むらよし旅日記・其の十三

キャンピング班GW合宿:野辺山&御荷鉾林道

1997年5月2日〜5日

楽しみな旅

 4月、新たな新入生を迎える、サークルにとっては希望の季節。しかしどうもそれがうまく行かない。個人的には力を入れているつもりなのだが、空回りばかりしている。ただでさえ大学を留年するなどして気が滅入っているのに。
 そんな時、「旅」だ。心に一時の休息を与えてくれる、泊りがけの自転車旅行・・・。

5月2日(金)段ボールハウス

 自転車を分解・袋詰めして列車に乗り込む、いつもの“輪行”風景。今年のゴールデンウィークも、中央本線の新宿23時59分発臨時夜行快速(通称ゼロゼロツー)松本行きに乗る。新宿駅で時間が空いたので、駅周辺を歩き回ってみる。名物といえる段ボールハウスの数々。…少し将来のことを考えた。
 我々、合宿のメンバーは5人。新入生もひとり迎えている。和気あいあいとして、今、夜行列車の中。やがて皆、眠るのだろうか。私は眠れそうにない。

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5月3日(土)とことんのんびり

 山梨県のさいはて、小淵沢で列車を下りる。私は30分ほど車内でウトウトできたようだ。上等。夜明けの駅前、ひとときかの八ヶ岳が霞んで見えたが、すぐに雲と同化した。
 コンビニで朝食後、早くも7時過ぎには自転車にまたがり、別荘地の中を抜けて八ヶ岳高原ラインを走る。山の南斜面を東へ、少しづつ登りながら。特に急がず、途中の牧場でソフトクリームを食べたりもした。新入生Iは喜んでいる。時々雨が降るような天気で、景色的にはちょっと残念だね。
 やがて、長野県との県境となる野辺山峠に着いた。どこが峠なのか、あまりはっきりしない高原地帯。しかしここはJRの最高標高地点で、鉄道好き(コ鉄ちゃん)としては感涙を隠し得ない。踏切の警報機が鳴るやいなや、ダッシュで荷物の中のカメラを取りに行く…。
 ここで雨宿りと称して、みんなで喫茶店でゆっくり。昼食は少し移動して、野辺山駅近くの公園でとる。食パンにいろいろな具をサンドする、いつもの合宿ランチ。
 ここから北へゆるい下り坂、豪快な下り坂、またゆるい下り坂。途中、海ノ口温泉に入って体を暖める。小海町まで下りた我々は、小海小学校の軒下を借りてキャンプを張る。教頭先生も快く許可してくれた。夕食はポークカレー。まだ完全に日が暮れないうちに食べ終って、あとはのんびり。こーやってとことんノンビリする旅の一日も、好きだ。

5月4日(日)山を越え、川を越え

 朝食の納豆にたれが付いていなかったのがナンだが、早朝の雨は上がり、晴天。いい日になりそうだ。
 今日は東へ針路をとり、長い登りをぶどう峠へ。ひと疲れした後の、峠のベンチで食べる昼食がまたいい気分。群馬県側へ下りてゆく時の新緑風景はドキドキするぐらいまぶしい。
 さて神流(かんな)川の河原に、絵に書いたようなキャンプ場を発見。しかしそれは目の前を流れる川の向こう側だった。そこで勇敢な我々は川渡りを決行。自転車を水没しないように高く持ち上げ、裸足で冷たい川を渡る。これが何とも新鮮で楽しい冒険だった。

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川岸でのキャンプ
 テントを張り終え、なお時間的余裕たっぷり。そこで、近くの日航機慰霊碑へお参りをすることにした。そうここは群馬県上野村、十何年か前にジャンボ機が墜落したところである。慰霊碑には犠牲者の名前が連なっていて、その中に坂本九(本名上島九)さんの名前も。彼の「上を向いて歩こう」は、私が中学1年の頃に合唱コンクールでクラスの指揮をつとめた、思い出深い曲。少し感慨な気持ちになった。
 夕食は、生姜焼定食。合宿で「定食」形式のめしを作るのは初めてだったが、結構いけた。そして今夜は合宿で最終のキャンプってことで小コンパ、酒が入る。

5月5日(月)明るい道

 3時過ぎに眼が覚めてしまった。う〜ん、二日酔いで頭が痛いぞ。ふと空を見ると、星が見えない。暗くて怖いなと思っていたら、ひと雨降ってきた。やがて止み、雲も一掃されてきた。私は物思いにふけりながら夜明けを待った。

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新緑の御荷鉾林道
 朝食のスパゲティは、二日酔いのためあまり食べられず。もろに頭が痛いまま今日のラン開始となったが、坂を登ってゆくうちにスッキリした。不思議なものである。
 塩之沢峠からは東へ、関東一のロングダート御荷鉾林道をゆく。いくらか舗装化が進んでいるのが、私にとってはありがたい。道は尾根づたいのいわゆるスカイラインで、右に左に明るく素晴しい眺望。昨日まで近くに居ながら見えなかった八ヶ岳のほか、荒船山、妙義の奇峰も遠望できた。
 しかし、長い。快晴のもと、坂を上ったり下ったりしているとボトルの水も尽きてくる。ダートの下りではパンクをしたりキャリアが折れたりもした。途中、ライダーさんにタラの芽の天ぷらをご馳走になったりしたあと、やっと水場・トイレのある休憩所にたどり着き、ここで昼食パンを食べる。
 やがて林道を下り、“下界”へ。街の温泉センターで疲れを取る、はずが中のサウナに長居して余計に疲れた。だ〜。ともかく夕方、無事に埼玉県の児玉町に到着、ここから列車による輪行で、つくばに帰宅したのは夜の12時過ぎであった。

 かくして今回のGW合宿はとても楽しめる内容で、心の休息にも大いに役立った3日間であった。これからもいろいろと頑張ろうと思った。


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