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 TX つくばエクスプレス 開業記念

 第25回つくばマラソン 参戦記


2005年 11月27日(日)


 

「フルマラソンなんて奇人変人のやることで、理解できない。絶対無理。」

運動神経が鈍い私にとって持久系のみが好きな種目ではあるが、長く歩いたり走ったりした時の足の痛みが苦手で、しかもここ数年は膝の調子が悪い。一生に一度はフルマラソンを走ってみたいな、という憧れは憧れのまま一生を終えるかも…、なんて諦めが年々強くなってきていた。

しかし今年仕事を辞めてトレーニングをしやすい環境を得、本来の趣味の自転車ヒルクライムだけでなくジョギングも取り入れた結果、少しずつ成長。8月下旬には練習レベルで45kmの走行を果たせた。あとはどんなタイムを目指すか。
その後のトレーニングで、サブスリー(3時間以内)を目指せるほどの頑強な心身は持ち合わせていないと悟り、3時間30分が現実的な目標となった。

つくばマラソンの3週間前に、前哨戦としてハーフ(21.0975km)の三郷アップルマラソンin安曇野に出走。しかし体調管理やスタミナ配分に課題を残した。

8日前には最後の長距離練習として36kmをジョギング。目標のためのペース「1kmあたり5分」の把握には役立ったものの、膝を寒風にさらし続けて痛めてしまった。

2日前に長野県松本のアパートから東京都葛飾の実家に移動。最終調整をする。

そして迎えた11月27日、本番である。


つくばエクスプレスに揺られ、かつてそこで学生をしていた懐かしの土地、つくばに向かう。「ドロップアウターがどのツラ下げて足を踏み入れるだ」とも思うが、勢いでマラソン大会に申し込んじゃったし。
朝食は特にカーボローディングとか意識せず、納豆ご飯を食べてきた。実家の親にスパゲティ作ってもらうなんて野暮じゃん。やがて到着した終点つくば駅でも、ベンチに座っておにぎりを補給。そしてトイレへ。ここらで体重を軽くしておきたいのだが…大渋滞。刻々とせまる大会受付の終了時刻。どうにか自分の順番を済ませてシャトルバスに飛び乗り、筑波大学陸上競技場に間に合わせた。さすがつくばエクスプレス開業記念ということもあって、大勢の人でごった返している。他の人のRCチップ(靴に付ける発信器)を拾ったので本部に届けたが、どうなっただろうか。
手荷物を預かり所に置きに行ったらまた大渋滞。これは待ってられないので、そこらへんに荷物をほっぽり出す。こんな事もあろうかと金目のものは持ってきてないが、「盗まれませんように」と祈るしかない。レース直前のトイレも大渋滞。これは諦める訳にもいかず、スタート時刻が迫るばかり。こんなことが土産話になってしまうのか…。ようやく済ませて、ダッシュでスタート地点に向かう。同じような連中が群衆になって、映画のワンシーンの様相だ。逃げ惑う人々、みたいな。ろくにウォームアップ出来なかったなぁ。

つくばマラソンコース図2005年まで

スタート行列の最後尾について、なるべく前の方へと割り込む。それも限界に達した頃、はるか前方で号砲が鳴った。さてこのへんの我々が動き出せるのはいつか。結局、スタート地点をまたぐまでに3分半以上かかってしまった。まずはこの遅れを取り戻すべく、渋滞の隙を縫う横糸のように神経質な動きを余儀なくする。5km通過で28分半。「1kmあたり5分」を本日の目安としてるのだから、ぜんぜん遅れを取り戻せていない。ちょっとはバラけてきたのでプッシュをかけるが、○○ジョギングクラブとかいうユニフォームが横並びで走ってておめでたい。「ネットで名指しで批判したろか」とも考えるが、スタートで後ろの方に並んでしまった自分が悪い。序盤はこんな調子で、痛んでいる膝をかばうよりかは、ひたすら渋滞をすり抜けるのに精一杯。そういえば筑波山が霞んで見えていた。

