むらよし旅日記・其の十一

キャンピング班秋合宿:山梨静岡山奥編

1996年11月26日〜29日

むらよし全盛期?

 最近、とにかくいいことが多い。サイクリング部(以下C部)員にとって一つの目標である不動峠タイムアタックは念願の15分を切れるようになったし、麻雀連勝、競馬は大穴を当て、ひいきの読売巨人軍はメークミラクルを成し遂げる。C部OL大会では自分の優勝、ギター・マンドリン部次期指揮・編曲者内定、C部次期キャンピング班(以下キャ班)班長内定、いくつかのサイクリング草レースで好成績、等々。もちろんうまく行ってない物事も多々あるが、学業以外はまさに充実一途のこの頃である。

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11月26日(火)富士山麓、高原の湖

 わずか40分の仮眠のみで集合の朝4時を向かえてしまった。『秋合宿』、秋とはいえ11月下旬ともなると冬の寒さ。夜明けも遅い。
 さて、例によって輪行。メンバーは男4人女3人、学年のバランスもまともである。列車は丘をこえて、やがて富士急行河口湖駅に終着した。
 ラン開始、間もなく富士五湖のひとつ西湖の湖畔で昼パン。天気はなかなかいいが標高が高く、寒い。昼食後さらに少し西に進むと“上九一色村”の標識を発見、これには実はみんな喜んでいる。本栖湖からは見事に富士山が映えていた。ここからずっと下り坂、今日は楽。
 ところでキャ班の秋合宿と言えば、デカ鍋。これに何でもかんでも材料をブッ込み、味噌かポン酢で味付けすれば夕食が出来てしまう便利な代物だが、今年は私がそれを運ぶ係になってしまった。リアキャリアを持っていない私は、不安定なサドルキャリアに強引にデカ鍋をのっけてくくりつけていた。そしたら走ってる最中、段差を越えた時に「どんぐゎらがっしゃーん!!」と、中にいれていた私物までぶちまけてしまった。以降、段差には気をつけるようになる。
 身延の街で夕食の買い出しをして、キャンプ出来そうな公園を探すがなかなか見つからず、そうこうしてるうちにあっという間に暗くなってしまった。結局見つかった場所は、ただのゲートボール場。
 夕食後、近くの塩沢温泉という一軒宿でお風呂。やっぱ温泉はいいね。

11月27日(水)雨の峠越え、決行

 予報通り、朝から雨。無理やりトタンで屋根をこしらえての朝食も一苦労。そして会議が始まった。この雨の中1200mアップの峠を越えるべきか、他の道へエスケープすべきか…。結局1年生がやる気を示したので、峠越えを決行することにした。

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安倍峠の香和家
 山深い登り、峠はまだかまだか。崖下を覗くと、登ってきた道が九十九折りに、雨霧に霞んで見える。マジで長い登り、おっアズマ家があるぞ、ようやく峠かぁ? しかしまだ途中であった。昼食はここで予め作ってあった“コッフェル弁当(炊き込み御飯)”を食す。さらに登ってようやく山梨と静岡の県境、安倍峠。『峠の香和家』という怪しいトイレの前で記念撮影。そこが殺人事件の現場らしいという話は後で聞いた。
 雨の日は下り坂もいやだ。なぜならブレーキシュー(ゴム)の減りが異様に速いからだ。元々残り少なかった私のシューは、ここの下りで完全になくなり、中の金属が直接ホイールに当たり、ブレーキをかけようとするとガリガリガリガリ・・・。仕方無く、靴の裏で直接地面を摩擦する“フットブレーキ”を使わざるを得なかった。
 人里下りる頃にはもう暗くなった。予定の温泉は休んでて入れないし、キャンプを張れそうな公園も見つからない。みんなして苦しそう。しかし、交番の人の好意であっさり公民館に泊めてもらえることになった。ラッキー! ストーブもあるし。夕食は近くの食堂。ふう、やっとあったまる。
 そして公民館にさっきのおまわりが酒を持ってやってきて、ワイルドな面白い話をいろいろ聞かせてもらった。でも私はもう、とても眠かった。

11月28日(木)山奥から山奥、でも静岡市内

 今日はとてもいい天気。近所の人がおにぎり、コロッケに味噌汁までご馳走してくれた。親切受けまくり。マジでありがたい。

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富士見峠でランチの支度
 この日も峠越え。コンディションの違いで、こうも登りが楽に楽しくなるものか。紅葉も素晴しい。富士見峠直前でマッチレースとなったが、絶好調の私が勝利。峠からは雪を被った南アルプスを遠望でき、眼下には井川湖と井川集落まで見え気分最高。ちょっと寒いけどここで昼食。
 夕食の買い出しは井川集落で。よくこんな山奥に街があるものだが、店の人には余分に食料もらったり、生姜湯やコーヒーをもらったりと、ああ静岡の人はなんて親切なんだ。
 キャンプは井川湖の上流側、田代というところの小広場で。温泉も湧いていて、極楽を味わう。ここでとんでもないヌードポーズを写真に撮ったので、男湯は大爆笑であった。
 それにしても、やっぱすばらしいわ、合宿って。来てよかった。いろいろな悩み事がふっとんでしまう。

11月29日(金)秋の峡谷、サイクリング

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井川の茶畑にて
 今日も天気に恵まれる。山深い大井川沿いを走る、ミニ列車井川線。これと平行して自転車も谷を下りてゆく。接阻峡の紅葉、鉄橋をゆっくり渡るミニ列車がとても絵になる。さらに寸又峡へ向かうが、途中私の不手際で道を間違え、余計に登るはめになってしまった。反省。・・・まあ、寸又峡の紅葉は少し時期を過ぎてるとはいえ、楽しめた。峡谷に架かる飛竜橋は、下を覗くととてもスリルがある。この辺で昼パンを食べ、ほとんど無事にランの終り、大井川鉄道千頭駅に到着。あとはいつものように輪行して帰途についた。

 今回の旅は、1年生の立てたルートプランが素晴しかった。景色は各所で良かったし、2日目の雨による逆境も、それを越えることで何か大きな意味があった。地元住民にもずいぶんお世話になるなど、経験もいろいろ。そして上の学年が参加しなかった前回の夏班合宿と比べると、やはり上級生がいたほうが楽しさが違うとも思った。
 という訳で、大変満足のいく秋の班合宿であった。


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