-「微笑み」-

2001'6月1日 (金)

 戦争は、いわゆる軍国主義者たちによってだけ引き起こされるのではない。それとは一線を画していると自認する現実主義者たちによっても引き起こされる。
戦争もファシズムも、わたしたちに、微笑みながらやってくる――。



-「現実主義者の陥穽」-

2001'6月2日 (土)

現実主義者たちは、正義の戦争もあると考える。或いは不可避の戦争もあると考える。その是非は今ここでは問わない。だが、正義と言い、不可避と言っても、罪なき人々の命や暮らしや人生が犠牲にさらされることを、故意にか不慮にか、彼らは見過ごしている。たとえ、全ての戦争を否定する「絶対平和主義」の立場に立たずとも、わたしたちは、その震撼すべき事実を直視しなければならない。それゆえに、戦争回避に向けて最大限の努力を傾けなければならない。不条理を生ましめないために、些かの怠惰も許されない。
逆説的に言えば、戦争を容認する現実主義者は、絶対平和主義者にも劣らず平和の希求遂行者であるべきだ。
だが、正義と言い、不可避と言う意識が、戦争を安易に容認し、実は回避し得る戦争、回避すべき戦争に突き進む恐れは多分にあるだろう。実際、日本における現実主義者たちをみていると、そう危惧せざるを得ない。
戦争遂行への画策には甘く、反戦平和の声には嫌悪感すら抱く彼らには、己のイデオロギーに孕む陥穽に対する自戒の念は、全く見当たらない。
それとも、彼らは、やがて、「抑止のため」「自衛のため」という大義名分さえ捨て去ることになるのだろうか?

 

「八ヶ岳高原だより」