ねこちゃんといつまでも楽しく暮らしましょう♪
〜完全室内飼育と避妊・去勢のすすめ〜

皆さんのお宅のねこちゃんはお元気ですか?毎日良く食べ、良く寝て、良く遊んでいますか?きっと、皆さんの愛情に包まれて、どのお宅のねこちゃんも幸せに暮らしていることと思います。

でも、世の中にいる全ての猫が幸せに暮らしているのでしょうか?残念ながら答えは 「いいえ」 です。むしろ、幸せな一生をまっとうできる猫のほうが、圧倒的に少ないのが現状です。せっかくこの世に生を受けて生まれてきたのに、不要だからと保健所に持ち込まれて殺処分されたり、虐待されたり、捨てられたあげく野良猫となって厳しい生活をしいられ、交通事故に遭ったり、不治の病にかかって悲惨な末路をたどる猫が、実は世の中には何千、何万といるのです。(ちなみに、保健所での処分は安楽死ではありません。炭酸ガスによる窒息死で、それでも死にきれない場合は生きたまま焼却炉で焼かれます。)

また、幸いにも家猫となって飼い主から愛情を受けながら育てられていても、実は戸外に出るだけで猫はさまざまな生命の危険にさらされています。交通事故や伝染病はもとより、最近は虐待や猫捕り業者による大量捕獲もよく耳にします。(猫捕り業者とは、飼い猫、野良猫関係なく猫を片っ端から捕まえては、三味線の皮にしたり動物実験用として売りさばく業者のことで、その存在は動物愛護団体などの間では以前からよく知られています。)

このように、残念ながら現代社会は猫たちにとって住みやすい環境ではなくなってしまいました。しかも、これは都会だけに限った話ではありません。現に、田舎にある我が家のすぐ下の道で何匹もの猫たちが交通事故にあって命を落としたり後遺症に苦しんでいますし、この地域の猫の伝染病感染率は都会並みに高いことも判明しています。では、こうした様々な危険からかわいい猫たちを守り、なおかつこれ以上不幸な命を増やさないためにはどうすれば良いのでしょうか?その答えが、完全室内飼育と避妊・去勢手術です。

完全室内飼育とは?

読んで字のごとく、猫を全く戸外に出さないという飼育方法です。猫の自由を奪ってかわいそうと感じるかもしれませんが、子猫の時から外に出さなければ猫は家の中だけを縄張りとして認識するので、何のストレスも感じること無く家の中だけで生活できます。例えば、我が家の小次郎の場合です。彼は子猫の時から一度も外へ出たことがありませんので、窓を開けておいても自分から出て行くことはありませんし、たまに抱っこして外へ出ようものなら強烈な悲鳴をあげます。それだけ、猫にとって縄張りの外へ出るということは恐怖に満ちた行為なのです。言いかえれば、子猫の頃から縄張りを屋内だけに制限しておけば、戸外へ出ることの方がストレスになりうるとも言えます。

また、猫は犬と違って垂直運動を好む動物で持久力がありませんので、室内に高低差のある家具などを配置して、飼い主が猫じゃらしなどで遊んであげれば、外出しなくてもそれで運動量は十分に足ります。都会の狭いワンルーム マンションや部屋数が少ない賃貸住宅などと違って、一戸建ての家で1〜2匹を飼育する分には、スペース的にも全く問題はありません。専用のベッドはどうしてもというわけではありませんが、トイレは必ず用意して常に清潔にしておくことを心がければ、猫ちゃんは室内でも快適に生活することができます。飼い主も、猫の外出による伝染病への感染や事故、あるいは家出などによる行方不明を心配する必要がなくなります。猫と飼い主の双方にとって、完全室内飼育はストレスの無い生活方法なのです。

避妊・去勢手術について

完全室内飼育を成功させる秘訣は、やはり避妊・去勢手術にあります。室内だけで生活していても、発情の時期がくればその本能は否応無しに活動を始めてしまいます。オス猫ならばメス猫を求めて放浪を続け何日も帰ってこなかったり、帰ってきても他のオス猫と喧嘩をして全身傷だらけになっているかもしれません。家の中でマーキング (縄張りを主張するためにする、くさ〜いおしっこ) をする場合もあるでしょう。メス猫はあの独特の声を張り上げて、1週間から10日間は夜昼なく鳴き続けるでしょうし、万が一脱走して外に出てしまうと望まない妊娠をしてしまうかもしれません。このような状態は、猫にとっても飼い主にとっても不幸な状況をもたらしてしまいます。

