来福神社オープニング

自転車キャンプツーリング記

しまなみ海道と尾道観光

2006年9月5日〜9月8日 

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former latter

9月7日 (つづき)

多々羅鳴き龍 県境を越える世界一の斜張橋、多々羅大橋はしまなみ海道の真打ちと言っていいだろう。白い主塔の真下で手を叩くと、独特な反響音が返ってくるのが面白い。京都や日光の修学旅行でやったよネ? 『多々羅鳴き龍』の説明書きと、拍子木まで設置してある。歩行者と自転車乗りだけのお楽しみ。時折、他のサイクリストや散歩の地元民と行き交いつつ。
生口島(いくちじま)から広島県。最近の市町村合併で、ここはもう尾道市に入ったようだ。先を急ぐなら島の南回りが短いけど、ここではサイクリングロード通り北回りを選択。間もなく瀬戸田港に辿り着く。大林宣彦監督作品『転校生』を観た人ならあっと思うような、懐かしい感じのフェリーターミナル。しまなみ海道の旅はこのへんから尾道三部作・新尾道三部作のロケ地巡礼色を帯びてくる。向かいにはこれまた転校生で使われた住之江旅館があったり。

生口橋 空が曇ってきた。コーラ夏缶を飲んで一休みしてから再出発。瀬戸田の味と活気がある細い商店街を抜け、平山郁夫美術館はスルーして東へ向かう。今治から尾道にかけて造船所が多く存在するが、ここでは沈没船の解体作業を見かけた。近くで写真を撮りたかったけど、廃墟マニアでも如何ともし難いようなオーラが出ていた。
やがて、ハイハイまた吊り橋への上り下りね…これにはさすがに飽きてきている。それでも生口橋は、どのように写真を撮っても美しい。この橋でも鳴き龍現象を確認できた。

愛はぶ通り 因島に渡ってからはサイクリングロードを外れて、大幅に遠い南回りへ。因島はポルノの聖地。あるポップユニットが、田舎出身だと舐められないように「ポルノグラフィティ」と自称したという逸話が残る。
中心街は、道は狭いながらもなかなかの活気だ。土生(はぶ)という地名と中学英語で最初に習う2単語に因んで“愛はぶ通り”がある。ここも大林映画『あした』のロケ地。近くのスーパーでぼちぼち夕食の買い出しを済ませておく。銭湯も探したがだいたい潰れてて、やっと見つけたと思ったら定休日。風呂運悪い…。

水軍ラインから三庄 三庄(みつのしょう)小学校もあしたのロケ地。平日の小学校の写真を撮るのは勇気がいる。いや、尾道のみなさんは巡礼者に慣れているかも知れないけど。
ここからの“水軍スカイライン”は、景色はいいけどフル装備のチャリにはごっつい坂道だった。今日一日漕ぎっぱなしで、我ながら良く登るなーと思いつつ。
予定外だが“碁聖”本因坊秀策の碑にも寄ってみる。『ヒカルの碁』の聖地? 秀策の墓は意外に小さかった。夕方6時を過ぎ、尾道はにちぼつ。ここらへんでテントを張っちゃうか。いや、もう少し頑張ろう。

因島大橋1F 完成当時は吊り橋として東洋一を誇ったという因島大橋。歩行者・自転車・原付は車道の下を走る。眺望には劣るが、同様に車道の下を走るJR瀬戸大橋線の気分が味わえるので好きかも。
向島(むかいしま)南岸を進み、マリン・ユース・センターに到着。今夜は有料でもいいからキャンプの安心を買おう。したら料金3000円だって。ええっ。離れ区画なら1500円だと言うのでそれで手を打とうと思ったが、水場を使うなら3000円取るだと。「B&G財団関係者全員ポア!」と吐き捨てたい気持ちを抑えて、しぶしぶ引き下がる。(※一時的な感情で、本意ではありません。)
これでキャンプ難民化。ナイトランになり、ダイナモを焚く。今夜の寝床が見つからない。これ以上の不安がありますか。

干汐(ひしお)海水浴場まで走る。もう夏の営業を終えていて、辺りには人家も少ない。一応トイレはあるし、ここの浜にテントを張れるだろうか。とりあえずヘトヘトの体を押して米を炊き、レトルトカレーを食べる。たまにウォーキングの中年女性がシャリシャリ音を立てながら通りかかるだけで、ヤンキーやパトが来る気配はない。
さあ寝る直前になってテントを張ろう、と思ったら満潮で浜は水没していた。設営を後回しにしといて良かった。砂利駐車場横の木の下に張って、眠りに就く。


