天変地異
  



巣を掻きまわされた蟻の 大移動は
めくるめく合図に
プロコフィエフのせわしないソナタを 背負っている

 対面 挨拶 交換 離別
   対面 挨拶 交換 離別……
 (触覚の素描――法則の たえまない交換作業
   隠蔽された 前−了解)
   義たれの命は 神の息
   声なき文字の 収斂よ

            

無残にも その背を戦車は 踏みつぶす
 敬礼 敬礼 兵士たち
 復帰せん 再興せん
神のテクスト 息つく間もなく
歴史の再開――生成への服従
   (おお摂理! 罠は無い、何処にも無い?
    ――透徹した具現体らよ おんみらの著しい
       純粋性の再起に、 その厳密さに?)

   

カチコチした すべての行進は
無声映画の 最后のシーン
きのこの化けもの もくもく太り
雲をつき抜け 頭をもたげ
地球の皮に 胞子を振りまく

小さい生きものらの 方位 動めきよ

 几帳面なダンス 凱旋 デモ 墜落
  万歳 行列 デモ ダンス……
おびただしい 象形文字の 無言劇

   

地球号の沈没 秒読み開始
広場につどう 刻印 また刻印……
記録しましょう すべて
世界の終わりに







芸術の扉 麗子の書斎