むらよし旅日記・其の十九

キャンピング班秋合宿:南房総暴走編

1997年11月26日〜28日

お手頃なツーリング

 この秋合宿、自分がキャンピング班班長として班を率いるのは最後になる。それだけに「合宿をしっかりやろう」という意気込みは強い。
 メンバーには新たに初参加一年生をひとり加え、さらにファーストラン班からも2人が合流。しばらく小人数での班合宿が続いていたので、今回計12人に達したことは嬉しかった。人数が多くなると、走行時は安全のためさらに複数の班に別れ、少し距離を置いて走る。
 コースは、つくばから比較的近くてしかもアップの少ない、お手頃感のある南房総になった。しかし平地、山、海と変化があるのでやはり楽しみな合宿である。

11月26日(水)意外に山深い房総丘陵

 相変わらず旅の初日は完徹のまま、“輪行”で千葉県市原市の八幡宿駅へ。自転車でここから南下する計画である。やっぱり皆眠いらしく、いきなり道を間違えてあさっての方角に走り出すあたり。
 走行中の班は2つ。今日は「こどもの国(で遊びたい)班」と「鴨川シーワールド班」だ。私はシーワールド。やっぱりあのCMは忘れられない「イッイッイッ」・・・(注:関東ローカル)。
 国道の大多喜街道を走っていると、小湊鉄道の踏切がある。我々は丁度それに引っかかった。おっ、これから列車が目の前を通過するぞっ。するとなぜか私の顔を伺う班員たち。どうやら相当の鉄道好きだと思われているらしい。私の顔はほころんでいただろうか。

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雨の林道養老線
 やがて養老川の西側の稜線を通る林道養老線へ。林道と言ってもほとんど舗装済みで、緩やかなアップダウンが続く。あいにく雨が降っていたが、ここはスカイライン林道、左右に秋色の展望が開けるのが良い。「房総って意外に山深いんだなあ」と皆口々に言う。しかしもちろんゴルフ場や産廃の多さも房総を語る上で欠かせないが。
 雨が降っていると、昼食ポイントを探すのに苦労する。山の中だとなかなか屋根のある所が見つからないからだ。今日は公民館の軒下を何とか勝手にお借りした。もちろん食パンサンドイッチ、フルーチェもあるでよ。
 大福山というやや高い丘には、展望台があった。確かにけっこう見渡せるのだが、やはり雨で遠くが霞んでしまっているのが残念かな。
 そこからの急な下り坂、雨天時にランドナーで発揮されるABS[アンチブレーキシステム(笑)]のため私は道路中央にあった溝を避けられず、そこに前輪をロックさせてしまった。前転する自転車、宙に浮く体。ああ、これまでの人生が走馬灯のように思い出される…、というのは嘘だが、宙に浮いているとき「自転車と体は大破するだろう」と全てを諦めた気持ちになった。次の瞬間、体は激しくコンクリートの地面に叩き付けられた。昔習っていた柔道のおかげか頭は打たなかったが、肩と肘を強打してしまった。とても痛い! 合宿参加続行は無理か・・・。しかし一年生の時のGWから続く班合宿皆勤をここで逃してたまるか。しかも自分は班長。自分が抜けて、誰が合宿を率いるんだ?
 そう思って、後遺症覚悟で「治ってきたよ」と嘘をついてランを続行することにした。幸い自転車は無傷だった。
 そんなこんなで養老温泉に到着。ツブれたっぽいキャンプ場を発見し、電話をしても管理人に連絡が取れなかったので、そのまま勝手にテントを設営させてもらうことにした。近くの宿で温泉に入り、味噌鍋を食べてすぐに眠った。とにかく寝不足で眠かったし。

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11月27日(木)山、海そして温泉

 夜中、秋雨前線が通過したのか風雨が激しかった。テントは炊事場の軒下に張っていたので事無きを得、これはラッキーだった。しかし朝食後ゆっくりしていたら、キャンプ場の管理人が来てしまった。あらら。勝手に泊っていることに関して相当不機嫌な様子で、班長の私が対応に当たったが、半ば喧嘩状態になってしまい、班員にはずいぶん居心地の悪い思いをさせてしまった。二度と来ねーぞこんなキャンプ場!
 気を取り直して班分けをし、ラン。何事もなかったかのように、というより、皆が雰囲気の修繕に努めている感じ。今日はとてもいい天気で、ぽかぽか暖かい。「秋合宿は寒い」という概念を覆えされた。上半身はTシャツ一枚で十分だ。さすが南房総。ちなみに昨日の怪我は回復してきて、なんとか旅は続行できそうだ。
 養老渓谷沿いの県道から、さながら秘宝館の入り口のような門をくぐって沢に下りると、そこには緩い傾斜の岩肌を滑り落ちるように養老大滝(粟又の滝)が。辺りは木が繁っていて薄暗く、幻想的な景観だった。
 そこから麻綿原高原へ。一級河川養老川の源流にあたる。私は源流域の神秘的な雰囲気が好きだ。ここら辺はアジサイの名所で、開花期にまた来たい。
 そして清澄寺に向かうのだが、道を間違えて不要なダウンヒルをしてしまった。さてこのまま清澄寺を諦めて坂を下りるか、登り戻るか。意見が別れた。しかし後悔のない合宿にしたいと思い、班長権限を乱用して「登り戻り」を決議。間違っていないと思う。しかし寺自体はそれほど面白いものでもなかった。
 いよいよ海岸に出て、砂浜で昼食。やっぱ海って好きだなあ。
 安房鴨川駅では、メンバーの一人が都合により帰るので、お見送りをした。そして外房黒潮ラインをさらに南下。シーサイドランというのも楽しいことだ。
 しかし夕日も落ちて暗くなってきてしまった。パトカーが何故かやってきて、いろいろ聞かれたが、換わりに良さげな設営地を教えてくれた。千倉の海岸にある小公園。近くには千倉温泉があって、千円かかったがやっぱり風呂はありがたい。
 最後のキャンプ。夕食カレーのあとは小コンパ。今夜は酔いが早く回り、他の人より早く眠りについてしまった。

11月28日(金)最南端の男

 やけに早起きをしてしまった。暇なのでちょっと散歩でもしてみる。どうやら今日も天気は持ちそうだ。

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野島崎にて
 おいしいトン汁朝食の後、追い風を受けてハイスピードで房総半島最南端、野島崎へ。灯台に登ることができたり、荒々しい岩場を探検することができたりと、なかなか楽しめるスポットだ。向こうには遠くオーストラリア大陸が・・・見える訳ないか。
 あとは館山駅まで走ってラン終了。輪行して内房線に乗り込む。終った、終った。合宿に於ける責任も終った。大きな事故などもなく、安堵の気持ちで車窓を眺めていた。

 こうして秋合宿は終った。2泊3日は秋合宿にしては短か目だったけど、まだ暖かさの残る南房総を満喫することができた。シンボル的な峠がなく、キャンプ場でのイザコザとかもあったけど、総じて楽しい合宿にすることが出来たんじゃないかな。


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