来島海峡大橋

自転車キャンプツーリング記

しまなみ海道と尾道観光

2006年9月5日〜9月8日 

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former latter

2006年 9月5日(火) くらがりに登りたがり

いつ以来の“フル装備”だろうか。荷物満載の自転車は、実に独特な乗り心地だ。自宅から松本駅まで走り、チャリを分解・袋詰め、すなわち『輪行』をする。近くで学生3人もやっている。さすが現役学生は作業はやっ。私の完敗だ。
青春18きっぷで中央西線の始発に乗り込む。鈍行を乗り継ぐ旅は時間がかかるが、溜まりに溜まったPodcastを消化するのに最適の機会だ。中京圏で聴取するなら“つボイ楽耳王”がよく似合う。
午後2時ごろ大阪府柏原で降りる。輪行を解く作業をしているだけで頭から汗が吹き出てくる。おそるべし大阪の暑さ。少し走って古市の親戚の所に荷物を預けてから、生駒山系に向かう。

暗峠入口 “暗峠(くらがりとうげ)”。 おそらく車道国道では日本最狂の斜度を誇り、ここを自転車で足を付かずに登り切れれば、えーと、その何だ、坂馬鹿オブ坂馬鹿と言えるだろう。まさに西の聖地!
近鉄線のガード向かい、一方通行の路地から激坂が始まる。国道だけど…。マッポが逆走を見張ってるけど、チャリならいいよね? いきなりギアはインナーロー、心拍数はぐんぐん上がる。行けるか?
しかしチェーンが歯飛び気味だ。スプロケを交換したばかりなのに、おかしいなあ。住宅地を抜け、公園地帯でさらに坂は壁になる。凶悪な溝を越えた所でついに脱チェン! 「足を付かずに」というチャレンジが尽きてしまうことがにわかに信じられず、あっという間に2m後退。やばい、このままじゃ落ちてゆく! 慌ててブレーキをかけ、派手に転倒した。

「ちっくしょぉぉぉおお!!」

歯飛びの原因は、フロントギアの磨耗にあった。普段掛けないほどの負荷に耐えられなくなったのだ。気を取り直してまた登り始めるものの、走る(滑る)、見事に(転ぶ)。何度やっても同じこと。
私の完敗だ。暗峠自体は裏側からなら越えたことがあるので、今から歩いて行ってもしょうがない。「いつかリベンジを…」と心に誓い、引き返す。下り坂もまた凶悪。
転倒の衝撃でトゥストラップがブチ切れていた。帰路に自転車屋巡りをするが、今時はSPDが主流なのでなかなか売ってない。しかしここで最後にしようと思った店で3種類も置いてあった。「ランドナー、スポルティーフに Zefal christophe本皮ストラップ」と書いてある。君に決定。着け心地も一味違うぜ。

今夜は親戚宅に泊まる。


9月6日(水) 西条、カンゲキ

しまなみ海道地図 朝食まで頂いてから、柏原駅で輪行。時間を通勤ラッシュから少しずらしたつもりだったが、それでも乗り継ぎの大和路快速は混んでいた。バカでかい荷物を持ち込んで、すまんねぇ。
西へ西へ。車窓から明石海峡大橋を眺めると「人類って何でも出来るんだな」って気になってしまう。岡山駅で瀬戸大橋線に乗り換え。列車の近接メロディーが“瀬戸の花嫁”なのが、旅情を演出する。「瀬戸は〜日暮れて〜♪」
四国に入り、坂出で長めの待ち合わせ。安くて美味しい讃岐うどんを探して商店街をうろつくが、シャッターが下りてる店ばかりだ。「不況に負けず営業中」と書いてある店でやっとうどんにありつく。きつね大盛りを平らげた。また、皇室で男子出産という号外新聞を拾う。列車内で読もう。
予讃線は意外にも電化されている。西へ向かい、観音寺でも少々の待ち合わせ。大林映画の聖地だ。青春デンデケデケデケ。しかし今日は聖地巡礼に来たわけじゃない。駅前は至ってフツーだ。

