五一わいん前

松本エリアロゲイニングシリーズ

塩尻ワインロゲイニング (3hソロ) 参戦記

2016.3.26[]

経緯

ロゲイニングとは「地図読み」の知力と「ラン」の体力、その総合力を競うマイナースポーツである。オリエンテーリングが全てのコントロール(チェックポイント)を指定された順番通りに探し回ってゴールタイムを競うものであるなら、ロゲイニングは制限時間内にゴールするまでに任意で回るコントロール点を競うもの。また基本的にオリエンテーリングが個人競技であるのに対し、ロゲイニングは複数名が同一行程で回るチームスポーツである。

ただしソロの部を設けている大会もあり、一昨年に波田地区を発着点として行われた松本ロゲイニング2014 Spring Stageで初参加することができた。結果、地の利チートとビギナーズラックを活かし男子ソロ優勝、総合ではチーム阿闍梨に次ぐ2位という華々しいデビュー戦だった。鳴かず飛ばずだった私の闘える舞台がここにある。…にも関わらず、あまり今以上に趣味の幅を拡げるべからずという自分ルールに抵触し、ロゲからは遠ざかった。

フライヤー

あれからおよそ2年。ジョギングで阿禮神社までお参りしに行った折り、塩尻駅前の観光センターでフライヤー(チラシ)を手にしたのがきっかけだった。「塩尻ワインロゲイニング」。忘れていた野望がふつふつと蘇る。今度こそ、念願の総合1位を狙えるだろうか。ええと、「宿場、史跡、ワイナリー、山、川、泉と塩尻の魅力を織り込んだ中身の濃い3時間ロゲイニングにトライしてください。」…山? 山は苦手だなぁ。どこか山の上から撮った背景写真も不穏である。

参加を決めてから、今回はあまりテレイン(競技地域)に入らないようにした。ある程度の地理は把握しているけど、前回よりは実力に見合った結果が出るだろう。走力も、いちおう翌月の長野マラソンでのサブスリーを目標にトレーニングしているが、若干立ち遅れている気がする。地図読みに関しては、地形図を片手に水準点探しをするなど軽くおさらいしておく。大会の制限タイムは3時間なので、ストップアンドゴーを繰り返しながら30kmくらい走ることを念頭に、ジョギングシミュレーターの地図上でどれだけの円が描けるか、数パターン予習しておく。苦手な山は避けて、平地を塗りつぶす作戦だ。

日記

3月26日() 塩尻ワインロゼイニング
塩尻市立体育館

開催は土曜。遠方からの参加者や交流会への流れに配慮して、開会式が11時半からと遅い。のんびりと電車で塩尻駅に着くと、観光センターには行列が出来ていて、最後尾に塩尻ワイナリーフェスタのチケット完売とのプラカードが。5月のイベントらしいが、そんなに人気があるのか。咲-Saki-の聖地レザンホール、に隣接するのが今回の大会会場となる塩尻市立体育館。エントリーリストによれば総勢181名で、うち男子ソロ37名。気後れするけど、お前ら全員に俺は勝つ…つもり。周囲を軽くウォーミングアップランしておく。

コントロール位置説明

玄蕃サラちゃんのミネラルウォーターPETが配布されるが、水は波田ステージの副賞だったミニ水筒で補給することにする。緊張高まる競技開始15分前、地図とコントロール位置説明が配布される。パッと見て南方、鳴雷山(なるかみやま)の尾根道付近に美味しいコントロールが並んでおり、そこを行かないと勝てないことが分かる。トレイルは経験不足で見当が付かないが、平地だけで稼ぐプランは諦め、山に入らざるを得ない。履いてきた靴が完全にロード用のアディゼロ匠錬だが大丈夫だろうか。方位磁針はもちろんGPSの利用も認められているが、見てる暇なさそうだし私は使わない。

東座

正午きっかりに競技開始。ルートは自由なので、全参加者が蜘蛛の子を散らすように四方へ散らばる。コントロール位置説明で指定された特徴物のデジカメ写真が通過証明となるフォトロゲイニング形式で、地図に記された数字が得点となる。手始めに近場のヘルスパ塩尻[31点]とエロ映画館[60点]から写真に収めていく。3つ目から苦手の山道に入る。前半のうちにさっさと山を終わらせて後半は平地で、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に…って俺はフォーク准将か。

展望台[76点]を経て、呼吸を荒げながら上野山[40点]到達。ここから東の城跡へは相当なダウンアップがあると読み取れるも、82点と高得点だし行きたい。しかし分岐が見つからず、固執せずに西南へ先を急ぐことにした。次の尾根分岐で鉄塔[101点]、さらに次の尾根分岐で送電線道標[63点]に往復し、このへんでライバルを巻く。一部残る積雪に足跡がないので、自分が先頭のようだ。木ヤブ小枝がスネを切りつけ、痛くてたまらない。1月末の雨氷被害で松の倒木も多く、行く手を阻む。ハーフタイツはミスチョイスだった。勘弁して…。

洗馬地区と北アルプス

展望の良い所では思わず立ち止まって観光写真を撮る。素晴らしい天気に恵まれた。次の尾根分岐で有刺鉄線に驚きつつ、久ノ井山[87点]が最高標高地点1160m。あとは下り基調で鳴雷山[104点]、登山道分岐[83点]と回収して平地に出たのが1:25'ほど。目論み通り、ほぼ1時間半で山を降りたことになる。

平出一里塚(北)

