の半分を温め直し、お湯を沸かしてパックの味噌汁を入れ、あとはトマトや惣菜で野菜を摂るのが朝の基本メニュー。タイトな予定を組んだため誰よりも遅くキャンプ場に来て誰よりも早く出発するが、食後にまたお湯を沸かしてスティックコーヒーを飲むくらいの余裕は持ちつつ。

山中牧場の無添加ソフトクリーム

倶知安から北東に向かう国道393号「メイプル街道」は、北海道らしいじゃがいも畑の直線路から始まる。こういう所に暮らしてみるのはどうだろう。雲に隠れた羊蹄山と別れ、樺立トンネルを抜けると赤井川村。噴火口に中心街があるという世界的にも稀有な村だが、時間なくカルデラ外側の国道を急ぐ。あかりんかわいい道の駅からまたしばらく走ると山中牧場とその直営店があり、もちろんソフトクリームは頂いてく。これはうまい、牛乳系の旨さだ。「長い間 待たせてごめん♪」と歌いながらキロロリゾート入口を過ぎると登り坂は本格化し、しかしそれもすぐ終わり標高650mの毛無峠に至る。

毛無峠を少し下りた毛無山展望所

長野・群馬県境にある毛無峠と合わせて、これで二大(?)毛無峠を制覇だ。交通量が多く冬期はスリップ事故のメッカだが、夏場は特に遭難の心配は無いだろう。少し北に下りた毛無山展望所からは小樽の街を一望。さらに遥か北に増毛(ましけ)の街が見えると、毛無から増毛ってことでそれはもう大変に縁起が良いとされる。…てもこれ無理だろ。

留萌本線下り前面展望、恵比島駅手前

猫も杓子もの小樽運河をチラ見して、この街は観光終了。駅で輪行し、67km走った今日のサイクリングもほぼ終了となった。昼食は近くの丸味屋で鮭とイクラの親子丼を頂く。やわらや鮭が旨い。函館本線の区間快速「いしかりライナー」に揺られて東へ、札幌経由の岩見沢駅。線路は北へ伸び深川駅へ。旅は次のフェーズ、留萌本線に移る。単行気動車は乗客40名ほどと盛況。秩父別駅や石狩沼田駅で客を降ろしていく。

さいはての駅、増毛

なぜ留萌本線に乗りに来たかと言うと、遅くとも来年度中には留萌〜増毛間が廃止になるから。留萌を過ぎても乗客20名ほど居て、これなら潰すことないんじゃないか?と思ったが、終点の増毛で大半の客は乗った列車で引き返していく。ああそういうことね。私と同じ葬式鉄だ。

かつて海水浴客で満員の臨時列車も運行されていたと云う。今は増毛の海水浴場は閉鎖され、無料のキャンプ場だけが残っている。ありがたく泊まっていこう。

8/11(火) 期待値ヤン
暑寒海水浴場キャンプ場の朝

自分の叫び声で一旦目が覚めた。テントの外は雷雨、そんなに怖かったか。朝には止むが、濡れたテントを自転車に積むことになる。出撃。

留萌本線箸別駅付近

まず来年度の廃線対象である留萌本線の増毛〜留萌間に沿って海岸を北上。似たり寄ったりの無人駅が多いので、珍駅名とされる阿分(あふん)駅だけ寄っていく。阿分小学校の裏にある木造ホームで、待合小屋には駅ノートがある。何か書いてこ。留萌駅には「検索してはいけない言葉」として知られる「三毛別羆事件」の案内板が熊の剥製と共にある。線路は東の内陸へ。こちらもJRが全線廃止を沿線自治体に打診しているらしい。深川留萌自動車道なんてもんが出来ちまったからな。

明日萌駅こと恵比島駅

峠下駅は路線唯一の列車行き違い可能駅だが、周りに人家がなく秘境駅とされる。ここからは魅力的な駅のオンパレードで、全て寄ることになる。恵比島峠を越えてすぐの恵比島駅は、NHK「すずらん」明日萌駅のロケセットがそのまま残る。「あしもーい、あしもーい…」。初めて全話観た朝ドラだったので、個人的な思い入れは強い。あの頃の遠野凪子さんはみんなの憧れだった。今はほとんど朝ドラを観なくなってしまった。

北一已駅

ドラマの劇中歌「星の線路」を歌いながら、真布(まっぷ)、石狩沼田、北秩父別、秩父別(ちっぷべつ)の各駅を訪問していく。セイコーマートで北海道メロンソフトを食べ、最後は難読駅として有名な北一已(きたいちやん)。どこの駅ノートにも先客によるデレマススタンプがあった。あんきら。…こうして半日で自転車に寄る並走が終わってしまうくらい、短い「本線」であった。背後から忍び寄る黒い雲と雷鳴が気になる。

