むらよし旅日記・其の三:サイクリング部夏合宿東北縦断編

『サイクリング部全体合宿』東北中央編

7月30日〜8月5日

7月30日(日)

 誰がYHのペアレントだか判らぬまま出発。YHってこんなもんだろうか。まあ、合宿だからしょうがない。
 今日からはサイクリング部の各班が揃う全体合宿のラン。新たに毎日ランダムで班が組み直されるので、一緒に走るメンバーは昨日までとはガラリと変わる。
 しばらく爽快な道を下ると、本日行われている“岩手山マラソン”に道をふさがれた。これも一興。マイナーな道を通ったり湧き水を飲んだりして、早くも盛岡ユースホステルに着いた。

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わんこそばに挑戦!
 しかし今日はこれからが本番。盛岡といえば当然“わんこそば”に挑戦だ。いざスタート! テレビでよく見るのとは違い、休み休みだったが客が多いから仕方ないか。やがてみんなリタイアし、ようやく店員を独り占めできたが、こうなると苦しくなり「もういいです」と蓋をして終了。記録は114杯。ツーリング中なので、これ以上の無理は出来なかったが、まだまだだな。いつかは150、そして200杯を狙いたい…。
 わんこそばに結構時間をとられしかも満腹であまり動けなかったので、予定していた小岩井農場観光は断念、すぐにYHに戻って解散した。さすが盛岡は新幹線の終点だけあって栄えた街だ。自転車にとってはちと走りにくい。
 お腹のつらさが治まってきたので、周辺をもう少しまわる。盛岡競馬場の外から一つレース観戦、もちろん予想は外した(笑)。
 やがて夕食になったが、食べられるのはその半分がやっとだ。夜は外でやってる花火を眺めたりした。今日のところまでずっと先頭地図読みを担当していたので、精神的にも疲れてきた。

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7月31日(月)

 まず空気の悪い国道4号を南へ南へ。花巻に着くころにはもうヘロヘロ。今日も先頭地図読みだが、途中ある程度先頭を代わってもらった。花巻に来たらやっぱりラーメン屋。これで少し元気回復。
 あまりもう動きたくないが、午後のラン。イギリス海岸とかいう河原を見てから、宮沢賢治記念館へ。これがやたら急な坂の上にあり、またヘロヘロに、すぐ息が上がってしまう。さて、始めは興味のなかった記念館。見ていくうちに宮沢賢治の世界の素晴らしさに引かれ、「私も頑張らねば」という気持ちになってきた。
 あとは気力を振り絞って宮守村への登り。途中買い喰いしたワサビ団子がうまかった。やがて宿泊施設に着き、元気な連中は思い思いに遊んでいるが、私はゆっくり休んで早く寝る。ニュースで太平洋岸に津波注意報が出ていたが、明日以降の行程におそらく支障はないだろう。

8月1日(火)

 やっと先頭地図読みを他の1年生に譲ったが、こいつがやたらハイペースだ。雨はコンビニカッパでしのぐが、前を走るMTBがドロを跳ねるので、車間を開けなければならず、せっかく先頭じゃないのに、風はもろに喰らうことになった。
 遠野市に着き、童話に関する博物館まわり。へぇーっ、面白い街だなあ。ここでちょっとアヤシイ『とおのの銘石』なるものを買ってみた。これを水筒に入れると、水が美味しくなるそうな。
 午後のランはいよいよ先頭のペースについて行けなくなり、だいぶ間を開けてしまった。そうこうしてるうちに陸前高田ユースホステルに到着。この天候では海に行く気にもならず、やはりゆっくり休む。
 ここで「どこかのYHにはありそうだ」と期待していた、クラシックギターをついに発見。一部の人に聴いてもらいつつ、ずっと弾きまくった。だって久々なんだもん。

8月2日(水)

