14. 肥満細胞腫

猫の肥満細胞腫は、皮膚の腫瘍としては2番目、脾臓の腫瘍としては一番ポピュラーな腫瘍で6歳以上の中高齢の猫に多くみられます。肥満細胞は本来、体の免疫反応にかかわる正常な細胞ですが、この細胞が無秩序に増殖することから腫瘍が生じます。皮膚にできた場合は比較的良性ですが、脾臓や腸管にできた場合はほとんど悪性で、慢性の嘔吐や下痢を伴うでしょう。早期診断、早期治療が望ましく、外科手術で腫瘍を完全に切除することが、一般に適切な治療法とされています。腫瘍の切除後は副腎皮質ホルモンを投与して再発を防止します。猫は同時に複数の肥満細胞腫を発症する場合があるので、皮膚に新しい 「腫れ」 ができていないかどうか、定期的に調べる必要があるでしょう。

まれに、皮膚の肥満細胞腫が脾臓にできた腫瘍からの転移 (がん細胞の広がり) である場合もありますので、猫が肥満細胞腫と診断されたら、血液検査 (全血球計算と血液化学) 及びレントゲンか超音波による脾臓と肝臓の検査を行って、腫瘍が脾臓に起因するものではないか、あるいは他の部分に転移がないかなどを検査します。