通信を断絶して4日目ともなると、ようやく自分の時間を取り戻した、というか「着地」した感じがする。ネットに振り回されて、どんだけ宙を浮いていたんだ、俺。

喫茶マリンのカツカレー750円

深川市から石狩川自転車道を南下し始めるが、とうとう雷雲に追い付かれてしまった。ドシャーーー! 雨のランドナーとは言え、これはやり過ごしたい。橋の下で待っているうちに時間が押してきたので近道の国道12号に切り替えるが、うう、トラック多い。昼食は昨日列車内でツーリングマップルを読んでて気になった、滝川市の喫茶マリンにしよう。地図がアバウトなのでずいぶん迷ったが到着。おそらく初心者向けと思われるカツカレー(750円)を注文すると、大きな皿に2合近いご飯とはみ出んばかりのカレー。なるほど「爆盛り」の店、地元フードファイター集いの場であった。大盛りを頼んでる人がいたけど、どうかしている。
(後日調べたらつくばのクラレット、名古屋のマウンテンと並び称すべき有名な重食喫茶だった。)

砂川市の事件現場

札沼線さいはての駅、新十津川に寄り道。そこでまた雨宿りしてから砂川市に入る。ぬかるむダンプ道を行くと、道端にたくさんの花や飲み物が供えてある。ほんの2ヶ月前にあった、飲酒ひき逃げ事件の死亡現場だ。ここは脱帽、グラブも外して合掌。もう少し進んだ所があの交差点だ。同様に手を合わせていると、怒りと悲しみがふつふつ沸き起こる。この事件は被害者一家の悲劇性と加害者一味のクズっぷりがニュースソースとして世間に喜ばれたため、連日大きく報道された。しかし実際は、日本国内だけでも毎日10人くらいは交通事故で死んでいる。負傷者はその200倍くらい。殺人兵器めいたパワーを持つクルマは、平和主義者どもには似合わぬ代物だ。

歌志内市の中心市街地(?)

予定していた赤平市回りは諦め、直に東の山へ。旅は最終フェーズ、廃鉱のまち巡りに入る。かもいトンネルを抜けると、日本の地理・地誌好きなら一度は訪れたい歌志内市がここにある。かつて炭鉱で繁栄を極めたが、今や人口三千人余り。廃線跡サイクリングロードで中心市街地まで行ってみると、市と言うより村の一集落のよう。ここのスーパーで買い出ししたかったが、コンビニしかないわ。キャンプ場も潰れている。

上砂川岳温泉パンケの湯

南隣の上砂川町に入る。廃線終点の駅がドラマロケ地の悲別駅として保存されている。ここも歌志内と似たような寒村だが、無料の奥沢キャンプ場がある。芝地はぬかるんでいるので東屋がいい。隣接する上砂川岳温泉は循環こそしているが、ツルツル系のよい泉質だ。湯船に浸かって目を閉じれば、今日の157kmが走馬灯のように蘇る。施設のあちこちに貼られた飲酒運転禁止の貼り紙が、件の加害者一味を輩出した町だけに生々しい。

8/12(水) 鹿島臨終鉄道
上砂川のズリ山

自転車の泥を拭いたりチェーンに注油したり、軽く散歩したりしてから6時過ぎに出撃する。この好天なら今日は降らないよね? 野生の鹿がうろうろしている街、上砂川小学校の廃校舎裏に回ると、美しいピラミッド型のズリ山がある。今でも自然発火が起こり、あちこちから煙が上がっているのが見える。観光客は接近不可とされるが、なるべく近くへ…。

のっけから時間を食ってしまった。峠を越えて石狩部屋に戻ると奈井江町、ナイエエエ。直線国道12号を南へ進むと茶志内(ちゃしない)駅がある。姉ちゃんおチャしない? 美唄(びばい)市は、二倍二倍!

奔別炭鉱立坑

三笠市もかつて炭鉱で栄えたが、人口1万人を割った。そのくせ道道116号の交通量が多いのは、札幌〜富良野間の動脈だからだろう。今日もまた東の山に入って行くと、幾春別地区に奔別(ぽんべつ)炭鉱の遺構が残る。立入禁止?、でもなるべく近くへ…。驚くほど巨大な立坑櫓は鉄骨むき出し、奥の長大な建物は運炭列車が入線できるようになってたようだ。うんたんうんたん♪ と楽しげに走っていたのだろうか。もう廃鉱巡りはお腹いっぱい。それよりあーいーすー。街には「あいすの杜」なんていう洒落た店があり、黒蜜サンデーを頂く。

