映画版「オペラ座の怪人」のレビュー

観た日:2005年2月3日

↑この絵はiPod shuffle
用に自作しました。

私にとってミュージカル「オペラ座の怪人」と言えば、8年くらい前に部活の合奏で演奏した思い出の曲なのだが、それまでは「サソリ座の女」と区別もつかなかったし、未だにどんな話なのか知らない。それが最新映画化されたということ、しかもテレビが煽ってるし、観ることにした。

場所は職場内の某シネマ(入構証を持っていることによる割引特典を初めて利用した;1200円)。一番大きいスクリーンはオーシャン何とかとハウル何とかが居座っていてやや小さなスクリーンになるが、まぁ仕方がない。前々日のレディースデーは「オペラ座の怪人」のみが満席になっていたようだが、今日は割とガラガラ。

例によって長い予告編の後に、まずモノクロのシーンから始まる。寂れて朽ち果てたオペラ座で、残った備品のオークションが行われている。最後にシャンデリアの出品。それを覆っていた布が取り払われると、一気にオペラ座が栄華を誇った時代へタイムスリップする。きらびやかに生命を吹き込まれるように、画面がカラーへ変化していくのだ。そして大音圧で流れるメインテーマ "The Phantom of the Opera" !!

現在がモノクロで、過去がカラーというのが普通とは逆で面白い。ここから先は主にオペラ座の舞台を舞台とした展開となる。ヒロインが最初に"Think of me"を歌い終わったシーンでは思わず立ち上がってBrava!!と叫びたくなった。そして"Angel of Music"では懐かしさもあって両目から涙が流れてしまった。

ちょっと気になるのが【天才】ファントムの歌い方。ガザツっぽい。それで「お前ものは俺のもの、俺のものも俺のもの」みたいなことを歌っているから…いや、やめておこう。でも慣れてしまえばいつの間にまた映画に引き込まれる。口をつぐむとジョン・トラボルタに似てて男前だし(?)。最後の方に歌う"Masquarade"ではちょっと泣かせてくれた。【ドジでマヌケな】何とか子爵に負けるなと応援したくなる。

映画としては、決して「超大作」ではない。舞台や衣装には相当の制作費を割いてるが、撮影や編集にはあまり手間を掛けられなかったのだろう。シーンの移り変わりや構図などで不完璧さがある。一度だけオペラ座を離れ雪の墓場に行くシーンがあるが、その白銀の世界を他の監督ならどう撮るだろうなと考えてしまった。

この話は喜劇でも悲劇でもあるのだが、その悲劇性の描き方も物足りない。これでは悲しみを共有できる人は少ないかもと心配になった。ある釈然としない部分は、字幕担当戸田奈津子の誤訳であると後で知ったが。

それでも、圧倒的な名曲のオンパレードに、見終わった後はとてもホクホクな気持ちになれた。その後2〜3日は頭の中をぐるぐると・・・・・・。もう一度観たいなあ。歌はできれば意味を覚えておいて字幕見ない方がいいだろう。


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