<八ヶ岳おろし> No.5


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淳君殺害事件に関する
マスコミの世論調査

――その問題点

その1


 フォーカスの写真掲載の賛否の問いかたが問題だ。いずれも、「<容疑者>の写真掲載に賛成か反対か」と問うているが、この設問はおかしい。
 言うまでもなく、<容疑者>=<犯人>ではない。<容疑者>は、あくまで<容疑者>だ。松本サリン事件の河野さんのように、冤罪という場合もある。つまり、<容疑者>の段階では、写真と言わず、実名と言わず、身元が判明するような報道はいっさい控えるべきなのだ。この点について、一般市民の意見を伺う必要はあるまい。
 そこで、問うならば、<犯人>の写真掲載に賛成か反対かと問うべきなのだ。
<容疑者>の段階から<犯人>へと確定された人物の場合に、その写真なり、実名なりを報道すべきか否かを問うのが筋であろう。
 今わたしたちに、コンセンサスの形成、そのための論議が求められているのは、<容疑者>に対する処遇ではなく、<犯人>に対する処遇である。


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淳君殺害事件に関する
マスコミの世論調査

  ――その問題点

その2


 さきの「<容疑者>の写真掲載に賛成か、反対か」という設問は、次の意味合いにおいても問題だ。
 各マスコミのアンケート結果によれば、反対と回答した人は50%〜75%にのぼっているが、この数字には、<容疑者>=<犯人>と思い込んでいる人も含まれているだろう。つまり、たとえ<犯人>であっても、写真の掲載には反対だという人だ。が、その全てが反対かどうか。<容疑者>と<犯人>を明確に分別したうえで、<容疑者>についての設問ということゆえに、反対した人もいるのではないか。もし設問が<犯人>の場合について賛否を問うていれば、賛成と回答する人もいるかもしれない。従って、50%以上の過半数を越える人々が、写真掲載に反対していると結論づけるのは、さきのアンケート結果だけからは言い得ないのではないか。
 また、賛成と回答した20%〜30%の数字についても、これが、<容疑者>の段階で写真掲載することに賛成する人権感覚の希薄な人たちを示していると断定するのは、早計だろう。<容疑者>=<犯人>と思い込んでいる人も含まれているはずだからだ。
 もちろん、その思い込み自体、問題をはらんでいるではないかと言えばそうなのだが、ただ<容疑者>と<犯人>を明確に分別したうえで、たとえ<容疑者>であっても写真掲載すべきだと主張しているというわけではない点は、留意してもよいことだろう。実際には、<容疑者>であっても写真掲載すべきだという意見と、<犯人>の場合には写真掲載すべきだという意見が混在しているのではないか。
 尤も、人権派の人々は、<容疑者>であれ<犯人>であれ、写真を掲載するなど人権侵害だと主張するのであろう。その意味で、ここでの私の指摘それ自体にも異を唱えるかもしれない。が、しかし、国民のコンセンサスの形成という観点でみれば、先にも指摘したとおり、<犯人>の処遇についての見解は、まだ明確にされていないのである。
 ここは、やはり、<犯人>の処遇について、早急に世論を問うべきであろう。そこで明確にされた見解について、論議を尽くせばよいのではないか。そのためにも、事実は、厳密に示されなければなるまい。


「新・八ヶ岳おろし」
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「八ヶ岳高原だより」