桂沢湖

学生時代の合宿で泊まった桂沢ダム湖の国設野営場、それに卓球や食事も可能だった温泉施設は消滅した。ここから夕張国道452号に入ると交通量は激減。お盆休みだし、酔狂なクルマやバイクが時々通るので熊の心配はなさそう。やたらとキツネはエサ欲しそうに出没するが、むろん近寄るとエキノコックス感染の恐れがある。エサをあげているオートバイの親子、やめてくれ…。

シューパロ湖に沈んだ大夕張鹿島地区

道は良く幾春別川の源流域、そして三夕トンネルを抜けると夕張市の鹿島地区に入る。かつて1万9千人がこの谷に密集して暮らしていたのだから、それは大変賑やかだったろう。みんな、どこかへ行っちゃった。新しい夕張シューパロダムによって完全に水没していたらつまらないと思ったが、水位が下がってかつての区画や廃線跡が出現している。それに枯れた木々が広範囲に、独特の色彩を放って次の水没を待っている。美しくも退廃的な、なんという光景だろう。これが、北海道だ。

南大夕張駅

ブレーキワイヤーが切れて応急修理などしているうちに、さっきから対岸で光っていた雷がついに自分の近くにも落ちてくる。土砂降りになるし、生死を賭けた猛ダッシュでシューパロトンネルに逃げ込む。助かったぁ。近くの南大夕張駅跡にホームと列車が保存されているので、そこで寒さに震えながらしばらく雨宿り。非常用のカロリーメイトを食べて少しでも体を温める。ここはいかつい表情のラッセル車が魅力で、客車の中は暖かい。保存には大変な努力がなされているようだが、十年二十年先はどうなっているだろう。

小康状態になってようやく出撃。南清水沢のスーパーで買い出しして、付近の様子を見て回る。雨がしつこいし、どこかで駅寝するつもりで北上すると、軒下のある公園を発見する。超緊縮財政の夕張市にしては珍しくトイレも水道も使えるし、テントを張らせてもらおう。本日走行120km。

もうすっかり「自分の時間」に着地している。しかし旅の終わりは近い。

奔別炭鉱ホッパー 大夕張鹿島地区、廃道廃線跡 南大夕張駅客車
8/13(木) 廃鉱めぐりヤリキレナイ
夕張市街の名画看板群

キャンプ最終泊で使ったコッヘルは洗わない作戦で、さっさとチャリに積み込み出撃。近くの大煙突が気になり散歩がてら見に行くと、隣接する夕鹿の湯は休業中の様子。また、幸福の黄色いハンカチ広場は入場時間前で、中に入らないとハンカチは見られない。でも若菜メインストリートには左右に黄色いハンカチがあしらってあり、高倉健さん気分を味わえる。泣ける。

さいはての駅、夕張の小さな駅舎の裏には大きなホテルがある。マウントレースイだ。ここを買収したことが市財政破綻のダメ押しになったと伝わる。今は加森観光系が運営しているが、外資が興味を示してくることを待っている気がする。早くしないとここも廃線になっちゃうよ。

石炭の歴史村ウォータースライダー

寂れつつも名画看板の数々が楽しい本町を抜け、「石炭の歴史村」に入る。かつて泊まったキャンプ場はどこ? 建物もほとんどが閉鎖され、石炭博物館のみが意地で維持されている。奥に進むと廃遊園地「アドベンチャー・ファミリー」がある。ここは立入禁止じゃないから、詳細をブログに書いても大丈夫だよね? 園内トロッコ列車跡は草ぼうぼう、夢の世界の入口だったゲートは雪で押し潰され、お化け屋敷は今の姿の方が怖い。極めつけはプールのウォータースライダーで、バリバリに崩れ落ちている。「バリバリ夕張♪」という楽しげなCMの成れの果てが、…なんという光景だろう。

ヤリキレナイ川

廃校の窓が割れまくっているのも悲しい。ドラクエ4のアッテムト鉱山にもよく例えられる夕張の破滅は、他人事なのだろうか。それとも日本自体が夕張化しつつあるのか。一応土産物は買っていくが、やり切れない思いで西へ、ヤマを下りる。上を向いて走ろう。そこに現れるのが、夕張郡由仁町の一級河川「ヤリキレナイ川」。小さな流れだが、ネタ的に寄ってみたかった。由仁国道234号を北上し、同じく夕張郡の栗山町は道が広く駅舎も立派。ゴーゴー夕張こと栗山千明さんと関係あるのかは不明。

岩見沢駅舎

広大な景色を左手に、レンガ壁が美しい岩見沢駅まで走る。そこで子供に絡まれつつ輪行。スナック街にシンプルな天丼屋を見つけ、そこで昼食をとってから列車に乗る。なかなか乗る機会がない室蘭本線の岩見沢〜沼ノ端間を体感してみたかったから。クーラーの無いキハ40形2両編成は晴天の下さっきの栗山、由仁と南下していき、沼ノ端までで目的を果たしつつ千歳線に乗り換える。

