北信五岳飯綱山

 第8回 長野オリンピック記念 長野マラソン

 2006 NAGANO MARATHON 参戦記


2006年 4月16日(日)8時35分スタート


 

1998年の冬季五輪を記念して始まった長野マラソンは、NHKで全国放送されたり信濃毎日新聞で全記録が掲載されるなど大々的に報じられるため、足に覚えのある県民なら誰しもあこがれる大会であろう。「2005全国ランニング大会100撰」で1位に輝いたため今年は「ウワサの大会」にもなっている。

私も去年からジョギングを趣味に始めたので、ようやく参加できる。秋のつくばマラソンでは初マラソンながら3時間半を切るまずまずの結果が出た。しかし冬の間あまり練習をせず、長野マラソンへのモチベーションが直前になるまで上がらなかったため記録更新はまず無理、という状態で臨むことに。

大会前日には松本から列車で長野入りし、受付を済ませた。会場はいかにも「マラソンやってます」みたいな痩せ体型の人でごった返していて、しかも皆なぜか白いジャージを着ていたりする。
『前日受付、当日早朝スタート』であるため通常はこのあたりに宿をとらなければならないが、諸般の事情で参加を取りやめた友人のHA氏が、それでもクルマを出してくれるということで、お言葉に甘えて一旦松本に帰る。

当日朝4時に起きてスパゲティをかっ込み、高速を飛ばしていざ長野へ。松本では雪がちらついていたため最悪のコンディションでのマラソンを覚悟したが、姨捨S.A.から長野盆地を望む頃にはもう晴れ始めていた。ラッキー。
早く着き過ぎて、渋滞にハマることもなくあっさり臨時駐車場に到着。シャトルバスでスタート地点の北長野運動公園(アクアウイング)へ。


まだ早いし寒いので暫く体育館でまったり。7時頃おにぎりを3つ食べる。サブトラックに移動して3〜4周のウォーミングアップ。いよいよ晴れて、暖かくなってきた。長袖Yシャツに付けておいたゼッケンを、自転車用の半袖レーシングシャツに付け替える。下は長ジャージだけど。
おそらく申請タイムによりゼッケンナンバーが決められており、それによってスタートブロックも変わる。去年のつくばマラソン前に申請した弱気タイムなので、私の3321番ではちょっと後ろになっちゃうなぁ。
荷物はゴール行きのトラックに預けることができる。つくばみたいなアホ混雑は全くないけど、私はHA氏にデジカメごと預かってもらった。ただし連絡用にケータイは所持。

それにしても素晴らしい天気になってきた。日焼け止めやサングラスを持ってこなかったことを悔やむくらい。
「歩かずの完走」を目指す人にとっては、スタート前のトイレが大問題である。ギリギリに済ませたいが、それだとせっかくのスタートブロックが締め切られ、最後尾に並ぶことになる。しかもまだ気温は寒い。マラソン序盤に飛ばして発汗を促す作戦にしようか…。途中でトイレに寄るなんて絶対ヤダ。
昨日結構歩いた疲れか、慣れないウォーミングアップのせいか、それとも気負いか、ちょっと足が重い。千葉真子選手の超元気な宣誓の後、いよいよカウントダウン。

長野マラソンコース図

号砲が鳴った。やがて自分らのブロックも前に動き出す。スタートラインまでに2分46秒。ゲート上方のテレビカメラを意識してパフォーマンスをするハイテンションスタート(残念ながら電波には乗らなかったが)。

まず道が広く確保してあって渋滞がなく、すげー走り易い!「1キロあたり5分」が差し当たりの目標なので、スタートの遅れを取り戻しに行く。最初の折返し地点でHA氏が観戦しているのを発見、またパフォーマンスをして観衆の笑いも取る。とにかく無事スタートできたことが嬉しくてハイテンションなのだ。

下り坂となる善光寺の表参道では、応援のブラバンがどっかで聴いたような曲を演奏していた。それ、県歌の中で日本一特殊な「信濃の国」だよ。長野県民にしかわからんだろ(笑)。
順位1000以内に入れるといいなとも思うので、ゼッケン2000番台の選手を次々と撃墜していく。とはいえみんな自分と同じようなペース。風も除け易い。

10km地点でもうスタートの遅れを取り戻し、ジャスト50分。ひょっとしていい感じ? 千曲川堤防に出ると、桜はまだまだだけど菜の花が咲いてるし、広々とした景観が素晴らしい。15km地点からは、それまでの4分45秒ペースから5分ペースに落としてみる。でも余裕の引き出しがもう残ってないことを感じつつ。向かい風の抵抗もさることながら、腹が冷えるのが嫌なので人の後ろに付きまくっていた。

