湧水日記







 今日は、わたしの53回目の誕生日。……よく生きたものだと思う。子どもの頃、慢性的な胃腸病に苦しめられていた事を思うと、本当に、よくここまで生きてこられたと思う。わたし自身、30歳まで生きられないと、高校生の頃から若死を覚悟していた。
 とはいえ、わたしの今の肉体の内部には、癌へ進行する危険をかかえた腫瘍が存在する。定期的な検査と処置を施せば大事に至らないそうで、決して深刻になる必要はないのだが、それでも、己の肉体の内部に、死に至る病が巣くったという事実は、しかと受けとめねばならない。
 崩壊への道を辿り始めたという事実を直視して、日々の健康的な暮らしを心がけるとともに、精神の営みも、貴重な残された時間の中で、充実させていかなければならない。
 執筆活動も長く中断したままになってしまったが、今日からまた再開することにしよう。もちろん、この間、考察は絶えず続けてきており、思想活動としては、決して停滞していたわけではないので、それを、これから言葉にして書き記すことにしよう。

 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「大フーガ」を聴きながら……。





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