小次郎くん Part2

放浪の旅へ

1週間して子猫に小次郎という名前を付けました。小さい、我が家の次男坊という意味です。(名前を決めた時点で、既に里親に出すつもりがまるで無くなっていることがわかりますね(^^ゞ) その後も小次郎は物置に置いたケージの中で生活していました。気づくといつも三毛の母猫がケージの上で子猫を見守るように昼寝をしていました。(黒猫は放して2、3日後に誰かに拾われたようで突然いなくなり、その後母猫はいつも一人でした。) 夕方私が帰宅してから、1時間ほどケージから出して遊ばせ、またケージの中へ戻るという生活でした。

しかし、まだ生後1ヶ月過ぎたばかりの幼い時期に母猫から離され一人ぼっちで長時間過ごすのは可哀想だと思い、まず室内用の2段の大型ケージを購入し、父親の会社の事務所 (とは言っても普通の1軒家) に置きました。そして、夜になると小次郎を洗濯ネットに入れてこの事務所へ行き、思いきり遊ばせてから一緒に眠り、朝早くに自宅へ帰るという生活を送ることになりました。時には祖母の家までケージを担いで行き、祖母の家に2人で泊まったこともあります。そんな生活を1ヶ月ほど続け、小次郎も少しですが大きくなったので、やっと血液検査ができることになりました。成長したとは言え、まだ細い血管から少しずつ流れ出る血液を時間をかけて容器に採取し、エイズと白血病の検査をしました。ほんの10分程度とは言え、結果が出るまでの時間の長かったこと。そして、結果はどちらも陰性。小次郎は晴れて我が家に入れることになりました。

お兄ちゃんとご対面!

放浪している1ヶ月のうちに、当初怒っていた母親は子猫のかわいさに陥落し、そのまま自宅で飼う事を認めてくれていましたが、父親は相変わらず認めてくれませんでした。しかし、検査結果の出た今、父親が怒っていることなどさしたる問題ではありません。私は小次郎とジプシー生活を送っている間に 「2匹目以降の新しい猫を迎え入れる場合」 の情報を仕入れてありましたので、それを確実に実行すべく父親がでかけている隙に事務所から自宅にケージを運び込みました。そして、お兄ちゃんのテリトリーでは無い部分 (つまり、お兄ちゃんが家の中でも普段あまり行かない場所) である1階の廊下にケージを置き、小次郎を入れました。帰宅した父親は私の強攻策に半ばあきれていましたが、怒っても無駄だと思ったのでしょう、その後は何も言いませんでした。そしていよいよ2匹の初めてのご対面となったわけです。

小次郎を家に入れる前は、とにかく隆乃介のことが心配でした。何しろお兄ちゃんは少々神経質で、それまで一人っ子の王子様として大事に大事に育てられてきたのです。そこに突然子猫が現れたのですから、ストレスから病気になってしまうかも…などと心配していました。しかし、そんなことは全くの取り越し苦労でした。小次郎を家に入れた当初は、小次郎が小さいながらも背中を丸くして低い声で唸りながら一生懸命お兄ちゃんを威嚇していましたが、お兄ちゃんは威嚇する小次郎を物珍しそうにただ遠くから眺めているだけでした。その後、あまりにも威嚇の声がうるさいのでケージを2階の私の部屋に移動し、私が留守の間は小次郎をずっとケージに入れておき、帰宅した時だけケージから出して遊んでやりました。(その時も部屋の入り口の戸は閉めて、お兄ちゃんから見られないように気をつけました。)

しかし、お兄ちゃんは引き戸を開けることができるため、外出時に部屋の戸を閉めていっても、帰宅するとあいていることがよくあり、お兄ちゃんが小次郎の様子を見に来ていることがわかりました。そのうち、小次郎を遊ばせているところにお兄ちゃんがやってきたりして、2匹は自然に距離を縮めて行きました。そして2週間もたたないうちに、小次郎はお兄ちゃんべったりの甘えん坊子猫になりました。あまり小次郎がしつこく後を追うので、お兄ちゃんも時々小次郎を払いのけたり、遊びが転じて取っ組み合いになったりしていましたが、お兄ちゃんはきちんと手加減してくれていたので、全く心配はありませんでした。トイレなどのしつけも、全てお兄ちゃんがしてくれたようなものです。教えたことは一度もありませんが、気がつくと小次郎はお兄ちゃんのトイレを使っていました。

小次郎じゃなかったっけ?

一度は死にかけた小次郎ですが、最初の危機を乗り越えてからは特に病気もせず、塞がっていた目もほとんど見た目は普通になり、ゆっくり、ゆっくりですが成長しました。そして3歳を過ぎた現在、小次郎の体重は6.3kg、お兄ちゃんよりも大きくなってしまいました(^^ゞ 最初が最初だっただけに、あまり大きくはならないだろうという私の予想は見事に裏切られましたが、体は大きくなっても性格はいつまでも子供で、お兄ちゃんに輪をかけた甘えん坊です。とにかく誰かにくっついていないと眠れず、毎晩母親の腕枕に全体重を載せきって重石のようになって寝ています。生後2ヶ月の時から外には一度も出たことがないので、窓を開けておいても出て行けない臆病者で、たまにだっこして庭へ出ようものなら半径100mにも響き渡るような大声で悲鳴をあげます。それにお客様が来るとダッシュで2階へ隠れてしまうので、あまり愛想もよくありません。得意なポーズは腰抜けビビリ歩きです。お腹がすいて餌入れの前で辛抱強く待っていてもごはんが出てこないと、餌入れをガタンガタンと手で鳴らして催促するという、ちょっと迷惑な癖もあります。

他にもいろいろヘンな癖があったり、私に対してはとても高圧的な態度を取る小次郎ですが、それでもやはり苦労して育てた子なのでそれなりにかわいいのでありました。まわりの迷惑かえりみず、ひたすら我が道を一直線に突き進む小次郎は心配しなくてもきっと長生きするでしょう(^^)

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Last Update: 2003.2.3