☆ ときどき日記 ☆ 18きっぷの旅 鳴子温泉編

 8月としては唯一の連休を頂いた19〜20日に、ちょっとした旅に出ました。
 うっかり寝過ごしそうになった19日早朝、慌てて松本駅へ向かい、始発の長野行きに飛び乗りました。せっかく久々の旅なので無線(ケータイ)は封止状態にし、昨日のバイト先の余り弁当を食べます。連休がもったいないからとか、青春18きっぷが余ってるからとか、消極的な理由に押されて出てきたのですが、いや、ともかくどこか遠くへ行きたかったのです。できれば北の方へ。普通と快速だけでどこまで行って帰ってこられるだろうと検討を重ねた結果、鳴子に行く事にしました。
 睡眠不足の身に、列車に揺られながらのうたた寝はとても気持ちいい。ところが新潟に向かう快速くびき野号が挙動不審です。どうやら大雨が降った影響で速度制限を受けている。うそ!? 乗り換え予定の列車に乗り継ぎは出来るのか? 眠気なんてブッ飛んで、あらゆる事態を想定して時刻表と格闘します。信州にはない大平野の雰囲気を楽しむ余裕などありません。そして新潟到着時の非情なアナウンス「村上行きには接続できませんでしたー」。参った、次の列車は2時間半後だぞ。ダメ元で窓口へ「後続の特急への振替輸送とかできませんか」。しかしまぁ所詮はJRもお役所仕事だわ、基本的に拘らない方がいい。
 仕方なく新発田駅に移動、乗車券特急券を購入し(18きっぷ一回分より高くついたわな)、特急いなほ号に乗り込みます。それだけでは払い損なので、予定を変更してあつみ温泉駅で降りてみることにしました。かといって駅の近くに温泉はなく、せいぜい海辺に降りて海水に触ることができたくらい。
 余目から陸羽西線。奥の細道最上川ラインという洒落た(?)名前が付いてますが、電車でなく気動車です。車内ではひたすらウトウトしてました。新幹線の終着駅でもある新庄からは陸羽東線奥の細道湯けむりライン、峠を越え宮城県側へ。すっかり暗くなり、予定より1時間遅れで目的地、雨の鳴子温泉に着きました。何はなくとも天下の名湯、滝乃湯です。白濁のお湯が惜し気もなく打たせ湯っぽく掛け流しされ、熱めと温めの2槽あるのも嬉しいところ。洗い場は狭くて混んでいたら嫌ですが、夕食時なせいか雨のせいか空いていてラッキーでした。
 昔、飯坂温泉と秋保温泉には入った事があるので、これで奥州三名湯を制覇、といったところでしょうか。しかし鳴子温泉は9種類と言う驚異の泉質数で有名な所。何泊もして湯巡りしてみたいですね。実は、何日か前に手ごろな宿を探していました。持てる検索テクを駆使してこれだ!という宿を見つけたのですが、意を決して電話をかけてみると「お盆後の定休日です」だって。日本一諦めの早い私のこと、もう駅寝でいいやあと。
 安眠の地を求めて、さらに汽車に乗り込みます。旅の目的は既に達したので無線封止は解除。仙台に着きました。ここでちょっと徘徊、なかなかオシャレなアーケード街があります。気がついたらあおば通駅前にいたので、仙石線に乗って仙台に戻ります。何やってるんだか。もう一度駅の外に出て、すぐ近くのラーメン屋へ。味はまあまあ。
 仙山線に乗り陸前落合という、仙台市内ですがマイナーそうな駅で降りてみます。ビンゴ! 駅寝してくれと言わんばかりの待合室を発見。終電後、寝袋にくるまります。今日はいろいろな事を考えました。結婚とは何なのかとか、なんで自分は生きているのかとか。普段はループしている思考が、次々と進んでいきます。分かった事より多く、分からない事が増えていくのですが。とにかく、一人旅をしないと人生1/3は損をしているぞ、とか負け惜しみでも思います。

 無事朝を迎えられた安堵感。全く素人にはお勧めできません。雨のおかげだったかも。それにしても、この歳でまだこういうことが出来るんだな。
 そのまま仙山線で山形へ。車内で聞こえてくる女子高生の丸出し方言が、遠くに来たもんだという気持ちにさせてくれます。さて、今日はどうしようか。左沢線に乗るか、かみのやま温泉に入るか、それとも…。
 山形鉄道フラワー長井線に乗る事にしました。多分、こういう機会でもないと一生乗る事はないでしょう。ってすっかりオタク的な発想ですな。私は鉄道オタクではなく鉄道ファンなんですけど…。いや、雨のせいでこういう行動しかとりえないんです。それにしても今年はなんちゅう冷夏なんでしょう。
 赤湯駅から、少し時間があったので隣の南陽市役所駅まで歩いてみました。汽車賃20円節約。というか、これだけのことでとびっきりオリジナリティの高い旅になる気がしません?(いかん、発想が…) そこはとって付けたような比較的新しい無人駅。やがてやってきた列車に乗り整理券を受け取り、またウトウト。勿体ない? 終点荒砥駅からの折り返しは、一両編成になりました。こういうのに乗るのがまさに思い描いていた東北の列車紀行。この単行感覚がたまらない。でもウトウト。
 赤湯に戻り米沢に移動。米坂線に乗ります。これがまた、車掌のアナウンスまで訛ってていい感じ。大雨後の速度規制が今日も掛かってましたが、おかげで車窓から赤芝峡辺りの景色をゆっくりめに堪能できました。
 坂町からはただの帰路。新発田、新津と乗り換え、長岡へ。ここに住む友人を呼び出し、彼自慢の新車で直江津まで夕食に連れてってもらいました。
 長野駅から松本方面へはもう終電時刻も過ぎ、しかし夜行急行ちくま号があるので篠ノ井駅から乗り込みました。くれぐれも大阪まで寝過ごす事のないよう注意して(それならそれで大阪で働くかの)、無事松本降車。鳴子温泉の硫黄臭が、まだ体に染み付いて残っていました。雨で損したり得したりの小旅行でしたね。さて日常に戻ります。

[2003年8月24日]
←多目的室へ戻る