ウトナイ湖

ラブライブ!の聖地と言える美々(BiBi)駅に降り立つと、駅ノートにはラブライバーによるイラストの数々が。札幌から千歳空港方面と間違えてこの秘境駅で下車する人も多く、その恨み節も伺える。自分も何か言葉を残しておこう。「夏、終わらないで」…。自転車を組み、美々川を少し下ったところがラムサールなんたらのウトナイ湖。これは北海道のイメージらしい広々とした景観だ。ハスカップソフトクリームを食って、いよいよ北海道ラストラン。苫小牧フェリーターミナルまでがんがんペダルを漕ぐ。走行合計100km。

苫小牧港のさんふらわあさっぽろ

もう何日か駆けずり回りたいけれど、北海道&東日本パスの期限と、それに合わせて帰りのフェリーも予約してあるから仕方ない。「さんふらわあさっぽろ」に乗船してまず風呂を済ませ、18時30分出航。先月末に同航路のさんふらわあだいせつが火災で大変なことになったからビビったが、こちらは予定通り運航してくれて助かった。

苫小牧を出航

徐々に離れていく苫小牧の街並みと北海道の山々。数日間の思い出、あるいは昔の旅の記憶も合わさり、感極まる。またこの大地に来られるだろうか。あとは文字通り大船に乗った気分だし、ディナーバイキングで限界まで食いまくる。船酔いは大丈夫?

石炭の歴史村アドベンチャー・ファミリーのゲート ラブライブ!の聖地?美々駅 さんふらわあさっぽろのエコノミークラス
道央火山と廃鉱巡りマップ(旅行後)
8/14(金) 大洗電撃作戦

北海道に居たのは5泊5日(夜行列車で上陸したため)。仮の予定を立てる時に欲張ってあれこれ詰め込み、結局それをほぼ踏襲した。毎日早朝から夕方遅くまで駆けずり回るキツいサイクリングとなったが、お陰でワイドかつディープな旅を楽しめた。夕張を忘れない。

それにしてもこのフェリー、エコノミーしか空いてなかったから仕方なくそれにしたが、部屋は暑いしイビキはうるさいし隣と肘が当たるしで、「これは無理!」と諦める。エントランスのソファーの方がマシ。もうずっとネットもテレビも見てないし、こうなると備え付けの新聞さえ読みたくない。世の中の動きを知るのは帰宅してからでよいから、今しばし非日常を続けたい。0時を過ぎても眠れないので、本棚にある弱虫ペダルの外伝でも読む。ああ、フェリーの予約は2ヶ月前に打って寝台を確保しなくちゃいけないのよ。

朝食バイキング

やがて眠ったが、キャンプ生活どおり4時過ぎには起きる。外の天気は今ひとつ。西に浮かぶのは三陸海岸だろうか。去年の津波被災地ツーリングを思い出す。朝食はまたバイキング形式で、ポテトフライ超盛るぜー。何度も往復して限界まで腹に詰め込み、太る。その後うたた寝をしているうちに、福島第一原発の沖は通り過ぎてしまった。目撃できる距離だったはずで、見たかったような、見たくなかったような。昼飯は持ち込みのコンビニおにぎり。

大洗でガルパン聖地巡礼

憧れたイメージとはちょっと違ったけれどありがとう、さんふらわあさっぽろ。待望の大洗港接岸。若干早着したが自転車はトラック、マイカーの次で14時05分頃の下船となった。フェリーターミナルからしてガールズ&パンツァーの垂れ幕が掛かっている。そう、茨城県大洗町はアニメによる町おこしとしては世界最大の成功例として知られる。まる一日かけてじっくり聖地巡礼したいが、今日中に松本へ帰るための乗り継ぎがタイトだ。電撃作戦で街を駆け抜けるしかない。クロモリ製自転車なので黒森峰学園重点な。いざ、等身大ポップが並ぶ街をブリッツクリーク!

ガルパン痛バス

鹿島臨海鉄道の大洗駅もガルパンワールドで楽しい。痛土産を買えるし痛バスや痛列車が停まっている。一回の旅で4回目の輪行ともなると、チャリを分解する手際も良くなった。水戸駅まで乗車して、あとはJR北海道&東日本パスの最終日利用。上野東京ライン経由、中央本線方面へ。もう疲れは限界で、修行の様相だが鈍行でがんばる。まつもとー、まつもとー。自転車を組み立て終える頃には日付が変わり、8日目? まっすぐ帰宅してバタンキュー。燃え尽きた。

帰松

不在中にこれと言って連絡もなかったし、私が生きていようがいまいが世の中回ってるんだなという感想。溜まった新聞に目を通して、大きな扱いのニュースは上海爆発と川内再稼働くらい。ツーリング中に撮った写真は1388枚。どう整理するんだよ、反省。


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