@古波蔵基之さん、マシャマシャさん、憲作さん、しんごさん他からの質問
Q.
フックボールが上手く曲がりません。一応本などで研究はしましたし、このページでも見たのですが、親指をいつ10時の方向にしていいのかが分かりません。手から離れる直前なんでしょうか?
バックスイングの最高点に達した時から既に10時の方向へと移行させるのでしょうか?
このほかにも悪いところはあると思いますが、もしよろしければ教えてください。
あと「どうやったら曲がるの?」の最後にあった上のステップ教えてください。
A.
皆さん、マイボールでボウリングをする以上やはりフックボールが投げたいようですね。ところで、フックボールという球質がどのようなものなのか、ご存じでしょうか?
「どうしたらフックボールが・・・」ばかりを追求する前に、フックボールについておさらいしておきましょう。
1.フックボールの有用性
なぜそんなにフック!フック!と言うのでしょうか? まず「見た目にかっこいい」と言うのが理由の一つでしょう。確かにフックボールというものは誰しもが投げられる球質ではありませんし、ハウスボールではなかなかフックボールがかかりません。
ある人が、ポケットとボールの入射角について研究しました。つまりポケットにボールがどのような角度で入るとストライクになる確率が高いかという研究です。詳しい話はここではしませんが、結果はポケットに対してある程度の角度があった方がストライクになりやすいという事でした。フックボールというのは、カーブボールとともに見た目のかっこよさのためではなくストライクの確率を高めるための球質なわけです。
しかしストライクを取るためには、カーブボールやフックボールでなければならないことはありません。例えば「中遅(なかおそ)」といってレーンの中央にオイルが全然なく、ボールの曲がりをコントロールするのが大変に難しいレーンの場合には、ストレートボールの方がボールをポケットに集められます。またどんなレーンコンディションであってもいつもと同じライン取りをすることができるので安定したスコアメイクをすることが出来ます。
2.フックボールとは、どんな球質なのか

図1.カーブボールの球質

図2.フックボールの球質
上の2つの図を見比べてみて下さい。どちらもボールが曲がる球質で、ポケットに対しての入射角を同じにしていますが、その曲がりの様子が違います。
図1がカーブボールと言うもので、ボールが手から放れてからポケットにヒットするまで弓なりな曲がりをする球質です。ボールの進行方向に対して回転の角度が小さくて済み、ボールのスピードはそんなに要求されずコントロールもしやすいもののレーンの外側に大きく膨らんでしまうのが特徴です。そのためにポケットに対しての入射角には限度があり、レーンにオイルが無くなってくると極端に中に入らなければならなく(通すスパットが極端に中央よりに)なります。
図2がフックボールと言うもので、ボールが手から放れてからピンそばまで直線的にボールを走らせレーンの奥で急激な曲がりをする球質です。急激な曲がりをさせるためにボールの進行方向に対して回転の角度を大きく付けるとともに高回転を付ける必要があり、先まで走らせるためにある程度のボールのスピードが要求されますが、ピンそばまで直線的にボールを運べるためにレーンの外側に大きく膨らませる必要がありません。そのためにポケットに対して入射角を大きく取れ、レーンにオイルが無くなってきてもカーブボールほどライン取りを大きく変更する必要がないのが特徴です。
ストレートボールで同じ入射角にしようとすると、お分かりのように隣のレーンから投げなければならないので、カーブボールまたはフックボールを投げる必要があるわけです。
3.どんな風に投げるのか
カーブボールとフックボール、どちらの方が難しいかというと一概に言えませんが、それぞれテクニックが必要であることは言うまでもありません。
大まかに説明しますと、カーブボールは、ボールに回転を付けると言うよりはボールを転がすと言った感覚です。最近のボールは「偏心」または「偏重心」といって、重心がボールの中央からはずれたところにあります。願い事が叶ったときに目を黒く塗る「だるま」が良い例ですね。だるまの重心は極端に本体の下部にあります。このだるまを横に寝かせてそのまま転がしてあげると、転がりつつも起きあがろうとするので大きく曲がりを見せます。ボウリングのボールは、だるまほど重心の偏りはありませんが、ボールを転がしてあげることで重心のズレが遠心力のおかげで見かけ上大きくなり、緩やかな弓なりの曲がりをするのです。
対してフックボールは、ボールに回転を付けるのが一番の重要項目です。先ほどの説明の中でスピードも要求されると言いましたが、レーン中央にオイルがきちんとある場合は、このオイルを使ってボールを滑らせることによってピンそばまで直線的に走らせることが出来るので、いかにボールに回転を付けられるかです。ボールが進もうとする方向とは相反する角度にボールの回転を付けるために、レーンのオイルが無くなったピンそばでボールとレーンの摩擦力によって急激な曲がりをするのです。しかし、6〜7kgもある重いボール、しかも片手で3本の指で持っているボールに高回転をかけるためには、かなりの強さの手首・各指を抜くタイミング&テクニックが必要になってきます。また、ボールにスピードがあっても回転が弱いとフックしませんし、回転があってもスピードが無ければポケットに対するコントロールがつきません。
どちらもレーン・オイル・ボールの3つの要素が複雑に重なり合っているためにコンディションが変化するとそれに伴って考え方・投げ方を変更していかなければならない高度な球質なのです。それに比べてストレートボールは、レーンコンディションに左右されることが極端に少なく、制球力さえあればストレートボールでパーフェクトを出すことだって可能です。難しい理論やテクニックも必要なく、狙ったところに狙ったとおりのボールを投げる練習を積み重ねることだけで十分です。また、先ほども触れましたが最近のボールは偏重心であるとともに表面の材質がカーブもしくはフックに適したものになってきているので、さほどの高度なテクニックを持ってしなくても「ナチュラルカーブ」と言ってボールが曲がりたいなりの自然な緩いカーブがかかるものです。
ここまで長々とフックボールのおさらいをしましたが、ボウリングというものは結局は点数を競うスポーツなわけです。いい点数を出せれば、それはフックボールだろうがストレートボールだろうが構わないわけです。ポケットに対しての入射角の問題は、「ストライクになる確率が高い」と言うことであってフックボール又はカーブボールでなければストライク・高得点が出せない訳ではないと言うことを理解して下さい。また、ボウリングの基本的な部分、たとえばアプローチの取り方やリリースのタイミング、脇の締まりや最後の足のスライド、レーンコンディションの読みやボールの特性などを修得・理解していない人でも簡単にマスターできるほどフックボールは易しくないと言うことも理解して下さい。
よく考えた上でそれでもフックボールが自分には必要だと考えるのであれば以下にどうやったらボールが曲がるの?のさらに上のステップを説明します。「なんだ、ストレートで構わないじゃん」と思った方は、以下を見る必要はありません。
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