エムウェーブ過ぎからは軽い追い風を受けつつ、3000番台の3人で集団を作り、ペースが上がった状態で五輪大橋へ。橋の手前が左バンクになっているので、下手をすると足を故障しかねない。渡り終えるとすぐ中間地点。ここまでトラブルなく走れれば完走の可能性が見えてくるので一安心だが、25km地点からはもうペースを維持できなくなり、集団にも遅れる。目標の3時間30分ゴールへの貯金をどんどん使い果たしていく。今季の練習では最長27kmまでしか走ってないから、それを過ぎると未知の領域だしね。

PowerBarという補給食が参加賞として配布されているので、ここらで食べることにした。硬ぇ。給水所毎に水を貰って何とか流し込む。おかげでハンガーノックの心配はなくなった。これから向かう岩野橋や松代大橋がはるか遠くに見える千曲川沿いの情景は特に印象的。これが長野マラソンだ!
目標のためにペースを立て直そうとするも、もうダメ。ペースが落ちれば落ちるほどゴールが遠くなるという絶対真理には逆らえない。やはり「歩かずの完走」という最低目標の達成を目指しつつ頑張るしかない。でもどう頑張れば?

それにしても、沿道の応援がひっきりなしに多いこと!! 足はつらいけど心はハイなまま、声援になるべく応える。太鼓の演奏に合わせて腕を振り上げたり。
しかしどんどん抜かれながら、最後の関門と云われる松代大橋にかかる。やっとだ。この登りでついに歩いてしまう人もいる。私は普段練習している田溝池への坂を思い出しつつ、こんなの大したことねぇと、エンヤコラ。

「これを越えれば怖いものはないよ!」と言われても、足はどんどんつらくなっていく。最後に力を振り絞るべき40km地点過ぎで、ついに右足が悲鳴を上げた。“足が吊る5秒前”という状況が続く。こんな試練がしっかり待っていたのだ。どんなにゆっくりでも「走っている」という状態を維持しなきゃ。
その分、声援も多く受けられる。それがなけりゃ重さのあまり止まっていたかも。取材クルーが追っていた女性ランナーにも抜かれた。ナントカ崎ユイカの叔母だったらしい。

はるか遠くから見えていた長野オリンピックスタジアムにやっと入場。人工芝が、それまで走っていたアスファルトに比べてすごく柔らかく感じる。これなら何とか、ほんの少しだけラストスパートが出来そう。おりゃ。
せっかくだからバンザイポーズをしながらゴール。自分なりにはいろいろ克服しての完走なのだから。…

ゴール後、すぐに女の子に大きなタオルを掛けてもらえるのが嬉しい。クールダウンスペースに移動して、もう振り絞り切ったはずの気力をまた出してストレッチをする。既にガチガチだけど。完走者にはドリンクを配っていて、皆が皆NUDAを選択していた。こんな時に午後ティーミルクなんて飲めないよな。ああ、NUDAうめぇ。
ゴールシーンをうまく撮っておいてくれたHA氏に合流し、ポカポカ陽気のもと暫くくたばる。何も食えん。シャトルバスで駐車場に戻る。

大会の運営は、オリンピックのノウハウが活きていると感じられる、総じて素晴らしいものだった。応援に23万人の人出があったってのも凄い。松本市の人口より多い! ここは良くも悪くもオリンピックの街なのだ。来年はますます参加申込みの締切が早くなるかもね。

クルマに乗せてもらい帰路にかかるが、体調がすこぶる悪くコンビニで休ませてもらう。杏仁豆腐を食ってやっと回復。そりゃあ、あれだけ走った後何も食わなかったのがいけない。
大町経由で帰ることにする。美麻で温泉に入り、木崎湖畔の星湖亭でまりえカレー(微妙)を食う。なんか日焼けの痕がすごい。特にバンダナを巻いてたオデコが。

マラソンを振り返る。持ちタイムを意識し過ぎて、練習量に見合ったペース配分が出来なかったのは恥ずべきかも知れない。でも「あの」長野マラソンを完走できたってのはやっぱり嬉しい。終始気分はハイで楽しめたし、これぐらい愉快な大会ならまた挑戦したいと思う。



公式リザルト
グロスタイム(公式記録)3時間42分13秒 (最速者2:11:18, 最終完走者5:10:24)
ネットタイム(参考実質記録)3時間39分27秒 ※スタート地点からゴール地点までのタイム
フルマラソンの部 男子順位1395位 (/完走4453名/出走5085名/申込5935名中)
      (男女総合順位)1531位 (/完走5166名/出走5952名/申込6972名中)

 リンク

長野マラソン公式ページ
大会概要やコース紹介、公式記録など。
RUNNET
各マラソン大会のエントリーや速報など。

return むらよしギムナシオンに戻る