そうなる前に、猫には必ず避妊・去勢手術をして下さい。だいたい生後7〜8ヶ月を過ぎれば不妊手術は可能と言われています。「オスは妊娠しないから不妊手術しなくても良い」 という考えは通用しません。発情中はケージ (檻) にでも閉じ込めて絶対に外に出さないという方法でも取るのならば良いでしょうが、万が一脱走して外にいる避妊手術していないメス猫を妊娠させれば、結果的に不幸な命を増やすことになるのです。かかりつけの獣医さんとご相談の上、適切な時期に必ず猫ちゃんに不妊手術を受けさせてあげてください。不妊手術を受けた猫は性格がいつまでも子供のままの甘えん坊になると言われていますし、メス猫は将来子宮蓄膿症などの病気にかかる心配がなくなります。

猫の伝染病について

※最初に断っておきますが、これらの伝染病は絶対人間には感染しませんので、
どうかご心配なく※

猫の伝染病には代表的なものがいくつかありますが、中でも最も恐れられているものが猫エイズと猫白血病です。猫の外出が比較的自由な日本では、野良猫、飼い猫にかかわらず、外に出ている猫の1割以上が感染していると言われています。これらの病気は感染しただけならば普通と変わらない生活が送れますが、何らかのきっかけによっていったん発病してしまうと次から次へと様々な合併症を引き起こし、やがては死に至るという現代獣医学では助かる方法の無い恐ろしい病気です。更に悪いことに、これらの伝染病にはまだ予防ワクチンがありません。(猫白血病にはワクチンがありますが、このワクチンの副作用によってガンが発生する可能性のあることも指摘されており、現状ではまだ安全性が確立されていません。)

では、このような恐ろしい伝染病から猫を守るにはどうすれば良いのでしょうか?それは感染している猫との接触を避けること、すなわち猫を外出させないことしかありません。エイズは、感染している猫に喧嘩などで噛まれると、噛まれた傷口から感染猫の唾液を介してウィルスが体内に侵入し感染します。また白血病は、例えば感染した猫が毛繕いでなめた部分に感染していない猫が接触し、その接触した部分を自分でなめることによっても感染します。こうして、瞬く間にウイルスは広がって行き、最初は健康であった猫が、たった1度外出したばかりに感染猫と喧嘩になって噛まれ、感染してやがては命を落としてしまうことも十分に考えられますし、猫が感染していることを知らずにそのまま外出させれば、今度は他の健康な猫を感染させてしまうという危険もあります。

これらの病気は見ただけでは感染しているかどうかはわかりません。動物病院で依頼すれば10分ほどで結果の出る検査がありますので、心配な場合は検査を受けられることをお奨めします。また、万が一検査の結果感染していることが判明しても、ストレスがなく十分な健康管理をして発症さえしなければすぐ死んでしまうようなことはありません。7〜8年生きたという例もありますので、すぐに安楽死させようとか、ましてや捨てたり保健所へ持ち込もうなどということは、間違っても絶対にしないで下さい。

猫には他にもいくつか伝染病がありますが、主だったものは3種混合ワクチンを接種することで予防できます。完全室内飼育でも、人間の靴に付着して持ち込まれる強力なウイルスもありますので、生後2ヶ月を過ぎたら予防接種を受けたほうが良いかどうか動物病院に相談することをお奨めします。

かわいい猫ちゃんが健康で幸せな一生を送れるよう、是非この機会に完全室内飼育と避妊・去勢手術の実施をお考え下さい。また、猫の飼育方法や病気に関するご質問等がありましたら、遠慮無くお気軽にご相談下さい。できる限りのお手伝いをさせていただきます。

地球は人間のためだけのものではありません。人間と地球上に住むすべての生き物がこれからも幸せに共存して行けるよう、身近なところから努力して行きましょう!

おしまい (*^。^*)


Last Update: 2003.2.23