 雨は上がり、自分の地図読み能力をフルに活かしベストの道で西へ進む。使用している五万分の一地形図では、新しい道が記載されてなくて困ることもある。
 さてゲイビ渓なる所に着いたが、名物船下りに乗るには1300円もかかるので諦めた。それなら近くの幽玄洞にでも行けばいいものを某先輩が「丘の上の町民プールに行くぞ!」とか言って、激坂を登ることになった。行ってみると、これまた高い水泳帽が必要なので断念した。なにやってんだ。公園で即席冷麺を食べつつ、自分の機嫌を直すのに苦労した。
 毛越寺ユースホステルに荷物を下ろし、急に興味の湧いた中尊寺へ。しかしメインの金色堂はもう閉まる時間で、また名所を前にして諦めることになった。そしておみくじは凶だった。
 今日、私が下り坂で「右行きます!」といった声をかけずに他車をオーバーテイクしてしまったことを、再三指摘されたので気が重くなった。反面、皆と気が合ってきた。

8月3日(木)

 朝起きるのが辛い。今日はまず毛越寺境内を散歩。素晴しい庭園で、おみくじも吉が出た。
 南西へラン。途中テレビ撮影をやっていて、馬に乗った人と挨拶をした。あれがかの高名な俳優・渡辺謙であることを知ったのは後になってからだ。ええっ…。とにかく厳美渓を見物し、腹が減ったのでお土産屋を試食して回った。また走って今度は昼食。ここ数日昼食には麺類が続いていたが、やっと念願のパンが喰えた。
 午後いきなり滝のような雨に襲われて雨宿り。これは局地的だったらしい。さて細倉マインパークなる所はパスしたが、行った班の人に聞いてみたら、物凄くシュールな所だったらしい。それなら是非観てみたかった。くやしい!
 本日のお宿は花山少年自然の家。ちょっと規則は厳しいが、飯はうまかった。皆と和気藹々話したり遊んだりするのも楽しくなってきた。

8月4日(金)

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花山少年自然の家にて(一番右)
 いよいよラン最終日、ある先輩(話術の天才)とのペアランだ。うっとおしい雨を、もはやビリビリになったコンビニガッパでしのぎつつ、いろんな街に寄る。
 あとは鳴瀬川沿いに南東に向かうだけ。土手のダート、下の舗装、サイクリングロード、またダート、舗装、国道、と変化に富む。川沿いの道は大好きだ。先輩の楽しい話もいろいろ聞けた。
 いよいよ宮戸島(奥松島)に到着し、ラン終了。最後の方は「紛れもなく自分の足でここまで来たんだ!」と嬉しくなってしまった。旅の前はあれだけ不安だったんだもの。あとは民宿にチャリを置いて、近くの浜で海水浴をする。もう雨は上がっていたが、チト寒い。実は私、泳ぐこと自体4年ぶりで、平泳ぎで進むのがやっとだ。
 さすが民宿だけあって夕食は豪華海の幸。期待していたトビウオは無かったが、動くウニなんかがあったりしてうまい。引き続きコンパが行われ、飲みすぎ騒ぎすぎに注意しつつそのうち睡眠へ。

8月5日(土)

 帰りはバラバラ。キャンピング班1年唯一の相棒と駅まで走る。そこで山楽班1年の連中と合流、しかし約一名輪行にもたつき、そいつ一人、駅に置いてかれた。うーん、山楽班の連中は厳しいなあ。やっぱりあまりイイものじゃない電車の旅で、考え事をしながらつくばに帰ってきた。

 長かったようでやっぱり長かった夏合宿はこれにて終了。部内に友人は増えたし、体力的な自信もついた。地図読みなど旅行のカンも養った。
 でも一番変わったのは、自分自信が固いウニのようなカラの中にいることを認識したこと、つまり、カラを破る用意ができたことだ。これまでは全て胎教のような状態だったが、もう、外に飛び出してゆける、そんな気がする。世界観が大きく変わった約700km・13日間の旅であった。


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