さあ得意の平地フィールドだ。東に西にポイントを欲張ろう。農園パン屋[35点]、またちょっと登るけど比叡ノ山[43点]でエネルギーゼリー補給、そして平出遺跡[102点]。次の一里塚[32点]は2基あるうちの北側が指定されている引っ掛け問題。みんな道沿いにある南側を撮っていて、私がそれをスルーして奥まった北側に向かうのを見て「あ、こっちか!」などとやっている調子。

kidoワイナリー

終盤はいよいよ「塩尻ワインロゲイニング」の名の通りワイナリー巡りとなるが、走行スピードが5分/km程度に落ちている。前半で脚と肺を使っちゃったからなぁ。あと花粉症対策として鼻孔にワセリンを塗ってあるが、それでも鼻水は出る出る。生産量が少なく入手困難で知られるkidoワイナリー[45点]、さらに謎な存在のVOTANOワイン[100点]、北上して奈良井川の河岸段丘を下った信濃ワイン[36点]と来て、少し離れた最西端コントロールは80点あるが…川向こうの河岸段丘まで登り降りするのは厳しく、諦める。五一わいん[42点]と井筒ワイン[44点]は向かい合わせにあって一気に取れる。

北端のJAワイナリー[103点]から大きく東に回り、丸永酒造[75点]。時間に余裕が出てきても、マラソンのトレーニングとして最後までしっかり走るようにしよう。最後にワイン醸造実習で知られるイモ高こと志学館[64点]。一旦フィニッシュ地点まで行きながら余った時間でイモ高まで往復するチームが多く、「すぐそこですか」と聞かれたら「すぐそこですよ」と答えるが、遅刻すれば大減点だぞ大丈夫か? 自分は制限まで8分余してフィニッシュ。走行距離25.5kmほど。勝てたかも知れないが、どうだろう。

フィニッシュタイム計測

コーラとあやみどり豆菓子を受け取り、コーラは後回し、豆でタンパク補給をしてから得点シートの記入を始める。獲得コントロール数30ヶ所中21、総得点は2000点満点中1366。概ね3分の2ラインを突破し、これだけあれば勝てたのではないか? と安堵したのは束の間。他の人の採点をチラ見したら23ヶ所周ってる人がいて青ざめる。得点確認の係員(木村プロデューサー)に「もしかしたら優勝ですよ」と言われたが、先にこっちが結果を知ってしまったようなもので、苦笑い。ちなみに一里塚の引っ掛け問題は、スタッフにも周知されておらず混乱を招き、けっきょく南北どちらでも良いこととされた。

進行を待つ間に落ち着いて地図を見直すと、東側エリアに取りこぼしが多いことに気付く。先にそちら(41点、77点、62点)を回ってから鳴雷山トレイルに入るのが必勝ルートだった。山に対する苦手意識が高じて「さっさと終わらせたい」とばかりに急ぎ入山してしまったんだ。表彰式は他カテゴリから始まり、そこに自分より高得点のチームや女子ソロはいなかったが、男子ソロともなると強豪揃い。一位(1452点)にも二位(1438点)にも呼ばれず、三位(1366点)として辛うじて入賞に引っかかる。

一位の源後選手はオリエンテーリングのトップランカー…つまり別格だし、それに肉薄した二位松井選手の快心と言える激闘も称えるべき。共にしっかり必勝ルートを辿っていて、それを実行しうる大局観と走力を持っているということだ。自分もそうなるためには、もっとたくさん経験を積んでいく必要があるだろう。面白いのが男女混合チーム優勝の「はってぃーとらいおんまる」という筑波大生で、平地だけで1145点を叩き出している。青春18きっぷで帰るから表彰式には不在という美味しいオチも付けた。

副賞の五一わいんロゼと仮賞状

他所の分析をして気を紛らせようが、負けは悔しい。天才じゃないから、努力が劣れば成績は沈む。それでも今の力なりには精一杯走れたし、爽やかな気分ではある。二位とも四位とも得点が離れ、これが実力ってとこだろう。副賞は三位まで同等の五一わいん720mが貰える。ロゼをゲット! これだけで参加料の半分は元がとれたりする。トレイルの綿密な調査や、大きなトラブル無くイベントを実行したスタッフにも感謝したい。

この後行われる交流会は参加登録しておらず、近くのカウボーイ家族で自棄食いしてから電車で帰る。強引に参加して、オリエンテーリングやロゲイニングの練習法でも聞き出しておけば良かったなぁ。電車で帰宅し、自棄コーラをあおる。連れがコンビニ端末で奇跡的に塩尻ワイナリーフェスタのチケットを取ってくれたというグッドニュースもあるなか、傷だらけの身体をバタンキュー。

次のロゲ参加は7月の霧ヶ峰ロゲイニングを予定している。友人が乗り気なので、チームスポーツという一面を楽しんでみたい。フィールドは山しかないので、今回のトレイル経験も活きるだろう。男子チームに強豪が集まる大会なので入賞はさらに難しくなるが(?)、まずは経験値みるみるアップさせたい。

結果

走行マップ(右回り)
公式リザルト
総合点 1366/2000 (最多点1452, 最少点-1201)
コントロール数 21/30 (最多23, 最少4)
男子ソロの部 順位 3位 (/出場36名/申込38名中)
総合順位
(各種チーム,女子含)
3位 (/出場90組/申込98組中)
(人数は出場167名/申込179名)
※詳細は公式のリザルトページにて。

リンク

後日郵送された表彰状
中村良大Facebook: 塩尻ワインロゲイニング写真
通過した全コントロール証明などの写真アルバム。
松本ロゲイニング公式Facebook: 塩尻ワインロゲ写真集
スタッフによる写真アルバム。
松本ロゲイニング公式サイト
次大会の募集要項、過去大会の様子など。
Navigation Games 2016
日本オリエンテーリング協会が選んだロゲイニングのシリーズ戦。
フォトロゲイニング公式サイト
ルール説明や大会紹介など。

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