伊予西条駅 夕方、愛媛県の伊予西条に到着。「今日はよく降るなぁ」ってくらいの雨だったのに、着いてみたら止んでくれて、少し太陽まで顔を出してくれた。視界良好!
輪行を解き出発。まず商店街を走るが、7年前にママチャリ用のタイヤを買った自転車屋はシャッターが下りていた。もうやってないのかな。
スーパーで買い出しをすませて、湧き水を飲んでから西へ走る。間もなく小松中央公園。7年前の時もここでキャンプをしたので安心して来たのだが、ずいぶん管理された公園に生まれ変わっていた。大丈夫だろうか。
入口近く、グラウンドゴルフ場前の屋根場に、チャリダーの“先客”が一人いた。「ここ、良さそうですね。」一緒にテントを張らせて貰う。その人はお遍路の最中とのことで、良い情報交換が出来た。異常に蚊が多いのには困ったが。
夕食のおかずはスーパーの惣菜で済ませた。米だけ自分で炊く。まあまあ。公園近くのSA併設温泉は定休日とのことで、西条方面に6kmほど戻って石鎚温泉に入る。値段(450円)なりの施設だった。とにかく輪行疲れに丁度いい。


9月7日(木) バリバリ今治

お遍路君はさっさと出発したが、私はまず朝食から。納豆3パック一気食い。一通り出発準備を終えてから公園を散策すると、かつて泊まったテントウ虫型の遊具を発見。しかし公園の様相はやはり変わったように思う。当てつけがましく「グラウンドゴルフ場では野営は出来ません!」なんて園内放送が掛かるし。ずらかろう。

来島海峡大橋遠望 夜の雨は出発までにはほぼ止み、広域農道を北へ、ゴーゴー今治。すこし登ってトンネルを抜けると、陽の光りを浴びて輝く横一文字の来島海峡大橋群が! そう、私がサイクリング部現役の頃はまだ供用されてなくて、いつか必ず走りに来ようと心に誓っていた『しまなみ海道』をついにゆくのだ。あっちは晴れてるぞ。さあ、僕の住む島(本州)へ帰ろう。
その前に今治駅に寄ってみると、バックパッカー君が話しかけて来た。「これからレンタサイクルでしまなみ海道を渡りたいんだけど、サイクリングの経験がなくて…」とのことでいろいろ質問を受ける。ちょっと先輩風を吹かしたくなるじゃないか。
「たいした山越えはないけど、橋自体が山みたいなもんだよ」とも伝えておく。それぞれの橋が海抜30〜80mの標高を持ち、それをいちいちアップダウンする必要があるから。

糸山より来島海峡大橋 橋のたもと、糸山サイクリングターミナルで各橋の通行料がわりになるサイクリングチケット(500円)を購入する。安くはならないが、各橋でいちいち小銭を用意するよりは楽だろう。しまなみ海道の自転車用ルートを明記したサイクリングマップも貰える。
それにしてもここから眺める来島海峡大橋の雄大で美しいこと! 今からあれを渡れるんですか。自転車で。
いざ、専用スロープを経由して最初の橋へ。天気は爽やかに晴れて、ゆく手を遮るものナシ! しかし要所要所で写真を撮ってしまうからなかなか前に進まない。とにかく素晴らしい。サイクルツーリストはこれに憧れずして何に憧れようか。見上げれば白い巨大な塔。見下ろせば青い海。横を眺めれば多島美を極め、進むは前方の橋梁群。しまなみ海道の旅はいきなりクライマックスだ。第三大橋・第二大橋・第一大橋の合計4,045mをハイな気分のペダリングで大島まで渡り切った。

宮窪瀬戸の動画(H.264) 推奨サイクリングロードがあるけど、大島に入るなりさっそく外れる。お仕着せの道なんて使ってやんねーよ。まさに外道。ひなびた漁村が点々としているのが良い。とは言えすぐにサイクリングロードに合流する。軽いアップダウンで島の東北岸に出ると、海流が渓谷のように轟々と岩を削っている。ちょっとしたカルチャーショック。
普通の橋と吊り橋を繋げたような伯方・大島大橋で伯方島に渡ると、道の駅がある。ぼちぼち昼だし、まず伯方の塩ソフトクリームを食べてみる。後味にほんのり塩味が残る程度。伯方の塩ラーメンも食べたかったが、進行方向にあった店は定休日で、他に店が見つからないままアーチ型の大三島橋を渡り大三島に入ってしまった。「アーチを架けろ、輝く光浴びて、それゆけしまなみ〜♪(元ネタ:原辰徳応援歌)」 ここの瀬戸もまるで天竜川のような流れだ。

多々羅大橋 間もなく巨大な斜張橋、多々羅大橋が迫ってくる。道の駅のパラソルから見ると南国リゾート気分。昼食は結局非常用に所持していたカロリーメイトだけど…。
さあ、いよいよ県境を越えよう!

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