15km地点で1時間15分。やっと「1kmあたり5分」に追い付いた。腿が既に硬くなってきたので、心持ちペースを落とし、後半に向けてスタミナ回復を図る。とはいえ一度作ったペースをそう崩せるわけもなく、5kmあたり24分の安定したペースが続く。トレーニングの支えにもなってくれた当面のライバル、HA氏はここら辺で気付かず抜いてしまった模様。
今日は陽射しが強く、予想外に暖かい。南に向かって走るあたりは膝が暖まって楽になるが、その代わり眼が眩しくてつらかった。サングラスが必要だったな。給水所は2.5km毎にあるが、自分は10km毎に利用してアミノバリューを頂く。
ウォームアップをしてないのが祟り、足がつりそう。実際路肩に止まってストレッチを余儀なくしてる人も多く見掛ける。下手にペースアップすれば私もああなるだろう。膝爆弾も抱えてるわけだし。なにしろ初マラソンなんだから、欲張らずにフェイルセーフで行こう。
ひたすら平坦だったコースは後半に入り、緩いアップダウンを繰り返すようになる。普段山がちの土地でトレーニングしてる自分にとっては大した問題じゃない。

30kmを過ぎた緩い上りで、心持ちペースアップ。丁度みんながガクンとダウンする頃なので、相対的にスピードが上がって気持ちいいが、自分もいつ止まるかという恐怖心と闘う。しかもお腹が空いてきた。なるほど、カーボローディングとやらを真面目にやってないとこうなるのだな。いっぺん身をもって知ることができて良かった。ここはプライドを捨て、給水所でバナナを受け取り急場をしのぐ。だけど切ってあるからバナナを半分しか食べられないんだよ。

ペースが緩んでしまったので、35kmから再加速。ここから先「泣いても笑ってもあと○km!」と気を奮わせるが、エネルギーが切れてるのでそうは思い通りにいかない。立体交差やちょっとした傾斜がシビアに感じられる。常に手に握っているストップウォッチを睨みながら「どうやら3時間30分は安全圏だけど、あと5分早くゴールできないか」と考えはするが、血中の糖分を使い果たし、いよいよ腕が冷たくなってきた。
大学構内のループ道路に戻ってくればあと少しなのだが、いやらしい跨道橋のアップダウンが待ちかまえている。これにトドメを刺されぬよう、最後の力を振り絞りながらトラックに凱旋。ギアをハイスピードに入れる。ラスト100mになり、自分ならではのターボダッシュ〜〜…。しかしゴール脇のオフィシャル時計は、無情にも3時間25分00秒を過ぎてしまった。「ああっ!」

結果、42.195kmを3時間25分10秒。その途端もう足はガチガチになり、邪魔にならない所までのろのろと歩いてからへたり込む。しかしここでクールダウンを怠るともっと後悔することになるから、なんとか少しだけ動いてみる。屈伸もままならない。RCチップを外す作業さえ面倒だが、それを返して参加賞のTシャツを受け取り、記録証を貰いに行く。ピッピッ。あ、ネットタイム(スタート通過からのタイム)も参考として表示されるのね。3時間21分26秒。いずれにせよタイムは目標以上だし、精一杯最後まで走ることが出来たのだから、結構嬉しいものだ。
応援にHM氏が駆けつけてくれ、やがてHA氏もゴール。しばらくまったりした後、足が硬くなってて苦しかったが、3人でトンカツを食べに行った。夜になり、つくばエクスプレスで帰宅。ちょっと階段は歩けないわ。


こうして初マラソンは、スタート前の混乱はあったものの、ほぼ悔いのない走りができた。もしかしたら生涯最高記録になるかも知れない。走ることは好きなので今後もジョギングは続けようと思うけど。不可能を可能にした2005年は、自分史に残る一年になったに違いない。



公式リザルト
グロスタイム(公式記録)3時間25分10秒 (最速者2:17:36, 最終完走者6:00:05)
ネットタイム(参考実質記録)3時間21分26秒
フルマラソンの部 男子順位1171位 (/完走6501名/参加申込7682名中)
      (男女総合順位)1214位 (/完走7446名/参加申込8804名中)

※他に10kmの部の参加申込が男子2063名・女子766人で、フルマラソンと合わせて11633人規模の大会でした。


www.riad.jpより借用


 リンク

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