9月8日(金) 尾道ドケチ巡り

干汐に昇る朝日 無事に朝を迎えた者だけが拝める、海の向こうからの来光。尾道は日の出だ! これが見たかった。生きてて良かった…。

昨日の疲れは残るが、朝食後7時には出撃して向島右回りを始める。『あした』のロケ地呼子浜の岬に行きたかったが、西武の私有地になっており、ここはどうしても立ち入ることができなかった。
すこし山側を登り、『ふたり』のロケ地立花自然活用村を発見。向島の西側に至り、ここでもあしたや『さびしんぼう』のロケ地の津部田(つぶた)の坂道を登ってみる。自転車ならではの機動力を活かした巡礼と言えるだろう。去年入手した尾道三部作・新尾道三部作ロケ地マップは、まさに聖書、宝の地図である。

尾道大橋 赤いアーチの向島大橋を渡り、岩子島(いわしじま)も回る。岩子島海水浴場は『あの、夏の日』のロケ地。しかし興味を引いたのは奥の建物。もう長いこと使われてないようだが、再び海の家として賑わう日は来るのだろうか。廃墟ファンの心をくすぐる。
向島から尾道本州側に渡るには、渡船の利用が推奨されている。私はもちろん「走った道を繋げたい」から尾道大橋へ。なるほどふらふら走られたんじゃ迷惑な道だが、正しい車道走行に慣れてる自転車なら問題ないだろう。ただし途中で景色を楽しむ余裕はなく、一気に渡り切れ。最後の海を越えて、ついに本州上陸! 一つの旅が終わった。

ゆりえ様御在所 尾道に来るのは3回目。最初は何の関心もなくチャリで通り過ぎ、2回目は去年、何となく途中下車したら面白かった。YAMATOさんの1/1スケールモデルも居たし。今回はすっかり大林映画ロケ地巡りとなる。
有名な『ふたり』の事故現場を探すが、大林監督の意向でわざと迷うように作られたロケ地マップに見事に惑わされ、坂だらけの路地を駆けずり回るハメに。それはそれで楽しいし、見付けた時の喜びもひとしお?「あ、あったーっ!」顔が緩んでしょうがない。
『転校生』の御袖天満宮も外せない。ああ、この階段だこの階段だ。是非オミクジを引きたかったが、財布に百円玉がなかった。不覚。ちなみにここは絵馬が凄い。

土堂小学校と尾道水道 自分以外にもロケ地マップや何やら気合いの入ったプリントアウトファイルを持って徘徊してる人が多いのはさすが尾道。『時をかける少女』ロケ地の艮(うしとら)神社は尾道最古の神社。真上をロープウェーが通っているが。ここから千光寺公園なども観光したいのだが、帰りの列車の時刻が迫ってきた。
大林監督の出身校土堂小学校は、良くこんな急な傾斜地に校庭付きの学校を建てられたものだ、と感心するくらい狭いところにあった。尾道らしさ100%の細い生活坂道をつたって、ランドナーを引きずりながら右往左往する。

尾道駅 いよいよ時間がない。ホントは渡船に乗るなどしてもっとじっくり巡礼したかったが、今回の旅のメインはしまなみ海道だったと割り切るしか。列車に乗る前に風呂に入りたいが、あるはずの銭湯がどうしても見付からない。もっとちゃんと下調べしてくりゃよかった。人に聞いても「まだ開いてる時間じゃないよ」と言うし。風呂運の悪い旅だ。
テンパる私の目に入ったのはシャワー付きのユニバーサル化粧室。そういえば一昨日会ったお遍路君が言っていた。いざという時は「ツカエル」と。恥ずかしいというか罪悪感があるが、このまま列車に乗るよりはマシだ。髪を洗って体を拭き、着替える。
金掛かんない旅だな…。ある程度サッパリできて、急いで輪行、山陽本線に乗り込む。今夏18きっぷ最後の一回だ。

オレ、何やってんだろう。予定通り中央西線の終電へ乗り継ぎ、松本に帰り着いた。自転車を組み立て終わる頃にはもう日付が変わる。思いっきり体力を使い果たした、充実した旅だったと思うよ。

また行く? ああ、暗峠もしまなみ海道も尾道も!

しまなみ海道地図

 テントで迎える朝

来福神社参道

日の出渡船  

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