十二月日記2




十二月二十九日

車が納車になる。
エスクードの3ドアだ。どうしても4WDが欲しかったので、色々検討した結果
RVの正統派、スズキのジムニーにしようとしたところ、足がハンドルの間に入らない
という問題が発生し、その兄貴分のエスクードにした。足回りもしっかりして、
中途半端なRVなどとは比べ物にならないほどの性能を持っている。
 5ドアの「エスクード・ノマド」というタイプが欲しかったが、高くて買えなかった。
しかし、今となってはこれでよかったと思っている。
車の長さが短いので、車体が軽く、燃費がいいことや、取り回しが楽なのはもちろんだが、
車体が「軽い」ということは、坂の多い長野県で大きなアドバンテージをもつ。
それに、そもそも後ろの座席に座って一緒に遊びに行ってくれる「友達」というものが
今のところいないと言う説も無きにしもあらずである。

ただし・・・
平成3年で、73000キロ既に走っている。
それだけにあっちこっちが壊れていた。
室内ライト。エアコンのダクト。オーディオのディスプレイの液晶。
他に、急ブレーキを掛けると後ろの左のタイヤの辺りで「ガクン!!」と言う音がする。
とっても気になる。何だろう・・・(嫌な予感)
まあ、いいか。細かい事は気にせんとこう。

そのうち車についても何か書こう(←中国の話はどうなった)。

十二月二十八日

広告代理店を断る事にした。
そもそも、考える間でもなかった。答えは既に出ていたのだ。
何のために東京を引き払ったのか。
家族で暮らすためである。
今まで無茶を掛けた両親をこれ以上ほっておいたら、自分を尊敬できない。

高校の頃、親が嫌いだった。
過剰に干渉する母。
口を開けば父の悪口か、説教。
黙って聞いていれば、最後には感情が高じて怒鳴りはじめ、物を壊す。
人の話に耳を傾けない父。
身勝手で他人に迷惑を掛ける事を何とも持っていない。
私が小学校高学年になった頃から毎日のように両親は喧嘩し、
物が割れる音や壊れる音が絶える事がなかった。
時々ある静粛なひとときも、何気ない一言でどちらかが怒鳴りはじめる。
そんな時私は、外へ出て帰ってこないか、二階の自分の部屋に閉じこもるか、
どちらかだった。
そしてそんな日の夜には母に殺される夢を、毎晩見た。
父は殺される私を見なかった振りして
どこかへ行ってしまう。そんな夢だ。
一晩に何度も見た。

そんな両親が嫌で私は家を出たいとおもった。
大学で東京に出られたのは、格好の口実だった。
しかし、
私が帰ってきてしばらくは以前のようだったが、
最近は喧嘩の数がめっきり減りつつある。
私の帰ってきた事の意味を、いま、実感しつつある。

一生のうちで、親を嫌いになる時はあると思う。
そういう時はしっかり反抗して良いと思う。
親に反抗すべき時はしてもよい。いや、しなければいけない。
そうしていれば
いつか親を対等に見る事が出来る時が来る。
もしそんな時に自分がきたとおもったら、
親の面倒を見るなり、なんなり始めなくてはいけないと思う。
むろん、それぞれ家庭の事情があるのだろうから、一概には言えないが。


十二月二十五日

なんと・・・というか、やはり、と言おうか。
団体職員の内定が出た。
昼頃に着いた郵便の中に「採用通知」があった。
これで二つも内定が出た事になる。
別に二つもいらないのに。
本当に欲しい時には一つも出なかったくせに。

さて・・どっちに行くべきか。
仕事内用からすれば、広告代理店の方が圧倒的に面白い。
小さなチラシ広告から、新聞の折り込み、雑誌の企画、
コンサートやイベントの企画、果てはテレビ番組の企画、
ラジオのCMまで・・・長野県で暮らす者ならばこの会社の広告を見たことがない
者はまずいないくらい影響力がある仕事が出来る。
しかし、労働条件は無論団体職員の方が圧倒的に良い。
本人が望まない限り週休二日である上に、休みも取り易い。
広告代理店の方は基本的に「営業」なので、客商売の性(さが)、
顧客の都合に合わせなくてはいけない。
無論、それが嫌だという訳ではない。個人的には休みなんかなくても構わないと思っている。
「休み」というものは「取る」ものではなく、ましてや「もらう」ものでもないと
私は考えている。「仕事の手が空いたら休んで、次の仕事に備える」。
これが私の「休暇観」である。暇があったら休む、当たり前だが、最近の風潮と逆行することを 私は考えている。 「会社のために尽くすなんて馬鹿だ」と、までは言わないが、そう言いたげな最近の世相である。
しかし、私はそういう世間の流れに真っ向から挑戦してきた。これからもそのつもり。
私は規格品ではないらしい。
だいたい、今の世の中の方が変だ。良く考えて見よう。

誰か(他人)のためになる事は素晴らしい事である。
→素晴らしい事をすれば、自分に自尊心を持つ事ができる。
→自分を尊重する事が出来れば、自我の輪郭がはっきりする。
→生きていてとても楽しい。
会社(他人)のために働く事の、何が間違ってるんだろうか?
家族をないがしろにしてはいけない、と言う事だろうか・・・

そう、家族!!
以上のように私は全く休みが取れない広告代理店が嫌なのではない。
私個人は労働条件など最悪でも構わない。
広告代理店の仕事をやって見たいと思う。
しかし、私には老いた両親がいる。
あまり考えたくないが、自分の欲ばかり追いかけるのはおかしい。
そう、そもそも私は何のために東京を引き払ったのか・・・


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